企画句会のみのる選です。
| ■ 第10回企画句会(テーマ:水から連想されるもの) |
| Date: 2004-08-14 (Sat) |
湧水に西瓜冷やせる山家かな とろうち
名水の月光に読む由来札 かずひと 添削> 月光に読む名水の由来札
石洗ふ水の流れの秋めきぬ 宏虎 添削> さざれ石洗ふ瀬波の秋めきぬ
打ち水や朝のコーヒー美味き店 よし女 添削> 水打って早朝茶房開店す
一舟も見えず湖上の晩夏光 まさる 添削> 一舟も見えぬ湖上の晩夏光
苔涼し分水石の深緑 こころ 添削> 苔涼し分水嶺の石畳
打水の最後の杓を足に打つ かのこ 添削> 打水の最後の杓は足元に
わたつみの紙垂すきとほる海霧しずく 志乃
掬ふ手に夏山揺れて瀞の水 茶猫 添削> 瀞の水掬へば青嶺揺れにけり
吊り橋の軋みし音や秋隣 秋乃 添削> 吊り橋の軋みやまずよ秋風裡
水馬力を抜けば流さるる きみこ
渓流や朝霧立ちし原生林 みすず 添削> 渓流も樹海も霧の海に消ゆ
*テーマ(水から連想されるもの)をまったく意識していない作品がありました。
| ■ 第9回企画句会(テーマ:べられる夏の季語を詠んだ句) |
| Date: 2004-07-02 (Fri) |
汲みたての井戸水に桃放ちたる はるにれ 添削> 汲みたての井戸水に桃浮かべけり
病む母の口に合せて切るメロン 志峰 添削> 病む母の口に合せてメロン切る
柏餅悪童たりし吾も父 がくと
焼き烏賊の香り運べる海の風 よし造 添削> 焼き烏賊の香り運べる浜の風
葛きりを待つ間も繰りし京ガイド かのこ
白玉も餡も秋田の水育ち こころ
悪妻にも良妻にもなれずビール注ぐ 今日子
おしやべりな女ともだちところてん 初凪 添削> ぺちゃくちゃと女ともがら心太
年金の乏しさ言はず氷菓舐め 茶猫 添削> 年金の暮らしにも慣れ氷菓舐む
西瓜食ぶ前歯二本の嬰の口 宏虎
病む母の一と切くれしメロンかな よし女
帰省子の下戸は変らずソーダ水 かずひと
子等の輪のどっと崩れて西瓜割 すずかぜ
おもむろにほどく正座や泥鰌鍋 志乃
やかんごとどかと冷やせる麦茶かな とろうち
迷ふ末置いた西瓜の買われ行き ゆうこ 添削> 躊躇せし西瓜他人に買はれけり
泣きべそをかく子の氷菓溶け初むる 一尾
[選評]
企画句会は「兼題」になるので、どうしても頭で考えて作りやすい。
考えて作る句は感動が薄く季語の説明や状況報告の句になりやすいので、
兼題であっても必ず吟行で詠むように心がけて欲しい。
小説風に冒険した作品、回想的あるいは心象的な題材に挑戦した作品も見られた。
この種の作り方は、取り合わせる季語の選択が決め手となるため、
成功する確率はきわめて低く、残念ながら季語の動くものが多かった。
冒険、挑戦は必要だが、季語を熟知できていない初心の間は真似しないほうが良い。
汲みたての井戸水に浮かべけり・・・・冷たい井戸水に浮かべた桃の瑞々しさが感じられる。
病む母の口に合わせてメロン切る・・・介護する人のやさしさが伝わってくる。
柏餅悪童たりし吾も父・・・・・・・・吾子の初節句を祝いながら父親となった実感を味わっている。
焼き烏賊の香り運べる浜の風・・・・・潮風にのって漂ってくる烏賊焼きの匂い。浜の賑わいも連想できる。
葛きりを待つ間も繰りし京ガイド・・・名物の葛きりを注文して京の旅を楽しんでいる。
白玉も餡も秋田の水育ち・・・・・・・秋田の水は軟水で、まろやかな清酒を作り出すといわれる。
悪妻にも良妻にもなれずビール注ぐ・・破調ではあるが味わい深い句と思う。
ぺちゃくちゃと女ともがら心太・・・・女性のおしゃべりと心太の組み合わせが面白い。
年金の暮らしにも慣れ氷菓舐む・・・・豪華なパフェではなく棒つきの氷菓。滑稽味があってよい。
