みのる選:2012年6月度

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2012年07月02日(月)

2012年6月24日~30日

2012年06月30日
鮎の膳猪名の早瀬をまのあたりうつぎ
露座仏に五月雨傘をさしけんよし子
細格子続く古町さみだるる菜々
山の宿鳥語もっとも明易しはく子
傘傾げ紫陽花の径行き違ふとろうち
2012年06月29日
一輌車青葉若葉のトンネルへ英子
風鈴の奏づここらは呉服町はく子
川風を仕切る貴船の青簾宏虎
切支丹墓碑に触れもす濃紫陽花せいじ
日の匂ふ真っ赤なトマトもぎにけり百合
2012年06月28日
古町の片陰拾ひつつ巡る菜々
棚田なる中の一枚蓮浮葉雅流
家路へと海に沿ふ道月見草わかば
一と声に高級金魚競り落とすなつき
怨念のごと毛虫焼く女かなうつぎ
寺縁起聞く縁側やほととぎすとろうち
水槽の値札まず見て金魚見るはく子
菅笠の高さ揃ひて田植え舞なつき
2012年06月27日
虹告げにまた病室に駆け戻るうつぎ
黒南風や葉裏を返す山の木々三刀
鯉跳ねて威儀崩れたる雲の峰よし子
苔庭に木漏れ日遊ぶ梅雨晴れ間雅流
馬鈴薯の花摘む富士の見ゆ裾にとろうち
武家屋敷名残の門や合歓の花こすもす
水馬カレースめく用水路わかば
2012年06月26日
耳朶を打つ水琴窟の楽涼しせいじ
朝涼しサラダは今日も庭の幸菜々
薫風裡弓引き絞る束ね髪とろうち
2012年06月25日
たまさかに訪ねし京の鱧料理きづな
八乙女の田舞揺らめく水面かななつき
樋のなき藁葺屋根や梅雨深しせいじ
昼寝覚ダム放流のサイレンにさつき
白牡丹供えてありし無縁塚治男
2012年06月24日
遺跡なる竪穴住居梅雨じめりわかば
抜き足のまま青鷺の身じろがずせいじ
リズムよくきざむ胡瓜の音涼し満天
老鶯の目覚め促す山の宿ひかり
穴窯の鎖されしままや時鳥雅流

2012年06月26日(火)

2012年6月17日~23日

2012年06月23日
車窓いまスライドショーに植田見ゆさつき
羅の立ち居涼しき茶会かなわかば
曲りたる胡瓜も幸よ自家菜園あさこ
老見ゆる大道芸人玉の汗百合
雨脚を切らんと返すつばくらめせいじ
嵐峡を借景として夏座敷よし子
青田風山田錦の幟揺れこすもす
花苗のあまりを貰ふ梅雨晴間有香
指呼の先動かぬ影や青葉木兎ひかり
2012年06月22日
濁流が中州を襲ふ梅雨の川せいじ
雨蛙指揮者は何処ぞ鳴き止まずさつき
2012年06月21日
雨なれどどこか明るき夏至の空菜々
地下鉄のホーム常濡れ梅雨の傘なつき
店先の干し蛸風に回りけりともえ
梅雨しとど悲鳴上げをる破れ樋うつぎ
2012年06月20日
青葉風バイクの並ぶ峠茶屋ひかり
2012年06月19日
バス停の標識を越ゆ立葵うつぎ
田植女の御田に一礼して上がるうつぎ
御田掻くやる気なさげな飾り牛よし子
橋桁の折るるばかりや梅雨出水三刀
御田植の空へつつぬけ笙太鼓菜々
2012年06月18日
寝おしみて更けゆく夜の杜鵑よし子
紫陽花の毬川波に揺れやまずさつき
音涼し自動演奏ピアノとて満天
都大路いまや紫陽花ロードかなぽんこ
2012年06月17日
父の日や地酒抱きて嫁来る三刀
立葵背筋伸ばして仰ぎけり満天
宿浴衣携帯電話鳴るたもとよし子
音すれど機影は見えず梅雨の雲さつき

