2024年05月01日 | |
春愁や傘に響ける雨の音 | 風民 |
行く春や峰を離れて雲生まる | 風民 |
青嵐追い立て進むローカル線 | もとこ |
道の果て穀雨に烟る観覧車 | かえる |
桜蕊払ひて座るベンチかな | せいじ |
浜日傘影へ影へと身を躱はす | みきお |
軽四の窓に足だす三尺寝 | みきお |
菜の花の中洲に鳶の憩ひをり | あひる |
初夏の風背広は肩に就活生 | 康子 |
校庭は青葉若葉や日燦燦 | せいじ |
陽炎うて太陽の塔のっと立ち | たか子 |
雨上り若葉目にしむ山陰路 | こすもす |
星めきてひとつばたごの綺羅の花 | えいじ |
曇天にしっとり馴染む藤の花 | こすもす |
片付けしコード出し来る春炬燵 | みきえ |
色褪せて金縷梅散るにまかせをり | かえる |
紅白の躑躅広がる海の如 | 山椒 |
ほ句一年地は日を廻り春となる | えいいち |
浮御堂さみだれに影揺らぎをり | 明日香 |
山藤背に妻の手招くかずら橋 | 愛正 |
反る堀の見上ぐ天守に春惜しむ | ぽんこ |
今朝の雨静かに八十八夜かな | みきえ |
五月来て体になじむ制服に | 満天 |
畑起こす夜半の耳聡春雨に | そうけい |
姫塚に野鳩鳴き継ぐ夏はじめ | なつき |
委ねる身手差しのべられ五月晴れ | ふさこ |
五月雨をしづかに眺め山篭り | 澄子 |
そぼ濡れてなぞへにぢつと残り鴨 | 明日香 |
艶艶と大樹も草も緑雨かな | きよえ |
昭和の日ざりがに釣りに父遊ぶ | なつき |
春驟雨農の手休め一服す | 千鶴 |
集落の藤は途絶えぬ祖谷秘境 | 愛正 |
聖歌隊めく立ち衿やカラー咲く | あひる |
海霧や白煙雲に波止静か | きよえ |
朝風の鳥声すぐる棕櫚の花 | そうけい |
銀輪の過ぎて葉擦れや青葉風 | 康子 |
雨後は濃し杉に懸かりし山の藤 | 隆松 |
筍の天ぷら思はずお代はりを | 千鶴 |
紙兜少年被り草野球 | 山椒 |
雨垂れに五月の空の立ちはじむ | えいいち |
雨音にしづもる森や雉のこえ | 澄子 |
パンジーの鉢に被さる道の草 | えいじ |
2024年04月30日 | |
昨夜の雨晴れて朝日に立つ新樹 | 風民 |
歳時記をめくるページに花の屑 | えいじ |
姿なきジャスミンの香の統ぶる路地 | せいじ |
傘寄せてお喋り楽し一年生 | もとこ |
黄塵やキトラの青龍どちら向く | 明日香 |
追ひ抜かれまた追ひ抜かれ春登山 | あひる |
髪切って耳元過る若葉風 | きよえ |
花の香と共に納経霊山寺 | 愛正 |
春うらら広場真中の曲芸師 | 康子 |
一水のひかり覗かす茂る草 | 康子 |
紫陽花の奥に粟立つ初蕾 | かえる |
蕊ひとつぶらさげてゐる蜘蛛の糸 | えいじ |
囀りに目覚め雨戸を手繰りけり | 澄子 |
観潮や四国の旅の序章なり | 愛正 |
登校の列を乱す子葱坊主 | 満天 |
円安に歯止めかからず四月尽 | 千鶴 |
囀りに厨仕事も捗れり | 澄子 |
剥くほどに柔き産毛や春筍 | あひる |
藤の棚光の珠の溢れをり | 山椒 |
登山靴並ぶ玄関山の宿 | みきお |
棚霞み突きって行くモノレール | たか子 |
初夏の風緩き坂道登り行く | たかを |
隣家より梅の実あまた転がりぬ | 満天 |
無風なり三世代立つ鯉のぼり | ふさこ |
昭和の日仏間に語る感謝かな | 智恵子 |
葱坊主で埋めつくされし田んぼかな | こすもす |
五月雨にテニスボールの手入れかな | ぽんこ |
