みのる選:2011年2月度

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2011年2月28日

2月20日~26日

毎日かかさず投句するのは、本当に大変なことですね。 皆さんのファイトには頭が下がります。 毎日句会とどう向き合うかというのは、難しい課題ですがその姿勢は必ず句に反映されます。

投句を休まないために具象性にかけた観念の句作りをしていると、かえって悪い癖がつきます。 そうした傾向の垣間見える作品は、どうしてもみのる選として採れません。 毎日吟行するのは大変ですが、せっかく身につき始めた「吟行で詠む」という大事な習慣を後戻りさせないように注意しましょう。

[選評]

  • 雛あられ膝にこぼして老託つ    きづな

    老いは認めがたし、されど・・・

  • 春愁の頬杖をつく文机       うつぎ

    なかなか筆が進まない。推敲ちゅうかも・・・

  • 梅にほふ海一望の四阿に      菜々

    なんでもない一句ですが、素直な実感が好ましいです。

  • 爺のそば犬も寝転び山笑ふ     よし女

    作者もまたそのそばに見えて平和な風景ですね。

  • 石像の胸彫られをる春日影     治男

    季語がよく効いたユニークな作品です。これからもこのような作品作りを目指してください。

  • 古民家のミニコンサート雛飾る   わかば

    和の楽でしょうかね。鄙びた古民家のよい雰囲気が連想できます。

[みのる選]

2011年02月26日
雛あられ膝にこぼして老託つ    きづな
行者径奈落となりて初音聴く    よし女
東風吹くや舳先にしぶく波頭    わかば
耳慣れし神話セミナー春眠し    明日香
土の香に混じる草の香春田打つ   うつぎ
おむすびの転げて土手の草青む   菜々
雲影の風雲急や春一番       とろうち
碁盤の目走る市バスや京の春    つくし
春風邪と侮るなかれ厨事      百合
命綱外し屋根替え昼休み      なつき
春愁や白髪を染める共鏡      よう子
2011年02月25日
春愁の頬杖をつく文机       うつぎ
住古りし団地に迷ふ春の宵     有香
小食の子もおかわりす雛の寿司   なつき
春暁の湖展けたる橋の上      百姓
春雨の水輪せわしき池の面     とろうち
石庭の砂紋に散りぬ濃紅梅     ひかり
碧天にうぶ毛ふるへる辛夷の芽   満天
一礼しバスを降りたる卒業子    かれん
威儀ただし合掌ながき遍路かな   よう子
絡みあふこの飯蛸の足はどれ    菜々
2011年02月24日
朝取りの水菜は笊に反りかへる   百合
句敵ら並びて祈る梅の宮      きづな
百選の鐘撞き鳴らす四温晴     かれん
野仏の大きな耳に初音かな     よし子
放水のダム湖を囲む芽吹き山    小袖
梅匂ふ石垣高き屋敷町       菜々
待ち合わせ場所は団子屋初大師   なつき
雨晴れて菜の花の黄のいやましぬ  ぽんこ
合唱は旅立ちの歌草萌ゆる     とろうち
2011年02月23日
梅にほふ海一望の四阿に      菜々
駅ひとつ歩かふべしや春の宵    こすもす
げんこつのやうな瘤より木の芽出づ せいじ
寒禽の鋭声を仰ぐ夜勤明け     なつき
住職の手遊びという牡丹の芽    雅流
春兆すゴルフの予定目白押し    よう子
2011年02月22日
はしゃぐ子の声降ってきし梅の谷  宏虎
ウクレレに歌ふ仲間や春うらら   美咲
流刑地の深き谷へと雪崩けり    なつき
一片の雲なきみ空揚ひばり     はく子
巫女の鈴芽吹く木々へと振りこぼす 菜々
眉のごと稜線みせて春の山     きづな
図書館へ通ふ道ゆき梅盛る     せいじ
鳥達の案内に巡る梅の苑      あさこ
三重の塔立つ神社山笑ふ      菜々
陽だまりの石に鳥来る雪解川    なつき
爺のそば犬も寝転び山笑ふ     よし女
2011年02月21日
一幅は一筆富士や雛の宿      三刀
芽柳の下に人待つ夕べかな     きづな
雪解けの水坂道に逸りけり     こすもす
宝物探しに似たり蕗のたう     明日香
水音に満ちて里山春兆す      とろうち
春野ゆく園児らの列疎に蜜に    すずかぜ
付添ひの試歩の小径に草萌ゆる   わかば
踏青の弾みごころに水際まで    はく子
旅人の足裏見せ合ふ囲炉裏かな   なつき
天領でありし能勢の田雉子走る   雅流
石像の胸彫られをる春日影     治男
2011年02月20日
古民家のミニコンサート雛飾る   わかば
診療所村人総出雪下ろす      なつき
料峭や一遍像の前かがみ      とろうち
掴めよと差伸べる手の温かし    百合
踏青の妻はピンクのスニーカー   せいじ
立春の日を弾きをる川面かな    百姓
振るまひの甘酒熱し厄落とし    菜々
留守番の夫へ草餅家苞に      ぽんこ
野火煙り右往左往す日和かな    英子