2012年06月18日(月)

6月10日~16日

2012年06月16日
待ち合はせ人らし手を振るサングラスなつき
紫陽花の毬が膝擦るベンチかななつき
目に追ひし子の背番号雲の峰雅流
日を弾く銀の一筋蜘蛛の糸よし子
手配写真滲みて梅雨の掲示板よし女
豪商の栄華の名残夏座敷宏虎
ねむごろに糠床混ぜる梅雨しめり満天
2012年06月15日
かな文字を描くごとくに恋螢有香
行列に粉黛の妓も御田植菜々
炎昼に号外告ぐる声高く雅流
大楠の千手をかざす樹下涼しかりはく子
2012年06月14日
大空の星に紛れし恋蛍よし子
星空にまぎれて消えし蛍かな有香
延命水汲むはこちらと道をしえよし女
龍神の祠へ消えし蛍かなうつぎ
2012年06月13日
傘と傘ゆずり合ひして梅雨の露地よし子
打ち返す波音涼し浜の朝こすもす
梔子の白夕闇にしるきかなあさこ
鏡なす水面御田植まつばかりはく子
宇治川の梅雨の瀬波の荒々しせいじ
亀の子の落ちては上る石舞台ぽんこ
あめんぼう鯉の波紋を避けられずあさこ
2012年06月12日
雨粒かはたあめんぼか池の面百合
梅雨寒や明るきニュースないものか満天
逆上がりできたる吾子に雲の峰あおい
麓まで包む山気やほととぎすうつぎ
蒼天を貫く夏の燕かな三刀
長雨に梔子の花錆びにけり菜々
亦一つ音なく落ちし沙羅の花ともえ
2012年06月11日
庭仕事腰にラジオと蚊遣り下げきづな
晩学のリュック重たし街薄暑わかば
田の面を駈けゆく雲や梅雨晴間満天
早乙女ら手甲の紐を結びあひさつき
一穢なく掃かれし宮の庭涼しぽんこ
もつれつつ川面をくだる蛍かな雅流
2012年06月10日
競技場歓声あがる雲の峰百合
お辞儀する駅のポスター走り梅雨うつぎ
鉄棒に数珠つなぎなる梅雨雫さつき

2012年06月11日(月)

2012年6月3日~9日

2012年06月09日
金魚玉おきて老舗の美容院よし女
声響くここが天下と牛蛙せいじ
雀らの野次馬めいて御田植祭さつき
梅雨晴間なれば花壇の虫躍如菜々
白妙の鰭振る金魚天女めく三刀
梅雨の雲生駒嶺の襞低きまではく子
2012年06月08日
竹林を縫ふ抜道や風薫るきづな
親の丈超ゆるばかりに今年竹三刀
庭の木々日ごとに伸びる入梅かな満天
本堂の軒に樋なし走り梅雨有香
敗将の一門の墓ほととぎすとろうち
2012年06月07日
緑雨浴ぶ前垂れ赤き六地蔵とろうち
女生徒の弾ける笑ひ更衣有香
十薬や陽ざしとどかぬ納屋の裏よし子
2012年06月06日
ここよりは一輌電車谿青葉菜々
岩走る山の引き水柿若葉うつぎ
駆け抜けてどの早苗にも富士の風とろうち
サボテンの四方八方花広げあさこ
懸命さ習えと歩むかたつむりはく子
風意地悪大噴水を乱しけりともえ
万緑の底ひの水琴窟を聴く宏虎
2012年06月05日
ねぢゆるむごと梔子の花開く菜々
お湿りの波紋と見ればあめんぼうせいじ
夏帽に妻十歳は若返り宏虎
ざわめける山毛欅の天辺走り梅雨雅流
2012年06月04日
古民家の茶房を抜けて夏の蝶うつぎ
薫風裡一駅歩く御堂筋百合
万緑を眼下としたるカフェテラス満天
清貧を知れとどくだみ咲き満つる宏虎
裏山に谺す声は時鳥こすもす
あじさいの日裏日表色異にあおい
人気なき午後の校庭夾竹桃ぽんこ
夏つばめ湧き立つごとく屋根越えてさつき
上流を知っておるかに水すましよし子
大瀑布洗濯板の岩洗ふせいじ
岩頭に水が水追ふ瀑布かなせいじ
2012年06月03日
一輪車乗れたる吾子に山笑ふとろうち
川風の通ふ蔵町青柳よし子
竹皮を脱ぐや忽ち中空へはく子
薄雲を脱ぎさりてより月涼しこすもす
草茂る発掘を待つ休耕田せいじ
寄り合ひに享くる一献蛍の夜雅流