園の地に火を吹くやふな躑躅かな | えいいち |
茉莉花の蕾はワインレッドかな | せいじ |
のっしりと幹ごと揺する棕櫚の花 | そうけい |
葉隠れの小粒の梅の実の青し | 山椒 |
浅利吐く真夜の厨に砂の水 | かえる |
何の日と聞かれ確かむ四月尽 | みきえ |
都忘れ解体の庭群れなして | 智恵子 |
予報あり一時雨にも春惜む | きよえ |
目に優しい但馬の山々風薫る | こすもす |
隣人と草花交換土匂ふ | そうけい |
さみだれや天辺隠る三輪の山 | 明日香 |
2024年04月29日 | |
珠玉の日いまとどきたり牡丹の芽 | みのる |
大橋を渡る淡路や花の宴 | 愛正 |
豊かなる村に清水の駆け巡る | かえる |
点線で夢の現る薄暑かな | 明日香 |
目を皿の古本市や春暑し | こすもす |
阿字池に名に負ふ藤の揺らぐ影 | せいじ |
逢へぬままもうジャスミンの盛りけり | あひる |
何思ふ祝日と云ふ昭和の日 | たか子 |
新じゃがの大きへ伸びし手や二人 | みきえ |
御座船を岸の柳に見送られ | ぽんこ |
ぽつぽつと落ちて地に咲く八重桜 | えいじ |
ストックの払ふ山藤獣道 | 愛正 |
白服の溢る参道東大寺 | みきえ |
橋渡る下校子の列ながし南風 | みきお |
派出所に日の丸高く昭和の日 | なつき |
雨雲の覆われし空春行くや | きよえ |
人知れず緑に咲ける御衣黄花 | えいじ |
春うらら川面ゆっくり番鴨 | 満天 |
塩焼きかバターソテーか鮎解禁 | 山椒 |
藤落花風の意のまま舞い散るや | きよえ |
昭和の日射的ベーゴマ紙芝居 | 山椒 |
鳩寄りて老の草笛聴き惚れし | もとこ |
明日葉や時が解決せぬ事も | 明日香 |
蓮華畑羽音あまたや皆平和 | 智恵子 |
花檸檬数多の白や実の知らず | ふさこ |
師の句碑のもとに集へば風薫る | みのる |
薫風や植え変ふ花壇鮮やかに | そうけい |
小糠雨けぶる黄昏れ暮の春 | 千鶴 |
杣の道つかず離れず鶯のこえ | 澄子 |
大南風に飛砂降る道路タイヤ音 | 智恵子 |
むくつけき庭師の手なる薔薇アーチ | あひる |
子ら駆けて花吹雪また花吹雪 | 風民 |
色褪せぬ八百年の躑躅かな | えいいち |
鍬跡のままの筍隣家より | 風民 |
三姉妹好みそれぞれ春ショール | こすもす |
微かなる葉づれの音や夏の夕 | みきお |
瀬しぶきの珠ととどまる蜘蛛の糸 | 康子 |
ふらり見ゆ月も灯火も朧かな | えいいち |
激つ瀬を一筋よぎる蜘蛛の糸 | 康子 |
大富士に向かひて泳ぐ鯉幟 | 澄子 |
夏風邪や顔を真つ赤に咳こめり | なつき |
耳澄ます眠れぬ夜に遠蛙 | かえる |
藤棚を仰ぐ修学旅行の子 | せいじ |
2024年04月28日 | |
春嶺や写経収めの霊山寺 | 愛正 |
藤棚を駆け抜く風や屑の舞 | 康子 |
原つぱをお気に召すまま揚羽蝶 | かえる |
泳がずにだらりと下がる鯉のぼり | こすもす |
紅白の光放てり丘躑躅 | 山椒 |
炎昼や人影の無き漁師町 | みきお |
雨降りて草に風立つ穀雨かな | えいじ |
どの道を行くもジャスミンなだれ咲く | 満天 |
優し眼の白き神馬や楠若葉 | もとこ |
五月晴訪ひ来る友も杖つきて | みきえ |
溝さらう泥の上にも落花かな | えいじ |
洗濯機五回回せり衣替 | なつき |
仰ぎ見ゆ旧街道の桐の花 | 澄子 |
放生池春風和む霊山寺 | 愛正 |
春尽くを知る松の芽の長きかな | かえる |
踏切を跨ぐ参道新樹光 | 智恵子 |