2011年2月21日

2月13日~19日

毎日句会が再開されて、毎日が大変だと笑顔でいってくださるのでうれしいです。

私も毎週のみのる選を楽しみながらさせていただいています。 ただ、句会の場合のみのる選と違ってあらかじめ作者が判っているので、 その人の作品としての評価基準で選んでいます。 意識はしていないのですが、ベテランの人にはもっと背伸びをしてほしいと願って、やや厳しくなっていると思います。 成績一覧はあまり見ていませんので、互選の高点句であっても没になっているかもしれません。 ごめんなさい。

今週の選評は、個性的な作品を中心に抽出してみました。 個性的な作品を詠むには、表面的な観察に終わるのではなくて、 心に具体的な感動が湧いてくるまで、じっくりと時間をかけて対象と向き合うことが大事です。

[選評]

  • 廃屋の雑木に凛と梅の花         治男

    廃屋との取り合わせによって野梅の清楚さが感じられる。

  • 隣り合ふ足湯の縁や遍路どち       よう子

    見知らぬ遍路同士であるが足湯に浸かりながらあい和むひと時に癒しを感じる。

  • 火山灰被りしという春菜来る       満天

    火山噴火の灰を被ったと聞くが洗えば問題ない。被災地を見舞う気持ちがある。

  • 春の水吐き出す手押しポンプかな     菜々

    元気よく吐き出す手押しポンプの水に春を感じた。

  • 春泥もなにするものぞ吟行子       きづな

    吟行子の心意気がたくましいです。

  • ふらここや靴裏天に突き出して      ぽんこ

    元気なこどもたちの様子が目に浮かびます。

  • 大小の庖丁命卒業す           よし女

    調理師学校の卒業式ですね。

  • 涅槃絵の裏を覗けば奉加帳        わかば

    裏まで覗いてみた好奇心によって一句を授かった。

  • 吾が首をうつ方丈の雪解水        こすもす

    一喝されたような厳粛な感じがしますね。

  • 病む友の破顔一笑バレンタイン      すずかぜ

    病む友に愛のチョコを届けた。笑顔のお返しに見舞ったほうも元気を貰う。

  • おしゃべりのはなさく午後のホットレモン 英子

    俵万智を思わせる作風に驚きました。季感がやや弱いですが冒険の作品として評価しました。

  • 永き日の河原でバット振る子かな     なつき

    黙々と素振りをしている少年の健気な姿がシルエットのように浮かびますね。

[みのる選]

