秋夕焼け光背にして大仏殿 ななえ 添削> 大仏の光背めける夕焼かな
小流れに光止どめる花野道 ミチコ 添削> 小流れに日の煌ける花野道
城跡の石垣深くちちろ鳴く のんたん 添削> 城跡の崩れ石垣ちちろ鳴く
神の旅今日平らかな日本海 よし女
大小の島連なりて瀬戸の秋 英子 添削> 大小の島ちらばりて瀬戸の秋
無人駅傾ぐ駅舎にちちろ鳴く 千衣
松手入れ三百年の緑かな 後夢 添削> 色変へぬ松の樹齢は三百年
秋冷や水掛不動濡れるまま まさる 添削> 秋冷や水掛不動干る間なし
コスモスの花野に日差し賜りて 秀昭 添削> コスモスの野にひろがりし日差しかな
畠のものみなうち伏せり芋嵐 こう
箸置きにもみじ一葉旅の膳 登志子
身に入むや寺の屏風の地獄絵図 国子
岬みち回ればたわわ青蜜柑 光晴 添削> 岬みち回ればたわわ蜜柑畑
一雨に洗はれし紺秋茄子 明人
納屋口に立たされてゐる案山子かな やす子
美術館までの並木のもみずりぬ みつ穂 添削> 美術館まで黄落の並木路
切り株に体ゆだねて秋の山 きみこ 添削> 切り株に一息憩ふ秋の山
廃れたる野外ステージ草紅葉 みつ穂 添削> 誰もゐぬ野外ステージ草紅葉
聖堂の庭の日溜り小鳥来る みすず
団栗に笑顔泣き顔書いてみる のんたん 添削> 団栗に笑顔泣き顔落書きす
一鉢はもってのほかの菊膾 こう
叢雲のつかず離れず十三夜 芹菜
朝霧の霄れあがりゆく山上湖 のぶお 添削> 朝霧の霄れて現はる山上湖
稲塚の侍りてをりぬ忠魂碑 哲 添削> 稲塚に囲まれてをる忠魂碑
一の群れ二の群れつづき稲雀 好夫
玻璃窓に吐息の白し十三夜 とろうち
車窓より刈田黄金田縞模様 千衣
躙口出でて背伸びの秋日かな 茂樹 添削> 躙口出でて背伸びす秋日和
廃線の枕木積まれ秋あかね こころ
水底のどんぐりに日の届きたる とろうち
角切りて空にかざせし奈良の勢子 清
老ふ母に窓辺の木犀愛ほのか 裕子 添削> 老ふ母と窓の木犀愛でにけり
金木犀厠にまでも匂ひをり 敬介 添削> 金木犀厠の窓に匂ひけり
一大事起きたるごとく鵙猛る 文義
戻り来し猫の尻尾の草虱 芹菜 添削> 戻り来し猫の尻尾に草虱
体育の日なり駅まで歩むべし かずひと 添削> 体育の日なり駅まで歩くべし
箒目の木の葉美し日課かな 皐月 添削> 箒目の正しき庭へ木の葉落つ
空き缶の二つが鳴りて鳥威し きみこ 添削> 空き缶の鈴生りに鳴る鳥威し
平凡に生きて行きます吾亦紅 折山 添削> 平凡に生きる幸せ吾亦紅
薬師寺の二つの塔や秋高し 路
爽涼やシャンパンの泡弾け立つ みすず 添削> シャンパンの泡弾け立つ音涼し
役終えし案山子に安堵見えにけり 美甫
竪穴の登呂の遺跡や草紅葉 光晴 添削> 登呂の遺跡訪ふ道端の草紅葉
ささやきのやうな流れや薄紅葉 和華 添削> ささやきに似たる沢音薄紅葉
澄む水に沿ふ山坂や塩の道 よし女 添削> 澄む水に沿ひつつ辿る塩の道
朝寒の二の腕こする厨かな とろうち 添削> 朝寒の二の腕さする厨かな
冷さまじや森の切株累々と 草根
花嫁の父となりし夜温め酒 桃香
竹串のちらばる番屋下り簗 よし女
国宝の甍そびゆる秋天に みつ穂 添削> 国宝の甍そびゆる天高し
たっぷりの水に間引き菜立ち上がる 初凪
秋うらら馬屋にひよこ遊びをり みすず 添削> 秋うらら馬屋に遊ぶひよこどち
灘よりの風にみかんの色深む よし女 添削> 黒潮の風にみかんの色深む
木犀の香を呼び入れし二階窓 のぶお 添削> 木犀の香の届きたる二階窓
秋簾はずして呉れと窓を打つ 孝由
秋翳や島裏にある流人墓 好夫
朝寒や登校班の列短か 志乃 添削> 朝寒の集団登校列短か
木に吊すランチメニューや小鳥くる 国子
椎の実を生命線に転がせり ひろみ
天高し水車ゆっくり廻りたり みすず 添削> 天高し水車ゆっくり廻りをり
白壁に影をゆらして秋桜 輪三 添削> 白壁に影揺れやまぬ秋桜
昃りて忽ち風の芒原 明人 添削> 昃りて忽ち影の芒原
紅白の萩のなだるる句碑ほとり はく子 添削> 紅白の萩の乱るる句碑ほとり
軒裏も夕日に染めて吊るし柿 こころ 添削> 軒裏も夕日に染まる吊し柿
病む妻の爪を切りつつ愁思なる かずひと 添削> 病む妻の爪を切りつつ秋惜しむ
金色のうろこ雲乗せ富士昏るる みすず 添削> 金色のうろこ雲着て富士昏るる
小鳥来て体操教室のぞきけり まや 添削> 小鳥来てエアロヴィクスの窓のぞく
赤い羽根素通り出来ぬ顔ならぶ 美甫
寄り添うて仮退院の秋日傘 敦風 添削> 仮退院秋の日傘をさしかけて
居残りの教師の影や秋灯 ゆきこ
鬱に居る母の手に置く木の実かな こころ 添削> 鬱見舞ひ母の掌におく木の実かな
海よりの帰路ゆくりなき秋思かな 初凪 添削> 海を見て帰るさの路秋思憑く
糸はぎにもつれて翔ちぬ秋の蝶 駒鳥
草紅葉戦場ヶ原果てもなし 我風 添削> ひろびろと古戦場址草紅葉
大吊り橋行くも戻るも霧の海 洛西雀
一本の棒を鍵とし鹿火屋守 志乃
百磴の左右の萩めで詣でけり うつぎ 添削> 百段の磴を綴りて萩盛り
秋声や祇王が庵の竹の風 明人 添削> 祇王寺の竹林に聞く秋の声
すすき原うねりて山の揺らぎけり すずかぜ 添削> すすき原うねり遠山揺らぐかと
秋天へメタセコイヤの突くごとし 満天 添削> 秋天を突くセコイアの大樹かな
秋天や両手広げしマリア像 茜 添削> 秋天へ両手広げしマリア像
動かざる大岩一つ秋の蝶 国子 添削> 大岩を咬みて動かぬ秋の蝶
荷を解けば母の便りや今年米 ちはる 添削> 荷を解けば母の一筆今年米
長き夜や五目並べの老夫婦 こう
鬼瓦リボンのやうに赤とんぼ 敦風 添削> 鬼瓦リボンに似たる赤とんぼ
長き夜に古書の傍線なつかしむ 桑 添削> 秋灯下聖書の朱線なつかしむ
カチンコの突きさす空やいわし雲 孝右 添削> カチンコの音のこだますいわし雲
赤とんぼ止まるシーツの白さかな ゆきこ 添削> 純白のシーツにとまる赤とんぼ
落日に朱を帯びはじむ鱗雲 太井 添削> 落日に朱をのべはじむ鱗雲
秋日和憂きことひとつ吹っ飛ばし さくら 添削> 憂き我を励ます今朝の秋日和
海色の濃し一面の鰯雲 秋乃 添削> 一望に展けし海や鰯雲
禁煙の口許寂しき夜長かな 未元
影踏みの一抜け二抜け秋の暮 明人 添削> 影踏みの一抜け二抜け秋日落つ
独碁をいくどと崩す夜長かな 茂樹 添削> 長き夜の独り碁をまた崩しけり
鉄棒の錆びし廃校秋桜 たか子 添削> 廃校の鉄棒隠す秋桜
コンバイン黄金の波刈り上げて 雪割草 添削> 金色の塵まき散らすコンバイン
いわし雲甲斐と駿河を跨ぎをり とろうち 添削> あなた甲斐こなた駿河やいわし雲
草虱付けしままなり夕支度 紘美 添削> 草虱付きしを知らず夕支度
トラックに祭半纏はみ出せり 秋乃
つくばいに少しこぼして萩の花 輪三 添削> つくばひに侘びを添えたるこぼれ萩
影踏みの子に秋の日の傾けり 明人 添削> 影踏みの童につるべ落としの日
長き夜の葉書をすべるペンの音 志乃
野に出でて両手にあまる零余子かな きみこ 添削> 野路の幸両手にあまる零余子かな
表札は在りし日のまま秋彼岸 さくら
秋刀魚焼く四方八方煙に巻き あすみ 添削> 秋刀魚焼く四方八方煙だらけ
天高し丘の起伏に馬柵つづく 菜々 添削> 秋晴れの丘の起伏に馬柵つづく
塀越しに萩のこぼるる石畳 文月
爽やかや面を脱ぎたる女子剣士 かずひと 添削> 面脱ぎし女剣士の笑み涼し
臥す人の鏡に映すいわし雲 初凪 添削> 臥す人のあわせ鏡にいわし雲
二月堂三月堂へと萩の路 敬介 添削> 二月堂三月堂へ萩の路
パソコンを夫と分け合う夜長かな さくら
コスモスの野辺に広げる握り飯 如風 添削> コスモスの野に吹かれつつ握り飯
芋の葉のせり上がりては揺れ競ふ たかし 添削> 芋の葉のせり上がりたる旋毛風
夜仕事や隣の部屋の時計聞く かのこ
間引き菜に抜かれんとする力かな 志乃 添削> 間引き菜に抜かれんとする力あり
このあたり校舎の跡や猫じゃらし うつぎ 添削> このあたり廃校跡や猫じゃらし
秋風にぷいと出て行く倅かな たか子
鉛筆の芯とがらせる夜半の秋 かのこ
校庭の白線流す秋の雨 国子
そぞろ寒仕舞ふ草履を抱きあはす 志乃
庭の花持ち行く秋の彼岸かな いさお 添削> 庭花を剪りて供花とす秋彼岸
秋の風透析患者皆静か こすもす 添削> 秋深し透析患者皆寡黙
ただ広しサロベツ原野秋景色 後夢 添削> 秋蝶にサロベツ原野ただ広し
野仏の頭を撫でる薄かな ていすけ 添削> 野仏の頭を撫づる薄かな
夫留守居手持ちぶさたの長き夜 こごみ 添削> 夫留守の手持ちぶさたの夜長かな
コスモスの花の中から子の笑顔 陽子
踏み入れば思はぬ高さ芒原 かのこ
稲架の上はや夕月の淡きかな よし女 添削> 稲架暮れて淡き夕月あげにけり
夕風にもつれて咲くや萩の花 駒鳥 添削> 夕風に盛りの萩のもつれけり
廃窯の陶片ひろふ吾亦紅 登美子 添削> 訪へば廃窯なりし吾亦紅
鶏頭の緋や千姫の墓あたり 明人 添削> 緋鶏頭燃ゆ千姫の墓の辺に
秋天や奥社に続く杉ねじれ きみこ 添削> 奥社へと鉾杉襖天高し
秋の空女子学生の恋談義 はく子 添削> 秋堤女学生らの恋談義
砂浜に膝抱く二人秋の暮れ 国子 添削> 彼彼女膝抱き並ぶ秋の浜
郵便夫行く先々に稲雀 えれみあ 添削> 稲雀翔たせてをるは郵便夫
朱印押す僧の笑顔や萩こぼれ 秀昭 添削> 老僧の笑み爽やかに朱印押す
コスモスの彩なす風となりにけり 芹菜 添削> ひるがへる風に彩変ふ秋桜
百年の土蔵の軋みちちろ鳴く りんご
登り来て尾根の秋風ほしいまま 茂樹 添削> 縦走の尾根に秋風ふきやまず
縁側に湯呑みのふたつ居待月 敦風 添削> 縁側にぐひ呑みふたつ居待月
朝霧を巫女分け来たり砂利の音 えれみあ 添削> 朝霧を巫女の踏みくる砂利の音
外ツ国に病む子見舞ふや秋の暮 やす子 添削> 外ツ国に病む子を見舞ふ秋の暮
この道を歩くのが好き草もみじ みつ穂
身にしむや退職前の説明会 嘉一 添削> 身にしむや定年退職説明会
廃校のあとに燃へ立つ泡立草 桑 添削> 泡立ち草廃校あとを占めにけり
身にしむや目の辺窪む撫で仏 きみこ 添削> 身にしむやまなこの凹む撫で仏
恐山賽の河原の曼珠紗華 りんご 添削> 一と屯賽の河原の曼珠紗華
鈴虫の声にストレス消へ去りぬ ゆり 添削> 鈴虫の楽にストレス癒さるる
萩の風池面に小波たたせをり 董雨 添削> 池の面にさざなみたたせ萩の風
新蕎麦を啜るホームやベルの鳴る 良坊 添削> 新蕎麦を啜るホームや旅楽し
秋つばめ単身赴任終る朝 ちはる 添削> 秋つばめ単身赴任解かれけり
不器用に生きし還暦草の花 路 添削> 不器用に生きて還暦草の花
秋気澄む検診無事と聞きてより こう 添削> 秋気澄む定期検診異常なし
いそいそと紅さす母や敬老日 がくと
耳朶大き男が仕切る秋祭 かのこ 添削> 福耳の男が仕切る秋祭
踊りの手大きな月を包みけり 志乃 添削> 踊りの手まどかなる月包みけり
札所への赤き小橋のこぼれ萩 かずひと 添削> 札所へとたどる八ツ橋こぼれ萩
小流れに指を浸して秋の川 初凪 添削> 小流れに指のあそべる秋思かな
稲の香や丹波は低き山重ね 菜々 添削> 豊の秋丹波は低き山重ね
一歩目を大きくだして秋の浜 秋乃 添削> 一歩二歩大股歩き秋の浜
長き夜や妻に用なき声をかけ 明人
波の上に砕ける月や舫ふね 光晴 添削> 舫ふね揺れて水面の月歪む
助手席の忘れられたる秋日傘 初凪 添削> 助手席に忘れられたる秋日傘
敬老日卒寿の父に励まされ 秀昭
ひとりづつ渡る懸橋薄紅葉 明人 添削> ひとりづつ渡る吊橋谷紅葉
燈火親し老いて座右の電子辞書 千衣 添削> 電子辞書座右に老いの夜学かな
禅寺の長き回廊萩満つる 登志子 添削> 禅寺の長き回廊萩日和
蚯蚓鳴く宮に貼られし千社札 たか子
吊橋の上を飛びかう赤とんぼ あすみ 添削> 吊橋の上を下へと赤とんぼ
紅殻の格子に漏るる秋ともし 光晴 添削> 紅殻の格子戸漏るる秋ともし
針に糸すっととおつて秋高し よし 添削> 針に糸すっととほりて秋高し
門跡の覚むるに間あり白木槿 明人 添削> 門跡の明くるに間あり白木槿
蔵の影映して運河秋茜 登志子 添削> 蔵の影映して運河澄めりけり
真夜更けてまこと良夜となりにけり はく子 添削> 真夜更けて雲を脱ぎたる望の月
秋晴れやアドバルーンは動かざる 花茗荷 添削> 秋晴に直立したるアドバルン
秋暑しサーカス小屋の獣臭 英
コスモスの見下ろしている二人連れ ミチコ 添削> コスモスに恋の二人の見え隠れ
孫生まるとき待ち侘びて天高し けんいち 添削> 初孫の誕生祝ふ天高し
秋すでに肩寄せ合うて石ぼとけ 明人 添削> 秋日落つ肩寄せ合ひて石ぼとけ
秋暑し膨らみへこみ犬の腹 秋乃 添削> 秋暑し大波をうつ犬の腹
寄り添いて年金暮らし秋刀魚焼く きみこ 添削> 秋刀魚焼く年金暮らしにも慣れて
十五夜に世界平和を祈りけり 坊々 添削> 月今宵世界平和を祈りけり
松手入して星空を近くせり りんご 添削> 松手入して星空の覧けけり
満月や畳に供花の影落とす 紘美 添削> 満月や畳に濃ゆき供花の影
曼珠沙華畑の中の墓一基 ゆきえ
ぎこちなく妻のうしろを踊りけり 明人
帆のように蝶の羽たてて蟻の列 きみこ 添削> 蟻の列帆のごと立つは蝶の羽
秋気澄み窯出し壺の鳴ひており えれみあ 添削> 窯出しの壺の鳴く音秋気澄む
秋晴や貸し農園の日曜日 りんご
子の帰り待ちつつ母の夜なべかな ちはる
一椀の白粥に坐し涼新た 明人
鬼の子の風に吹かるる武家屋敷 光晴 添削> 鬼の子の門に吹かるる武家屋敷
朝市の目の透きとほる鰯かな 花茗荷 添削> 朝糶の目の透きとほる鰯かな
糸屑を丸めて妻の愁思かな 幸太郎 添削> 糸屑を手にもてあそぶ愁思かな
登高や百まで生きる気のをんな 志乃 添削> 白寿まで生きる気概や登高す
刑務所に出入りしきり赤蜻蛉 国子 添削> 刑務所に出入り自由赤蜻蛉
剪定の音軽やかに天高し 文月 添削> 剪定の小気味よき音天高し
皿回す大道芸や天高し まこと
夜を通し寝惜しむほどに虫すだく たか子 添削> 寝惜しみて名残の虫の楽を聞く
秋日和心和ませ信仰す 楽楽 添削> 感謝する日々の平安秋日和
野路行けば瑠璃の露おく蛍草 駒鳥
鈴虫の鳴きしあたりは草刈らず 青菜
秋灯や赤星のごと置かれたる 秋乃 添削> 赤星のごと秋灯す一山家
牧の牛黒点々に鰯雲 千衣 添削> 牧牛のちらばる広野鰯雲
供うるに熟柿を選りし忌日かな 初凪 添削> 好物の熟柿を供へ忌を修す
寝入る児を背負ひて煽ぐ初秋刀魚 れいこ 添削> ぐずる児を背ナにあやしつ秋刀魚焼く
眠る子のふいの笑顔や月明り 敬介 添削> 眠る子の笑む夢は何月明かり
露けしや窓の指文字消えやすく 茜
明暗をくっきり分けて秋日濃し よし女 添削> 秋日影山は明暗くっきりと
無住寺の錆の錠前露葎 好夫 添削> 無住寺の錆びし錠前露葎
芋露にもてあそばるる朝かな 秋乃 添削> 芋の葉に露のあそべる朝かな
どの草も頭を垂れる秋野かな とろうち 添削> どの草も頭を垂れる秋の雨
紅萩や空海像に一礼す 秀昭 添削> 萩に立つ空海像に対しけり
秋日浴ぶ流木の打ち上げられて はるを 添削> 流木のちらばる浜や秋日落つ
新刊の草花図鑑秋灯下 ふみを 添削> 秋灯下草花図鑑座右とす
老いてなお学ぶ楽しみ長き夜 二青 添削> 老いてなほ道を求むる夜学かな
漫殊沙華ラインダンスをしておりぬ 孝右 添削> 漫殊沙華ラインダンスのごと並ぶ
杉の秀の枯れはじめたる残暑かな もとこ 添削> 杉の秀の立ち枯れてをる残暑かな
目覚めれば機上の窓に満月が たえこ 添削> 目覚めれば機窓に大き望の月
六地蔵の背に輝けり花芒 秀昭 添削> 六地蔵光背のごと日の芒
明日香にて棚田の案山子コンクール 敬介 添削> 野路楽し棚田に案山子コンクール
ジョギングのお供は月と虫時雨 こごみ
横揺れの大き電車や秋夕焼 秋乃 添削> 夕焼けの浦に傾く電車かな
秋霖やめしひの猫の細き声 初凪 添削> 野良猫のかぼそき声や秋黴雨
病室の窓より高き雲の峰 記代 添削> 病室の窓に立ちたる雲の峰
秋暑し戦歌流して街宣車 こう 添削> 秋暑し愛国叫ぶスピーカー
牛舎背に野菊献花の供養塔 千衣 添削> 牛舎あり野菊を手向く供養塔
月見草川に流るる電車の灯 よし女 添削> 月見草川面を過ぎる電車の灯
空井戸に錆し滑車や虫時雨 さなえ 添削> 空井戸の奈落なるべし虫の声
門灯を消して月光浴びにけり 登美子 添削> 門灯を消して今宵の月仰ぐ