思はざる疫病跋扈やよなぐもり | 澄子 |
喬木の翳す千手に懸かり藤 | みのる |
藤房の風に揺らげる二尺かな | あひる |
幾千の藤房風に煌めけり | 山椒 |
さざなみの立ちて崩れし藤の影 | せいじ |
山つつじ薄紫に凛と咲き | 千鶴 |
いっぱいに開く手のひら鉄線花 | 風民 |
飛蚊症若葉を愛でるその奥に | たか子 |
眼下には濃尾平野や風光る | 智恵子 |
晩学の教師はネット四月来る | 明日香 |
抜きたての玉葱畝に整列す | みきえ |
連休や各地イベント春惜しむ | きよえ |
風光り葉と葉囁く並木道 | きよえ |
藤匂ふ拝観券を買ふ背ナに | せいじ |
棚の藤しづくのごとく屑こぼす | みのる |
放牧の牛の反芻青葉風 | みきお |
春雨に五百羅漢はべその顔 | 風民 |
五月晴空に放ちてシーツ干す | 康子 |
藤房の帳の奥の鳳凰堂 | あひる |
観潮船出入り付近は大賑わい | 千鶴 |
川下り見上ぐる木々のかかり藤 | こすもす |
一番風呂染めし黒髪洗ひけり | なつき |
2024年04月27日 | |
たんぽぽの絮一伸びし風に乗る | せいじ |
遮断器のなき踏切や青き踏む | 澄子 |
菜の花の広がる畑富士聳ゆ | 山椒 |
穴数多獲物抱えて迷う蟻 | たかを |
都忘悲しき時も歌うたう | なつき |
花の屑集めて風に撒く子かな | えいじ |
日没にホッと一息春暑し | 智恵子 |
受取りの自署名滲む半夏生 | みきお |
絵画展力作揃ひ暮れかぬる | たか子 |
越してきた挨拶うれし四月かな | 明日香 |
躑躅散る苔の緑に朱を垂らし | 千鶴 |
光弾く躑躅野辺にも川辺にも | 山椒 |
ブギウギやアリオの広場春ライブ | きよえ |
揚花火見上ぐ頤美しく | みきお |
吊るされて目玉ぎよろりと鯉のぼり | あひる |
胎の写真待つ待合に春日射す | 康子 |
釘咥へ檜皮葺き替ふ大工かな | みきえ |
走り梅雨デッキブラシに戯れる犬 | 智恵子 |
蜘蛛囲揺る獲物にあらず桜蕊 | かえる |
葱坊主花火のごとく開きけり | あひる |
薄暑いよ鉢の手入れにつかれおり | そうけい |
春の畑異常気象に悲鳴上ぐ | きよえ |
八重桜の落ちてはねるや草の上 | えいじ |
破れし囲を捨てしか蜘蛛の居ずなんぬ | せいじ |
蟻穴に見えて隠れて大獲物 | 康子 |
風紋となる校庭の花の塵 | 風民 |
貰うたび違う食べ方しタケノコ | こすもす |
草笛を吹いて老爺の得意顔 | もとこ |
懸かり藤瓔珞なせる藤大樹 | はく子 |
小高きへたんぽぽの叢駆け上がる | かえる |
碧眼と御座船に乗る初夏の風 | ぽんこ |
工房の街藍匂ふ薫風裡 | 澄子 |
半日を我が家の塀に守宮かな | 明日香 |
葉桜となりて遊具のカラフルに | 満天 |
吾の試歩にたんぽぽの絮飛ぶを待つ | そうけい |
2024年04月26日 | |
夕映えて若葉の高み黄金色 | 康子 |
もちの木の剪定樹上五メートル | 千鶴 |
藤棚に日の斑こぼるる亭午かな | 澄子 |
御廟所にこぞりて光る松の芯 | なつき |
葉の擦れて詩碑を讃へむ若楓 | えいじ |
あたたかや母とをさなの国言葉 | あひる |
一年生友の名一人教へくれ | なつき |
振り子のごと毛虫宙吊り右ひだり | ぽんこ |
四方から囀飛ぶや夕の園 | きよえ |
カーポート屋根より高き鯉のぼり | みきえ |
花裏に雨をしのげる飛蝗の子 | あひる |
新茶撰る香り手触り舌触り | 山椒 |