2011年02月19日
手作りの豆粒ほどの貝雛        はく子
枯蔦の抽象画なす土塀かな       英子
雪解風鈴なりの絵馬鳴らしけり     とろうち
きしきしと踏み鳴らし行く雪の果て   菜々
亡き母の齡を超えし梅見かな      あさこ
たゆたふて陣をなさざる春の鴨     明日香
種物を吊るして伊根の舟屋かな     うつぎ
受験子を励ます兄も試験前       なつき
廃屋の雑木に凛と梅の花        治男
春兆すあちみこちみや風見鶏      宏虎
わらべ唄漏るるホームや老の春     雅流
2011年02月18日
涅槃図の裏に隠るる金の弥陀      菜々
隣り合ふ足湯の縁や遍路どち      よう子
春泥を踏み山門にたどり着く      三刀
春灯昔置屋といふ茶店         うつぎ
丘の上の大十字架に日脚伸ぶ      つくし
午後の陽に雪崩をなせる屋根の雪    よし子
春の富士薄紅色に昏れなんと      満天
甘酒屋よく繁盛す苗木市        よし女
2011年02月17日
生垣の揺るると見れば笹子鳴く     有香
懸崖の窪み窪みに雪残る        美咲
火山灰被りしという春菜来る      満天
春寒し浜辺歩くに背を丸め       よし女
坂道に地図描くごとく雪解水      とろうち
春の水吐き出す手押しポンプかな    菜々
春の月スポットのごと城照らす     こすもす
飛行雲立ちて春空二タ分けす      ぽんこ
里山の春動き出す瀬音かな       花茗荷
裏山の春椎茸を家苞に         三刀
恋猫の奇声怒声や相譲らず       宏虎
七堂へ雪解しずくの合奏す       菜々
2011年02月16日
飛行機雲春夕焼けを抜けにけり     治男
春泥もなにするものぞ吟行子      きづな
異教めくステンドグラス涅槃寺     せいじ
ふらここや靴裏天に突き出して     ぽんこ
梅林の径狼藉すカメラマン       あさこ
句談義に和む茶房や草団子       こすもす
野晒しの鉢洗ひけり水温む       つくし
試歩の母一歩一歩に草萌ゆる      わかば
涅槃図の裏に寄進の札並ぶ       ともえ
雪積もる丹の欄干の天辺に       満天
如月の水に馴染みぬ絹豆腐       宏虎
唐破風の曲線伝ふ雪解水        うつぎ
涅槃西風九輪の雲をはらひけり     菜々
季にあそぶ生活は愉し春の雪      明日香
大小の庖丁命卒業す          よし女
一山は雪解しずくの音浄土       菜々
2011年02月15日
保命酒腑をめぐりをる老の春      雅流
涅槃絵の裏を覗けば奉加帳       わかば
碧空に緋色輝く梅日和         あさこ
蹲に化粧塩ほど春の雪         花茗荷
橋脚も折れよと激つ雪解川       宏虎
ジェット機のJALと読めたる鳥曇   きづな
吾が首をうつ方丈の雪解水       こすもす
大試験乗り越え終わる反抗期      なつき
供花も無き暗き石棺春寒し       満天
2011年02月14日
牡丹雪つぶてとなりて車窓打つ     英子
風荒らぶ沖よりどかと春の雪      雅流
暮れてより家並み華やぐ春の雪     菜々
と見る間に街白変す春の雪       明日香
磨崖仏裳裾を隠す春の雪        宏虎
病む友の破顔一笑バレンタイン     すずかぜ
名酒入りなればほろ酔ふ愛のチョコ   なつき
山朱萸の黄の明るきを茶の部屋に    わかば
2011年02月13日
義理とても貰えば嬉し愛のチョコ     百姓
公園のベンチに座る雪だるま       なつき
退院の日を数ふれば山笑ふ        はく子
写経堂雪解雫の音ばかり         うつぎ
おしゃべりのはなさく午後のホットレモン 英子
雪の壁砦としたる露天風呂        こすもす
囀りや斯く晴れやかな美空得て      わかば
雪解いま危機一髪や屋根庇        明日香
永き日の河原でバット振る子かな     なつき
雪解水宿す万朶に朝日燦         明日香