塁壁のみだるる石や一葉舞ひ 好夫 添削> 城塁にしのぶ栄華や一葉落つ
萩揺れて猫戯れる夕間暮れ 文月 添削> 揺れやまぬ萩に嬲られ猫をかし
分譲の札波打ちて芋嵐 とろうち 添削> 分譲の旗波打ちて芋嵐
秋暑し大書に走る墨の撥ね 茂樹 添削> 新涼や大書にとびし墨の撥ね
老いし父朽木の如く昼寝せり 文義
山霧の棚田を下る迅さかな とろうち
秋水や砥石を洗ふ宮大工 幸太郎 添削> 秋水に砥石を洗ふ宮大工
小鳥来る農学校の実習室 はるを 添削> 小鳥来る農学校の農園に
山の湯の足湯に揃ふ秋日傘 大門
葭が原海に出るには遠すぎて 初凪 添削> 葭の原海の匂ひの遠からず
湖の水面に写る良夜かな 夢俊 添削> 湖の鏡に写る良夜かな
夜霧濃しライターの火の七色に 志乃 添削> 夜霧濃しライターの火を七色に
水澄みし哲学の道ひとり行く みつ穂 添削> 哲学の道に沿ふ水澄みにけり
夕映えの瀬音に和して虫の声 りんご 添削> 奈落なる瀬音に和して昼の虫
秋風に蔦の波打つ煉瓦塀 文月 添削> 風吹けば蔦の波打つ煉瓦塀
峰深き杉林立に晩夏光 昌洋 添削> 晩夏光杉の美林を貫きぬ
いつしかに山は日暮れて花すすき 明人 添削> 山の端に夕日傾くすすきかな
読み馴れし古き聖書をめくる秋 二青 添削> 秋灯下手擦れの聖書ひもときぬ
護摩堂の香煙揺らす萩の風 紘美
植木師の迷ひなき音天高し 桑 添削> 天高く庭師の鋏潔し
後ろ手に二百十日の田を眺む とろうち
白萩や用水奔る城下町 みすず 添削> 白萩や門川奔る城下町
覚えきて手話を鏡に夜長かな こころ 添削> 覚えきて鏡と手話す夜長かな
マネキンの豊胸見せる案山子かな 輪三 添削> 豊胸の案山子マネキンあがりらし
病院の夕食早し法師蝉 まや
二枚目となりし追伸ちちろの夜 志乃 添削> 二枚目となりし追伸ちちろ鳴く
爽やかに退院通知届きけり 草根 添削> 爽やかや無事退院と文届く
水墨の筆のかすれも涼新た 満天
霧の中墨絵の如き堂の影 よりさん 添削> 堂の影墨絵となりし霧の中
秋空を真二つに切る飛行雲 いさお 添削> 秋天を真二つに切る飛行雲
船小屋に一灯洩るゝ夜長かな 花茗荷 添削> 船小屋に洩るゝ夜長の一点灯
秋草に埋もる石仏塩の道 良坊 添削> 秋草の丈に埋もるる道祖神
萩叢を歩き通して切通し すずかぜ 添削> みぎひだり盛りの萩や切通し
ちちろ鳴く看取りの一日終えたるに 菜々 添削> ちちろ鳴く看取りの疲れ癒せとぞ
秋刀魚焼くだけの七輪買ひにけり りんご
大阪湾抱える如く雲の峰 まさる 添削> 一湾を抱かんと立つ雲の峰
月光を千の手に受け観世音 えれみあ 添削> 月光に千手を翳す観世音
新涼や川面に揺るる廓の灯 みすず 添削> 涼しさや川面に揺るる廓の灯
夜濯ぎや庭いっぱいに虫すだく やす子
睡蓮の葉隠れに亀首をあげ よし女 添削> 睡蓮の花押しのけて亀の首
はまなすや薪積み上げし塩煮小屋 みすず
起重機を吸い上げそうな雲の峰 てるこ 添削> 起重機をつりあげさうな雲の峰
白桃の尻大切に並べ売る よし女 添削> 白桃の尻を拭ひて並べ売る
蔵出しの升に膨らむ新酒かな こころ 添削> なみなみと升に膨らむ新酒かな
標石かくして萩の咲きこぼれ りんご 添削> 標石かくして萩の盛りかな
朝顔のつる細やかに加賀格子 みすず 添削> 朝顔のつるのまきつく加賀格子
吾亦紅生けて僻地の教師妻 明人
一族の打ち揃ひたり墓洗ふ 秋乃 添削> 墓洗ふ一族郎党うち揃ひ
名水へ道しるべなる案山子かな 大門 添削> 名水へ道はこちらと案山子立つ
学園の大片蔭に再会す よし女 添削> 久闊を述ぶ学園の片蔭に
雲は秋ヘリコプターのよく飛ぶ日 志乃 添削> 秋晴れてヘリコプターのよく飛ぶ日
道祖神赤とんぼうの群れの中 みつ穂 添削> 道祖神慕ひて群るる赤とんぼ
鈴虫を聴かせて八百屋商へり かのこ 添削> 鈴虫籠吊して八百屋商へり
どの椅子もペンキ塗り立て秋暑し とろうち
かなかなや幹また幹の杉木立 羽合 添削> かなかなや幹また幹の杉美林
メモ紙の肘に貼付く残暑かな 一尾 添削> メモ紙の肘に貼付く褥暑かな
秋暑し屋根ばかりなる熊谷寺 秀昭
しの笛の一際高く踊果つ よし女
秋暑し漢方薬の匂う路地 みつ穂 添削> 秋暑し漢方薬の匂ふ路地
母校へと続く旧道葛の花 とろうち 添削> 母校へと続く旧道葛匂ふ
新涼や星道づれにポストまで うつぎ 添削> 新涼の星降る道をポストまで
霧の海晴れし火口の深さかな 千衣
新涼や朝の散歩の試歩伸ばす もとこ 添削> 新涼や朝の試歩の距離伸ばす
茶畑を走るSL秋涼し のぶお 添削> 茶畑を走るSL秋高し
潮の目のはるかにありぬ晩夏光 みつ穂 添削> 晩夏光沖にしるけき潮目あり
茄子の馬少し萎れて帰りけり つとむ
吊橋を渡りて安堵秋涼し のぶお 添削> 吊橋を渡りし安堵汗涼し
厳島回廊巡る月の潮 よし 添削> 厳島月の回廊巡りけり
崖清水鳴りて霊気の漲れり みすず 添削> 岩走る清水に霊気漲れり
山門も藁葺きなりし萩の寺 秋乃 添削> 藁葺きの山門くぐる萩の寺
秋燕や日差し移ろふ牧の柵 まや
新涼や掃き清めたる青畳 とろうち 添削> 新涼や一穢なく掃く青畳
夕月夜須磨の松風鳴りやまず まさる 添削> 夕涼し須磨の松籟聞こえけり
病癒え心はればれ髪洗う 駒鳥 添削> 病み抜けて心はればれ髪洗ふ
両の掌を合せて終る踊かな よし女
土の匂ひ石の匂ひや夕立来る とろうち 添削> 土の匂ひ石の匂ひや夕立あと
あめんぼう水底の影凹のみ きみこ 添削> あめんぼの水底の影凹みけり
糶終へし金魚の桶に木札浮く 東吾
一両のローカル線や花野中 紘美 添削> 一両の電車花野に傾きぬ
夕風にのりて飛び交う赤とんぼ 駒鳥 添削> 夕風にスクランブルす赤とんぼ
朝顔の垣根はさんで話をり はるを 添削> 朝顔の垣根はさんで立ち話
野分すぎ富士は一朶の雲おかず 千衣 添削> 野分晴富士は一朶の雲おかず
墓参り母の齢となりにけり 美甫
墓石の文字を抱きし蝉の殻 花茗荷 添削> 墓石の文字に縋りし蝉の殻
電車過ぐ度になびきて猫じゃらし りんご 添削> 猫じゃらし電車過ぐ度おおさわぎ
蜩や山も裾野も秋田杉 こころ 添削> 蜩の谺全山秋田杉
黒潮を玻璃の向かふにビールかな 初凪 添削> 黒潮をのぞむ大玻璃ビールのむ
機上より降りれば都会の灯涼し ほとり 添削> 機上より見下ろす街の灯涼し
とんぼうの野になりたるや富士の裾 まこ 添削> 夕とんぼ富士の裾野をほしいまま
仏具屋の中より開く秋日傘 志乃
母に先づ息災を問ふ盆の僧 かのこ
秋茜無縁仏を離れずに 志乃 添削> 秋茜塚のごとくに無縁仏
踊り手の齢を見せぬ足運び 初凪 添削> 盆踊齢を見せぬ足運び
校庭におばけ胡瓜の忘らるる とろうち 添削> 校庭の畑におばけ胡瓜あり
帰省子の土産の中の長寿箸 りんご 添削> 帰省子の母への土産長寿箸
周辺にカナカナ鳴かせ杣の宿 きみこ 添削> かなかなの四方に谺す杣の宿
山なみの襞に湧き立つ夏の霧 よし女
走り根の縦横無尽蝉時雨 好夫
水打つや上空にまたヘリコプター 初凪 添削> 水打って仰ぐ上空ヘリコプター
黒日傘群れてお昼のオフィス街 ゆうこ 添削> 白日傘屯すオフィス街の昼
マンションの窓に干されし祭足袋 志乃
音たてて水飲む犬や秋暑し 和華
海のいろ空に染まりて秋立ちぬ けんいち 添削> 空の青海に染まりて秋立ちぬ
御手洗の水のあふれも涼新た 満天 添削> 御手洗に新涼の水のあふれしむ
掃きよせしものにまじりて蝉の殻 駒鳥 添削> 掃きよせし塵にまじりて蝉の殻
握手する手に力あり生身魂 りんご
秋の日や小瓶に溜めるベルマーク 明人 添削> 文化の日小瓶に溜めるベルマーク
幼な子に折り鶴教え原爆忌 登志子 添削> 幼な子と千羽鶴折る原爆忌
故郷の皆顔見知り夜店の灯 きみこ
射的場に歓声上がる夜店かな みすず
病室の灯を消して待つ花火かな りんご
山鳩のくぐもり鳴ける朝曇り 国子
宿浴衣宴の酔ひも包みけり 茜 添削> ほろ酔に襟元ゆるむ宿浴衣
ベビーカー子供神輿に従ひて 孝由 添削> ベビーカー子供神輿のしんがりに
揚花火車窓におでこ張りつけて ゆうこ
電柱の影が日除けの交差点 はちこ 添削> 赤信号待つ電柱の片蔭に
夏芝居舞台は野に敷く古畳 よし女 添削> 古畳敷き舞台とす村芝居
星見えぬ東京の空星祭り 国子
夏祭り済みて社の箒跡 後夢 添削> 夏祭り済みて箒目正しけり
初秋の並びかへたる花の鉢 はるを 添削> 初秋や並びかへもす鉢のもの
語部に子等の集まる原爆忌 登美子
守護神の供物におよぶ滝飛沫 紘美 添削> 守護神の供物びしょ濡れ滝飛沫
屯する鴉に急ぎもぐトマト よし女
豆腐屋の桶に西瓜の遊びおり すずかぜ 添削> 豆腐屋の桶に西瓜の遊びをり
川筋を大きく変えて梅雨明ける 百姓
戦果つことの無き世や原爆忌 はく子 添削> きょうもまた戦のニュース原爆忌
城址とや草茫々と茂るのみ 茂樹 添削> 城址とて草茫々と茂るのみ
乱歩読み正史を読みて夏休 ふみを 添削> 乱歩読み正史を読みて避暑果てる
西瓜割りまはりの声に迷走す りんご 添削> 西瓜割やんやの声に迷走す
かなかなの思ひ詰めたる声もあり よし女
盆僧の携帯電話震へ出す 初凪
打ち水に土の匂いのとおりけり 芹菜 添削> 水打って土の匂ひの生まれけり
滝飛沫裳裾濡らして観世音 まるこ 添削> 観音の裳裾を濡らす滝飛沫
いざと言ふ時見当たらぬ蝿叩き 孝由
巡視艇西日の中に停泊す ひろみ 添削> 巡視艇西日の沖に停泊す
川土手の草の匂いや遠花火 すずかぜ 添削> 川土手の草の匂ひや遠花火
雲の峰原爆知らぬ子と祈る りんご 添削> 蝉時雨原爆知らぬ子と祈る
大瀑布一枚巌真つ二つ みつ穂 添削> 大瀑布一枚巌を真二つに
蝉時雨抜けてこれより浜の砂 二青 添削> 蝉時雨抜けて渚の展けけり
釣り上げし鮒夏草にはねにけり たか子
登り行く磴の昏さや蝉時雨 まるこ
路線バス子供御輿に止められて 初凪 添削> 路線バス子供御輿の過ぐを待つ
夕立来て砂場の城の崩れけり たか子
祈るごと幹に掴まる蝉の殻 豪敏
帰省の子母への土産この笑顔 ちはる 添削> 健康な笑顔が土産帰省の子
歩き初む幼なも結ひし祭髪 初凪 添削> 祭髪よちよち歩きできし子も
座禅組む僧の背筋の涼しかり ミチコ 添削> 座禅僧真直ぐに伸びし背な涼し
滝見橋河童夫婦に向へられ よし女 添削> 滝見橋陶の河童に迎へられ
御手洗の底の小銭や蝉しぐれ とろうち 添削> 御手洗の底に小銭や蝉しぐれ
かなかなに吸ひ込まれゆく杉の道 ハジメ 添削> かなかなの坩堝となりし杉の道
ひまわりに一斉に見つめらる遊歩道 睦子 添削> ひまわりのみな吾を見る遊歩道
草取りや私一人と愚痴落とす 泉 添削> 草取りや私一人と愚痴こぼす
看護士のきびきびとして顔涼し 凡天子 添削> きびきびとして看護士の笑み涼し
老犬に端居の席をゆづりけり りんご
体重計裸になりて乗りなおす ゆうこ 添削> 体重計裸になりてもういちど
幼子の種飛ばし合ふ西瓜かな 花茗荷
祭り果て裸櫓に法被ほす 紘美
那智黒の玉石を踏む夏祓 まや 添削> 那智黒の玉石を踏む音涼し
子蟷螂一丁前に斧構ふ 光晴
ラムネ壜桶に沈めて峠茶屋 てるこ
浴衣着て行けば入場無料とは ゆうこ 添削> 浴衣着て行けば無料のコンサート
山霧に天辺さらすぶな大樹 好夫 添削> 山霧に天辺隠るぶな大樹
しばらくは餌をもて遊ぶ女郎蜘蛛 秀昭 添削> 生きてをる餌をもて遊ぶ女郎蜘蛛
梅雨明けて遠峰に雲が湧きいずる きみこ 添削> 梅雨明けて嶺々は笠雲脱がんとす
手花火のパジャマ着し子も来て囲む 芹菜 添削> 手花火やパジャマの子らも来て囲む
冷蔵庫拭きて終わりぬ旅支度 こう 添削> 冷蔵庫空っぽにして旅支度
甲子園決めて夏帽空へ飛び 大門 添削> 甲子園決めし夏帽空へ飛ぶ
被爆樹に番号札や雲の峰 りんご
地下出でて一斉にあぶ蝉時雨 はちこ 添削> 地下街を出づるや否や蝉時雨
車椅子大樹涼しく覆ひけり かずひと 添削> 車椅子大樹によれば影涼し
駿河より甲斐へ雲ゆく青胡桃 まや
フロントに並べ売りたる甲虫 きみこ 添削> 甲虫並べ売らるる避暑ホテル
土用鰻食べて健やか母白寿 菜々 添削> 土用鰻食べて白寿の母機嫌
退院の夫と端居の番茶かな もとこ 添削> 退院の夫と茶をのむ端居かな
住み心地好ささうな水脈通し鴨 草根
手漕ぎ井戸まだある寺や雪の下 国子
月涼し露地に残りし釣瓶井戸 初凪
土用鰻団扇で煙広げをり 海幸 添削> 土用鰻団扇で煙広げ売る
客来ると那智黒石に水を打つ 孝由 添削> 客を待つ那智黒石に水を打ち
扇風機だけが居残り大広間 ゆうこ 添削> 扇風機ひとり首ふる大広間
祭笛翁の指の自在なり 初凪 添削> 節くれの指自在なり祭笛
下駄箱をはみ出しさうな登山靴 りんご 添削> 下駄箱をはみ出してをる登山靴
涼しさや左右で違う下駄の音 とろうち
ビル壊す鉄球の音油照り 高喜 添削> ビル壊す鉄球ひびく炎天下
夕焼けと入れ替わりたる漁船の灯 こころ 添削> 夕焼けの褪めてちらばる漁船の灯
夏負けのところ構わぬ生欠伸 ゆうこ 添削> 夏負けてところ構はぬ生欠伸
駒草や白根連山晴れ渡り 秀昭
空蝉や喪服納めし夕まぐれ とろうち
境内の名水味見木下闇 百姓 添削> 霊山の名水を飲む木下闇
昼寝の子何を夢見てかたえくぼ 文月 添削> 昼寝子の見る夢は何かたえくぼ
潮の香の風にのりくる夕端居 陽子
ひとすじの白光となり蛇泳ぐ 菜々
抜け道の幾許渋滞夏燕 好夫 添削> 抜け道のはずが渋滞避暑の旅
山車揺らぎからくり人形動き出す みつ穂
大西日電車ゆくりと駅を発つ 羽合 添削> 大西日避くるすべなき電車かな
看板の人形にはふ葛の花 さなえ 添削> 道しるべなる人形は葛衣
てのひらに掬める山水緑さす 明人
草いきれまむしでますの注意札 もとこ 添削> 草いきれまむし注意の札傾ぐ
一文字の禪の語太し夏のれん 好夫 添削> 太書きに禅の一文字夏のれん
四国連山稜線しかと梅雨あがる 菜々 添削> 連山の稜線しかと梅雨あがる
波の上サーファーの立ちあがりたる かずひと
片陰にバイクを止めて郵便夫 とろうち 添削> 片陰を辿るバイクは郵便夫
道問へば言葉涼しく京訛り 敬介
小さき手にそっとほうたる移しけり みすず 添削> 小さき手にそっと移しぬ螢の火
緑蔭に髪梳く風の清しかり 茜 添削> 髪撫でてゆく緑蔭の風清し
梅雨明けや懇ろに研ぐ菜包丁 初凪 添削> 梅雨明けの遅しと研げる菜包丁
夏蝶の馬場抜けてゆく昼下がり 東吾 添削> 夏の蝶しばらく馬場にあそびけり
百合の花気侭に瓶に定まらず みどり 添削> 瓶の百合気儘方向定まらず
海の色空に移して梅雨明ける 孝右 添削> 空の青海に映して梅雨明くる
SLに手を振る河原夏茜 登志子 添削> SLに手を振る夕焼河原かな
マニキュアに余念無き娘や水中花 すずかぜ
ご贔屓の熱帯魚いて喫茶店 かのこ 添削> ご贔屓の熱帯魚訪ふ喫茶店
山裾に敷きつめられし青田かな とろうち 添削> 山裾と青田のけじめなかりけり
親鸞の錫杖つたふ梅雨雫 敬介
神の森今蝉時雨のただ中に はく子 添削> 神の森つんざくばかり蝉時雨
稿書き終へたる夜のビールかな はるを 添削> 脱稿の心おきなくビール干す
鼎談や金魚一匹ひるがえる 皐月 添削> 鼎談や机の上に金魚玉
単線の鉄路真っ直ぐ青田風 たか子
帰省の子ちから仕事の待ってゐし 和華 添削> 帰省子にちから仕事の待ってゐし
青田風大樹に子らの秘密基地 みすず 添削> 大夏木隠れに子らの秘密基地
古風鈴舌取り替えて風を聞く 嘉一 添削> 古風鈴舌取り替へて生き返る
青空の戻りし公園蝉時雨 きみこ 添削> 蝉時雨一朶の雲も見あたらず
子どもらの眼の先に蝉脱皮 たか 添削> 子どもらの注目あびて蝉脱皮
鎮魂の石文仄か木下闇 千衣 添削> 鎮魂の石文を読む木下闇
睡蓮の水面に余白ありて雲 満天 添削> 睡蓮の水面の余白雲進む
一矢射る静寂涼し白袴 花茗荷 添削> 白袴涼し一矢を射る構へ
ひぐらしの坩堝となりし宿に着く 光晴 添削> ひぐらしの坩堝となりし札所道
フルートの音色の透けて夜の秋 明人 添削> フルートの澄みし音色や夜の秋
天井の染みの一点蜘蛛動く たか子 添削> 天井の染みにはあらず蜘蛛動く
草刈機草の匂を撒き散らし 浪漫
日盛りを戻りて外す腕時計 初凪
初浴衣携帯電話首に提げ 国子
話しても詮無いことかビール飲み たか 添削> 話しても詮無いことよビール干す