淡々と夏草刈りぬ老二人 | みきお |
花筏早瀬の波に呑まれけり | 澄子 |
破れし巣に取り残されし蜘蛛の贄 | せいじ |
若葉風巡回巡査ミニバイク | みきえ |
いとけなし現場事務所の鯉のぼり | えいじ |
車座となる花見や無礼講 | みきお |
溝川に枝垂る白藤天使めく | 智恵子 |
寺つつむ躑躅垣越し塔そびゆ | もとこ |
参道の緑陰弁当食べる人 | こすもす |
松の芯手で摘むプロの指さびき | 千鶴 |
川沿ひのバラのアーチを皆が行く | 満天 |
藤棚に潜りベンチは満席に | 智恵子 |
蟻の列孫はよちよち最後尾 | 康子 |
消しゴムで消せぬ誤り花曇り | 明日香 |
玄室や花の風入り死者の声 | 明日香 |
君子蘭朱を極めたる小糠雨 | むべ |
蓮花田や軽トラ停めて手弁当 | こすもす |
もう終わり遺影に花のことを告ぐ | たか子 |
鉄線花一輪空へ咲き初める | 風民 |
あらはれてすぐまた消ゆる青蜥蜴 | かえる |
藤棚の花咲き初めし房の揺る | きよえ |
黄砂降る終末時計進みけり | 山椒 |
新き靴の軽さよ春堤 | 風民 |
行く春へ弓を引きたる黒袴 | かえる |
蜘蛛独り壊れし網の真ん中に | せいじ |
2024年04月25日 | |
新緑に友となりたる松葉杖 | みきえ |
バス停の三色菫空晴るる | きよえ |
人家抜け山蕗籠に山と摘む | 智恵子 |
公園の一雨ごとに木の芽吹く | 満天 |
咲き急ぐ花に無情の嵐かな | 明日香 |
よべの雨洗い立てたる柿若葉 | むべ |
青芝にダイヤ散らして雨上がる | むべ |
宰相の座像に赤き落ち椿 | 山椒 |
霾晦曇り乗る人も無き観覧車 | やよい |
脚立より降りてひと息袋掛 | みきお |
都会の空うぐいすの朝啼きを聞く | ぽんこ |
鯉のぼりみくじ掛けに吊る古刹かな | なつき |
空向かふ木木のあくびに山笑ふ | もとこ |
天毬のやうな桜の頬に触れ | えいじ |
春宵や茶葉ふくよかに広がりぬ | 千鶴 |
ベランダより川面ながめて春惜しむ | 満天 |
病みし眼に留めむ風の若楓 | あひる |
花は葉にバス待つベンチひと休み | 智恵子 |
レコードの盤さながらに蜘蛛の網 | せいじ |
虻の群つぎつぎ揺らす藤の棚 | 康子 |
山雲の連山の如春の今朝 | きよえ |
卯の花の籬に憩ふ乳母車 | 澄子 |
御廟所の白藤甘き香を放ち | なつき |
行楽客見下ろす宇治の山笑ふ | あひる |
日永なる夕餉の支度急がされ | たか子 |
蒲公英のはや絮となり淡く飛ぶ | 千鶴 |
勝手口開けるや涼し夕の風 | たかを |
鳥の声満天星の花ぷっくりと | 風民 |
蜜蜂のホバリングして径塞ぐ | かえる |
新しき虚空に糸を飛ばす蜘蛛 | せいじ |
木から木へトランポリンや雀の子 | 康子 |
咲き満ちて藤棚先客万来す | 澄子 |
春愁や三つの顔持つ阿修羅像 | はく子 |
ひとの手をじつと見てゐる縞蜥蜴 | かえる |
ほつほつと落ちし関山桜かな | えいじ |
風光る神殿昇る綿帽子 | 山椒 |
散歩道菫に蹲み小休止 | 風民 |
瑠璃トカゲにらめっこして観察す | 明日香 |
登山帽見え隠れする急斜面 | みきお |
2024年04月24日 | |
撮り鉄の待ちしホームや夏の雨 | みきえ |
咲き初めて棚藤淡くいろづきぬ | 澄子 |
春蝉の途切れる声や松林 | みきお |
春暮るるミニバスボール届きけり | 千鶴 |
春昼の双子の欠伸おのおのに | もとこ |
