2023年12月の日記

2023年12月31日

大晦日

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みなさまのご協力に支えられて今年も無事に の活動を終えることが出来ました。

心より感謝申しあげます。

今日は日曜日の大晦日、毎日句会のみのる選を済ませてお茶が入り、充実した一年を振り返っています。

傘寿を機に定例句会にも区切りがつき重荷を下ろした感もあるのですが、関東小グループのめざましい躍進に刺激を受け、もう少し頑張れ!と励まされてもいます。

具体的な計は元旦以降になりますが、「見よ、わたしは新しい事をなす。」と言われる神様の導きを信じて新たなるビジョンを見つけたいと祈っています。

GH-Slackでみなさまのたくさんのよかったを共有させていただき嬉しかったです。悲しかったことも辛かった出来事も含めてよかったに変えてくださった神様に感謝です。

来る年も又みなさまにとってより多き佳句とよかったが授かりますようにお祈りします。

日々百のほ句を閲して年暮るる

2023年12月27日

入門俳句塾を刷新

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入門俳句塾のページを再編集しました。

もとのバージョンは、凡そ20年まえに作成したもので冗長かつ重複が目立ち恥ずかしいものでした。

何度も再編集の必要を覚えながら手つかずでしたが、残されたあと10年への決意の証として大鉈をふるいました。

スマホで読みやすい…をモットーに大幅にダイエットしています。なかでも、

は、特に力を入れて編集しましたのでぜひお読み下さい。

過去20年の歩みを振り返りますと、

での学びを卒業して結社でさらに上を目指す…

という方も数名おられました。そこで今後のために新しく、

を書きました。結社の入口までご案内するための二軍道場というのが、紫峡師から託された使命だと思うからです。

今回の刷新版は、とりあえず Ver.01 という位置づけで、さらなるバージョンアップをと考えています。

メンバーの皆様の感想やご意見も聞かせていただければ嬉しいです。

2023年12月24日

Merry Christmas !

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皆さまにたくさんの幸せが訪れますように!


Small cats Greeting Card Holy nite

 賢者の贈り物 

2023年12月22日

オリジナリティー

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感動した情景を一枚の絵になるように写生せよ…まず其処が初学者のスタートラインだと教えられた。

一方上級者には、写生の裏に隠されて個性が滲み出るように…と、難解なオリジナリティーを求められる。個性は意識して出せるものではなく汗のように自然に滲み出るもの…と青畝俳話にあったけれど、やもすると主観がもろに出て嫌味な俳句となってしまう。俳句は奥が深い…と言われる所以ですね。

さて、今日は、青畝著『俳句のこころ』に出ていた愉快な寸言をご紹介しましょう。

俳句を作るのに対象をスナップショットでかたづけるのではつまらない。作者の心の中に対象をこしらえる。オリジナリティーがはじめて自分の作品にもちあげる。だがこれはまことに厄介な仕事だ。

たまたまルナールの日記に次掲の章句があったから紹介しよう。

5月21日─いったい何をしてるのさ、ジュールは?
─仕事をしてますの。
─そりゃ、仕事に決まってるけど、いったいどんな仕事さ?
─前に言ったでしょう。本を書いてるんですよ。
─いったい、そんなに永くかかるものかね。本を一冊写すぐらいに?
─写すんじゃありませよ、自分でこしらえてるんですわ。
─自分でこしらえるって! そいじゃ、ほんとのことじゃないのかい、本に書いてあることは?

理解出来ない者にかかると、いずれの土地においても共通した誤解があるものだ。笑ってみたけども、諸君いかが思います。

(阿波野青畝著『俳句のこころ』より転載)

笑えましたか? 笑えたあなたは上級者です(^o^)

2023年12月21日

『深は新』

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昨日は、なんだかんだで一万歩を歩いていたので今日は足休めの日。

午前中に年賀状の表印刷が終わったので、午後は青畝師の著書「俳句よろこび」を読み返していました。

その中に、「深は新」という一文が記されています。多少耳の痛い内容ながら、他方では心躍る気分もしたのでご紹介しておこうと思います。

われわれは日本語を用いて生活しているが、その日本語を正しく使わずにむしろねじまげることに興がる手合がある。そういう手合は、新しいと自慢するそうだ。新しいという意味のはきちがえなので、新しがりはすぐ廃れてしまう。