西瓜食ぶ前歯二本の嬰の口・・・・・・真っ白なかわいい前歯が初々しい。
病む母の一と切くれしメロンかな・・・介護人する人とされる人との心のふれあいが感じられる。
帰省子の下戸は変らずソーダ水・・・・社会人として少しは呑めるようになったかと心配する親心。
子等の輪のどっと崩れて西瓜割・・・・西瓜割の命中した瞬間の驚きがよくわかる。
おもむろにほどく正座や泥鰌鍋・・・・出来上がるまでの緊張感が連想されて、その対比が面白い。
やかんごとどかと冷やせる麦茶かな・・豪快な感じがよい。都会では見られない情景。
躊躇せし西瓜他人に買はれけり・・・・品定めに迷っている間に先に他の人に買われてしまった。滑稽の句。
泣きべそをかく子の氷菓溶け初むる・・賢明になだめている周りの人の姿も連想で見えてきますね。
| ■ 2003年12月企画句会(テーマ:クリスマス、歳晩を詠んだ句) |
| Date: 2004-01-03 (Sat) |
クリスマス赤き花買う娘の供華に ひよこ 添削> 娘の供華にポインセチアの鉢を買ふ
キャロリング孫と声合ふ聖夜かな こう 添削> キャロリング孫と腕組む聖夜かな
説教を聞く子聞かぬ子クリスマス 二青
札納香煙潜る人の波 光晴 添削> 香煙を潜る人波札納
引越しの荷物の囲む聖樹の灯 敦風 添削> 聖樹の灯引越しの荷はまだ解かず
街騒に色の溢るるクリスマス 国子 添削> 街中に赤の溢るるクリスマス
クリスマス母のハミングある厨 こころ 添削> 厨から母のハミングクリスマス
年の瀬の洗ひあげたる消防車 よし女
不揃いの寒柝の音遠ざかる かずひと 添削> 寒柝の音不揃いに遠ざかる
家系図の欠けしままあり去年今年 秋乃 添削> 家系図に欠けし個所ありクリスマス
雪靴の弾んでゐたり聖歌隊 志乃 添削> 雪靴でスキップを踏む聖歌隊
帆柱を十字に灯し聖夜待つ れいこ 添削> 帆柱を十字に灯す聖夜かな
湯治宿ロビーの聖樹小振りなる ひろ美 添削> 湯治宿小振りの聖樹ひともしぬ
年の夜の鳥居をうつす忘れ潮 りんご
厠にも清しき花や年用意 すずかぜ 添削> 厠にも一輪活けて年用意
[選評]
みなさま楽しい企画句会を満喫されたことと思います。
たくさんの方が参加してくださってとても嬉しいです。
みのる選では、素直に表現された句、意外性のある句を心得て選びました。
こうした兼題句会では、どうしても常識的な理屈や観念の句になりますし、
類想の句が生まれます。
思い切った冒険をしてみると案外よい句が授かると思います。
参加してくださった皆さんに、また句会の労をとってくださった、秋乃さんに感謝します。
また次回を楽しみにしています。
| ■ 2003年7月企画句会(テーマ:涼しさを感じさせる句) |
| Date: 2003-08-11 (Mon) |
◇星降ると言ふ頂の夕涼み いなみの 添削> 満天の星山上の風涼しい
星が出てくるので、夕はしつこいです。
◇寝入るまで風の途切れぬ団扇かな 初凪 添削> 寝入るまで風を絶やさぬ団扇かな
ひとの心が連想できた方が余情がでます
◇庭仕事終へてしばしの夕端居 豪敏 添削> 庭仕事終へて安堵の夕端居
「しばし」は説明です。
◇水眼鏡海底の森揺れ通し 初凪
「海底の森」を具体的に表現できるとよいかも・・。例えば「珊瑚の森」とかです。
◇夕涼み川の流れに魚影射す ななえ 添削> 矢のごとき魚影の見えて川涼し
魚影の動きを具体的表現しないと、情景が見えてこない。
◇故郷みな門を構へず涼しけれ 明人
素直でよい句です。田舎はこういう素朴な家並みが多いです。
◇手拭をはたき大工の夕涼み 縄文 添削> 手拭をはたき大工の夕端居
仕事が終わって、一息入れているのですね。端居の方が具体的に連想できるのでは?