背番号もたぬ球児や夏燕 正人 添削> 背番号もたぬ球児も玉の汗
アロハシャツ着て旅行社の社員かな 羽合 添削> 旅行社の社員と見たるアロハかな
老いてまた母との暮らし新茶汲む たか子
冷麦の流れに箸をとられけり あすみ
屹立すビルの間の西日かな 吉よし 添削> 屹立すビルを貫く西日かな
石ころの山に駒草よみがえり 秀昭 添削> 石ころの山に駒草健気なり
一湾を泳ぎきりたる息荒し 初凪
見えを切り武者迫り来るねぶたかな 青菜
船べりに火の粉爆ぜ来る鵜飼かな みすず 添削> 火の粉爆ぜ船べり焦がす鵜飼かな
尺とりの一の字への字くの字かな きお 添削> 尺とりの一の字への字くりかへし
山の湯の瀬音に競ふ夕河鹿 敦風 添削> 山の湯の瀬音に和する夕河鹿
迎火の炎なびけり夕まぐれ 光晴 添削> 迎火の炎わななく夕まぐれ
ドイツ産風鈴の響持ち帰り 知津子 添削> ドイツ産なりし風鈴よく鳴りぬ
辿り着く天守の窓や雲の峰 登志子 添削> 天守窓より外(と)を見れば雲の峰
廃業の米屋の名ある団扇かな 国子 添削> いまはなき米屋の屋号古団扇
通りまで機の音する町薄暑 みつ穂 添削> 通りまで機の音洩る町薄暑
緑陰に濃淡のあり天城越え はるを 添削> 万緑に濃淡のあり天城越え
毎年よ梅雨がこんなに長いのは 文義
夜の秋や燭ひきよせて方丈記 明人 添削> 夜の秋燭ひきよせて方丈記
鉦の音をまといてくぐる茅の輪かな 紘美
梅雨荒れて激しく濡らす禅の寺 秀昭 添削> 荒梅雨にしとど濡れをり禅の縁
通勤の靴に踏まれし落し文 てるこ 添削> 通勤の道に拾ひし落し文
夕立の一粒ごとのクレーター しゅん 添削> クレーターめく夕立の池の面
雨だれに遅速のありぬ梅雨きのこ 浪漫 添削> 雨だれの音に遅速や梅雨の堂
花嫁のベールに付き添ふ夏の蝶 和華 添削> 花嫁のベールに蝶の来て遊ぶ
よく笑う皺も日焼けの行商婦 こころ 添削> よく笑ふ日焼けの皺の行商婦
銭湯の名は極楽湯梅雨晴間 草根
不意打ちの雷神しばし暴れけり いさお 添削> 不意打ちの雷鳴に肝つぶしけり
手花火をぐるりと囲む膝小僧 青菜
蕉門の並びし句碑や川とんぼ 清 添削> 蕉門の句碑に来て群る川とんぼ
端居して長き夜汽車を見てをりぬ 記代 添削> 夜汽車の灯長しと思ふ端居かな
梅雨空の赤い点滅ビル工事 江斗奈
二三日見ぬ間くちなし錆びてをり よし女
旅人も仲間入りせし夏芝居 千春 添削> 旅人もゲスト出演夏芝居
玄関に風の道あり麻暖簾 こう 添削> よき風の通ふ玄関麻暖簾
雲間より日矢射込まれし梅雨の杜 光晴 添削> 雲間より一条の日矢梅雨の晴
弥陀佛の一重の瞼月涼し こころ 添削> 弥陀佛の一重瞼に月涼し
信濃路や雨に散り敷くえごの花 みすず 添削> えごの花雨に散り敷く信濃かな
外っ国の人を囲みて床涼み みつ穂
競艇の波うねり来る水澄 たか子 添削> 競艇の波鎮まりて水澄
炎帝や義務づけられし講習会 きみこ 添削> 梅雨憂しや義務で参加す講習会
鉾立ての町に禊ぎの通り雨 清 添削> 立ちならぶ鉾に禊ぎの通り雨
少年に秘密基地あり草いきれ とろうち 添削> 腕白の秘密基地あり草茂る
屋久杉のテーブル置かれ夏座敷 康子 添削> 屋久杉の大テーブルや夏座敷
七夕の少女の夢や宝塚 公二 添削> 星の竹少女の夢はヅカガール
挨拶に慌てて外すサングラス 彰初
夏山へ花の図鑑を携へし 登志子 添削> 夏山へ植物図鑑携へて
端居して産まれ来る子に思ひ馳せ 康子 添削> 出産の予定日数ふ端居かな
退院の声受話器より風凉し こう 添削> 退院を告げる電話の声涼し
遠雷のそのまま遠くなりにけり 浪漫
七夕竹大きく飾る消防署 ななえ 添削> 消防署大き七夕竹吊す
明日手術窓辺に置きし水中花 あすみ 添削> 手術待つ不安な日々よ水中花
梅雨茸の突如と伸びし散歩道 千衣 添削> 散歩道こんなところに梅雨茸
紫陽花の先もあぢさゐ磴上る よし女 添削> 紫陽花またあぢさゐ磴はなほ続く
奔湍に研がれて磊磊鮎の川 菜々 添削> 磊磊の河原を走り鮎を釣る
夕凪や影絵と見ゆる舟の跡 敦穂 添削> 夕凪や影絵のごとく舟行き来
山門の前もうしろも濃紫陽花 よし女 添削> 山門を虜としたる濃紫陽花
ホールへと繋がる緑陰コンサート 満天 添削> 緑蔭を縫ひコンサートホールへと
もてなしの訛やさしき夏料理 清 添削> もてなしの訛郷土の夏料理
忽然と山霧のぼる峠かな 好夫 添削> 忽然と山霧つつむ峠かな
朝市の茣蓙に転がる西瓜かな 秀昭 添削> 朝市の茣蓙に転がる大西瓜
青竹のしなりて梅雨の深さかな まこと 添削> 竹林のうなだれて梅雨深きかな
七夕の笹のてるてる坊主かな かのこ 添削> 七夕の笹にてるてる坊主吊る
白日傘語尾やはらかき京ことば ゆき子 添削> 白日傘口ほころべば京ことば
鐘涼し人間ドック良と出て 大門 添削> 夕端居人間ドック異常なし
噴水の力尽きたる如終はる とろうち 添削> 噴水の力尽きたるごと止まる
三絃の音いろ涼しき町家かな みつ穂 添削> 三味の音の漏れて涼しき町家かな
海開宝探しにみな走る 一尾
眼を病みて梅雨の憂鬱倍加せり 後夢 添削> 眼を病みてより憂さつのる梅雨籠
身の丈の草刈り倒す古戦場 ふみを
大阿蘇の伸びゆく勇姿雲の峰 二青 添削> 大阿蘇を凌がんと立つ雲の峰
洗う菜の中に見付けし蝸牛 ももこ 添削> 洗ふ菜の中より出でし蝸牛
菖蒲園江戸伊勢肥後と明記して 孝由 添削> 菖蒲園江戸伊勢肥後と分かちけり
真夜煌と灯る書肆あり梅雨長し はく子 添削> 煌々と昼を点せり梅雨の書肆
校庭のにはたづみにも雲の峰 とろうち 添削> 雲の峰立つ雨跡のにはたづみ
郭公や翳をかすかに周防富士 よし女 添削> 遠郭公影法師めく周防富士
名水を汲みし峠の夏木立 清 添削> 名水の汲場(くんば)へ辿る夏木立
老夫婦氷菓を口に野良休み みすず 添削> 差し入れの氷菓を口に野良休み
潮風にオリーブの花匂いけり けんいち 添削> 潮風にオリーブの花匂ひいけり
夏蝶の睦み合ひつゝ虚空へと 文義 添削> 蝶縺れつつ虚空へと高舞へり
瀬戸の島何もかも消え梅雨深し よし 添削> 島影の一つも見えず梅雨深し
月見草帰りを急ぐ夜勤明け 千春 添削> 月見草夜勤を終へて戻る道
鮎の字が躍る暖簾をくぐりをり 蒼
写真撮る夫に傘差す菖蒲園 孝由
風の道見つけ床几の夕端居 六郎太 添削> よき風の通ふ床几や夕涼み
漣の青山揺らしゐたりけり はるを 添削> さざ波の湖に青嶺の揺れやまず
言ひ勝ちて虚しき夜の冷やし酒 敬介
半夏生野良着干しある深庇 紘美
カルストの丘にわき立つ夏の雲 よし女 添削> カルストの丘にわき立つ雲の峰
結い髪の下向くときや首凉し 登美子 添削> 結い髪の俯くうなじ凉しけれ
遠河鹿聴きたるよりの夕ごころ 明人 添削> 遠河鹿聴こえてきたる夕ごころ
虹出でて我の門出を祝うかに 二青 添削> 虹立ちて主の祝福と思ひけり
拭きあげし梅雨の畳に風通る こう 添削> 拭きあげし梅雨の畳に風通ふ
酒蔵の広き三和土の梅雨じめり はく子
島路地や軒下低く枇杷熟るる さなえ 添削> 島の路地軒より低く枇杷熟るる
緑陰を出で快走のモノレール のぶお 添削> 緑陰のトンネルくぐるモノレール
風鈴に促され立つ夕支度 かのこ
剥落の仁王の目玉青嵐 紘美
湖渡る風に玉解く芭蕉かな 清 添削> 湖からの風に玉解く芭蕉かな
絵てがみの梅雨の雫と共に来ぬ 茜 添削> 梅雨じめりして絵てがみの届きけり
紫陽花の弾みて雨を浴びにけり りんご 添削> 紫陽花の弾みて雨をとばしけり
万緑を一跨ぎするアーチ橋 みち女 添削> 万緑の渓一跨ぎアーチ橋
青梅雨の水輪かさねるダム湖かな まこ
久々の晴れ間眩しや梅実採り 国子 添削> 葉洩れ日の目つぶしにあひ梅実採る
病む母の背をさすりては三尺寝 ゆうこ
五月雨にけぶれる須磨の松林 敦風
両頬にトマトあてがふ子の笑顔 敬介
老鶯や部屋に山の名つけし宿 きお 添削> 部屋名に山の名つけし避暑の宿
反り返り打つ大太鼓玉の汗 茜 添削> 玉の汗反り返り打つ大太鼓
昼顔に夕べの雨の走りけり 和華 添削> 昼顔に夕べの雨の珠しづく
海までの一本道や青田波 もとこ 添削> 海へ落つ一本道や青田波
湖を讃える句碑や合歓の花 志朗
夏霧に落葉松林濡れゆけり みすず 添削> 夏霧に濡るる落葉松林かな
踏み減りし磴百段や著莪の花 紘美
銀閣寺かえで青葉の内にあり まこと 添削> 雲のごとかえで青葉や銀閣寺
夕立の吾も菩薩も堂の中 こころ
回廊の足裏重たき梅雨じめり 芹菜
落人の里に拾ひし落文 志朗
梅雨の鳥せわしなく啼き交わしけり 秀昭 添削> かわかわと啼き交わしけり梅雨鳥
はたた神厨の手元鈍りをり みどり 添削> 雷鳴に厨の手元鈍りけり
葉桜の影揺れやまず志士の墓 よし女
遠花火一休みして音の来る 青菜 添削> 一休みして音の来る遠花火
相槌を打つたび日傘回しけり てまり 添削> 相槌を打ちつつ日傘回しをり
葭切や近江の郷の手こぎ舟 もとこ
梅雨寒やホスピス棟の昼灯 こう
訪ふ家のめやすは高き凌霄花 我風
羅にシートベルトの固さかな 茂樹 添削> 羅にシートベルトの固きかな
片べりの靴の馴染みし街薄暑 たか子 添削> 片べりの靴をひきづる街薄暑
吊り橋の万緑三百六十度 紫樹 添削> 吊り橋に万緑三百六十度
青芝に大樹の影の濃かりけり みつ穂
合歓の花山路のひかり集め咲く よし女 添削> 合歓咲いて山路の光集めをり
風鈴や縁切寺の昼下り 大門
夕焼けの空に居並ぶ高炉の火 こころ 添削> 夕焼けの空に舌出す高炉の火
釣宿の冷へし麦茶の大薬罐 好夫 添削> 釣宿に冷へし麦茶の大薬罐
春蝉のいづこに鳴くや松林 とろうち 添削> 松林いづくともなく春の蝉
青葦のさわわさわわと波返す のんたん 添削> さわさわと波打つ風の青葦原
露草の一輪咲きし朝の駅 千稔 添削> 露草の一輪活けし朝の駅
夏潮の満ちて渡しの小桟橋 初凪 添削> 青葉汐洗ふ渡しの小桟橋
白き壁のチャペルの庭に濃紫陽花 公二 添削> 白壁のチャペルに映ゆる濃紫陽花
ラムネ飲む何度も玉を響かせて こころ
黒雲の速き流れや朴の花 さなえ
原爆碑かたわらに蛇衣脱ぐ やす子 添削> 蛇の衣原爆慰霊碑のそばに
梅雨出水水無し川の逆巻きて とろうち
深呼吸梅雨の晴間の茜空 一尾
吊り橋のゆれて万緑傾けり りんご 添削> 吊り橋のゆれて万緑傾ぎけり
鉄塔の雲を突き刺す梅雨曇 やじきた 添削> 梅雨曇を貫いてをる送電塔
瓶に挿す紫陽花の向き決められず 孝由 添削> 瓶に挿す紫陽花の向き定まらず
夏の月海を向きたる流人墓 大門 添削> 月涼し海へ向きたる流人墓
橋の下あたりもっとも蛍の火 はく子 添削> 橋の下あたりもっとも蛍群れ
挨拶も大声になる滝見茶屋 かずひと 添削> 大声で挨拶交はす滝見茶屋
森しずか時鳥二度啼きにけり 秀昭 添削> 時鳥森の静寂を破りけり
年問へば指三本の藍浴衣 茂樹 添削> 年問へば指が三本藍浴衣
離農して捨てられし畑草茂る 二青 添削> ここもまた離農の荒地草茂る
大仏の御手の上にも花楝 光晴 添削> 大仏の御手にこぼるる花楝
植田はや千畳敷の青畳 康子
一晩を盥ですごす金魚かな とろうち
風にゆれ寄る辺を探す瓜のひげ 青菜 添削> 風にゆれ寄る辺を探す瓜の蔓
朴の花峠に朝の風生まれ 明人 添削> 朴の花谷より風の吹き上げ来
神杉に添ひて高舞ふ夏の蝶 光晴 添削> 神杉の天辺めざす夏の蝶
残りたる明治の家並吊忍 蒼 添削> このあたり明治の家並吊忍
梅雨空へ無聊の煙草燻りけり 浪漫 添削> 梅雨空へ無聊の煙草燻らせて
みなもとは那智の大滝田水張る 菜々
水底のかすかにゆるる泉かな とろうち 添削> 水底に砂噴いてをる泉かな
格子戸の磨き抜かれし路地涼し みつ穂
吊橋は峡の入り口ほととぎす 志朗
街薄暑化粧崩れしピエロ坐す 明人 添削> 片蔭に化粧をなほすピエロかな
店ごとに違ふ黴の香古書の街 ふみを
反骨の齢重ねて冷奴 茂樹 添削> 反骨と言はれしは過去冷奴
風鈴のはずされ通夜の始まりぬ 美津子 添削> 通夜の間の風鈴そっとはずしけり
明け易し夢に母来てすぐ帰る 志朗 添削> 亡き母と語る夢路は明け易し
本陣の古井戸隠す額の花 清 添削> 本陣の古井戸覆ふ額の花
後ろから妻に傘さす菖蒲園 ゆうこ
大橋がつなぐ島々灯の涼し みつ穂 添削> 島と島つなぐ大橋灯涼し
父の日や椅子の凹みも在りしまま 美津子 添削> 父の日や遺愛の椅子の在りしまま
風鈴の釘のゆるびし旧居かな 初凪
恋蛍吐息のやうな光かな りんご 添削> 恋蛍吐息のやうに光りあふ
みんな抱き決まらぬ西瓜選びかな ゆうこ
父の日や止まりしままの銀時計 としあき 添削> 父の日や止まりしままの腕時計
雲のベール稜線へあげ梅雨晴間 満天 添削> 稜線に残る雲あり梅雨晴間
参道の傘のふれあう濃紫陽花 芹菜 添削> 参道に傘のふれあふ濃紫陽花
打ち水の門前町の奥深し 我風 添削> 打ち水の門前町の路地長し
降る雨に艶競いをる花菖蒲 豪敏 添削> 降る雨に艶競ひをる花菖蒲
青春の思ひ出多き黴の辞書 二青 添削> 青春の思ひ出募る黴の辞書
雨だれがあまだれ誘ふ楠青葉 よし女 添削> 連鎖して落つ大楠の梅雨しずく
人生の日々が安居と思ひけり 泉
濯ぎもの寄せて玉葱吊るしけり りんご 添削> 玉葱を吊る濯ぎもの片寄せて
夕凪や千の島みな動かざる つとむ 添削> 夕凪や俯瞰の島嶼動かざる
尖塔はワイン工場ほととぎす 朝子
鮎に塩備長炭のはぜる音 茂樹 添削> 鮎を焼く備長炭のはぜる音
放牧の馬遠くあり大夏野 和華 添削> 放牧の馬のちらばる大夏野
雲間より爆音漏れる梅雨晴れ間 てるこ 添削> 雲間より飛機の音洩る梅雨晴れ間
香水の残り香漂ふ試着室 孝由 添削> 香水の残り香匂ふ試着室
揚げ幕の音も涼しく開けらるる 初凪 添削> 引く音の涼しく幕の揚がりけり
山又山柳生の里の菖蒲園 きみこ 添削> 山深き柳生の里の菖蒲園
明石蛸隣る魚屋へ遁走す あかね
走り根の縦横無尽木下闇 みつ穂
石鹸の匂ひほのかに藍浴衣 りんご
梅雨の愚痴ふたこと三言検針婦 志朗
梅雨晴れ間鴉の騒ぎ何かある 文義 添削> 梅雨晴れ間鴉の騒ぎをるは何
[選評]
ここ数週間、選をしていて、少し気になったことがあるので、
日記に書いておきました。
http://gospel.cside2.com/diary/#i1
弟に袖掴まれて蛍狩り 文義
麦秋の夕映え長き讃岐富士 菜々
万緑へ吸い込まれゆくローカル線 紘美 添削> 万緑の底ひを走るローカル線
とりどりのばらの鉢置き農機具屋 よし女 添削> 手すさびの薔薇の鉢置く農機具屋
白日傘せり上がり来る坂の町 文義 添削> 白日傘せり上がり来る坂の上
麦笛や祖母のおはこの在所唄 大門
ジャズの音の窓より漏るる薄暑かな やじきた 添削> ジャズの音の窓より漏るる避暑ホテル
一服や代田に足を入れしまま よし女 添削> 一服す代田に足を入れしまま
神杉の走り根に咲く苔の花 国子
葭切の静かなる日や雨催ひ 志朗
紫陽花の毬に囲まれ六地蔵 康子
老鶯や迷路のごとき千枚田 初凪 添削> 千枚田迷路のごとき畦涼し
早苗田に柔らかき雨降り続く きみこ
臥す父に今年の螢見せにけり 明日香 添削> 臥す父に籠の螢を見せにけり
干し物の入れる間もなき雷雨かな 敬介 添削> 干し物を入るる間もなく雷雨急
紫陽花や港の見える丘の道 輪三 添削> 濃紫陽花港の見える丘の道
鯔跳ねてしまえば湖のまた平ら てまり 添削> 鯔はねし波紋広がる湖鏡
紫陽花の磴を下りて由比ガ浜 のぶお 添削> 紫陽花の磴ふりむけば由比ガ浜
街薄暑どどどと人の渋谷かな 初凪 添削> 人波のどっとあふれし街薄暑
滝壷の不動明王苔生して 登美子 添削> 滝しぶく不動明王苔生して
痩せてなほ気骨を捨てず衣替 茂樹 添削> 老いてなほ気骨は捨てず衣替
巣燕の営む交番今日も留守 孝由 添削> 派出所はいつも空っぽ燕の巣
天空に水湧き出でし那智の滝 千衣 添削> 天空に湧き出づるごと那智の滝
雷光の一太刀速し夕まぐれ 花茗荷 添削> 雷光の一太刀したる高嶺かな
廃線の径かたばみに彩られ みち女 添削> 廃線の径かたばみに覆はれて
ふれ会ふて音の涼しき江戸切子 りんご
体重計もて青梅を量りけり とろうち 添削> 梅量る体重計もかり出され
リストラをひと時忘れ飲むビール 千春 添削> リストラに負けじと闘志ビール干す
[選評]
最近、新入会の方の作品が急増していますが、取り合わせの句が多く