「深は新」と虚子のいわれたことを思い出す。

ものを深く掘り下げて見る。常識という分厚い壁をぶち破るのである。その奥のものを発見するよろこびが俳人の無上の歓喜となるのである。

議論のために議論しても実作者の頭は受け付けてくれぬ。

大自然に接して素直になっておれば、物の光が瞬間に閃いてくる。その刹那の感動をとり逃がせば、いかにも残念という気がする。

流れ行く大根の葉の早さかな 虚子

 (阿波野青畝著『俳句のよろこび』より転載)

長くなるので後半の部分だけを引用したのですが、前半では、月並俳句隆盛となっている昨今の俳諧を憂い、俳句の真髄を追求していかなければ後年の笑いものになる…と警笛を鳴らしておられる。

さればわが は…と力むつもりはないのですが、正しい日本語を使い、素直な写生道を…という信念だけは忘れてはならないと思うのです。

2023年12月20日

宏虎さん元気でした

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今日は、9月に入所された メンバーの宏虎さんを施設に訪ねました。

93歳になられたという宏虎さんは、かつて句会場の予約に何度も足を運んでくださったり、みのる不在の時代でもリーダーとして永年にわたり GH定例句会の活動を支えてくださった恩人です。

晩年、坐骨神経痛に悩まされ吟行や句会参加が叶わなくなっても、精勤に毎日句会で御句を見せてくださっていたのですが、今年のはじめ頃から音信が途絶えるようになり、先月ご子息から入所のお知らせハガキが届いたのです。

問安にあたっては、ご家族の事前了解を得、予約もしてあったのですが、施設の方針としてご本人には予告されないとのことで、お訪ねしたときはとても驚かれましたが嬉しそうでした。

お名前の通り宏虎さんは阪神タイガースのフアンでともに今年のタイガース優勝の喜びを分かち合いました。笑顔の写真も撮ってきましたが、ここで公開するのは憚られますので GH-Slackの方へ貼りました。

着膨れのまま久闊のハイタッチ みのる

2023年12月19日

四時随順

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の目玉コンテンツとして TOPページにリンクボタンをつけた「俳句とエッセイ」のページに【四時随順】というタイトルを使わせていただいた。辞書で調べると、

  • 四時:一年の四つの季節、春夏秋冬の総称。
  • 随順:おとなしく従うこと。従って逆らわないこと。

とあり、直訳すれば読んで字の通り、四季の変化に逆らわず、おとなしく従う…という意味になるのだが、四字熟語辞典には出てこないので定かではない。

実は、いまから35年ほど前に、結社「ひいらぎ」の記念大会が計画されました。その参加記念品として青畝師の直筆色紙を印刷して飾り盾に入れて渡そうということになり、事務方として「かつらぎ庵」の先生を訪ねてお願いたした。そのときに書いてくださったのがこのことばなのです。

お祝いのことばとしての真意については畏れおおくて聞けなかったのですが、「自然の摂理とそのメッセージに対して常に謙虚に向き合い、素直な平常心で客観写生道に励みなさい」という激励ではないかと私なりに解釈しています。

のちに小路紫峡師も句集のタイトルに使われていますが、商標用語ということでもないので青畝先生の遺言の一として覚えておきたくてエッセイページのタイトルにさせていただきました。

さて明日は、施設の宏虎さんの問安に宝塚(逆瀬川)へ出向きます。面会は15分限定なのですが良き交わりのときとなるようにお祈りください。

2023年12月18日

ごと俳句の秘訣

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◯◯のごと、◯◯のよう、◯◯めく…などと詠むことを「ごと俳句」と呼びます。擬人的な表現も又ごと俳句の分類に属するかと思います。

では、見て感じて詠む…ための訓練としてとてもよい方法だと推奨しているのですが、「ごと俳句」という言い方を稚拙な俳句の代名詞のように使う人がいることも事実です。

「ごと俳句」が稚拙だと言われるのは、理屈や常識、偏見などという色眼鏡を通して見た作品が多いからではないかと思います。幼子のように純粋な澄んだ目で観察し、存分に心を遊ばせて対象物からのメッセージを捉えましょう。

「見たままに写生」という教えは、「正しい感覚で捉えたものを…」という前書きが隠されていることを忘れないでくでください。とくに擬人法はその視点を誤ると差別的かつ嫌味な俳句になるので注意しましょう。

上手な「ごと俳句」を詠むための心がけをいくつか説明します。

旬を詠む

対象が最も輝いている「旬」を捉えてあげましょう。吟行では一期一会を期待すると共に、記憶の抽斗から「旬」の感動を探り出しタイムスリップして詠んであげることも大事です。それが対象物への愛であり礼儀だと思うからです。