弓なりに撓る竹竿鯉のぼり | せいじ |
歯固めの膳に蛤堂々と | 風民 |
主人なき転がる鉢にムスカリ花 | 智恵子 |
輪を連ね桜蕊敷く歩道かな | せいじ |
吠えられてわらうておりぬアイス売り | えいじ |
春光や龍の浮きたる鋳抜門 | 康子 |
松の花かっての浜辺古看板 | きよえ |
春疾風全自転車横倒し | 満天 |
春禽の群れて騒げりほ句詠めず | えいじ |
山伏の法螺貝響く山開き | 山椒 |
路地明かし木香薔薇の続く垣 | そうけい |
とぎものをぐるぐる巻きに春疾風 | 満天 |
花水木小雨に煙る今日の町 | たかを |
捨てがたき本の山積み畳替 | ぽんこ |
うららけし期間限定桜パフェ | 明日香 |
来る子らにたっぷり炊いて蕨飯 | 風民 |
苑めぐる螺旋の花壇チューリップ | 康子 |
黄緑に萌黄を襲ね若楓 | むべ |
春光に亀の甲羅の鉄びかり | あひる |
長雨に芽吹く草かな柔き土 | えいいち |
三線に手の踊りだし若葉風 | あひる |
掘り起こす色無き庭園春の暮 | そうけい |
小雀の恐れ知らずや鳩追ふて | きよえ |
出迎へは右近左近の花鳥居 | かえる |
琴の音の途切れて外は春の塵 | たか子 |
登山口厠に群れる著莪灯り | 智恵子 |
藤棚の下に一会の人とあり | 澄子 |
檸檬の花咲くあだ花やただ眺め | ふさこ |
立ち話木香薔薇の香の優し | こすもす |
深閑とビルの佇み黄砂降る | 山椒 |
脳老いてあれはこれはと衣替え | たかを |
病癒へたんぽぽの絮吹く子かな | むべ |
旧街道よぎる軒先初つばめ | みきお |
青芝をまづ整へて弓稽古 | かえる |
2024年04月23日 | |
通学路塀超え垂れる濃山吹 | 愛正 |
顔ほども大きく咲けり春牡丹 | 山椒 |
野田藤や吾子の手に触れ吹き散りて | ふさこ |
花明かり小手毬白く宵の路地 | えいいち |
音たてて影もうねるや鯉のぼり | あひる |
もぐら除けの風車の並ぶ遍路寺 | なつき |
四囲の山芽吹きの緑地図を描き | 明日香 |
反り返る猫の欠伸や春暑し | えいじ |
囀りをこぼさぬように楠大樹 | 満天 |
白鷺の汀に憩ふ朝かな | むべ |
藤浪の寄せては返す昼下がり | 澄子 |
稾木を登り詰めたる藤の房 | 澄子 |
春雨に犬散歩なく波光る | きよえ |
乃木邸の庭に降りしく桜蕊 | 山椒 |
春疾風何故に季節を先へやる | 明日香 |
東風吹くやガールスカウト日の丸掲ぐ | えいじ |
茎立の鉢の並べり納経所 | なつき |
引越しの窓に小さき鯉のぼり | 満天 |
渓流の岸辺にふきの青々と | 千鶴 |
ポキと折る松葉独活より水溢る | 風民 |
ふきの皮剥いて野草の香り立つ | 千鶴 |
オオデマリの白さ際立つ狭庭かな | こすもす |
日の暮れて足もと照らす黄水仙 | みきお |
打ち降ろす槌音高く花は葉に | たか子 |
葉桜に霧雨そそぐ沈思かな | ぽんこ |
チューリップあひ凭れあふ雨上がり | 康子 |
しどけなき午後の牡丹の色香かな | あひる |
もごもごと犬の寝言や明易し | むべ |
山吹や万朶の中の花を見ゆ | 愛正 |
春帽子振って別れる交差点 | みきお |
お社の若葉影に在る土俵かな | かえる |
蒲公英の絮を飛ばして鳩翔てり | 康子 |
願ひごと桜の絵馬に託されし | かえる |
円形の広場に薔薇の咲き初めし | せいじ |
波止の船早点灯や霞む瀬戸 | きよえ |
お喋りの締めは満載いちごパフェ | もとこ |