しかも季語の動くケースが目立ちます。
GHで初めて俳句を学ぼうとされる方は、まず客観写生から始めてください。
毎週句会の作品を毎日句会へ再投句するのは、原則として禁止しています。
一度、みのる選に入った作品を別の句会に再投句されることも論外です。
GHの句会は、成績を競い合うゲームではなく、正しい俳句、本物の俳句を
真剣に追求する場です。どうぞ主旨をご理解ください。
シャガールの空の青さへ草矢打つ 明人
ゆるやかに束ねし髪や藍浴衣 茜 添削> 髪長きポニーテールや藍浴衣
端居して明日嫁ぐ娘と肩寄せて あすみ 添削> 明日嫁ぐ娘と肩ならべ夕端居
薫風へ開け放ちをり一軒家 皐月 添削> 薫風へ窓開け放つ一軒家
夏山に吸い込まれ行くロープウェイ きみこ 添削> 万緑に吸い込まれ行くロープウェイ
賑やかに一家総出の田植かな とろうち 添削> 小田植うる一家総出と見たりけり
団欒の笑ひ漏れくる簾かな 清
緑陰に陶土の白く乾きをり やす子 添削> 陶白く乾きつつあり樹下涼し
カーブミラー山紫陽花がおおひけり さなえ 添削> 道路鏡隠す紫陽花銀座かな
カルストの草原滑る夏つばめ いさお 添削> カルストの草原掠め夏つばめ
胡座して初孫寝かす古団扇 豪敏 添削> 胡座して初孫寝かす団扇かな
潮の香に目覚めし夜半の月凉し 菜々 添削> 潮騒に目覚めし夜半の月凉し
大手門罷りとほりし夏の蝶 好夫 添削> 大手門罷りとほるは黒揚羽
大海原窓の向ふに明易し はく子 添削> 海原を隔つ大玻璃明易し
尼寺を訪ふ夏萩の小径かな みつ穂
枕辺にミニカーいくつ昼寝の子 りんご 添削> 枕辺にミニカー並べ吾子昼寝
鮎解禁休診と出す村の医師 美津子 添削> 鮎解禁なれば休診老村医
梅雨晴れ間あわてて動く洗濯機 青菜 添削> 梅雨晴れ間フル回転の洗濯機
夕薄暑人の寄り来る橋の上 ゆきえ 添削> 夕涼し人の寄り来る橋の上
浮き草の隙間すきまを雲流る まや 添削> 浮き草の進むにあらず雲流る
豆飯の炊けしと妻の声匂ふ 明人 添削> 豆飯の炊けしと妻の呼びにけり
サーファーも夕日に染まる日本海 花茗荷 添削> サーファーら影絵となりて夕落つ
無人市曲った胡瓜堂々と 孝右 添削> 無人市曲った胡瓜ばかりなり
囀りや廟への門扉くぐるとき 紘美 添削> 囀れる御廟の門をくぐる吾に
老鶯や磴は靄ごめ常濡れに 菜々
蝉時雨摩文仁の丘の平和の碑 草根 添削> 蝉時雨摩文仁の丘の平和碑に
万緑や金と銀あり有馬の湯 きみこ 添削> 万緑に金泉銀泉有馬の湯
草笛や懐メロのみの演奏家 好夫 添削> 草笛の上手懐メロ次々と
青蔦に濃く絡まれて廃旅館 よし女 添削> 廃墟なるホテル青蔦まみれなる
ほととぎす落人と聞く峡の家 りんご 添削> 落人の棲みし里とやほととぎす
蜘蛛の囲の中の出来事見ていたり 登美子 添削> 蜘蛛の囲の大捕物を見てゐたり
雨に濡れた紫陽花の首重たそう 楽楽 添削> 雨溜めて首うなだるる濃紫陽花
あめんぼう田に浮く雲にとび乗りぬ 文義 添削> 雲に乗るごとくに小田のあめんぼう
風薫るへの字くの字の千枚田 六郎太 添削> 千枚田への字くの字に畦涼し
湖畔行くボンネットバス夏の富士 とろうち 添削> 富士湖畔ゆくボンネットバス涼し
控へめに席譲る子の夏帽子 敬介 添削> 控へめに席譲る子の笑み涼し
薫風やどの窓からも八ヶ岳 大門 添削> 館涼しどの窓からも八ヶ岳(やつ)見えて
頂へ六根清浄雲の峰 茂樹 添削> 杖涼し六根清浄唱へつつ
嫁ぐ日の近きひと日の洗い髪 文月 添削> 嫁ぐ日の決まりし髪を洗ひけり
夏座敷乳足りし子の欠伸かな りんご 添削> 口涼し乳足りし子の欠伸かな
夕富士や鳴き渡りゆくほととぎす まや 添削> 夕富士へ鳴き渡りゆくほととぎす
白玉や母のわがまま聞き流し 茜
五月雨や葉書に癌の滲む文字 公二 添削> 梅雨寒し葉書に滲む癌の文字
茶室への路地の明るし柿若葉 もとこ 添削> 柿若葉茶室への径明るううす
光り合う青田の波の米どころ 和華 添削> 青田波輝くここら米どころ
軋む砂踏みしめてゆく素足かな ひろみ 添削> 鳴き砂の浜を散歩す素足かな
走り梅雨蔵の内戸の重かりし 茂樹 添削> 梅雨暗し蔵の内戸の重かりし
打ち水の人待つ心鎮めをり 花茗荷 添削> 待ち人の遅しと水を打ちにけり
夏シャツや男もすなるネックレス ほとり
盛り塩の一角崩る走り梅雨 みつ穂
十薬や朽ちし坊舎の暮れ残り 国子 添削> 十薬や朽ちし坊舎の一隅に
怪獣の水中戦や浮いて来い 公二 添削> ミニ怪獣でんぐりかへる浮いて来い
沖合いに増える漁火夏めきぬ てまり 添削> 漁火の沖に増えゆく涼しさよ
金魚吐く泡に言の葉あるように きお 添削> 金魚吐く泡(あぶく)に言葉あるごとし
また覗く郵便受と燕の子 志朗 添削> また覗く郵便受と巣の燕
せせらぎも話も馳走夏料理 りんご 添削> せせらぎの奏づがよろし夏料理
藤棚は監督席や草野球 かずひと
万緑の中の丹の橋鏡池 とろうち 添削> 池涼し丹塗りの橋を映したる
じゃがいもの花の向こうに無人駅 清 添削> じゃがいもの花の中なる無人駅
病む母の眠りの深し遠蛙 はるを
[選評]
初心者と上級者の選の違いは、季語(季感)の見極めにあります。
初心者は、視点の面白さだけで句を選んでしまいますが、
いくら内容がユニークでも季語の働き、効果が不十分な句は、
「季感が動いてしまう」ので採れないのです。
今週は特に、苦しまぎれに季語を取り合わせた句が多かったように思います。
添削を参考にしてくださって、
句を活かすための季語の斡旋ということを強く意識して、励んでほしいです。
せゝらぎに一息入れる薄暑かな 如風 添削> せゝらぎに一息入るる薄暑かな
草笛を吹きて別れをおしみをり 二青
合掌の日焼けの指の節くれて 初凪
百選の川より分けて植田水 志朗 添削> 百選の川より引きし植田水
蔀戸の全開にして堂涼し 満天 添削> 蔀戸を全開したる堂涼し
若竹の穂先しなやか天を掃く 桃子 添削> 若竹の風の穂天を掃きやまず
一人碁を打つ夫の背や走り梅雨 こう 添削> 一人碁を打つ夫の背や梅雨の縁
東屋の囲まれしさま蝉時雨 好夫 添削> 東屋の四方八方蝉時雨
出迎えの母に駆け寄る夏帽子 千春 添削> 母見つけ笑みのこぼるる夏帽
蝶とまるブルドーザーのつめに来て もとこ 添削> 蝶とまるブルドーザーのつめの先
たそがれて河骨力ぬきにけり 我風
バス停に人待ち顔なるたち葵 水季 添削> バス停に人待ち顔のたち葵
髪あらふ昨夜の諍い悔ひながら りんご
かがり火の影の深さや薪能 つとむ
顔中を口にして鳴く燕の子 駒鳥
子燕や創業明治の紙問屋 ふみを 添削> 子燕や創業明治てふ老舗
手捻りの茶碗いびつに新茶くむ はく子 添削> 手捻りのいびつの茶碗新茶くむ
坪庭は十字の花に占められて ななえ 添削> 坪庭を埋めつくして十字花
タンカーとも島とも見えて夏霞 かずひと 添削> タンカーと見えしは島や夏霞
草笛を吹いてみたくて紅ぬぐう 初凪
夏つばめ駄菓子屋は戸を開けしまま 大門
ワタスゲの白より生まる山の霧 すずかぜ
花つきし百円市の胡瓜かな りんご
千枚の千の縞目の植田かな よし女 添削> 千枚の網目模様の植田かな
崖清水コップに紐のついてをり まや 添削> 崖清水紐付きコップ吊しあり
椎の香や腐葉土つづく散歩道 千衣 添削> 椎香る腐葉土深き散歩道
なめくじら曇りガラスの裏に居る としあき
石段が芝居の席や若葉風 きお 添削> 石段を芝居席とす若葉風
紫陽花を生けてお部屋を明るくす 楽楽 添削> 紫陽花を生けてお部屋を明るうす
新緑に溶け込む子等の写生会 孝由 添削> 新緑に画架をたてたる豆画伯
見得を切る眉根涼しき立役者 初凪
孫に手をひかれて辿る蟻の道 文月
昼顔や浜いっぱいに網を干す 登美子
鮎釣りや川幅ほどの竿を振り かずひと 添削> 鮎を釣る川幅ほどの竿を振り
十薬の仄明かるさや女人堂 国子 添削> 十薬の仄と明かるし女人堂
ともに古希仲睦まじく新茶酌む 敬介
バラ園の百彩香る百世界 こころ 添削> 百彩の競演なりしバラの園
医に通うだけの外出更衣え てるこ
潮騒を背に千枚の田植終ふ 満天 添削> 潮騒を背に千枚の田を植うる
草むらへ逃げ足速し蜥蜴の子 太井 添削> と見る間に草むらへ消ゆ蜥蜴かな
水芭蕉木道いまだ濡れそぼつ 好夫
夏草に影を貰いて辻地蔵 廣美子 添削> 夏草の丈に隠るる辻地蔵
荒彫の円空仏や青時雨 美津子
懐かしき山野草あり苗木市 ゆうこ 添削> 山野草コーナーもある苗木市
由緒ある青磁の壺や夏館 和華 添削> 夏館青磁の壺に謂れあり
忘れ物思い出すかに蟻戻る 初凪 添削> 忘れものらしき踵をかへす蟻
新緑の小道いつしか城山に 菜々 添削> 新緑の小道を縫ひて城山へ
再会の友と一つの日傘かな ゆき子 添削> 日傘さしかけて再会喜びぬ
筆擱きてしばし聴きおり遠郭公 こう 添削> 筆擱きて遠郭公を聴きにけり
緑陰に看護婦帽子見え隠れ みち女 添削> 緑陰に見え隠れすはナース帽
木々の影ゆするあまたの水馬 よし女 添削> 水馬群れて樹影の揺れやまず
緑陰の砂に絵を描く子供かな とろうち 添削> 緑蔭の砂に漫画を描く子かな
新樹光古刹の手水溢れをり まこ
風涼しければ一駅歩きけり みつ穂
札所までせせらぎの道花うばら りんご
石のみの国分寺跡の楠青葉 まこと 添削> 楠若葉七道伽藍礎石のみ
原爆の死没者名簿風通す ななえ 添削> 祈りつつ被爆者名簿風通す
本陣の廃屋のあり蔦茂る 康子 添削> 廃屋となりし本陣蔦茂る
ことごとく水玉となる薔薇の雨 志朗
日暮れれば前も後ろも蛙の田 とろうち 添削> 日の落ちて前も後ろも蛙の田
早苗饗の二間打ち抜き始まれり つとむ
紫陽花の渡り板続く露天風呂 あすみ 添削> 紫陽花の小道を辿り露天湯へ
外つ国の人も混じりて鵜飼舟 駒鳥 添削> 外つ国の人も同舟鵜飼舟
踊りいるからくり時計町薄暑 みつ穂 添削> 踊りだすからくり時計町薄暑
蔓手毬仁王の足をくすぐりぬ 美津子 添削> 蔓手毬仁王の足に触れにけり
楠大樹トトロの出そうな木下闇 はく子 添削> トトロ出てしさう大樹の木下闇
竹落葉金の短冊舞ふごとく 菜々 添削> 短冊の錐もむごとく竹落葉
ほととぎす蔵にのこれる家の紋 はるを 添削> 古蔵に残る家紋やほととぎす
宵にきて女神輿の荒ぶれり こころ 添削> 夕づきて女神輿の荒ぶれり
薫風や梁を組みゐる槌の音 茂樹 添削> 谺すは梁を組みゐる槌の音
代掻きの棚田を染めて夕日落つ 花茗荷
はまなすに降りみ降らずみ梅雨兆す 桃子
山霧をまとい尾根来る登山靴 すずかぜ 添削> 山霧をまとい尾根ゆく登山靴
山影を映して植田水鏡 我風 添削> 山襖映す植田の水鏡
老鶯や古刹の鐘の遠のきて 好夫 添削> 老鶯や古刹の鐘の遠こだま
払暁の大気を裂きて雉鳴けり とろうち 添削> 払暁のしじまを裂きて雉(きぎす)鳴く
衣更へて母はいよいよ子に返る 菜々 添削> 童心に返る老母や更衣
湯けむりも青葉に染まり山の里 文月 添削> おちこちに湯げむりあがる里若葉
薫風や寺に寄進の札下がり まや 添削> 薫風や寄進の札の鈴なりに
裏道は誰にも会はずしゃがの花 志朗 添削> ひとけなき林道しゃがの花に会ふ
庭を掃く白寿の母の夏帽子 豪敏
しばらくは手に這わせをり天道虫 てまり
山若葉見上げて拝す磨崖仏 よし 添削> 盤石の磨崖仏や山若葉
何事か交信しつつ急ぐ蟻 和華 添削> 何事か交信しつつ蟻の列
夜濯や木屑の匂ふ作業服 りんご
あの人のこの人の顔蕗を煮る 理青
万緑に呑み込まれたる登り窯 茂樹 添削> 万緑に立ちし煙は登り窯
薫風と山の吊橋渡りけり 志朗 添削> 大吊り橋渡る一歩に風薫る
旧道の家並は低し軒つばめ 我風 添削> 軒低き家並みの路地やつばくらめ
山頭火像の伏し目や麦の秋 よし女 添削> 山頭火像に展けし麦の秋
菖蒲園静かに人のふえて来し みつ穂 添削> 菖蒲園そぞろに人のふえて来し
宿坊の厨の湯気や走り梅雨 とろうち 添削> 宿坊の湯気たちのぼる走り梅雨
簾なす三段の滝の音色かな はく子 添削> 簾なす三段折れの滝しぶき
娘らの話の尽きぬソーダ水 登美子 添削> 姦しき娘らのテーブルソーダ水
夏祭り父母なき家に来てあそぶ りんご 添削> 夏祭り父母亡き家に来てあそぶ
老鶯や霊峰雲の湧くところ はるを 添削> 老鶯や霊峰に雲湧くところ
緑陰や白磁観音半眼に ななえ 添削> 緑陰の白磁観音半眼に
雨の夜の明けて野山に青葉冴ゆ 羽合 添削> 青葉映ゆ一夜の雨に洗はれて
茂りから顔出す子等や秘密基地 まこ 添削> 子供らの秘密基地なる茂りかな
薫風裡陶の狸の並ぶ寺 光晴 添削> 薫風裡立ち並びたる陶狸
夏野へと高ぶる犬を放ちけり まや 添削> 夏野へと昂る犬を放ちけり
不揃ひの磴を狭めて手毬花 敦風 添削> 細き磴さらに狭めて手毬花
梅雨寒や診療室の軋むドア 茜 添削> 梅雨寒や診療室のドア軋む
初夏の波砕けて白き珊瑚礁 豪敏 添削> 夏汐の砕けて白し珊瑚礁
宵やみの迫る川面に鵜舟待つ 駒鳥 添削> 夕帳つつむ河原に鵜舟待つ
五月雨や埴輪の眸みな一重 我風 添削> 五月雨や埴輪に二重眸なし
五月雨や肩まで漬かる終い風呂 はちこ 添削> 梅雨寒し肩まで浸る終い風呂
緑陰や吹奏楽部女子ばかり あかね 添削> 緑陰に吹奏楽部集合す
丸太橋追ひ越してゆく夏の蝶 つとむ 添削> 夏蝶の我を追ひ越す丸木橋
鴬の声に目覚める朝かな 朝子
走り根にふとつまずきし木下闇 駒鳥 添削> 走り根になつまずきそ木下闇
夕日せに子ら歌ひつゝ夏野行く 和華 添削> 子ら帰る夕焼け空に歌ひつつ
梅雨曇り湿りの匂ふ堂巡る ミチコ 添削> 梅雨湿り匂ふ古刹の御堂かな
鍬の柄に掛けて小昼の夏帽子 良坊 添削> 鍬の柄に夏帽掛けて小昼どき
蕗を剥くマニキュア塗らぬ爪となり とろうち
あめんぼう一騎打ちする池の恋 登美子 添削> 相撃ちて一騎打ちめくあめんぼう
消防忠魂碑ある丘躑躅燃ゆ 光晴 添削> 躑躅燃ゆ丘に消防忠魂碑
露天風呂夕焼け富士の見えにけり 朝子
夏つばめスクランブルの交差点 浪漫 添削> 飛燕いまスクランブルす交差点
せせらぎを染めてゆらめく新樹光 菜々 添削> せせらぎを染めてゆらめく若葉影
途切れたる会話郭公つなぎけり ふみを 添削> 途切れたる会話郭公啼きにけり
峡青田四肢踏んでいる送電塔 国子 添削> 送電塔突っ立つ峡の青田かな
紫陽花の毬傾けて山の雨 ゆき子 添削> 紫陽花の毬傾けて法(のり)雨
神の庭白きたすきの草取女 みつ穂 添削> 神の庭白たすきなる草取女
新じゃがのつるりと剥けて弾みけり りんご
卯波立つ網を繕ふ海人の背に よし女
水田にも夜行列車の灯りかな とろうち 添削> 水田いま夜行列車の灯の走る
尺取がまず客となる森の卓 こう
落慶の安芸国分寺楠若葉 ななえ
点滴の窓に眩しき五月晴れ 桃子 添削> 点滴の窓に眩しき照若葉
夏草に細くなりゆく古道かな つとむ 添削> 夏草に隠れむとする古道かな
津軽いま白波たたむ花りんご すずかぜ
峡を縫ふ一両電車風薫る とろうち
ゆっくりと太極拳や風若葉 こう
堰杭に好みあるらし川蜻蛉 よし女
丸窓の若葉明かりや尼僧庵 みつ穂 添削> 丸窓に若葉影さす尼僧庵
干拓の碑を取り囲む植田かな りんご 添削> 干拓碑四方に展けし植田かな
緑陰に並べ客待つ人力車 きみこ
青蔦のからまる蔵の美術展 はるを 添削> 青蔦のからまる蔵は美術展
風わたり木立緑の万華鏡 はちこ 添削> 風騒ぐ樹海緑の万華鏡
虚子の句のこれと思ひし白牡丹 てまり
囀りに和して子の声森の口 れいこ 添削> 子供らの声に和すごと囀るぬ
山城を裾より攻める青嵐 ふみを 添削> 山城の裾狂ほしき青嵐
吊橋がつなぐ青葉若葉かな 青菜 添削> 吊橋がつなぐ青葉山と山
生れてすぐ風に乗りたる糸とんぼ あかね
山頂に展けし四方の風薫る 好夫 添削> 四方展けたる山頂に風薫る
筍に添えしレシピの置手紙 北山 添削> 筍に添えてレシピの置手紙
護摩堂の破れ太鼓へ春の蝿 さなえ 添削> 護摩堂の破れ太鼓に春の蝿
たらめかく二の腕に受くかすり傷 茂樹 添削> 二の腕に棘の傷受けたらめかく
三代で酌み交はしたる新茶かな とろうち 添削> 新茶酌む親子三代集まりて
懸り藤仰ぎて憩ふ茶店かな りんご 添削> 懸り藤指さされたる茶屋あるじ
若き嫁目深にかぶる田植笠 千春
水面揺れ代田に走る風の道 一尾 添削> 水面揺れ代田に走る風見ゆる