一人称で詠む

三人称の立ち位置で詠むと得てして揶揄した表現になりやすいです。対象を一人称化して詠もうとすれば、おのずから節度をわきまえた謙虚な捉え方になるはずです。対象物の尊厳を傷つけないような優しさが大事です。

素直に平明に詠む

とにかく常に「素直に、平明に」と言い聞かせながら作句することが重要です。格調高く表現しようと不似合いなことばを斡旋したり、ひねりにひねって奇をてらったりすることは陳腐俳句への落とし穴です。

作者の優しさや愛がにじみ出ている俳句は、それを読んだ人にも癒やしを与えます。それがゴスペル俳句だと私は思います。青畝師が諭された、愛の目で見、素直に平明に写生せよ…という「 俳句の信念 」はそこにあると思います。

素直で且つ平明な俳句に物足りなさを覚えるようになり、伝統俳句がつまらいと感じて現代俳句へと走る人も少なくありません。それはそれで間違いとは言えず自由な選択なので止めたり批判するつもりはありません。ただ で発信される作品に関しては、伝統俳句であってほしいと願います。

2023年12月15日

二人の恩師

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アドベントのこの時期になるといつも、二人の恩師との思い出が脳裏に蘇ります。なぜなら、私が選んだわけではないのですが、お二人共クリスチャンで打算なくキリストの愛をもって導いてくださったからです。

青畝師追慕 紫峡師からの手紙

の活動をはじめてから20数年、悪戦苦闘ながらも守られ支えられて今日まで続けられたのは、お二人からの薫陶が礎となっていたからです。恩師から託された「俳句のこころ」を継承することが自分の使命だと信じ、そのご恩に報いたという一心で推進してきました。

紆余曲折ながらもいつも祈りに応えて進むべき道を照らし、また活動を支援してくださるよきメンバーを与えてくださったことなどなど、すべてのことを益に変えて導いてくださった神様に心から感謝しています。

傘寿を機に定例句会に区切りをつけましたが、「重荷を降ろした」という安堵に箍をゆるめることなく、残りの期間をあと10年と定めて特に若い人たちの指導に献身するべく祈り秘策を練っています。

なぜなら、二人の師から託された 伝統俳句の信念と、みんなで大切に培ってきた宝物である の人間関係とを、次代の人たちへ継承したいからです。どうか新たなる道が拓かれますように祈って下さい。

2023年12月12日

よかった探し

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愛少女ポリアンナ物語

今年も GH-Slackで「2023年のよかった探し」の投稿を募集しています。

プラス思考にスイッチを切り替えて一年間を振り返ると苦しかった体験も恵みとして受けとめられ、悲しかった出来事も慰めに変えられます。それら一つ一つを「よかった」こととして記して見てください。

書き終わったあと読み返すとそれらはみな新しい2024年への希望につながります。せっかく与えられた人生、生かされている余生、すべて恵みだとうけとめて愉しく過ごしましょう。

よろしければ一日一句のメンバーも GH-Slack に登録してコミュニティーにご参加下さい。

 GH-Slack

2023年12月11日

俳句の信念

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一日一句の参加者の変遷を見ていますと、「伝統俳句とは、客観写生とは」などの情報にはまったく無頓着のまま、「無料」というキャチコピーだけに反応されて登録されるかたが多いように思います。その結果しばらくすると、

こんなはずではなかった…

と、落胆して挫折されてしまうというケースになるようです。

そこで、いまさらの感もするのですが、運用理念やみのる俳句の信念などを見直して再編集してみました。メンバーのみなさまには蛇足になるかもしれませんが、読みなおして下さって感想を寄せていただけると嬉しいです。

 運営理念   俳句の信念 

2023年12月10日

あと10年

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見よ。わたしは新しい事をする。イザヤ書43章18

80歳を迎えたのを機に体力的なことも考慮して定例句会の活動に区切りをつけました。

ご支援ご協力いただいたメンバーの皆様に心から感謝します。永年の功労者である宏虎さんにも施設にお訪ねして報告したいと思います。今後はネットでの活動が中心になると思いますが、体調管理をしながらあと10年は奉仕を続けられたらと祈っています。

定例句会の休会に伴いホームページ各所の修正が生じていますが、とりあえずは運用に差し支えある箇所のみ対応し、その他は今後10年の運用計画を具体化してからゆっくりと更新しようと考えています。

小グループの吟行にお誘いいただくことも感謝なのですが、句会形式でみなさまと関わることが私の本分だと考えますので体力のつづく限り工夫して新しい企画を検討したいと願っています。