2011年2月14日

2月6日~2月12日みのる選

今週は、個性的な作品にスポットをあててみました。 決して選評で取り上げた作品が特選で、他は並選という区別はしていないので、誤解のないようにお願いします。

個性というのは本人にはなかなかわかりづらいものですが、常に新しい視点で観察するという心がけで作句していれば 自ずと作品に個性が滲み出てきます。昨日今日、また寒さがもどってきたようですが春を求めて吟行に出かけましょう。

[選評]

  • 春雪の窓に維新の講義聴く   よし女

    一読、中村草田男の句が思い浮かびますね。春雪の季語がうまいです。

  • 雪解けや心のうちは主にゆだね   美咲

    復活の春を迎えて、冬の間ずっと引きずっていたわだかまりも神様のみ心にゆだねようと吹っ切れた。

  • 御手洗の杓で割らるる薄氷   ぽんこ

    素直な表現に惹かれます。なんでもない句ですが、寒中にお参りする人の律儀な所作が具体的に目に浮かびます。

  • 春雪や踏み石なれど踏むまじく   菜々

    風雅を愛する人の心意気ですね。作者の個性を感じます。

  • ビニールハウス透けて春菜の見えにけり   こすもす

    ビニールハウスの中で元気に育っている春菜をみて元気をもらったような感動を覚えた。

  • 身繕ひ余念なかりし猫の夫   宏虎

    闘いの傷を癒すために舐めているのかもしれませんね。

  • 杉花粉飛ばす名山見たくなし   つくし

    春山を愛でに出かけてきたんだけれど、花粉が苦手な作者は同行を遠慮した。作者らしいユーモアがいいですね。

  • 鈴なりの祈願の絵馬に春日燦   あさこ

    合格祈願の絵馬でしょうか。温かい春の日差しに包まれて祈願の結果はいかにと思いをはせている。

  • 踏み切りの鐘のリズムや春眠し   すずかぜ

    春昼の季感ですね。長い開かずの踏み切りに佇っていると鐘のリズムが子守唄のように・・・

  • 半額のカレンダー買ふ一月尽   なつき

    思わず笑ってしまいました。滑稽味のきいた独特のとらえどころに個性を感じます。

[みのる選]

2011年02月12日
軒先を借りて商ふ春帽子                三刀
除雪車の音やまざりし夜の街            とろうち
春の雪並木通りをモノクロに            ひかり
春雪の窓に維新の講義聴く              よし女
雪解けや心のうちは主にゆだね          美咲
雪の中移動パン屋へ走りけり            なつき
植木市蕾多きを選びけり                あさこ
雨晴れて山の端に立つ春の虹            わかば
写経の間ことりともせず冴返る          うつぎ
春の雪手品のごとく消えにけり          こすもす
太刀魚の真珠光りや春灯下              はく子
梅林の空も空気も清清し                ともえ
下萌えの道ためらはずハイヒール        よし子
春の雪蓮田の修羅を覆ひけり            よし女
御手洗の杓で割らるる薄氷              ぽんこ
春の川小石三つ四つ投げてみし          明日香
春雪や踏み石なれど踏むまじく          菜々
2011年02月11日
鼻唄の飛び出す朝や春の雪              せいじ
白壁の路地辿りゆく余寒かな            よし女
修羅のごと火の舌駈ける野焼かな        宏虎
案内板じっと掲げし雪の中              なつき
音も無く雪降る京の家並かな            百姓
我が狭庭見違ふ風情春の雪              宏虎
一幅は利休の絵なる床の春              花茗荷
ビニールハウス透けて春菜の見えにけり  こすもす
束の間の無垢の世界や春の雪            わかば
雪積んでケーキのような一樹あり        美咲
赤き実の食べ尽くされて物芽出づ        あさこ
待ち人に会えずじまいや梅寒し          菜々
春の雪地につくまでに消えにけり        満天
春ともし欄間の彫を浮き立たす          三刀
2011年02月10日
身繕ひ余念なかりし猫の夫              宏虎
ホテルまで川沿ひ辿る春の宵            きづな
里山に犬を呼ぶこゑ猟期果つ            雅流
丘越えてまた丘越えて梅見かな          百姓
雛壇に赤毛のアンも並びけり            よし女
いつになく膝の軽さや青き踏む          明日香
杉花粉飛ばす名山見たくなし            つくし
日まみれの犬の背なかに春の泥          とろうち
2011年02月09日
春灯沖なる島の昏るなんと              わかば
駄菓子屋も二代目となり春灯す          つくし
神苑の木の間隠れに春の鹿              有香
鈴なりの祈願の絵馬に春日燦            あさこ
曲線の河岸に沿ひゆく春の波            治男
雪折れの幹の創痕射新しき              花茗荷
喉風邪に潤い与へ今日の雨              ひかり
玻璃ごしの春の光を画布に置く          英子
雛の店力士の手形家宝とす              なつき
チェンソーの音谺して芽吹き山      よし女
2011年02月08日
読めるのに書けぬ字のあり春炬燵     つくし
踏み切りの鐘のリズムや春眠し      すずかぜ
俯瞰なる瀬戸の八十島春がすみ      菜々
蛇行する光の綺羅や春の川        せいじ
ここにまたもぐら塚あり犬ふぐり     三刀
2011年02月07日
歴日の残念石に下萌ゆる         菜々
葉牡丹の渦にびっしり露の玉       すずかぜ
満天星のマッチ棒めく新芽かな      きづな
半額のカレンダー買ふ一月尽       なつき
棚田守る老若集ひ畦を焼く        雅流
鳥たちのレストランめく春菜畑      よし女
2011年02月06日
路線バス待つ束の間の梅見かな      せいじ
如月や漬物石を一つ取る         よう子
程々の福を拾はむ追灘豆         なつき
朝寒し磴の隅ずみ掃く信徒        つくし