◇露草の涙に映る空の青 文月 添削> 露草の掬びし珠に空の青
「涙」は無理な表現です。
◇文学碑並ぶ疎水の避暑散歩 清 添削> 文学碑辿る疎水路避暑散歩
「疎水の」の「の」は不要。
◇子等集ゐ花の氷柱撫でまわす きみこ 添削> 子供らは花の氷柱撫でまはし
「集ひ」は説明です。
◇病む人に祈りをこめて団扇風 りんご 添削> 病む人へ祈りごころに団扇風
祈りはこころで・・・。
◇郭公の間合ひに墨をすりにけり 志乃 添削> 郭公に墨する手元休めけり
まったく逆の発想にしてみました。
◇青田波白鷺の子の見え隠れ みすず 添削> 白鷺の見え隠れする青田かな
子は不要です。焦点は白鷺なので、「波」はじゃま。
◇ホスピスの母の寝息や月涼し ゆうこ
末期のお母さんを看取っている。窓の外にみえる月も安らかで涼しそう・・
◇湖よりの風胸元に宿浴衣 とろうち 添削> 湖風の涼し浴衣の襟元に
胸元までいうとはだけてる感じになるので、襟元でしょうね。
◇風涼し海を遥かに切り通し 一尾 添削> 風涼し海へ坂なす切り通し
「遙かに」は抽象的です。
◇裏見瀧四方八方しぶきけり 好夫
眼のつけどころが面白い。
「選評」
企画句会は兼題なので、頭の中で構築した句が目立ちました。
兼題であっても、吟行に出て詠むか、
過去の吟行体験を思い出して連想で作ることが大切です。
添削は、あくまで、みのるの独断です。
ご不満でも、陳情や質問はなし・・ということでご勘弁ください。
また、感想やお礼のメール等も一切不要です。
合評掲示板へ書いてくださるとうれしいです。
| ■ 2003年3月企画句会(テーマ:旅立ち、出会い) |
| Date: 2003-04-14 (Mon) |
リストラで一人旅立つ春うらら 楽楽 添削> リストラで一人旅立つ春寒し
古稀にして出会い新たや初さくら としこ
青き踏む神に委ねし一歩かな としこ 添削> 青き踏む神に委ねし余生かな
花万朶新造船の出港す 初凪 添削> 新造船船出す港花万朶
こえだけは誰にも勝る新社員 折山 添削> こえだけは誰にも負けず新社員
母いるを目で確かめる入園児 てるこ 添削> 母ゐるを目で確かむる入園児
島の子の入学祝ふ大漁旗 りんご
囀りや試歩を始めし父の杖 とろうち
退職者真ん中にして花筵 ハジメ
転勤のトランクひとつ花の駅 れいこ
還暦を迎えて夢は鳥雲に きみこ 添削> 還暦の夢はこれから鳥雲に
| ■ 2002年クリスマス企画句会 |
| Date: 2002-12-29 (Sun) |
子のせりふ一言なれど聖夜劇 公二
クリスマスソング手拍子打ちながら ゆうこ
ささやかな聖樹飾りし妻老いぬ 初凪 添削> ささやかな聖樹飾りて老夫婦
病棟の更けて聖樹の光かな たかし 添削> 消灯の病棟聖樹のみ点る
キャロリング病棟見舞ふ聖夜かな こう 添削> 病棟の友の窓へとキャロリング
グラス持つ爪の赤さやクリスマス 涼
煌ける高き聖樹を見上げけり きみこ
願い事聖樹に掛けてゐる童 二青 添削> サンタへと聖樹に吊るす願い事
クリスマスイブや秘蔵のワイン抜く よし女
三世代つどふ一と夜のクリスマス 我風 添削> 三世代つどひし今宵クリスマス
チェロ抱きて急ぐ人ありクリスマス 光晴 添削> チェロ抱きて道急く人やクリスマス
里山も庭の木点しクリスマス 百姓 添削> 大いなる庭木の聖樹瞬ける
待合せ聖樹の下とメール来る たけし
子等巣立ち妻と二人の聖夜かな たけし
たまゆらの逢瀬や街はクリスマス 秋乃
老妻が飾りてうれし聖樹かな 次郎 添削> 老妻と二人で飾る聖樹かな
星空に鐘の音残し聖夜ミサ オクラ 添削> 星空に鐘の音ひびく聖夜ミサ
ひたすらに信じてみたし聖夜かな 小筆 添削> ひたすらに信じてみたしクリスマス