第1週に小グループで吟行し、翌週に後日ネット句会に投稿するという活動が定着してきましたので、随時開催になりますが、第3週をみのる主催の新企画にあてようかなと思います。各小グループ主催でも年に1〜2回くらいで計画してくださると感謝です。

来春は、むべさんを中心とした関東小グループの吟行句会にも参加させていただこうと考えていますが、年に一度くらいで継続できたらと願っています。

2023年12月8日

みのるの近詠

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12月6日の京都納会吟行の句を みのるの近詠 に載せました。庭紅葉の美しさに圧倒されて苦吟また苦吟、残すほどの句はありませんが皆様のヒントになればとアップしました。

みのるの近詠(泉涌寺、今熊野観音寺)

感想をコメントしてくだされば嬉しいです。

水痩せて草紅葉せし鴨河原 みのる

2023年12月7日

TOPページのマイナーチェンジ

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昨日は関西グループの納会吟行で京都の泉涌寺と今熊野観音寺を吟行しました。一時期の紅葉ラッシュの人出も落ち着いていて静かな寺苑を堪能しました。 あまりの美しさに圧倒されていつものように句が詠めず苦吟でしたが楽しくおしゃべりとご馳走を堪能して命の洗濯ができました。労してくださった、もとこさんに感謝です。

席上 GHのページ構成のことが話題になり、前回のリニューアル以降、「見たいページを探すのに苦労する」という声がたくさんありました。そこで、ほんの少しマイナーチェンジしてみましたので、ご感想をフィードバックかコメントしてくださると感謝です。

2023年12月5日

アドベント(advent)

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今年もアドベントの期間に入りました。

クリスマス前になるとよく聞く「アドベント」という言葉。なんとなくクリスマスの準備期間ということは知っていても、正確な意味や楽しみ方はよく分からないという方が多いかもしれませんね。

「アドベント(Advent)」を簡単に言うと、クリスマスまでの準備期間です。日本語では「待降節」「降臨節」「待誕節」といって歳時記にも載っています。

クリスマスより前の日曜日から数えて4つ目の日曜日から…と決められていて、2023年はクリスマス当日の25日が月曜日なので、その前の12月24日から数えて4つ目、つまり12月3日がスタートになります。アドベントといっても、具体的に何をするのかいまいちピンと来ない方も多いかもしれません。一般的な楽しみ方は次のようなものがあります。

アドベントキャンドルに火をともす

クリスチャンの家庭や教会では、アドベント期間中、4本の蝋燭を立て毎週日曜日に1本ずつ火をともしていくという習慣があります。イエス・キリストは「世の光」とも称されたことから、蝋燭の明かりはキリストの象徴なのです。

シュトーレンを食べる

シュトーレンは、1cm前後の厚さにスライスして少しずつ食べるドイツ発祥の菓子パンです。アドベントからクリスマスまで、時間をかけて少しずつ楽しみます。時間の経過とともに、ラム酒やドライフルーツの風味が変化していくのも楽しみのうちです。

クリスマスツリーやリースを飾る

日本では「クリスマスまでに出せばいいもの」と思われがちですが、キリスト教国ではツリーやリースをアドベントが始まるタイミングで飾り始めます。クリスチャンにとって、クリスマスツリーやリースは単なるインテリアグッズではないのです。

クリスマスカードを送りあう

クリスマスカードは日本でいう年賀状のようなもので、海外では一般的な年末年始のあいさつ状です。アメリカでは、11月の第4木曜日(日本では勤労感謝の日)を「サンクスギビング(感謝祭)」と呼び、 クリスマスカードを送るのは、このサンクスギビングからクリスマスまでの間というのが習慣になっています。

アドベントカレンダーを飾る

アドベントカレンダーとは、12月1日から24日までをカウントダウンするためのカレンダーです。毎日ひとつずつ引き出しや窓を開けながら、クリスマス当日を待ちます。中には小さなお菓子が入っていたりイラストが描かれていたりして「明日は何かな?」と大人も子どもも楽しめるアイテムで、最近では人気コスメブランド各社もアドベントカレンダーを販売するようになり、日本でもアドベントカレンダーの文化が広まりつつあるようですね。

アドベントカレンダーの画像

朝窓に繰るアドベントカレンダー みのる

いつもは朝寝坊な子どもたちが我先にと起きてきてアドベントカレンダーを開いていた頃が懐かしいです。残念ながらどの歳時記を開いてもアドベント(待降節)を詠んだ句はほとんど見かけませんが、次代の俳諧では新しい句が沢山詠まれることを願っています。

