みのる:関西では灘五郷といって昔ながらの宮水で醸造する酒蔵が多く存在しています。GHでも年に一度は吟行してお好みのお酒や酒の粕、奈良漬けなどをお土産に買って帰ります。瓶詰めにする工程で発酵をとめるのだそうですが酒蔵によっては発酵をとめる前のしぼりたてを利き酒させてくれるところもあって、下戸の私でも美味しいかな?という感じでした。踏青の使い方を復習できて良かったです。

澄子:先の鎌倉吟行で「青き踏む」と「踏青」少しニュアンス違うと言われていたことを思い出しました。元は中国の古くからの風習で 春、野山に出かけて青々と芽生えた草を踏みながら遊ぶことを言ったようです。後に酒盛りをしながら野遊びを楽しむ行楽へと変化したようです。作者はもしかこのことをご存知でお詠みになられたのか?……少しびっくり致しました。春温かくなり お出かけ心を擽られるような明るさ 浮き浮きした気分が伝わってきます。

えいいち:下五は春の遊びの意があるようです。そう思うと寒仕込みの新酒を試飲するという楽しみが感じられました。作者はもしかしたら酒通なのかな?と思いました。

康子:青き踏むではなく「踏青す」により、実際に踏んでいる青草と言うよりは酒蔵への道中の空気感に焦点が向かいます。新しく芽生えた草花の香りに包まれている道を、一歩一歩味わいながら歩いている作者が浮かびます。そして酒蔵の試飲のおまけ付き…なんという楽しい道中でしょう!と言っているようです。

かえる:踏青から、緑豊かな鄙びた里にある酒蔵を思い浮かべました。少し足を伸ばして、春探しを兼ねた小旅行を楽しまれている。目的は試飲ですから、電車でのんびりお出かけか。車窓からの風景や、里の散策を楽しみ、お目当ての酒蔵への道のりをおしゃべりしながらゆるりと歩いていらっしゃる。作者の心弾みが伝わってくるようです。

むべ:酒蔵は一般のお客様の見学受け入れをしているところなのでしょう。試飲コーナーは特にお楽しみのひとつですね。作者も左党だったのかもしれません。「踏青」は「青き踏む」とニュアンスが異なり、街のそぞろ歩きや散策にも用いられる季語と習いました。春の日差しと暖かい陽気、心浮き立つ街歩きの一日です。