連なれる嶺々の夏霧逸りけり 好夫 添削> 連なれる嶺々夏霧の逸りけり
雨上がり風運び来る薄暑かな いさお 添削> 雨晴れて風心地よき薄暑かな
木漏れ日に光る時あり竹落葉 りんご 添削> 木漏れ日を翻しつつ竹落葉
全山の霊気滴る若葉かな とろうち
ほどけゆく飛行機雲や幟立つ かずひと
年輪を重ねし大樹夏館 千春 添削> 抽んでし松の大樹や夏館
同じ名の墓の並びし雪解村 きお 添削> 同じ名の墓の並びし雪間かな
薫風や木漏れ日綾なす陽のアート きみこ 添削> 木漏れ日の影の綾なす若葉道
この道は野草の宝庫夏帽子 我風 添削> この道は野草の宝庫夏木立
木洩れ日に抱き合っている道祖神 てるこ 添削> 緑蔭に抱き合ってをる道祖神
山々の緑綾なす吉野かな 明日香 添削> み吉野の緑綾なす山路かな
新品のタイヤで快走風薫る 草根 添削> 新品のタイヤ快調風光る
万緑の瀬しぶきあげるカヌーかな まこ 添削> 万緑の奈落にしぶくカヌーかな
葉桜や句会了へての停留所 満天 添削> 葉桜や句会帰りのバスを待つ
滝道を労り合ひて老夫婦 たけし
天文ドーム開く八十八夜かな れいこ
終点のなき縄電車風薫る ふみを 添削> 終点のなき縄電車山笑ふ
葉桜や上五隠れし虚子の句碑 東吾 添削> 葉桜に上五隠るる虚子の句碑
地図開くセールスマンや夏燕 ひろみ 添削> 地図開くセールスマンや路地薄暑
入院の仕度の中に走り茶も 蒼 添削> 入院の荷物に加ふ新茶かな
ハイウェィ代田に映る山河かな 登美子
髪洗ふ定期検診怖くあり かのこ 添削> 髪洗ふあしたは定期検診日
北国でまた出会いたる桜花 竹林 添削> 北国の旅の道ゆき余花に会ふ
煉瓦塀残る学舎に初燕 やじきた 添削> 煉瓦塀残る学舎燕くる
みづうみに逆さ富士あり野のあやめ まや 添削> みづうみに逆さ富士ありあやめ咲く
河鹿笛橋の半ばに聞きゐたり はるを 添削> 橋半ば歩をとどめたり河鹿笛
風吹けば傾きながら蝶の飛ぶ ななえ 添削> 吹く風のおもむくままに蝶遊ぶ
葉桜や今年も母の車押し かずひと 添削> 花は葉に介護の母の車押す
病室の窓開け放つ五月かな てまり 添削> 薫風へ病室の窓開け放つ
菖蒲湯に術後の快癒願いたり ていすけ 添削> 菖蒲湯や術後の快癒願いけり
花は葉に普請奉行の屋敷跡 よし女
雨やんで折れ線グラフの蝶の舞 六郎太 添削> 蝶の舞折れ線グラフめきにけり
初夏や糊のききたるナース帽 ゆき子 添削> 笑み涼し糊のききたるナース帽
鄙の寺葉桜闇を深めゆき 大門 添削> 葉桜の闇の深さよ鄙の寺
立ちくらみ覚ゆるほどの若葉光 桃子 添削> 立ちくらみ覚ゆるほどの照若葉
青嵐茶室にたぎる釜の音 青菜 添削> 青嵐茶室に釜のたぎる音
起きぬけの水の旨さや今日立夏 みつ穂 添削> 起きぬけの水の旨さや夏来る
潮干狩り股のぞきする顔に合ふ 国子 添削> 潮干狩り股のぞきする顔と顔
苔清水菩薩の頬に沁みゆけり やす子 添削> 苔清水菩薩の頬を濡らしけり
茄子苗の朝露置きて売られける 浪漫 添削> 茄子苗の朝露置きて売られけり
端午の日主客の眠る祝い膳 文月 添削> みどりごの寝顔端午の祝い膳
龍神の水の飛沫や青嵐 千衣 添削> 龍神のしぶきにしぶく青嵐
万緑や流れに竿をうち返す 茂樹 添削> 万緑の奈落の早瀬竿をふる
夕飯の主役はカレーこどもの日 りんご 添削> リクエストメニューはカレーこどもの日
山峡の村にはためく武者幟 桃香 添削> 山峡の村にひしめく武者幟
菖蒲湯や女結びの白き紐 敦風 添削> 菖蒲湯や女結びと思ひけり
重力を楽しんでをり落雲雀 公二 添削> 重力に従ひ落つる雲雀かな
千本の杉の青さや夏立ちぬ 千春 添削> 千本の杉立ち並ぶ道涼し
造船所ひしめく湾の鯉のぼり 清 添削> 造船所湾にひしめく鯉のぼり
落椿添へて備前の手水鉢 りんご 添削> 落椿浮かぶ備前の手水鉢
鎌倉へ古道途切れし夏燕 つとむ 添削> 鎌倉へたどる古道夏燕
初蝶や航跡残す貨物船 康子 添削> タンカーの航跡を追ふ夏の蝶
新緑に透ける渓流音高し 茜 添削> 新緑の奈落の瀬音高きかな
藤棚の下に座りて風もらふ みどり 添削> 藤棚の下に憩へば風通ふ
新緑に水車の飛沫はずみけり 好夫 添削> 水車場の飛沫にはずむ若葉かな
延命の清水に甘さありにけり ふみを 添削> 延命の清水を汲めば甘かりし
観音の腰艶めける若葉照 東吾
大噴水急に力を抜きにけり ハジメ 添削> 大噴水ふぬけのごとく止まりけり
新緑を二つに分けて那智の滝 桃子 添削> 万緑を二つに分けて那智の滝
藤房や砂遊びする子らの上 こう 添削> 藤の屑砂遊びする子らの上に
遠き山映る植田を風渡る りんご 添削> 山並みの映る植田を風渡る
釣竿の長く伸ばして目借時 きみこ 添削> 釣り竿の穂先が水漬く目借時
朝の風土間通り抜け青田へと つとむ 添削> 谷戸の風土間通り抜け青田へと
ひたひたと波の寄せ来る朧かな てまり 添削> ひたひたと寄せ来る波の音朧
朴の花真青の空に抜きん出て 光晴 添削> 真青なる空の天辺朴の花
ひと所ざわめき激し若楓 よし女 添削> ひと所ざわめきやまぬ若楓
濃き薄き緑重ねて夏近し 文月 添削> 濃く淡く五彩重ねし緑かな
キッチンに簾をつけて妻機嫌 いずみ 添削> キッチンに簾吊して妻機嫌
つばくらめ着水寸前翻る ななえ 添削> 夏つばめ水面掠めて翻る
軒裏をゆらゆら照らす春の池 六郎太 添削> 水亭の軒裏ゆるる影涼し
泰然と大桐花を上げにけり はく子 添削> 泰然と大桐花を翳しけり
棹竹を売る声のして春の昼 まこと 添削> 春うらら棹竹売りの声のびて
結び目の古き矢来や藤かづら 敦風
鐘楼の甍ひかりて楠若葉 ななえ 添削> 鐘楼の甍に楠の若葉影
木の芽和え一人の膳に賜りし のんのん 添削> 木の芽和え独りの膳に賜りし
渋滞の道へ這い出す毛虫かな りんご
万葉の恋歌の碑や春惜しむ けんいち 添削> 万葉の歌碑の道行き春惜しむ
風吹けば隣の幟境なし 康子 添削> 越境を赦す隣の鯉幟
みどり児の瞬きひとつ新樹光 登美子 添削> みどり児の清き瞬き新樹光
河原から炊煙上がる春の空 輪三 添削> ひとすじの炊煙上がる春河原
草餅の色の残れる杵洗う かずひと 添削> 草餅の色の残れる杵洗ふ
木洩日のひときは白き著莪の花 満天 添削> 木洩れ日に犇く白は著莪の花
青嵐がらんどなうなる埴輪の目 国子
余花に逢ふ展望台の高きかな 好夫 添削> 余花に逢ふ展望台の天辺に
叉一人友の減りたり春の行く 妙香 添削> またひとり友の訃報や春の行く
花烏賊や手捻り猪口のひとり酒 登美子 添削> 花烏賊や手捻り猪口でひとり酌む
酒蔵や一人静の鉢にあり ななえ 添削> 酒蔵に一人静の鉢ひとつ
みやげ屋の商ひ上手新茶買う みつ穂 添削> なんでも屋商ひ上手新茶買ふ
山吹の色を濃くせり小糠雨 とろうち
大雨の後の青空朴の花 まや
日は西に値引き札つく植木市 かずひと
高堂の甍輝く若葉風 光晴 添削> 高堂の甍輝く若葉影
若葉風サイクリングの列並ぶ ももこ 添削> 新樹風サイクリングの列つづく
ここよりは各駅止まり藤の雨 菜々 添削> ここよりは各駅停車懸かり藤
村の子に問へば大声風薫る 茂樹
糸電話はなし途切れて春の蝶 我風
小包に母のぬくもり粽かな あすみ 添削> 小包をひらけば母の粽かな
磴険し見上ぐ山門藤の風 ミチコ 添削> 嶮磴を仰ぐ山門懸かり藤
囀りの主を探せるベンチかな とろうち
新樹光石の百段のぼりけり すずかぜ 添削> 新樹風磴百段も苦にならず
一人居の住まいに春の風入れる 嘉一 添削> 独り居の住まいに春の風入るる
清流を分けて凛然水芭蕉 茜 添削> 清流を二タ分けしたる水芭蕉
若葉雨鳥語聞こえぬ一日よ 東吾 添削> 若葉雨鳥語聞こえぬ一日かな
ひと山が躑躅で埋まる観音堂 てるこ 添削> 燃え盛る躑躅のなかに観音堂
囀や閉じし茶店の長床几 好夫 添削> 床机たて鎖す茶店や花は葉に
春疾風怪獣のごと竹の山 明日香 添削> 春疾風怪獣のごと藪騒ぐ
手術日の母の指輪を抜く遅日 よし女
ここからの鴨川が好き春惜しむ みつ穂
乞はれれば我も茶摘女山畑 まや 添削> 乞はれれば我も茶摘女里親し
いつ発つやモンローウォークの春の鴨 満天 添削> 春の鴨モンローウォークして機嫌
路地ぬけて風心地よき鉄線花 浪漫 添削> 心地よき垣根の風や鉄線花
春光や白き水脈引く出漁船 てまり 添削> 春光やま白き水脈を引く出船
初蝶やラジオ体操碑の広場 大門 添削> 初蝶来ラジオ体操広場かな
春の雲田水に乗つて移りけり 幸太郎 添削> 田水いま一枚鏡春の雲
藤房の垂れて風なきひと日かな たかし
春宵や嬉しき便り読み返す 初凪 添削> 朗報の文読み返す春の宵
駆け抜ける部活の子等や葱坊主 桃香
飛びなんと呆けたんぽぽ背伸びする とろうち 添削> 背伸びして呆けたんぽぽ風を待つ
鍬の柄を蝶蝶に預け一休み 廣美子 添削> 一と休みせる鍬の柄に初蝶来
石楠花や玉砂利踏みし奥の院 国子 添削> 石楠花や玉砂利の道奥院へ
行く春の小川に鍬を洗ひけり はるを
大桜下に眠れる活断層 茂樹 添削> この下に活断層とや大桜
吹かれても吹かれても蝶草の先 りんご
大の字に赤子寝ており風光る ももこ 添削> 大の字に赤子寝てをり春座敷
若葉雨羅漢の頬をひた濡らす 東吾 添削> ひた濡るる羅漢の頬や若葉雨
木漏れ日のコーヒーテラスに春惜しむ りんご 添削> 木漏れ日のコーヒーテラス春惜しむ
馳せ参ず様に陶馬や風光る 菜々 添削> 風光る駈け出しさうな陶馬あり
石けりの跡ある路の春の暮 かのこ 添削> 落書きは石蹴りのあと路地うらら
夕ざくら瀬音は杜を離れざる よし女 添削> 夕桜いよよ高鳴る瀬音かな
寄居虫の転げて遁走止まりけり 草根 添削> 遁走の寄居虫岩を転げ落つ
切り株に日永の腰を下しけり 幸太郎
豪農の大き石垣著莪の花 光晴
春うらら人間ドック異常なし きみこ
竹秋のそよぐ梢に風を知る たけし 添削> 竹秋の梢に風の生れけり
草萌えになわ飛びの足揃いたり かずひと
鞠のごと駆けゆく犬や青き踏む 和華 添削> 鞠のごと駆けゆく犬や草青む
春泥に登校の列乱れけり いさお
茶室へとつづく小径や竹の秋 満天 添削> 茶室へと誘ふ小径竹の秋
町並みを明るうしたる花水木 こう
黒竹が引立ててをるシャガの花 たけし
谷川の白瀬のひかり竹落葉 まや 添削> 谷川の白き瀬波や竹落葉
花蘂の吹き寄せられて遊女塚 ゆき子 添削> 桜蘂吹き寄せられし遊女塚
長浜は黒壁の町蔦若葉 東吾
耳寄せて水琴窟に春惜しむ はく子
鶯へ返す口笛山の宿 りんご
惚けたる母と綾取りしてうらゝ 幸太郎 添削> うららかや痴呆の母と綾取りす
病窓に木の芽の風を迎へけり 大門 添削> 病窓に木の芽の風の通ひけり
満開の花の峠を越へにけり みつ穂 添削> 満開の花の峠にさしかかり
木の芽雨瀬戸の島影棚ぐもり よし
一代の店閉じる日の春愁 ゆうこ 添削> 春愁や名代の老舗鎖ざさるる
健やかな朝の一歩に風薫る 千春 添削> 日課とす朝の一歩に風薫る
発掘とかかわらぬ畝葱坊主 好夫 添削> 発掘と隣りし畝の葱坊主
捨て仔猫下校の子等の大議論 孝由 添削> 捨て仔猫下校の子等の一大事
暮れてなほ日の色残す花菜畑 てまり
覚えなき人が声掛く花の駅 よし女 添削> 覚えなき人から声や花の駅
春光や稚魚のきらめく川の底 光晴
初燕曾て飛脚も駆けし道 菜々 添削> つばめ来る曾て飛脚の駆けし道
囀や二の丸跡の大欅 好夫
波音の幼帝塚より蝶翔てり よし女 添削> 初蝶来塚の幼帝寧かれと
四阿に忘れられたるれんげ束 登美子
夜桜や和服の妻に歩を合わせ あすみ
麗かや犬に見つかるかくれんぼ りんご
壷焼きのふつふつ匂ふ島参道 れいこ 添削> ふつふつと壷焼き匂ふ島参道
連翹の揺れやまざるや瀬のたぎつ とろうち 添削> 瀬しぶきに濡れて連翹揺れやまず
肝心の時に春眠講座かな ミチコ 添削> 春眠と戦ってをる講座かな
野遊びの寄り道おおし縄電車 国子 添削> 野遊びの道草ばかり縄電車
種袋ニ、三度振りて封を切る みどり 添削> 二度三度振りて封切る種袋
出てみれば泣き出しそうな朧月 ももこ 添削> 外に出れば泣き出しそうな朧月
水草生ふ瀬を一跳びに少女らは まや 添削> 少女らは水草生ふ瀬を一跳びに
リハビリの夫の背を押す初夏の風 千春
よく回る土竜威しや豆の花 東吾
春落葉赤穂主従の墓どころ 菜々
すり鉢に香りの残る木の芽和 のぶお
春風や沼一望の古木椅子 ゆき子 添削> 春風や湖一望のカフェテラス
ひこばえや煙草くゆらす宮大工 清
おぼろ月葛飾の空昇り来る 初凪 添削> 葛飾の空昇り来る月おぼろ
児童等の課外授業や葱坊主 ゆり 添削> 園児等の課外授業や葱坊主
無人市蕨の束の不揃ひに やす子
弁当で済ます夕餉や花疲れ たけし 添削> ほか弁で済ます夕餉や花疲れ
春塵や乗り手のいない三輪車 とろうち 添削> 春塵や乗り主のなき三輪車
往き交ふるロープウェーや花の雲 よし女
豆の花散らさぬやうに収穫す ゆうこ
清盛のやしろは小さし花の島 よし女 添削> 小祠に清盛祀る花の島
種案山子村に水音ゆたかなる はるを 添削> 水音の高鳴る里や種案山子
ぼうたんの花びら風の吹くままに やじきた 添削> ぼうたんの花びら風にわななける
花筵歩道芝生の区別なく 孝由
散る花をのの字にすくふつむじ風 我風
畝ごとに日づけ付したる種袋 豪敏
久闊を叙する宴や花吹雪 たけし 添削> 久闊を叙するわれらに花吹雪
胸元に桜散りくる露天の湯 茂樹
甲斐晴や白く広がる梨の花 東吾 添削> 梨の花白く広がる甲斐の晴
花惜しむ観音像は半眼に 満天
菜の花の風に遊びて単線車 ゆき子 添削> 単線路貫く風の花菜畑
槌音の止んで昼餉や春霞 ななえ 添削> 槌音の止んで昼餉や春うらら
山葵田や水の筋目の透きとほり まや
花疲れベンチに深く凭れけり てるこ
目くるめき湖岸道路の花吹雪 ももこ 添削> 目くるめく湖岸道路の花吹雪
鵜の里の鵜塚に落花しきりなり よし女
ひもすがら花屑掬ふ水車 国子
春昼や猫にあくびを見られをり りんご
葱坊主背の順には並ばざり 廣美子 添削> 葱坊主背の順には並ばざる
春愁やインクの切れしボールペン 茂樹 添削> 春愁やインク切れせしボールペン
桜屑背にのせ猫の帰りきぬ おたふく 添削> 花屑を背にのせ猫の帰りきぬ
鯉幟立てて新装開店す 東吾
見あぐれば飛花教会の塔にまで かのこ 添削> 十字架の搭へ高舞ふ落花あり
水門に混みはじめたる花筏 国子 添削> 水門に渋滞したる花筏
桜餅葉を食ぶ人も取る人も とろうち 添削> 葉を食ぶる人食べぬ人桜餅
池の面波紋にあらず春の雨 廣美子 添削> 池鏡波紋にあらず春の雨
路地奥へ風が運びし花の塵 きみこ
つばめ来る駅員一人居る駅舎 千春 添削> つばめ来る駅員一人なる駅舎
芽柳や風入れてゐるポンプ小屋 東吾
花吹雪顔にかかるや白き杖 一楽 添削> 佇める白杖人に花吹雪
水門を出てより速き春の潮 一尾 添削> 水門を出てより速き春の川
うららかな空にひと振り象の鼻 国子
鼻先に花屑つけて鹿寄り来 よし女
屋台組む夫婦に桜吹雪かな りんご
囀りのまつ只中や朱の鳥居 とろうち 添削> 囀りのまつ只中に大鳥居
湖を姿見として山笑ふ 大門 添削> 湖に全容写し山笑ふ
達人を名乗る腕見せ潮干狩 ゆうこ 添削> 達人と名乗る腕前潮干狩
閂のかかる館の糸桜 登美子 添削> 閂のかかる館の花万朶
立札に甲斐の終焉花吹雪 一楽 添削> 花吹雪甲斐の終焉の地と記す
行く春や音無く落つる砂時計 文月 添削>春惜しむ音無く落つる砂時計
ポストまで歩いてゆけり夕桜 東吾 添削> 夕桜散歩がてらにポストまで
トロ箱に豆の花咲く漁師町 我風
暮るるほど艶めく桜宵の風 千衣 添削> 夕づくと艶めく土手の桜かな
語り合ふそれぞれの視線花にあり 国子 添削> 語り合ふ互いの視線花にあり
堂おぼろ法螺の音高くまた低く 菜々 添削> 音低く響ける法螺の音おぼろ
風船の留まっていて花万朶 きみこ 添削> 風船を虜としたり花万朶
十二時は黄色のパンジー花時計 ひろみ
満開の桜檀家を呼び集め 青菜
面接を終へ花人となりにけり はるを
忠魂碑桜吹雪にまみれけり てるこ 添削> 忠魂碑落花まみれとなりにけり
徒歩で行く海峡大橋春ゆたか まさる 添削> うららかや海峡大橋徒歩の旅
熊ん蜂屋根に石置く関所跡 輪三
肩組んで花見崩れや千鳥足 いさお 添削> 肩組んで花見崩れの千鳥足