2011年2月11日

みのる選に欠落がありましたので修正しました

1月30日~2月5日のみのる選にコピーミスがあり、一部欠落していました。 ご指摘を感謝します。申し訳ありませんでした。修正しておきましたのでご確認ください。

2011年2月8日

1月30日~2月5日みのる選

[選評]

ようやく温かくなってきましたね。作品にも活気が出てきたと思います。ところで、作品の捉えどころはよいのに季語の斡旋で損をしている作品が多いように思います。添削で季語が置き換わったものはその違いを研究してみてください。

  • 春立つとポストに届くもの多し  はく子 

    日常のなんでもないところを捕らえていて季語がよく効いた佳句です。

  • ふうはりと通ふ風あり柳の芽  明日香 

    あるかないかの風に揺れれている芽柳はに春のおとづれを感じます。

  • 本復の声高々と鬼やらふ  うつぎ 

    健康を回復できた喜びが伝わってきます。

  • 春泥の地獄ダンプの出入り口  有香 

    工事場のような俳諧味のないようなところからでも句は拾えます。

  • 寒鴉監視カメラの上に物見  せいじ 

    監視カメラの上に止まってあたかも物見しているかのような寒鴉の様子は滑稽ですね。

  • 池涸れて近道となる村の道  よう子 

    里山らしい風景ですね。村人の平和な日常も連想できます。

  • 献血を呼びかけてゐる息白し  つくし 

    呼びかけている人の熱意が感じられます。赤と白の対比も連想できて面白いですね。

  • 悴みて辞書繰るページいき戻り  とろうち 

    手元がおぼつかなくなかなか目的のページが開けません。

  • 老の春なれや心ぶらショッピング  菜々 

    老いても若々しく行動的なのは俳人の特権ですね。

  • 薄氷にたたらを踏みて鴨翔ちぬ  ともえ 

    大きい尻を振りながら助走している鴨の姿を連想すると滑稽ですね。

  • 陽だまりに集まる鯉や水温む  あさこ 

    作者もまた陽だまりを恋うて憩っているのですが、集まってくる恋に春を感じたのです。

  • 春風や海の上なるレストラン  わかば 

    潮風にのって吹いてくる風に春の息吹を感じた。海も空も真青な感じがします。

  • 機嫌よき嬰を泣かせし大くさめ  なつき 

    せっかく機嫌のよかった嬰が泣き出してしまった。ごめんね。

  • 凍て雑巾棍棒となりたちにけり  すずかぜ 

    何気なく絞ったままバケツに入れていた雑巾がカチカチに凍って棍棒になってしまった。

  • 修羅となり先を争ふ雪解川  宏虎 

    もんどりうちながら塊で流れるもの。またそれを追い越していくもの。さながら戦場のよう。

みのる選

2011年02月05日
山襞に残る雪あり里の春	         雅流
節分の夜の露天商賑はひぬ	 あさこ
春めきて心に描く旅プラン         満天
立春の空へ存問アドバル-ン	 菜々
手毬めく京の生菓子雛の宿	 つくし
水底に動くものあり池の春	 三刀
薄氷や砥石の沈む金盥	         うつぎ
高空に鳶が輪を描き浜小春	 花茗荷
大鳥居雪解のしずくの尽きるなし	 こすもす
春風に誘はれ出でし吟行子	 よし女
春耕の人ほつほつと貸農園	 菜々