池の面にはためく千の五月鯉 | せいじ |
2024年04月22日 | |
カメムシを爪弾きして日永かな | 明日香 |
突風にみるみる太る鯉のぼり | あひる |
ぬいぐるみ干す園庭に薄暑光 | むべ |
青葉若葉貫くメタセコイアかな | えいじ |
折り皺に泳ぎにくさう鯉のぼり | かえる |
白蝶の日に遊びをり畑昼餉 | 風民 |
山椒の芽たたき仕上がる若竹煮 | むべ |
苺食ぶ犬もお手して欲しがりぬ | かえる |
若枝に次第に烈し春疾風 | 風民 |
生かされて目に染む色の余花に逢ふ | もとこ |
黒土を啄む小雀親雀 | 愛正 |
缶ビール先ずは乾杯円居なか | 智恵子 |
カモミール花摘み友のティータイム | なつき |
そこかしこ囀り飛ぶや森の径 | えいいち |
春望や里山生かす美術館 | そうけい |
躑躅背に口元ゆるぶ寿老神 | ぽんこ |
老木の洞より長き芽吹きかな | 康子 |
夏の季語ばかり出て来る狭庭かな | 明日香 |
郷駅前食堂押しのあさり丼 | そうけい |
アメンボの水輪池面に溢れをり | きよえ |
朝散歩右折選べば新樹光 | こすもす |
角度決め鍬振り下ろす筍掘り | 千鶴 |
あれこれと筍尽くし夕餉かな | みきえ |
せつかれて黄金週間予定うめ | ふさこ |
青空に樹冠揺らげる青葉かな | えいじ |
奥山の入山禁止鬼薊 | 愛正 |
新緑を愛でし横顔眼裏に | たか子 |
千の鯉そよぐ緑道散歩せり | 山椒 |
あちこちの閉店多し春寒し | 満天 |
身に纏ひ涼しさ生まる藍の布 | 澄子 |
甚平が甚平と指す将棋かな | みきお |
白壁にまどひ反り来る揚羽蝶 | せつ子 |
バーゴラの木組あたらし新樹光 | 澄子 |
新緑に映える花嫁綿帽子 | 山椒 |
ペットボトル猫除けに置く牡丹寺 | なつき |
青々と命溢れる夏の山 | みきお |
幼子が憩ひの要大緑陰 | せいじ |
つくばいに落花浮かべて豆画伯 | 智恵子 |
漣の消ゆれば進むあめんぼう | みのる |
げんげ田にしばし遊びて蝶の行く | せいじ |
掘り立ての筍たぎる湯の中に | 千鶴 |
木木さやぐ鳩の群来て春の夕 | きよえ |
千体の地蔵に千の風ぐるま | 康子 |
結実の梅の木洩れ日はしゃぐごと | あひる |
2024年04月21日 | |
行く春や降り続く雨音もなく | 満天 |
蜜蜂の逆さに止まる満天星花 | 風民 |
鉄塔を囲む柵内蕨長く | みきお |
路地裏の遊びに夢中春の暮 | ふさこ |
甘き香を放つ朝採り苺かな | みきえ |
雨打つやネットに凭る豆の花 | きよえ |
芽吹き山あたり一面輝かせ | 明日香 |
白蝶の現れては消ゆる豆畑 | あひる |
空豆の小さき鞘も空を指す | あひる |
くちなわや雀隠れの草動く | みきお |
水まけばふいと現る黄蝶かな | 明日香 |
ハルカスも山も飲み込み霾れる | はく子 |
心地よき葉擦れの音や若葉風 | せいじ |
春日射すやおらに動く鯉の群れ | ぽんこ |
霾天の動かぬ鴉鬼瓦 | むべ |
湯掻かれし筍貰ふ夕餉前 | みきえ |
柔き日のメタセコイアの若葉下 | えいいち |
藤波の立ちて雨降る予感かな | 澄子 |
森カフェの沈むソファーに春眠し | 康子 |
目に優し盆地の郷の若葉山 | こすもす |
講釈を聞きつ試食の苺食ぶ | かえる |
雨の日の垣根の紫蘭紅ひかる | きよえ |
桜茶のひらく花弁にひとり和ぐ | 千鶴 |
龍笛の響く社に若葉風 | 山椒 |
春空へ吾娘空港を旅立ちぬ | 山椒 |