海見ゆる特等席の花筵 ハジメ 添削> 海展け特等席の花筵
花衣解けば花びら散りにけり きみこ
菜畑の走る赤帽見えかくれ 千衣 添削> 菜畑を走る赤帽見えかくれ
花吹雪ボールけりする子等の上に 朝子 添削> 花吹雪ボールけりする子等の輪に
春の波畳みて返す九十九里 ゆき子
春風邪や言はずもがなのこと言へり 明日香 添削> 春風邪や言はずもがなの愚痴もらす
花咲くやそぼ降る雨の芭蕉庵 まさる 添削> 花寒し雨のそぼ降る芭蕉庵
車座にすすむ句会も花の下 菜々 添削> 車座に句稿をまはす花の下
巡礼の一息つかせ花の寺 ハジメ 添削> 巡礼の一息憩ふ花の寺
軒低し直哉旧居や菜種梅雨 りんご 添削> 軒低き直哉旧居や菜種梅雨
病室をぬけて花人車椅子 はく子 添削> 病室を出て花人となりにけり
チューリップ土見えぬほど育ちけり 明日香 添削> チューリップ咲きひしめきて土見えず
夕闇に木蓮白く散りにけり 文月 添削> 夕闇に白木蓮の散華かな
廃屋や門扉の錆びて花万朶 登美子 添削> 鉄扉鎖す廃屋なれど花万朶
蕗の薹廻りはじめる水車小屋 好夫 添削> 蕗の薹廻り初めたる水車かな
岩場派と砂浜派をり潮干狩 ゆうこ 添削> 岩場族砂浜族や潮干狩
どの部屋も窓開け放ち百千鳥 明日香
老いどちの奉仕のあとの花筵 茂樹
花吹雪下校の子らを包みけり こう 添削> 花吹雪校門潜る子供等に
花冷や精養軒の椅子堅き ゆき子
奥山へ案内すごとの百千鳥 光晴 添削> 深山道案内(あない)するごと百千鳥
夜桜や懐寒き身なりけり 直
闇に咲く白木蓮の明るさよ 更紗 添削> 夕闇に咲く木蓮の白さかな
春の燈や幼馴染と話尽きず 妙香 添削> 春燈下幼馴染と話尽きず
御仏のお顔ふくよか花の昼 はく子
ジャムの出来夫に誉められ春うらら 康子 添削> 手製ジャム夫に誉められ春うらら
かんざしにしだれ桜を京舞妓 文月 添削> 京舞妓しだれ桜を簪とす
石切り場工夫車座花の昼 やす子
朝寝して特権行使と定年子 たけし 添削> 朝寝てふ特権行使定年子
山吹の風をとらへし一枝あり まや
転勤や桜前線追い越して 良坊 添削> 転勤や桜前線追ひ越して
桜咲く人影のなき駐屯地 つとむ 添削> 桜咲く廃屋となる駐屯地
花を愛で息災めでつ立ち話し 文月 添削> 花を愛で息災を謝し立ち話
花吹雪絵筆持つ子の手に肩に 駒鳥 添削> 花吹雪絵筆持つ子の背に肩に
帰り来し燕古巣で憩いけり きみこ 添削> 戻りきて古巣つくろふるばくらめ
春空にひるがへりをりグライダー 好夫 添削> 春うらら滞空ながきグライダー
げんげ風道尋ねゆく新巡査 宏
永き日の動きも遅し沖の船 泉 添削> 沖の船動くともなき遅日かな
草摘むや貨物列車の長きこと まさる
つくばいを埋め尽くして散る桜 素居 添削> つくばいを埋め尽くしたる落花かな
搗き立ての湯気もまろめて草の餅 楓
糸通し頼まれてゐる遅日かな ひろみ 添削> 糸通し頼まれもして日の永き
賛美歌に入学式の始まれり ゆうこ
嵩増せる春闘明けの紙の山 敦風 添削> 反古となる春闘明けのビラの山
うたかたの六十余年花万朶 浪漫 添削> うたかたの六十余年花下に佇つ
啓蟄や菜園通いを日課とし よし 添削> 啓蟄や菜園通ひ日課とす
荒川の水面きらきら揚雲雀 まこと 添削> 荒川の水面きらきら風光る
今日からは医療費値上げ四月馬鹿 きみこ
迷い子の町内放送つばくらめ ななえ
梢ゆく風に声あり竹の秋 りんご
引潮の流れに乗りし落花かな 楓 添削> 引潮の流れに乗りし花筏
花冷の路面に響くハイヒール 更紗
峠より見下ろす村の桜映え 素居 添削> 峠より見下ろす里の花の雲
芽柳や漣たちし濠の面 光晴 添削> 芽柳や漣光る濠の面
リックより顔出し揺るる摘菜かな 千春 添削> リュックよりはみ出してをる摘菜かな
城跡の雑木林の芽ぐみけり 好夫
深吉野の山に乱舞の花明かり 公二 添削> 深吉野の山に乱舞す落花かな
春雨のオランダ坂は手を引かれ 水季 添削> 春雨のオランダ坂をたもとほり
うち晴れて花菜畑は黄の世界 好夫
蔵屋敷続く倉敷柳の芽 ななえ 添削> 蔵屋敷続く川べり柳の芽
山笑ふ女ばかりの消防団 りんご
虚子塔の比叡の谷に残る雪 清
頂上を鉢巻したる山ざくら まや
雲雀の巣残して畝を鋤きにけり 如風
白波に春日輝く入江かな 駒鳥
達磨寺の払子の格や雪柳 輪三 添削> 払子ふるごとくに風の雪柳
眼鏡かけ眼鏡を探す万遇節 千春 添削> 四月馬鹿かけゐる眼鏡を探しをり
つばめ来る旧家に弐の蔵壱の蔵 りんご 添削> つばめ来る旧家弐の蔵壱の蔵
丈伸びし菜の花うねる潮の風 江斗奈 添削> 潮風にうれりどほしや花菜畑
しやぼん玉ひとつは天を目指しけり まや 添削> しやぼん玉天を目指せる一つあり
遣り水に丈不揃ひの菖蒲の芽 よし女
かき分けて枝垂れ桜の中に入る たけし 添削> かき分けて枝垂れ桜を潜りけり
一陣の風に菜の花波立てリ 桃香 添削> 一陣の風に騒げる花菜畑
片耳を泣く子の方へ孕鹿 宏 添削> 片耳を子の泣く方へ孕鹿
皇居へと広ごる芽吹き通りかな 光晴
やはらかに傘うつ音も花の雨 浪漫 添削> やはらかに傘うつ音や花の雨
よべの雨野焼の跡のかぐはしき 我風 添削> 雨晴れて野焼の跡のかぐはしき
山ざくらいよいよ径の険しかり はるを
つばめ来る酒蔵並ぶ旧街道 りんご 添削> 酒蔵の並ぶ古町つばめ来る
明日香路の田を吹く風や揚雲雀 明日香
一湾の朧の中の汽笛かな 楓 添削> 一湾に汽笛のひびく朧かな
一年生まだからつぽのランドセル ハジメ
浜風に吹かれ桜の早き町 ゆうこ 添削> 浜風の通ひ桜の早き町
浜豌豆崖よりなだれ咲きにけり 初凪 添削> 切岸になだるる花は浜豌豆
草餅やこれから登る鞍馬寺 素居 添削> 草餅を食べてこれより鞍馬寺へ
あるやなし風にゆだねる雪柳 満天 添削> 雪柳あるやなしやの風に揺れ
菜の花や畑の中に黄の世界 楽楽 添削> 花菜畑見渡す限り黄の世界
朧夜や母居る部屋の窓明り 桃香
花だより修羅場の国を憂いつつ みどり 添削> 花だより戦火の国を憂ひつつ
長雨の憂さの和らぐ芽吹きかな 明日香 添削> 長雨の憂さを慰む芽吹きかな
手捻りの茶碗の重し光悦忌 茂樹
供養塔守る老樹の芽吹きかな 千衣
挨拶のはや大人びて卒業子 大門 添削> 卒業子挨拶のはや大人びて
定年の窓際に見る街おぼろ 光晴
我が庭の花手向けたり父母の墓 いさお
野遊やおかげ様でといふ日和 我風 添削> 野遊のおかげ様でといふ日和
麦踏みの夫婦寄りては離れては りんご
頬杖をつきて少女の春愁ひ とろうち 添削> 春愁の頬杖をつく少女かな
花冷の京都に櫛を買ひにけり まや
袴脱げば妙に艶めく土筆かな 光晴
天帝にたぐられゆくや揚雲雀 すずかぜ 添削> 天帝にたぐらるるごと揚雲雀
しっかりと卒園電話空高し てるこ 添削> しっかりと卒園電話声高し
見上ぐれど見えぬ雲雀や河川敷 孝由 添削> 声すれど見えぬ雲雀や河川敷
芽吹くなり五百年経し大欅 好夫 添削> 芽吹くなり樹齢は五百年といふ
旅宿のどこか女将に似し雛 よし女 添削> 旅の宿女将に似たる雛飾る
雪解水光りとなりて流れきし かかし 添削> 雪解水光りとなりて走りけり
風光る窓一杯に眉山あり やじきた 添削> 春光の窓一杯に眉山見ゆ
一年生背中はみだすランドセル つじ 添削> ランドセル背中はみだす一年生
強東風や殉死の塚の八あまり 涼 添削> 殉教碑立つ丘の上に東風強し
たらの芽や幼子祈る手の如く 六郎太 添削> 幼子の祈る手の如たら芽吹く
蝿生るる民族館のショーケース よし女
しゃぼん玉ひとつひとつに夕日かな 国子
菜畑に光残して夕日入る 文月 添削> 昏れかぬる花菜畑や夕日落つ
長江を跨ぐ大橋鳥曇 茂樹
スケッチの筆耳にかけ梅見茶屋 みどり
春愁や昨日のままの本の位置 すずかぜ
全山の囀靄の昇りつつ 浪漫 添削> 全山の囀靄につつまるる
火事跡の焦げし瓦やいぬふぐり 素居
卓袱台に広げし妻の種袋 清 添削> 卓袱台に妻の広げし種袋
馬酔木咲く春日の鹿は神のもの まや
芽柳のバスに触るるや庁舎前 一尾 添削> 芽柳のバスに触れもす庁舎前
土筆摘む買ひ物かごを置き去りに 光晴 添削> 土筆摘む買ひ物かごを土手に置き
さんしゅゆの黄に誘はれて廻り道 満天
春炬燵二人暮らしの広さかな まさる
小躍りの幼を連れて青き踏む てるこ 添削> 子供らはスキップ踏んで野に遊ぶ
吊橋の一歩の怖し山笑ふ りんご
涅槃西風羅漢にさがす母の顔 菜々 添削> 母に似し顔の羅漢や涅槃西風
曲水のリズムに酔へる心地かな 二青 添削> 曲水のリズムに心遊びをり
下萌や滞空終へしグライダー 好夫 添削> 下萌に着陸したるグライダー
校門をまだ遠巻きに卒業子 初凪 添削> 校門を遠巻きにする卒業子
蝶乗せて笹舟浮かぶ流れかな 駒鳥 添削> 流れ行く笹舟に蝶乗らんとす
囀りの谷えなだるる郷の道 にんじん 添削> 囀りの谷へなだるる峡の道
手と足を土手に伸ばして土筆摘む 一尾 添削> 両足を土手に伸ばして土筆摘む
赤目垣花と見まごう新芽かな 水季 添削> 赤目垣花と見まごふ芽吹きかな
菜園の雨にうつむく黄水仙 清 添削> 今朝からの雨にうつむく黄水仙
碧天へこぞりてひらく辛夷かな 満天
花一輪添えてもてなす春の膳 文月 添削> 梅の花添へてもてなす祝ひ膳
窓からの園児の見舞いすみれ草 すずかぜ 添削> 園児らの見舞ひ窓からすみれ草
遊覧舟舳先が砕く春の潮 孝由 添削> 春潮の波を分け行く舳先かな
春禽やひとり遊びの赤い靴 菜々
煙突の煙まつすぐ春うらら まこと
堰を落つ水のきらめき草萌ゆる ゆきえ 添削> 堰を落つ水のきらめき土手青む
春愁や知らず知らずに独り言 よし 添削> つひ愚痴となる春愁の独り言
雉鳩のふくらみて飲む春の水 ひろみ
六年の無欠席とや卒業子 こう 添削> 六年間無欠席とや卒業子
流し雛遠白波に隠れけり 東吾
茶柱や夫のみやげの桜餅 りんご 添削> 茶柱のたちてめでたし桜餅
春の雨動くものなき船だまり 一尾
春泥や片足修羅の中にあり 登美子
石の影木の影淡し花の門 はるを
春光や少し遠くへ試歩の道 てるこ 添削> 春光や少し延ばしぬ試歩の道
夕日背に遅れて着きぬ遍路宿 東吾 添削> 夕日背に遅れて着きし遍路かな
画用紙に溢れて空とチューリップ 浪漫
春駒の鼻を寄せくる牧の午後 とろうち 添削> 若駒の鼻を寄せくる牧の午後
塚なせる古墳の森の芽吹きけり 公二
糸柳暖簾のごとく屋台蕎麦 輪三 添削> 糸柳暖簾としたる屋台かな
米をとぐ手にやわらかき春の水 水季 添削> 米をとぐ手に春水のやはらかき
鑑真の開かぬ眼涅槃西風 蒼 添削> 鑑真の閉じたる眼涅槃西風
梅寒し投句の箱の空のまま 好夫
天辺は明るき雨のしだれ梅 東吾 添削> 天辺は明るし雨のしだれ梅
囀りの林をぬけて父母の墓 りんご 添削> 囀りの林に隣る父母の墓
春昼や児等の地上絵拡がりぬ 正春 添削> 春昼の路地に描かれし漫画かな
しなやかに雨やり過ごし雪柳 楓 添削> 糸のごと降りつぐ雨や雪柳
岩ばしる水春光を跳ねかえし 登美子
空に青まだ残りたる遅日かな とろうち
春昼や車内時計の進みをる 敦風
春時雨軒を借り合ふ一会かな りんご 添削> 春時雨同じ軒借る一会かな
菜の花や四国三郎平らかに 素居
くるくると春の風呼ぶ綿菓子屋 やじきた
春風や赤子の髪の逆立ちて とろうち 添削> 春風や赤子の髪のやはらかし
おが屑の匂ふ切株春の森 登美子
啓蟄や更新に行くパスポート ゆうこ
思いきの雪の修ニ会にまかりけり はく子 添削> ゆくりなく雪の修ニ会にまかりけり
出稼ぎの父戻リ来て目貼剥ぐ 千春
宿膳の器の一つ夫婦雛 よし女 添削> 宿膳の漆器の一つ夫婦雛
幼子のころりと寝入るおぼろかな 初凪
他愛なき夫婦の会話山笑ふ りんご
春昼や習い始めの一輪車 康子 添削> 春昼やすぐに倒れる一輪車
「添削の説明」
◇小躍りの幼を連れて青き踏む → 子供らはスキップ踏んで野に遊ぶ
子供に焦点を絞る。
◇涅槃西風羅漢にさがす母の顔 → 母に似し顔の羅漢や涅槃西風
偶然に見つけたほうが驚きもあり、自然です。
◇曲水のリズムに酔へる心地かな → 曲水のリズムに心遊びをり
シンプルに言い切る。
◇下萌や滞空終へしグライダー → 下萌に着陸したるグライダー
滞空終えし・・は説明。説明と写生の違いに注意。
◇校門をまだ遠巻きに卒業子 → 校門を遠巻きにする卒業子
まだ・・までいうと時間が流れる。俳句は瞬間を捕える。
◇蝶乗せて笹舟浮かぶ流れかな → 流れ行く笹舟に蝶乗らんとす
浮かぶ・・は不要。瞬間写生を意識して力強く。
◇囀りの谷えなだるる郷の道 → 囀りの谷へなだるる峡の道
郷の道をより具体的に。
◇手と足を土手に伸ばして土筆摘む → 両足を土手に伸ばして土筆摘む
手と足を伸ばす・・よくわからないです。
◇赤目垣花と見まごう新芽かな → 赤目垣花と見まごふ芽吹きかな
全体をいうのなら、芽吹きでしょうね。
◇菜園の雨にうつむく黄水仙 → 今朝からの雨にうつむく黄水仙
菜園でなくてもどこでもいいですね。
◇花一輪添えてもてなす春の膳 → 梅の花添へてもてなす祝ひ膳
俳句で「花」と詠むと桜になります。
◇窓からの園児の見舞いすみれ草 → 園児らの見舞ひ窓からすみれ草
最後にそっとスミレ草が出現した方がかわいいですね。
◇遊覧舟舳先が砕く春の潮 → 春潮の波を分け行く舳先かな
春潮と舳先に焦点を絞る。
◇堰を落つ水のきらめき草萌ゆる → 堰を落つ水のきらめき土手青む
草萌ゆ場所が曖昧。
◇春愁や知らず知らずに独り言 → つひ愚痴となる春愁の独り言
知らず知らず・・は説明。
◇六年の無欠席とや卒業子 → 六年間無欠席とや卒業子
六年生の・・ともとれて紛らわしいので、六年間になおしました。
◇茶柱や夫のみやげの桜餅 → 茶柱のたちてめでたし桜餅
多くのことを言いすぎない。
◇春光や少し遠くへ試歩の道 → 春光や少し延ばしぬ試歩の道
少し距離を延ばしたのです。
◇夕日背に遅れて着きぬ遍路宿 → 夕日背に遅れて着きし遍路かな
宿が到着した感じなので・・
◇春駒の鼻を寄せくる牧の午後 → 若駒の鼻を寄せくる牧の午後
春駒はお正月の季語です。
◇糸柳暖簾のごとく屋台蕎麦 → 糸柳暖簾としたる屋台かな
感じたことを言い切る。
◇米をとぐ手にやわらかき春の水 → 米をとぐ手に春水のやはらかき
やはらかい・・と感じたのは一番最後。
◇鑑真の開かぬ眼涅槃西風 → 鑑真の閉じたる眼涅槃西風
開かぬ・・は理屈。
◇天辺は明るき雨のしだれ梅 → 天辺は明るし雨のしだれ梅
明るき雨の・・ではなく、天辺は明るい、雨のしだれ梅ですね。
◇囀りの林をぬけて父母の墓 → 囀りの林に隣る父母の墓
囀りとお墓の距離が離れてしまうと面白くないです。
◇春昼や児等の地上絵拡がりぬ → 春昼の路地に描かれし漫画かな
作者の意図は理解できますが、時間の経緯を詠まないことが基本です。
◇しなやかに雨やり過ごし雪柳 → 糸のごと降りつぐ雨や雪柳
説明をしないで写生します。
◇春時雨軒を借り合ふ一会かな → 春時雨同じ軒借る一会かな
軒を借りあう・・は理屈。
◇春風や赤子の髪の逆立ちて → 春風や赤子の髪のやはらかし
やはらかし・・くらいに留めた方がいいと思います。
◇思いきの雪の修ニ会にまかりけり → ゆくりなく雪の修ニ会にまかりけり
ゆくりなく・・という言葉を覚えましょう。
◇宿膳の器の一つ夫婦雛 → 宿膳の漆器の一つ夫婦雛
どんな器なのかまで写生しましょう。一応漆器にしてみました。ほかに「小皿」とか・・
◇春昼や習い始めの一輪車 → 春昼やすぐに倒れる一輪車
習い始め・・は抽象的。
久方の旅の朝の春の雪 二青 添削> ゆくりなく旅の朝の春の雪
菜の花やはるか一両電車ゆき 登美子 添削> 花菜畑一両電車通りけリ
木造の駅舎の時計月朧 ハジメ 添削> 月朧木造駅の時計搭
末黒野に残る昨日の火の匂ひ よし女
岬まで壷焼の店五六軒 はるを
行商の背中はみだす春野菜 りんご
園児らの帽子ふたいろ野に遊ぶ 国子
岬みち菜畑の黄は海に落つ 光晴 添削> 花菜畑海へなだるる岬みち
観梅の列の手に手に案内図 一尾 添削> 観梅の人ら手に手に案内絵図
山荘の軋む扉や鳥帰る よし女 添削> 山荘の軋む門扉や鳥帰る
啓蟄や休耕田の草野球 りんご 添削> 下萌ゆる休耕田や草野球
目借時夢と現を往き来して ほとり
鶏冠に触るる社のしだれ梅 一尾
ほつこりと手のひらにあり土鈴雛 とろうち 添削> ほつこりと土鈴雛あるたなごころ