春立つとポストに届くもの多し	 はく子
2011年02月04日
早春や筧さ走る水の音	         ともえ
薄氷のごと湖に浮く昼の月	 宏虎
園児待つ母らぺちゃくちゃ春隣	 よう子
鬼の豆噛みわが齢宜へり	         よし女
懸崖の防護壁よりもの芽出づ	 治男
ふうはりと通ふ風あり柳の芽	 明日香
自転車を降りて春田打ち始む	 よし女
佇めば瀬音高鳴る雪解川	         花茗荷
夕霞沖より響く汽笛かな	         わかば
瘤や洞多きクヌギも芽吹きけり	 小袖
足跡はみな獣なる雪野原	         こすもす
水仙花ま向き背きに咲き競ふ	 せいじ
春の霜野菜の糖度増すといふ	 わかば
太りつつ斜面転がる雪の玉	 こすもす
2011年02月03日
本復の声高々と鬼やらふ	         うつぎ
年の豆受けむ袋を頭の上に	 なつき
吾子が五指開きしごとき春の雲	 よし女
豆撒へ手ひらがみな宙つかむ	 菜々
春潮に巨大タンカー水脈を引く	 わかば
吾鬼にあらずと追儺豆を噛む	 三刀
豆撒きへ競ふ手と手がきらきらと	 明日香
春の陽の梢こぼるる深山道	 英子
蝋梅の香を辿り来て長屋門	 うつぎ
春泥の地獄ダンプの出入り口	 有香
老禰宜の声たかだかと鬼やらひ	 百合
武骨なる花梨なれど味はよし	 ぽんこ
豆まきの掛け声福は内ばかり	 なつき
玉砂利の石に紛れし福の豆	 明日香
2011年02月02日
存問のごと下萌の明日香路	 明日香
寒鴉監視カメラの上に物見	 せいじ
ヨガ部屋の姦しきかな春隣	 よし女
案内の地図たよりなき春山路	 英子
白鳥の首伸べて翔つ川暮色	 すずかぜ
春空を支ふ架橋の主塔かな	 わかば
百選の棚田といふも雪野原	 百合
池涸れて近道となる村の道	 よう子
献血を呼びかけてゐる息白し	 つくし
悴みて辞書繰るページいき戻り	 とろうち
風花す麒麟の長き睫毛にも	 小袖
2011年02月01日
老の春なれや心ぶらショッピング	 菜々
多宝塔いや荘厳に美雪積む	 小袖
万歩計ノルマ果たせず日向ぼこ	 つくし
朝千鳥波打ち際に整列す	         よし女
濯ぎもの凍てて吹く風いなしをり	 はく子
春日燦なれば朝戸全開に	         明日香
雪落つる音に向き変ふ猫の耳	 すずかぜ
薄氷にたたらを踏みて鴨翔ちぬ	 ともえ
煌めくははるか比叡の雪の峰	 せいじ
陽だまりに集まる鯉や水温む	 あさこ
露天湯はジムの屋上日脚伸ぶ	 きづな
春風や海の上なるレストラン	 わかば
春近し里に鳥語の姦しく	         とろうち
山気裂くししおどしの音冴返る	 宏虎
2011年01月31日
春隣り花舗はパステル画の彩に	 菜々
うかうかと紙で指切る寒さかな	 明日香
機嫌よき嬰を泣かせし大くさめ	 なつき
媼らの冬菜束ねる手の真つ赤	 うつぎ
室の花愛でるピアスの男の子	 きづな
大北風に楠の千手の落ちかず	 ひかり
2011年01月30日
水音の絶え間なき園冬ぬくし	 あさこ
繭玉を格子戸に挿す宿場町	 なつき
下萌に屈めば瀬音近づきぬ	 雅流
春禽の隠れ里らし屋敷林	         せいじ
お不動の祈りどころに風花す	 よし女
双体仏に前垂れ一つ冬うらら	 うつぎ
凍て雑巾棍棒となりたちにけり	 すずかぜ
修羅となり先を争ふ雪解川	 宏虎
春寒き苑に馳走の点茶受く	 満天

