むべ:「孑孑」が三夏の季語。日向水をのぞくと、孵化した孑孑たちが尾を上にしてくねくねとよく動いているのでしょう。おそらくその動きはリズミカルで激しくて、まるでエアロビクスみたいだな……という作者の心のつぶやきが聞こえてきそうです。エアロビクスという6音のカタカナ語を、句またがりで配置し、インパクトある句になっていると思いました。

せいじ:孑孑が三夏の季語。孑孑が水中を浮沈游泳する姿がエアロビクスに似て、リズミカルで楽しげに見えたのであろう。孑孑は水面に出ている尾の先端に呼吸器官があるとのことなので、有酸素運動のエアロビクスに通じるものがある。

あひる:孑孑が夏の季語で蚊の幼虫ですが、身体を振り振り泳ぐ姿から「ぼうふり」とも言うそうです。前の俳句で蟷螂をタクト振る指揮者と見た作者は、今度は孑孑をエアロビクスのダンサーと見たようです。小さな生物への温かな眼差しと、ユーモアを感じます。