やまだみのる

紫写生術を身につける

最近無料添削の申し込みが増えてきました。テレビ番組で夏井いつきさんによる添削を見て俳句に興味を持たれたという方も多いようで、新しい方がどんどん増えて GHに活気が戻ってきてくれることはとても嬉しいことです。

GHの添削は、吟行による客観写生句に限定しています。有料のカルチャーでは、想像で組み立てた句や独りよがりな主観句、理屈の句も添削するようですが、俳句の上達という意味では「百害あって一利なし」といえます。

ほんらい添削の学びというのは写生術の訓練です。写生術というのは絵画の場合も同じですが繰り返し訓練することで上達します。感動した対象をいかに具体的に表現するかというテクニックなので添削でお手伝いできるのです。感動を捉える訓練はひたすら吟行する他に方法はありません。吟行で写生して添削で学ぶ…これが上達の一番の近道です。

主観や理屈の作品も俳句のジャンルとしては存在しますし、そうした作品を添削することも可能です。なぜそれをしないかというと、大抵の場合それは作者自身の作品ではなくて添削者の作品になってしまうケースが多く、GHとしては全く意味のない行為だと思うからです。

気を使って無料添削を受けることに遠慮がちになる方がありますが、それは間違いです。黙々と吟行し多作して添削を送り続けて上達してくださることがぼく自身の喜びなので、熱心であればあるだけぼく自身も励みになるのです。写生の修練を積むことで自然に味のある主観句を詠めるようになります。季語の働きを上手に活かすという写生術が身につくからなのです。

(2016年3月26日の日記より)