神鶏の鳴き声ひびく若葉雨 | なつき |
美術館広き木立に風光る | そうけい |
思いがけぬ訃報や春の朝哀し | こすもす |
桜蕊柴犬ばかり出逢ふ露地 | 澄子 |
田の水に晴れ色付ける八重桜 | 隆松 |
ウクレレのビージーエムや春の苑 | えいじ |
館ぬくし玻璃窓額の庭木立 | そうけい |
蝶二頭飛ぶメビウスの輪のごとく | せいじ |
筍のはみ出す小径しばし立つ | 智恵子 |
酔ふほどに声高まれり花筵 | 千鶴 |
八重桜己が重さに項垂るる | 隆松 |
雨つばめ茶屋の行列掠めたり | なつき |
立浪草荒野に立てる波がしら | むべ |
防獣柵鋸歯と棘もつ鬼薊 | 愛正 |
小雀の飛びそこねたる轍かな | 愛正 |
あひ会釈してすれ違ふ登山道 | かえる |
かくれんぼいつまで続く日永かな | もとこ |
朝の日に燃える緑や百千鳥 | えいじ |
百匹の群れやタワーの鯉のぼり | 康子 |
2024年04月20日 | |
揚羽蝶我が家の庭の花巡り | 山椒 |
たんぽぽの川辺一面黄群す | えいじ |
蓮花田に尻もちほどのクレーター | あひる |
マイカーで越える峠や花の旅 | かえる |
黄砂来るランドマークも何処へやら | せいじ |
藤浪に代る代る来三筋蝶 | むべ |
春耕やトマト支柱の整列隊 | 愛正 |
疎になりてまた密となる花筏 | かえる |
水吸ふて伸ぶ青葦の匂ふかな | えいいち |
マンションの裾の彩り躑躅燃ゆ | 満天 |
落語会素人話芸に春惜しむ | こすもす |
合唱の揃はぬ池や初蛙 | むべ |
二日かけ手強き畔の畔の草を刈る | 千鶴 |
春愁の阿修羅の眉目ありにけり | 澄子 |
衛兵の如くアイリス気を付けす | 山椒 |
水底に動かぬ力冬の鯉 | みきお |
桜散る眼下に母校の小学校 | はく子 |
春風にそよと草花伸びやかに | きよえ |
風光る自転車通学颯爽と | 満天 |
きざはしに黐の香りの降りそそぎ | 明日香 |
花著莪や朝景乱す谷の水 | 隆松 |
放物線描きてくぐる燕 | 千鶴 |
中空に淡しと思ふ花水木 | 澄子 |
自転車を並べ畑打つ老二人 | みきえ |
三つ編みの幼子跳ねる花野かな | みきお |
里池に垂らす釣り糸風光る | 愛正 |
藤棚の下で囲まれ将棋盤 | こすもす |
言ひ訳をしつつくれたる春野菜 | みきえ |
半世紀母校変わらぬ花の門 | そうけい |
わが家をひよいと覗くや親鴉 | えいじ |
桜前線車窓に見たり旅途中 | 智恵子 |
翠緑の滴る明日香石舞台 | 明日香 |
ふらここの吾子膝に乗せ子守唄 | ふさこ |
鯉のぼり吊るす朝市浜日和 | なつき |
体操服汚し遊びし一年生 | なつき |
ウクレレの音色もまじる若葉風 | あひる |
めかりどきストレスなしの夫昼寝 | もとこ |
岩陰につつじ燃え立つあしたかな | ぽんこ |
春雷に記憶が一つ消えたよな | 智恵子 |
まくなぎを払えば脚の覚束な | たか子 |
眼裏に残る軌跡や蝶の舞 | せいじ |
一水を翳すなぞへの青楓 | 康子 |
桜しべ仏足石にとどまれり | 康子 |
静かなる大滝枝垂れ桜かな | 風民 |
夕暮の里の道行く春の風 | きよえ |
郷里に来知るは落花の忠魂碑 | そうけい |
2024年04月19日 | |
春の野に歓迎会の大縄跳び | あひる |
体育館四人っきりの新入生 | 山椒 |
風光る仕立て屋前の駐輪場 | 愛正 |
ほつほつと灯すくれなゐシクラメン | えいじ |
つばくらめ影と縺れつ旋回す | かえる |