みのる選のページを新しくしました

みのる選を発表している掲示板が見にくく、また使いづらいので自分で作りました。

みのるの日記に使っているシステムをアレンジしただけなので、システムの構築にはそれほど手間は かかりませんでした。 文章表現が自由にコントロールできるので大変快適です。 日記と同様に一ヶ月単位で自動的にページを切り分ける仕様です。 こんな感じに適当にコメントも書けますので便利になりました。 なぜもっと早く手をつけなかったんだろうかと・・・

唯一、残念なのは過去のみのる選の記事とのつながりがなくなってしまうということですが、 昔の古いボードは過去ログとして閲覧することもできますので、当面はリンクしておくことにします。

2011年2月2日

1月23日~29日みのる選

[選評]

  • 翻るたび煌めける浜千鳥  三刀  

    海光に煌く千鳥の群れは美しい。 選者も山口県波雁浜に吟行に行ったことがあり懐かしい。

  • ニュータウンに隣る一村梅探る  菜々  

    開発地から紙一重外れた村は今も鄙びた風景を残している。 西神戸あたりには良く見かける風景である。

  • 産直の有機冬菜にレシピつけ  満天  

    有機農業で栽培された野菜は形の悪いものもあるが美味しい。 地元の農家が自家製レシピをつけてくれていて心が伝わる。

  • 水仙を活けて背筋を正しけり  よう子  

    水仙は、まっすぐに凛々しく活けるのがコツだと効いたことがある。 活け終わって確認している人の気持ちが現れている。

  • 巡拝を兼ねて吟行梅日和  うつぎ  

    梅の名所を巡拝しながらついでに吟行も楽しんでいる。 梅が咲いていてもそうでなくても楽しめるのが俳人の特権である。

  • こぼれ種楽しみに待つ春隣  明日香  

    一年草には、こぼれ種で命を繋ぐ品種も多く、さて今年はいかにという期待感がある。 春を待つの季感に近いが季語の斡旋がうまい。

  • 下ろしても下ろしても又雪となる  花茗荷  

    都会人は雪が降ると少し浮かれた気分になるが、北国の冬は厳しいと聞く。 おろしてもおろしても・・と重ねたことで、ため息のような悲鳴が聞こえるようだ。

  • 列車撮る冬田にカメラマン並び  なつき 

    昨今、何かと批判を浴びている鉄撮りといわれるカメラマンたち。 冬田に三脚を立てて待ち構える集団を作者は少し冷ややかな気持ちで眺めている。

  • 回廊に春雪の舞ふ大伽藍  よし子  

    大伽藍の回廊はまるで舞台のように広いので、舞ふという表現が良く似合う。 大粒で降りすぐに消えるのが春の雪の特徴であるので、はかない雰囲気もある。

  • 点滴に生命つながれ春を待つ  はく子  

    ベッドで点滴を受けながら病棟の窓辺に春が近づいているのを感じた。 春になれば退院の日も近い。

みのる選

2011年01月29日
急磴を息急き登り初不動       百姓
待春や吟行案内刷り上る       雅流
農樽のホース離さぬ厚氷       うつぎ
古希祝ふ同窓会場迎春花       きづな
川杭の全てにかもめ冬うらら     すずかぜ
天辺に物見の鴉大枯木        有香
寒の葬和ます嬰の笑ひ声       なつき
翻るたび煌めける浜千鳥       三刀