2012年06月04日(月)

2012年5月27日~6月2日

2012年06月02日
豆腐屋のラッパ近づく昼寝覚さつき
稜線かはた薄雲か走り梅雨とろうち
南朝の渓吹きあぐる青葉風菜々
婆様の杖ともなりて避暑散歩三刀
獣害の電柵越しに夏薊うつぎ
胸元に蜘蛛の囲纏ふ坑夫像よし女
2012年06月01日
一陣の風に散華や大牡丹百合
堂涼し豊かに笑まふ伎芸天有香
せせらぎをさかのぼりゆく糸とんぼせいじ
渋滞の車列を洗ふ大夕立なつき
西郷像遠まなざしの涼しさよ百合
売れ残る大根は細し道の駅ぽんこ
はたた神潜んでいそう峯の雲よし子
おしゃべりの輪にまとひつく薮蚊かなよし女
夕薄暑磯の香匂ふ無人駅うつぎ
2012年05月31日
夏草やサーカスの象出番待ちぽんこ
退院の夫に新茶の封を切るうつぎ
水馬真白き雲を踏んまへしよし子
緑陰の万葉歌碑や誦しもしてわかば
畦の草踏めばとびだす蛙かなよし子
但馬路の峠はいまし麦の秋雅流
部屋中に香を満ちさせて梅漬くるはく子
黄金波打つ播磨路の麦の秋わかば
句ともがら薔薇のベンチに句会かなきづな
2012年05月30日
朴の花真下に見ゆる天守かな雅流
小判草入山料は竹筒へきづな
香水の一人加はり昇降機うつぎ
故郷の匂ひの新茶とどきけり有香
さ緑の水の広ごる植田かなこすもす
竹篭の一輪挿しに十字花三刀
潮引きて縦横無尽蟹の穴よし女
古町の低き軒端や燕の子はく子
風渡る植田は墳を要とすなつき
2012年05月29日
浜薄暑入り日を返す倉庫群うつぎ
むらさきに昏るる丹波路茄子の花菜々
日傘つと嫌いな人へ傾けてきづな
背伸びして届く高さや袋掛けこすもす
はたたがみ昼暗くして居座れり満天
湧水が吾を呼びをる薄暑かなとろうち
一雨に艶を深めし若楓宏虎
生駒嶺に片足かけて虹ふとしはく子
一散に駆け込む軒やはたた神せいじ
2012年05月28日
忌を修す植田明りへ仏間開け菜々
燕の巣売り家の軒をはばからず三刀
画展へと一駅歩く薄暑かなよし子
茅花流し牧草ロール点々とこすもす
土辣韮真珠のごとく洗ひ上げきづな
2012年05月27日
花楝ま青き空を烟らせてうつぎ
開き初む亡き子の植ゑし京鹿子あさこ
もこもこと山膨らませ椎の花ひかり
青嶺また青嶺と畳む但馬路わかば
樹下涼し日の斑の頁繰りにけりさつき
渓声に和してさゆるる鴨足草菜々
立ち話して溝浚へはかどらずきづな

 

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