2023年12月4日

添削の意味について

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みのるの添削には幾通りかのパターンがありますが、なぜそのように直したのか…については原則説明していません。原作者が納得してその意図を受け止めていただければ、ご自分の句として残していただければ感謝ですし、どうしても納得が行かない…という場合は捨てて下さって構いません。

今週のみのる選では、そのパターンがいくつか揃ったので少し説明してみます。

石蕗に寄せ草履揃へえるにじり口

原句:にじり口草履揃える石蕗の花

にじり口のそばに石蕗が咲いているらしい…のは分かりますが、「石蕗の花が草履を揃えてる」という意になっているので添削しました。

下戸なるも酔ひし気分に牡丹鍋

原句:下戸なるは口惜しきかも牡丹鍋

自分は下戸なのでみんなのように酌みながら楽しめないのがちょっと悔しい…というマイナス思考の描写になっています。呑めないながらも楽しく牡丹鍋の座に加わっているよ…と詠んで欲しい。

うたた寝の肩叩かるる炬燵かな

原句:うたた寝に声掛けられぬ古炬燵

古炬燵である必然性が感じられないのと、誰がどこから声をかけたのかもわかりにくく絵として見えてきませんね。「うたた寝したら風邪引くよ!」肩を叩かれたとすれば二人の姿が見えてきます。

花鉢の混み合つてゐる縁小春

原句:花鉢の混み合つてゐる縁の冬

冬の時期、寒さに弱い鉢物を縁側に取り込んである様子ですが、「縁の冬」とすると説明ぽくなります。「縁小春」とすると温かい日差しに喜んでいる鉢物たちの表情も連想できます。

影曳きて人と犬ゆく雪の路地

原句:影曳きて小雪の露地人と犬

作者は、「小雪(しょうせつ)」という季語を使いたかったのですが、返って作意が見えてしまいます。「雪の路地」と平明かつ素直に写生したほうがいいと思う。

叩かずに目こぼししたる冬の蝿

原句:叩かんとして躊躇せむ冬の蝿

春や夏の蝿であればためらわなかったであろう…という意は分かりますが、「結局は叩いたの?」と中途半端な写生に終わります。「叩かなかったよ」とすると優しさも伝わります。俳句は愛の目で写生せよ…が青畝師の教えです。

睦まじく寄り添ふ浮寝鳥の二羽

原句:何げなく寄り添ふ二羽の浮寝鳥

「何気なく寄り添ふ」は作者の主観であり、そう捉えると時間が動くので間延びした描写になる。無理に脚色しないで、「陣をなしている浮寝鳥のなかの二羽が仲良く寄り添っているよ」と素直に瞬間描写したほうが強い句となる。その場合は、「二羽の浮寝鳥」ではなく「浮寝鳥の二羽」が正しい表現である。

少し上達してくると平明な表現では物足りなくなり、格調高い句を詠もうとして言葉を選んだり、特異な季語を斡旋したりして独りよがりな作品づくりに陥りやすい。平明な客観写生でありつつ、作者の愛の目や優しさなどが伝わってくるように表現することのほうが遥かに価値があり大切なことだということに気づいてほしい。添削はある意味でその警笛でもあるのです。

2023年12月1日

俳句は授かるもの

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吟行が苦手という方の多くは、「感じて詠む」という訓練を実践しないのでいつまでたっても「考えて作る」というスタイルから脱皮できないのです。

俳句で言うところの「感じる」というのは、「詠もうとする対象物からのメッセージを受け取る」ということであって、それを言葉に翻訳することで俳句が授かるです。

俳句は考えて作るものではなく授かるもの

一瞥即感じる…ということは極めて難しく、五感を研ぎ澄まし心静かに時間をかけてはじめて受け取れるものだと考えます。つまり忍耐が必要なのです。

吟行で一番大切なのは足を止めることです。メッセージを受け取るまえに目移り気移りしてせっかちに移動を繰り返していては「感じる」ことはできません。

二、三句詠むまでは一箇所に立ち止まって移動しない…の繰り返しを実行してみて下さい。大事なのは理屈の左脳を封印して、右脳を働かせて心を遊ばせるのです。

後日句会という吟行形式は苦痛がなくて楽しいようですが、油断をするとおしゃべりに終止して「あとから思い出しながら考えて作る」という悪癖につながりがちです。小グループで吟行されるときも喫茶店の片隅でいいので必ず3〜5句のミニ句会をするように習慣づけることが大事です。

手は夜なべ脳は遊びを考へし 品女

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