北風に大楠悲鳴あげにけり      ぽんこ
2011年01月28日
独り身の女はつよし久女の忌     治男
中華まん半分こして日向ぼこ     とろうち
夕映えや四囲の山々笑ひ初む     せいじ
陽だまりへ相寄る寒の錦鯉      雅流
お揃ひの毛糸の頭巾六地蔵      英子
冬枯れに残念石は只管打坐      菜々
山茶花の垣に売地の札を立て     よし女
日溜まりに雀の遊ぶ雪間かな     なつき
雪の壁日に日に高くなりにけり    こすもす
風花や来し方をふと振りかへる    明日香
行商女凍つる地べたに座り込み    うつぎ
2011年01月27日
探梅行わが裾を引く棘のあり     よし女
分け入りて師の句碑訪へば笹鳴ける  宏虎
屋敷神へ手向く一花の冬椿      菜々
ニュータウンに隣る一村梅探る    菜々
枡形の巨石に冬日溢れけり      きづな
碧眼に道問はれもす四温晴れ     きづな
参磴を清めんとふる美雪かな     明日香
銘木になれと雪吊り小松にも     ともえ
2011年01月26日
自転車も立ち往生の吹雪かな     こすもす
箸先に黄身の弾力寒たまご      菜々
産直の露店賑はふ初地蔵       よし女
産直の有機冬菜にレシピつけ     満天
歯の抜けた笑顔が親し若布売     なつき
人の輪を離れて一人冬帽子      うつぎ
下ろしても下ろしても又雪となる   花茗荷
枕辺を猫うろうろす風邪寝かな    有香
日を返す濠のさざなみ鳰潜る     雅流
母恋の山頭火句碑霙降る       よし女
2011年01月25日
水仙を活けて背筋を正しけり     よう子
御神体雪化粧して御座すかな	 明日香
ご神水口にふふめば淑気満つ  	 明日香
振り袖の金糸銀糸や春隣  	 とろうち
幼児と一緒に作る雪だるま  	 ともえ
波が消す千鳥の翔ちし足の跡  	 よし女
雪雲の襲ひかかりし狼煙山  	 三刀
我気ぜわ夫は気長や蟹の鍋  	 うつぎ
2011年01月24日
呑まれゆくテールランプや雪しまく  すずかぜ
巡拝を兼ねて吟行梅日和  	  うつぎ
断念の雪山仰ぐ露天風呂  	  よう子
久闊を叙して一献ふぐの鍋  	  雅流
こぼれ種楽しみに待つ春隣  	  明日香
句会後のおしゃべりが好き日脚伸ぶ 明日香
明日香 捨て畑に一本の梅蕾けり 	 つくし
2011年01月23日
冬ぬくし釜だし茶碗手のひらに    満天
雪折れの木々や蕾のあるものも    こすもす
列車撮る冬田にカメラマン並び    なつき
書斎占む薄型テレビ冬ごもり     雅流
冬萌や潮の香通ふ海人の路地     わかば
北颪老いの一歩を押し返す      すずかぜ
縄跳びの縄の高さに日脚伸ぶ     有香
雪吊りの尺余の木にも隔てなく    菜々
時化つづく沖睨みをる懐手      花茗荷
自転車の坂登り来る息白し      とろうち
回廊に春雪の舞ふ大伽藍       よし子
繕ひし足袋を残して母逝けり     よし女
点滴に生命つながれ春を待つ     はく子
公魚の光零して釣られけり      一弘
日脚伸ぶ入れ替はり来るセールスマン  満天
地下足袋とピアスの庭師冬うらら   せいじ

 

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