釣船の舳先の揃ふ春の海 正春
桟橋を越えし春波なだれ落つ きみこ 添削> 春の波浮き桟橋を洗ひけり
春塵の如小雀の翔ちにけり 廣美子
胸像に一礼をして卒業す 公二 添削> 校搭に一礼をして卒業す
風花や三つきを生きし子の忌日 はく子
風花を見せじと窓に車椅子 きみこ 添削> 風花の窓へと寄せる車椅子
子午線を超えて昼餉や春の旅 如風 添削> 子午線を辿る道行青き踏む
投票を終へて野焼きに加はれり りんご
白梅の家や仙人をりそうな ほとり 添削> 仙人の住んでゐさうな梅の茶屋
剪定の鋏にもあるリズムかな 二青 添削> 剪定の鋏のリズム小気味よし
おしゃれして街にあふれし卒業子 ゆうこ 添削> おしゃれして街にあふるる卒業子
永き日の吾子と競ひし知恵の輪に 千衣 添削> 知恵の輪を吾子と競ひて日の永き
豪邸の売られていけり梅盛り ゆうこ 添削> 売らるるといふ豪邸の梅盛り
山国の川辺に続く花菜の黄 よし女 添削> 山国の川辺を綴る花菜の黄
花嫁のブーケを飛ばし春の風 まや 添削> 花嫁のブーケを飛ばす春風裡
初音聴く虚子の墓前に佇めば はるを
春光や歩いて渡れさうな川 まや
菜の花や入日溶け行く日本海 こうじ 添削> 菜の花や入日呑みこむ日本海
青き踏む虚子の歳時記ポケットに やじきた 添削> 青き踏む句帳歳時記ポケットに
芽柳のやはらかに風いだきをり みすず 添削> 芽柳にやはらかき風通ひけり
日暮れても雪解雫の降りやまず とろうち
晩学に励む幸せ虚子忌かな 千衣 添削> 晩学のホ句に親しむ虚子忌かな
定年の安けし一日春の雨 きみこ
雪解けて岩打つ水の早さかな 泉 添削> 雪解けて岩走る水迅きかな
蛇穴を出て夜叉堂に近づけり 東吾
薬湯に深く沈めリ春寒し ふふこ 添削> 薬湯に深く沈めリ春の冷
かなしけれ目刺の頭くろ焦げに みどり 添削> かなしけれ目刺のまなこくろ焦げに
雲水の掃きし砂紋に雀の子 国子
水神に一礼をして若布刈る よし女
恋猫の声せつせつと裏返る 初凪
大書棚砦の如し実朝忌 つとむ
菜畑を移動床屋のバスが行く 千春 添削> 花菜畑移動床屋のバスが着く
春の雨所在無き身の春炬燵 駒鳥 添削> 雨なれば所在無き身の春炬燵
修業僧机の上に紙の雛 良坊 添削> 所化僧のてすさびといふ紙の雛
島百を浮かべし海や鳥帰る はく子 添削> 島嶼(とうしょ)百数へし海や鳥帰る
遠足の列陸橋を占領す 東吾
春愁や化粧の顔の他人めき 陽子
見られゐてくちづけながき春の園 桑 添削> 木隠れにくちづけながき春の園
孫帰りひとつ転がる雛あられ 文月
寄せ返す波の意に添ふ桜貝 よし女 添削> 打ち返す波の意に添ふ桜貝
崩し字の読めぬ石碑垂れ梅 国子 添削> 碑に彫られし縁起垂れ梅
春あらし傘は楯にはならぬなり 直 添削> 春あらし頼みの傘も役立たず
囀りやひたすら眠る登窯 素居 添削> 囀りや燃えつづけをる登窯
老梅の深き洞にも青きもの 千衣 添削> 洞深き老幹なれど芽吹きけり
椿の木蕾は鈴の如くなり 夢子 添削> 鈴なりに蕾を付けし椿かな
ものの芽や踏まれながらも立ち上がり いさお 添削> ものの芽の踏まれながらも立ちなおる
ジェット機の音のみ聞こゆ鳥曇 やじきた 添削> ジェット機の音のみひびく鳥曇
落書きの机なぞりて卒業す 我風
啓蟄や地雷を踏まぬ国に住み みどり
梅の香や遊女の墓に手を合わせ 陽子 添削> ひともとの梅の香りに遊女墓
梅日和句帖見せあふ老夫婦 桑
啓蟄や海底歩き門司に出る よし女
立子の忌藍のインクのをとこ文字 初凪
強東風や駒のたてがみ梳き行きぬ とろうち 添削> 駒駈けて靡くたてがみ東風強し
注文を妻に合はせて梅見茶屋 敦風
打ち込んで返す天地や春の草 よし 添削> 土くれを天地返しや春耕す
子供達菜の花畑見え隠れ あすみ 添削> 子供らは菜の花畑を迷路とす
青空に頂高く雪残る 泉 添削> 蒼天の頂高く雪残る
雛の日に婆八人の句会かな ひろみ 添削> 雛の日に熟女八人集合す
春の日や大道芸の人だかり 正春 添削> うららかや大道芸に人だかり
春昼や川面明かりの深庇 とろうち 添削> うららかや庇に揺るる川明かり
息つめて描き終へるや雛の目 満天 添削> 息つめて一筆に描く雛の目
桃の日や少しいけずの京娘 百姓
はしゃぐ子の身丈に余る茎立菜 よし女
囀りの中や阿吽の仁王門 はるを 添削> 囀りの中や阿吽の仁王像
卒業の答辞読む子の声変はり ゆうこ
水仙の咲くこの道を遠回り 楽楽 添削> 水仙の咲くこの岬回り道
春寒や利息ニ円の記帳かな はく子 添削> 春寒し利息ニ円の記帳かな
菜の花を咲かせ明るき屋敷畑 きみこ 添削> 屋敷畑花菜明かりに展けけり
金婚を祝うがごとき初音かな たえこ 添削> 金婚を寿ぎ呉るる初音かな
落ちなむと椿は雨をふふみけり たかし
雛壇に立たせてありし哺乳瓶 国子
天道虫逡巡として飛び立たたず 三十
淡雪の灯台の灯へ降り続く 初凪 添削> 灯台の灯へ淡雪の降り続く
囀や森林浴のシンフォニー 草根 添削> 囀や森林浴の奈落道
緋毛氈映ゆる茶店や梅の里 朝子 添削> 緋毛氈映ゆる茶店や梅日和
あと五分夢の続きか朝寝して あすみ 添削> あと五分あと五分とて朝寝かな
せせらぎに影もゆれるや猫柳 駒鳥 添削> せせらぎにうなずく影や猫柳
寒の水眠る豆腐を揺らしたり 桑 添削> 寒の水底に間白き豆腐揺れ
水門を競ひて出でし春の水 竜の子
紅ぬぐうコーヒーカップ春の雨 更紗
都会より帰りし人と青き踏む よし女 添削> 都会より戻りし人と青き踏む
麗らかや声かけらし忘れもの やす子 添削> 忘れ物ですよと声や園うらら
城濠の風を誘へる柳の芽 楓 添削> 芽柳に城濠の風生まれけり
声詰まる恩師につられ卒業子 ゆうこ 添削> 声詰まる恩師を囲む卒業子
[注意]
ちょっと気になった注意点を書いておきます。
*季感を大切に詠む
*理屈を言わず素直な表現を心がける
*季語の説明をしない
*安易に切れ字を使わない(勿論、一句中に切れ字は一つ)
土蹴つて子供力士の春祭 公二
春泥に足とられをり迷ひ道 朝子 添削> 春泥に足なとられそ迷ひ道
大空をひっくり返すつばめかな いさお 添削> 大空をひっくり返す飛燕かな
朧夜のジャズは頬杖ついて聴く えみ
写生する人の数だけ春景色 正春 添削> 画架立つる人の数だけ春景色
春風や向こう岸から児等の声 百姓
啓蟄のみみずは右往左往して 登美子
足元に笑いはじけて咲くすみれ 国子 添削> 足元に微笑むごとくすみれ咲く
顔は若きままなり夫婦雛 竜の子 添削> 顔は若きままなり内裏雛
碧空に緋なる盛りの梅愛づる 朝子
歩はいつか妻の歩の巾梅見坂 きみひら 添削> 梅見坂妻の歩幅に併せけり
春炬燵就職チラシ山積みに あすみ
ふくよかなどこか母似の雛飾る 我風 添削> ふくよかなどこか母似の雛かな
眠る子の頬触れてみる春日向 文月 添削> 眠る子の頬に触れもす春日向
品書きの匂ふうす墨春燈 大門 添削> 品書きのうす墨匂ふ春燈
春の雪バスは疎らに客乗せて えみ
春寒し雑木ざわめく古墳跡 楓
手づくりの貝雛目鼻なかりけり 竜の子
掌に残る野蒜の匂ひ日の暮るる つとむ
手作りの生徒の雛を流しけり 公二 添削> 生徒らは手作りの雛流しけり
里のどか晩鐘の嶺に谺して 好夫 添削> のどけしや晩鐘嶺々に谺して
東雲の明けるに早し寒椿 よりさん 添削> 東雲の明くるに早し寒椿
春風の抜ける土管の秘密基地 ひろみ
地にとどく迄の命や春の雪 てるこ 添削> 地にとどく迄に消えたる春の雪
家ごとに渡す石橋沈丁花 よし女
春光の峠に地図を拡げ読む 一尾 添削> 春光の峠に地図を拡げ見る
春の夜の水平線に羽田の灯 たけし 添削> 水平線綴る羽田の春灯
石けりの丸を連ねて路地うらら はく子 添削> 石けりの丸描き連ね路地うらら
出稼ぎの夫還りきて畑を打つ 如風
あたたかや花舗は扉を全開す 好夫
茶巾鮨男雛女雛とつまみけり ゆうこ
重なつて子猫の眠る玩具箱 はるを
枝垂梅見て国宝の仏見ず ハジメ
背を丸めひたすら祈る遍路かな 秀昭
チューリップ座禅するごと芽を出しぬ 明日香
蒼天に天蓋のごと枝垂れ梅 康子
志俳句にありて考える 楽楽 添削> 志俳句にありて梅探る
廊に濃き猫の足跡四温晴 よし女 添削> 足跡は猫の狼藉春の縁
春泥やえみのこぼるる石地蔵 千衣
木の叉にかかえて余る春の月 国子
仏の座捨て自転車の錆びて来て 初凪 添削> 捨てられし自転車の山仏の座
リズム良く傘打つ音や春の雨 たけし
春の園掘り起こされし砂場かな きみこ
春風や運ばないでよ杉花粉 つじ 添削> 春風さん運ばないでよ杉花粉
まづ眼より筆入れゆくや雛人形 みすず 添削> まづ眼より筆の入りぬ雛人形
礼拝へ一本の梅携えて 三十 添削> 礼拝へ一枝の梅携えて
畦を焼く媼農継ぐ子のなきと 一尾
ギシギシと椅子の軋むも春浅し 蒼 添削> ギシギシと木椅子の軋む堂寒し
鳩の翔つ鐘楼翳る春の暮 好夫 添削> 鳩翔ちて鐘楼翳る春の暮
枝折戸の軋みを直す梅日和 ゆきえ
バス降りてよりの春泥始まりぬ 二青 添削> バス降りてよりの春泥地獄かな
春めきて砂場の幼児飽きもせず たけし 添削> 日脚伸ぶ砂場の吾子の飽きもせず
英会話課外授業の梅見かな ゆうこ
子の頭菜の花畑に浮かびをり まや 添削> 子の頭菜の花畑に見え隠れ
[選評]
*春の訪れとともに、みなさんの作句意欲が感じられて頼もしく思いました。
*どしどし戸外にでかけて、感動を見つけてください。
また一人退職したり鳥雲に 公二 添削> また一人早期退職鳥雲に
教室の色紙雛見て転校す ひろみ
下萌や色塗り替えし滑り台 清
春の陽にうたかた結ぶ池の淵 六郎太
鶯の声真似てみる散歩道 文月
藍色の沖より深む春の海 ゆきえ 添削> 春の海沖へ沖へと藍深し
大股で駆け上がりたる遍路かな 秀昭 添削> 大股で磴駆け上がる遍路かな
潜きたるあとの波間を海女の桶 よし女 添削> 潜きたるあとの波間に海女の桶
残る雪踏んで山頂めざしけり はるを
手に受けし音色円やか土鈴雛 廣美子 添削> 手にまろぶ音色円やか土鈴雛
笹鳴きの機敏に動く声のして きみこ 添削> 笹鳴きの機敏に動く気配かな
枝垂れ梅野点の傘に影おとす ゆきえ 添削> 枝垂れ梅野点の傘に触れにけり
春の雨顔に受けてる露天風呂 正春 添削> 春雨にかんばせ濡るる露天風呂
村びとに慣れて白鳥引きにけり はるを
下駄箱の上や小さな雛飾り 康子 添削> 下駄箱の上にころがる豆雛
親の目をさけて貴方と雪の中 あすみ
屋敷まで一本の道冬木立 三十 添削> 一本の道が貫く冬木立
校庭に白球飛び交い山笑う てるこ 添削> 校庭に白球飛び交ひ山笑ふ
春月の道まっすぐに続きけり こう 添削> まっすぐな道まなかひに春の月
春めきて何故か愛想好くなりし ゆり 添削> 春めきて彼女愛想好くなりし
白梅や旧家の庭に日差し濃き 秀昭 添削> 一本(ひともと)の白梅匂ふ旧家かな
水車小屋花菜明かりのまんなかに 公二
まぎれなき母の字残る種袋 山去 添削> 亡き母の走り書きある種袋
てのひらに淡雪溶けし露天の湯 更紗
夜来の雨春耕の土匂ひたり みすず 添削> 雨晴れて春耕の土匂ひけり
春の泥大きくよけて盲導犬 よし女
落椿笑ひ羅漢の膝の上 ゆきえ 添削> 落椿座禅羅漢の膝の上
春月を帰る楽譜を携へて えみ
渓流の瀬音まじかに畑を打つ 清
廃線の途切れし線路いぬふぐり 路 添削> 廃線の鉄路を覆ふいぬふぐり
おちこちの漁火潤む春の伊豆 一楽 添削> 伊豆沖に漁る舟の火の朧
市街地図ひざにいねむり春の旅 楓 添削> 旅人の膝に絵地図や春眠し
春浅し縄文人の眠る丘 正春 添削> 踏青や縄文遺跡訪ねけり
春日傘回してはずむ立ち話 文月
毬のごと子犬駆けゆく春の土手 みすず
片隅に寄せられてあり春炬燵 ほとり
釣り人の背中くの字や春浅し 廣美子 添削> 釣り人の背中くの字や春寒し
パチンコ店朝より並ぶ冬帽子 みすず 添削> パチンコの開店を待つ冬帽子
声揃へ駆け抜く一団息白し 孝由
弦一本切れたるままや春寒し えみ
潮風の吹き上がりたる梅の丘 ハジメ 添削> 潮風の吹き上げてくる梅の丘
空耳に聞く母の声春障子 こうじ 添削> 母の声せしは空耳春障子
春暁やまず山頂を紅く染め ちやこ
さざ波の光を打ちて鴨翔てり ひろみ 添削> 煌けるさざ波駈けて鴨翔てり
春雨の序破急やまぬ鎖桶 好夫
園児バス見送るママの着膨れて マサ子
一すぢの煙を上げて山眠る 山去
二の腕を湯舟に浮かす春夜かな 明日香 添削> 露天湯に二の腕浮かす朧かな
石仏に供へし水の氷りたる まや
柔らかに雨の一日や物芽出づ こう 添削> 柔らかな一日の雨に物芽出づ
如月や研ぎ上げし鎌透かし見る よし女 添削> 研ぎ上げし鎌春光に透かし見る
一瞥を残して去りぬ恋の猫 楓 添削> 猫の夫われを一瞥して去りぬ
下萌えの不揃いなりし河川敷 きみこ 添削> 河川敷まだら模様に下萌ゆる
春時雨老のうなじを濡らしける 秋乃 添削> 春時雨老女のうなじ濡らしけり
衛兵の交代式や風光る みすず
底冷やうぐひす張りの廊長し 山去 添削> 春なれどうぐひす張りの廊寒し
藁苞をちょこと上げをり寒牡丹 光晴 添削> 藁苞を持ち上げんとす寒牡丹
境内の綿菓子売りや春日和 明日香 添削> 梅日和綿菓子売屋繁盛す
早春の川面に一竿振りいだす 楓 添削> 愛竿を振る早春の川面かな
銅鑼の音や雪深々と佐渡航路 路 添削> 万象に深々と雪佐渡航路
雪解水はじく巌の青光り とろうち 添削> 雪解水はしる巌の青光り
猫柳瀬音に日ごと膨れけり きみこ 添削> 猫柳日ごと高鳴る瀬音かな
いかがわしビラ舞上る春一番 折山 添削> ピンサロのビラ春一に舞ひにけり
手鏡で襟元直す梅日和 千春 添削> 手鏡で襟元直す梅の翳
風花や賽の河原の地蔵尊 ていすけ 添削> 風花す賽の河原の仏らに
雪合戦柔道部対剣道部 ハジメ
雪囲い解きて大空ありにけり 登美子 添削> 雪囲い解きて大空展けけり
造成地まづ南面の土手青む 一尾
日に透けて絹作りめく寒牡丹 光晴 添削> 日に透けて白絹めきぬ寒牡丹
コンビニの灯を借りてゐる焼芋屋 茂樹 添削> コンビニの洩れ灯をたのむ焼芋屋
土匂ふ深き轍の春田かな 一尾 添削> 春耕の深き轍の土匂ふ
山下る膝のがくがく笑う山 ふふこ 添削> 下り道膝がくがくや山笑ふ
芝の火のドミノのごとく走りけり 清 添削> 芝焼く火ドミノのごとく走りけり
雛飾る卒寿の老女あどけなく 康子 添削> 古雛飾る卒寿の老女かな
水底に流れの影や春小川 とろうち 添削> 水底に揺るる川面の春日影
恋猫の新車の屋根を走りけり 茂樹
吹く風の形にあおさ干上がりぬ よし女 添削> 風紋の形にあおさ干上がりぬ
舫ひ綱きりきり鳴かす春疾風 登美子 添削> 舫ひ綱きりきり軋む春疾風
山里は水音に満つ雪解風 とろうち 添削> 里はいま水音に満つ雪解かな
雛の間の手酌の父は独り言 路 添削> 雛(ひひな)の間独り手酌に酔ひし父
胴長の腰の深さに海苔を摘む 一尾
薬剤師めざす子のをり薬喰 我風 添削> 薬剤師めざすといふ子薬喰
余寒なほ海へと続く雑木原 よし女 添削> 余寒なほ海へと続く雑木道
絵本のよう羊雲3匹春の空 国子 添削> 羊群のごとく散らばる春の雲
白魚の水ごと売らる魚市場 楓 添削> 白魚の水もいっしょに売られけり
鬼の役誰もやらずに豆を撒く ゆうこ
ふるさとの山より上り春の月 まや 添削> ふるさとの山より揚がる春の月
一人居の小さき声の鬼は外 おたふく 添削> 独り居の小さき声で鬼は外
卒業や子の卓上に旅程表 公二 添削> 卒業子机の上に旅程表
緋毛氈映ゆる野立の梅まつり 国子 添削> 緋毛氈映ゆる野点や梅日和
麗しき大正の顔古雛 廣美子 添削> 天平の見目麗しき古雛
刑務所の塀に上って猫の恋 ハジメ 添削> 刑務所の塀よじのぼる恋の猫
寺町に響く節分の触太鼓 れいこ 添削> 寺町に響く追儺の触太鼓
指先の霜焼けかゆしキーボード 素居
竹縁に雪玉ひとつ尼の寺 幸太郎
下萌や術後の経過良好と 更紗 添削> 踏青や術後の経過良好と
あひる等の脚忙しき春の池 とろうち 添削> あひる等の蹼(みずかき)忙し春の池
くしゃみして芝居じみたる独り言 ゆうこ
駅頭のからくり時計春の歌 初凪 添削> 駅頭のからくり時計春の楽
春泥の乾いてゐたりランドセル はるを
退院の窓辺眩しく春立てり ゆき子 添削> 退院の窓辺に佇てば春日燦
ひもすがら神鼓は響く厄落し よし女 添削> ひもすがら響く神鼓は厄落し
茅葺きの水車小屋梅咲きはじむ 大門 添削> 水音の水車小屋梅咲きはじむ
露天湯にはるけき富士山の雪解風 秋乃 添削> 露天湯に通ふは富士山の雪解風
立春や掃除機に豆飛び込みぬ 江斗奈 添削> 掃除機に追儺の豆の飛び込みぬ
立ち話受験のことは触れもせず ゆうこ 添削> 立ち話受験の結果には触れず
大仏の背に薄日さす余寒かな 良坊 添削> 大仏の背の薄日消ゆ余寒かな
菜の花や水平線のふくよかに はるを 添削> 花菜畑水平線の展けけり
姿見にまえ横うしろ春来る えみ
背伸びする鴨の羽ばたき移りゆく 明日香 添削> 日向鴨連鎖反応みな背伸び
人だかり散りて野焼きの猛りけり 一尾 添削> 野焼の火猛り人垣散らしけり
立春や新刊並ぶ展示棚 清
湯気立ての為に洗濯干すと言ふ たけし
十指湯に閉ぢて開いて冬の果て こみち 添削> 十指湯に閉ぢて開いて冬湯治
赤鬼の面をはずして福の顔 千春 添削> 赤鬼の面をはずして福の相
木枯しに悲鳴をあぐる竹林 廣美子
侘助や庭の箒目真直ぐなり 光晴 添削> 侘助や庭の箒目乱れなし
天敵か白鳥の首総立ちに 我風 添削> 何ごとぞ白鳥の首総立ちに
豆腐屋の湯気殊に濃き雪の朝 素居 添削> 豆腐屋の湯気濃く洩るる雪の朝
待春や瀬音ふくらむ温泉郷 楓 添削> 春立ちて瀬音高鳴る温泉郷
本堂へ雪解雫をくぐりけり とろうち 添削> 本堂へ雪解雫を避けられず
突堤の海は二色鳥帰る 路 添削> 紺碧の海は二色鳥帰る
美容師の鋏かろやか春隣 みすず 添削> 美容師の鋏のリズム春隣
ぬかるみに板を渡せり梅の花 まや 添削> ぬかるみに渡す歩板(あゆみ)や梅の宮
オリオンのぼやけて見えぬ通夜帰り 志乃 添削> 寒オリオンぼやけて見えぬ通夜帰り
冬萌や名もなき草に歩を止めて 我風 添削> 踏青や名もなき草に歩を止めて
浜苞は婆がほまちの干若布 ゆきえ
冬濤や岬へ続く磯馴松 初凪 添削> 冬濤の岬へ傾く磯馴松 初凪
風花や比良山けふは雲置かず 山去
凍てる日も玻璃越しの陽は春隣 如風 添削> 玻璃越しの日ざしに力春隣
火渡りのおきを踏みしめ初不動 清
冬帽をまぶかに値切る骨董市 桑 添削>冬帽をまぶかに値踏み骨董市
春霞音なく進む巨大船 やす子 添削> 沖霞音なく進む巨船かな
凛として行く手さえぎる冬木立 輪三 添削> 凛として枝差し交はす冬木立
わだかまりやがて消えゆく軒氷柱 りえこ 添削> わだかまり消ゆ軒氷柱見てをれば
鋤き返し畝黒々と冬田かな 百姓 添削> 鋤き返し畝黒々と春田かな
藍染の引き出す暮色雪の飛騨 良坊 添削> 藍染に暮色ただよふ雪の飛騨
ゆびさきをひろげてあたるたきびかな 輪三
舟底をことこと叩く春の波 六郎太 添削> 舷(ふなばた)をひたひた叩く春の波
漣のきらめくあはひの冬鴎 こみち 添削> 漣のきらめくあはひ冬鴎
寒気満つ大仏殿の隅々に 清 添削> 寒気満つ大仏殿の広きかな
園丁の摘み残したる蕗の臺 はるを 添削> 園丁の摘まず置きたる蕗の臺
寒雷の水平線の闇に浮く 路 添削> 寒雷や闇に水平線浮かぶ
恋の猫振り向きもせず庭よぎる 孝由 添削> 振り向きもせず庭よぎる恋の猫
鍬の柄に打ち込む楔春隣 よし女
ライバルは古稀の祖母なり歌がるた ほとり
幼子の手の温もりや春隣 文月
筆太の一書は寒の見舞かな 一尾 添削> 筆太の文字凛々しかり寒見舞
手袋を咥へて駅の券売所 とろうち 添削> 手袋を口に咥へて切符買ふ
裸木の枝の先より暮れ初むる 更紗 添削> 裸木の枝先よりまず暮れ初むる
車窓より笑顔で手話の冬帽子 川蝉
風花す煌く星の降る如く きみこ 添削> 風花す煌く星の降るさまに
白壁に木の影ゆらぐ春隣 まや 添削> 白壁に枝影ゆらぐ春隣
公魚の一二度跳ねて凍てにけり 茂樹
炉辺の猫坐る序列のあるごとく 初凪 添削> 炉辺の猫坐るに序列あるらしき
青竹の匂ふ柄杓や寒の水 国子
寒鯉や針定まらぬ台秤 登美子
探梅や職員室が出発地 嘉一 添削> 職員室でて裏山の梅探る
寒月のひかり差し込む坐禅堂 公二
春耕や飛行機の腹近々と やす子 添削> 春耕の頭上低きを飛機離陸
春障子飛び交ふ影を猫の追ふ 恭雅 添削> 春障子飛び交ふ影にじゃれる猫
冬怒涛幾重にもまく舫綱 よし女
崖伝ふ水の白糸春隣 まや 添削> 岩走る水の白糸春隣
ゴンドラで窓拭く人や息白し たけし 添削> ゴンドラで窓拭く人の息白し
孫連れで小春探しの散歩道 文月 添削> 孫に手をひかれ小春の散歩道
春待ちにけり退院の許可おりて 更紗 添削> 春待つに似て退院の日を数ふ
凍を斬る如くに決めし面一本 ほとり
寒紅を薄めにつけて初デート 千春 添削> 寒紅をひかえめにして初デート
風花の舞ひの強弱見つめけり 好夫 添削> 風花の舞ひの序破急見て飽かず
連峰のひだくっきりと冬の朝 てるこ 添削> 連峰のひだくっきりと冬晴るる
落武者の着きし島とや冬萌ゆる ゆきえ 添削> 落武者の流されし島草萌ゆる
六地蔵なべて頭に雪湛へ 秋乃 添削> 六地蔵をかし揃ひの雪頭巾
冬濤の阿修羅めきて岩を噛む 国子 添削> 冬濤の阿修羅となりて岩を噛む
安全の点呼や凛と白き息 一尾 添削> 安全の点呼発止と白き息
深雪晴れ富士近々と現れにけり こう 添削> 今朝の富士いよいよ近し深雪晴
蝋梅や柔らかき日のとどまりぬ 千衣 添削> 蝋梅の柔らかき日を集めをリ
お手玉をあやつる路地や日脚伸ぶ みすず 添削> 路地の子のお手玉遊び日脚伸ぶ
天空に傾きつつも冬木なり 涼 添削> 天空に伸び傾ける大冬木
喧嘩独楽土俵となりし四斗樽 ひろみ 添削> 四斗樽狭しと暴れ喧嘩独楽
室生山風花に建つ五重塔 ミチコ 添削> 風花や室生の搭の傾ぐかと
[選評]
今週は、作り方で少し気になった句が多かったので補足しておきます。
◇凍てる日も玻璃越しの陽は春隣 → 添削> 玻璃越しの日ざしに力春隣
凍てる日なのに春隣はおかしいですね。
◇冬帽をまぶかに値切る骨董市 → 添削>冬帽をまぶかに値踏み骨董市
値切るでもいいかもしれませんが、黙して値踏みしている方が冬帽子が効果的と思います。
◇春霞音なく進む巨大船 → 添削> 沖霞音なく進む巨船かな
自分と対象との距離をわからせるために、沖霞としました。霞はもともと春の季語なので蛇足です。
◇凛として行く手さえぎる冬木立 → 添削> 凛として枝差し交はす冬木立
凛として、行く手さえぎる、どちらも抽象的な表現ですね。具体的に表現しないと景が見えてきません。
◇わだかまりやがて消えゆく軒氷柱 → 添削> わだかまり消ゆ軒氷柱見てをれば
原句では軒氷柱のまえで切れてしまうので季語が動きます。
◇鋤き返し畝黒々と冬田かな → 添削> 鋤き返し畝黒々と春田かな
すき返す田は冬田とは言いません。
◇藍染の引き出す暮色雪の飛騨 → 添削> 藍染に暮色ただよふ雪の飛騨
引き出す・・が解らないですね。理屈で感じることから脱皮することが大切です。
◇舟底をことこと叩く春の波 → 添削> 舷(ふなばた)をひたひた叩く春の波
浮かんでいる舟なら、底を叩くのはちょっとおかしいですね。
◇漣のきらめくあはひの冬鴎 → 添削> 漣のきらめくあはひ冬鴎
「の」は不要。5・7・5の正調になるように自分で推敲すること。
◇寒気満つ大仏殿の隅々に → 添削> 寒気満つ大仏殿の広きかな
隅々に・・は説明。
◇園丁の摘み残したる蕗の臺 → 添削> 園丁の摘まず置きたる蕗の臺
意識して摘まなかった・・ということが解るように。
◇寒雷の水平線の闇に浮く → 添削> 寒雷や闇に水平線浮かぶ
寒雷が水平線の闇に浮かんでいる・・・というふうに読めます。これも推敲不足。
◇恋の猫振り向きもせず庭よぎる → 添削> 振り向きもせず庭よぎる恋の猫
ふり向かない主の正体は後でいうほうがいいです。体言止の効果も出ます。
◇筆太の一書は寒の見舞かな → 添削> 筆太の文字凛々しかり寒見舞
筆太とくれば一書は蛇足。
◇手袋を咥へて駅の券売所 → 添削> 手袋を口に咥へて切符買ふ
自販機の切符を買っているのですね。焦点を絞るために、「駅」は不要。
◇裸木の枝の先より暮れ初むる → 添削> 裸木の枝先よりまず暮れ初むる
真っ先に・・と強調したら力強くなります。
◇風花す煌く星の降る如く → 添削> 風花す煌く星の降るさまに
ごとく・・をなるべく使わない工夫をすること。句意はおなじですが。
◇白壁に木の影ゆらぐ春隣 → 添削> 白壁に枝影ゆらぐ春隣
枝の方が揺れる感じが具体的です。
◇炉辺の猫坐る序列のあるごとく → 添削> 炉辺の猫坐るに序列あるらしき
感じたことは自信を持って断定しましょう。
◇探梅や職員室が出発地 → 添削> 職員室でて裏山の梅探る
理屈にならないように・・
◇春耕や飛行機の腹近々と → 添削> 春耕の頭上低きを飛機離陸
飛行機の腹近々と・・ちょっと乱暴ないいかたですね。
◇春障子飛び交ふ影を猫の追ふ → 添削> 春障子飛び交ふ影にじゃれる猫
猫がじゃれているんですね。
◇崖伝ふ水の白糸春隣 → 添削> 岩走る水の白糸春隣
走っている方が力強いです。
◇ゴンドラで窓拭く人や息白し → 添削> ゴンドラで窓拭く人の息白し
「や」で切ってはいけません。
◇孫連れで小春探しの散歩道 → 添削> 孫に手をひかれ小春の散歩道
小春探し・・は理屈
◇春待ちにけり退院の許可おりて → 添削> 春待つに似て退院の日を数ふ
春を待つ気持ちで退院の日を待ちわびている。
◇寒紅を薄めにつけて初デート → 添削> 寒紅をひかえめにして初デート
客観写生のことばを工夫することで感情(小主観)を表現できます。
◇風花の舞ひの強弱見つめけり → 添削> 風花の舞ひの序破急見て飽かず
序破急ということばがあります。見つめるだけではなく、もう一歩突っ込むことも大切。
◇連峰のひだくっきりと冬の朝 → 添削> 連峰のひだくっきりと冬晴るる
冬晴れ・・という季語のほうがいいです。
◇落武者の着きし島とや冬萌ゆる → 添削> 落武者の流されし島草萌ゆる
冬萌は憑き過ぎ(意図的に配したと思われることば)です。
◇六地蔵なべて頭に雪湛へ → 添削> 六地蔵をかし揃ひの雪頭巾
説明調からの脱皮を目指すこと。
◇冬濤の阿修羅めきて岩を噛む → 添削> 冬濤の阿修羅となりて岩を噛む
感じたことは断定すること。
◇安全の点呼や凛と白き息 → 添削> 安全の点呼発止と白き息
凛と・・が抽象的です。
◇深雪晴れ富士近々と現れにけり → 添削> 今朝の富士いよいよ近し深雪晴
晴れたから富士が近い・・のではなく、まず富士が目に飛び込んできたのではないですか?
◇蝋梅や柔らかき日のとどまりぬ → 添削> 蝋梅の柔らかき日を集めをリ
日が主役なのではなくて蝋梅のほうを主役にしてあげましょう。
◇お手玉をあやつる路地や日脚伸ぶ → 添削> 路地の子のお手玉遊び日脚伸ぶ
作意が見えないように推敲します。
◇天空に傾きつつも冬木なり → 添削> 天空に伸び傾ける大冬木
つつも・・なり。何のことか解らないですね。素直に感じたままを詠めばいいのです。
◇喧嘩独楽土俵となりし四斗樽 → 添削> 四斗樽狭しと暴れ喧嘩独楽
これも作意が見えてしまいます。
◇室生山風花に建つ五重塔 → 添削> 風花や室生の搭の傾ぐかと
説明調からの脱皮を目指すこと。
[苦言]
1)最近技巧に走った句が増えてきました。難しいことばを使う。ひねくり繰り回した言い回し。
理屈。これらを意識せず、素直に、平明に、の基本を守ってください。
2)見たままを素直に、平明に、を心がけると、どうしても説明調子になります。
これは、もう一歩突っ込んで深く感じる訓練が足りないからです。でも、推敲をすれば工夫できます。
添削例を参考にして、説明調子になっていないかを自分でチェック致しましょう。
3)残念ながら類想が目立ちます。歳時記を見ながら句をひねったり、他人の秀句をちょっと言い
回しを変えてみたりと、いうインチキな作り方をすると必ず類想になります。決して悪意から
とは思わないのですが、調子がでなかったり、成績を気にすると悪魔の誘惑に陥るのです。
これを脱皮しないと上達は望めません。
曽我姓の多き里なり梅探る ゆきえ
葉牡丹の渦緩みゆく日差しかな てるこ 添削> 葉牡丹の渦の緩みし日差しかな
道阻む雪折れの枝奥の院 ミチコ 添削> 雪折れの枝奥院の道阻む
渡船より犬のつき来る福詣 やす子
凍道やノロノロ運転連なりて こう 添削> 凍道やノロノロ運転数珠つなぎ
図書館の大きな窓や冬木の芽 つとむ 添削> 図書館の玻璃窓を打つ冬木の芽
尾根道に手斧屑踏む春隣 志乃 添削> 手斧屑踏みゆく尾根は春隣
羽子をつく一人の空が昏れにけり 東吾 添削> 一人羽子つきゐし空の暮れなんと
蕗の薹つむりをそっともたげをり 草根 添削> 蕗の薹そっとつむりをもたげをり
寒の水一口喉を下りゆく ちやこ
厄除けの神に詣でて梅探る きみこ
もののふの塚に動かぬ冬の蝶 初凪 添削> もののふの塚に縋りて蝶凍つる
野仏に片手拝みの時雨かな いさお 添削> 野仏を片手拝みす時雨かな
忘れ物戻りし夫の息白し てるこ 添削> 息白く戻りし夫は忘れ物
大寒の大安なりし地鎮祭 ひろみ 添削> 大安といへど大寒地鎮祭
縄跳びの子の髪風と揉みあへる 楓 添削> 縄跳びの子の髪風に縺れけり
托鉢僧正座にて飲む寒の水 みすず 添削> 托鉢僧正座して飲む寒の水
凍て割れし器転がる登り窯 ミチコ 添削> 窯の辺に凍てて転がる割れ器
寒雷に怯えし孫を抱きしめる たけし 添削> 雷鳴に怯えし孫を抱きしめる
大吉を結ぶ指先ひび切れて みどり 添削> 大吉の御籤を結ぶ胼の指
冬日浴び長谷の大仏笑み深し ていすけ 添削> 冬日さす長谷大仏の慈眼かな
背丈より長き竹刀の寒稽古 輪三 添削> 背丈より長き竹刀や寒稽古
大寒の風に向かいて仁王像 ゆき子 添削> 寒風にひるむことなき仁王像
寒萌の三角点をなぞりたり ハジメ 添削> 下萌の三角点に立ちにけり
結び目の緩む竹垣雪割草 路
朝霜や壊れかけたる水車小屋 公二 添削> 霜被る朽ちて傾く水車小屋
まづ田より白くなりけり細雪 とろうち 添削> 真っ先に田が白変す細雪
吹雪く夜や折鶴羽を尖らせて 志乃 添削> 吹雪く夜や折鶴の羽尖らせて
みちのくの駅に枝垂るる餅の花 みすず
冬の川石碑傾く渡し跡 百姓 添削> 傾ぐ碑は渡しの跡や川涸るる
繭玉の土間まで届く相撲茶屋 ゆきえ
寒月やザボンの熟れし如きなり 廣美子 添削> 寒の月大きザボンの熟れし如
筆先を遊ばせて描く梅一輪 楓 添削> 筆先は一輪の梅描きけり
のびる摘む観音参りの道すがら よし女 添削> のびる摘む観音さまの参道に
松葉杖ついて結びし初御籤 ゆうこ
ウインドに残る時雨の過ぎし跡 こみち 添削> ウインドに忘れ雫や時雨過ぐ
プラタナス迷彩色に冬枯るる ちやこ 添削> プラタナス枯れて迷彩色の幹
磨崖佛の頬には触れず玉霰 れいこ 添削> 玉霰磨崖仏を打ちにけり
寒の水飲み干す喉の若きかな 初凪
逆さ独楽ひとり離れて廻しをり 東吾
勝独楽の大き息して静止する 我風 添削> 勝独楽の肩をゆすりて止まりけり
枯蔓の竹に縋るや半ばまで 明日香 添削> 青竹に縋りし蔓の枯れにけり
枯蓮のなべて首折る沼田かな 光晴
野を焼いて若衆だまり賑わえり ていすけ 添削> 野火を守る若衆だまり活気あり
飼ひ猫とバッハ聴きゐる春隣 ゆき子 添削> 猫抱いてバッハ聴きゐる春隣
防人の塚を囲みて寒椿 よし女 添削> 寒椿防人塚を囲みけり
冬波に錆深めゆく座礁船 よし女
奉燭に煤けてをりし鏡餅 れいこ 添削> 煤汚れしたるお堂の鏡餅
百年碑建つ廃校に四温かな 大門 添削> 百年碑傾ぐ廃校風寒し
グラス手に炎揺らめく宿暖炉 たけし 添削> 暖炉の火ワイングラスに揺れにけり
冬日燦宝物殿の大氷柱 みすず 添削> 朝日燦宝物殿の大氷柱
冬木の芽画廊へ道の細りたる はるを 添削> 画廊へと冬木の細き道たどる
白足袋が磴のぼり来る室生かな 尼女
寒卵すすりてよりの夜勤かな 我風
おお風の傷跡のこる冬木立 ひさこ 添削> 風折れの枝の散らばる冬木立
袖たくり成人の日の献血す 茂樹
左義長の三方引かれ直立す 朝子
老いゆえに独り身ゆえに春を待つ 文月 添削> 独り身の暮しにも慣れ春を待つ
細小川菜屑もろとも凍ててけり 志乃 添削> 畦川の菜屑もろとも凍ててけり
捨て水の夕べに凍る山家かな 清
朽舟を叩く波の音春隣 光晴 添削> 朽舟を叩く波音春隣
枯蓮の夕日受け止むすべ持たず 光晴
帯祝ひ渡舟で帰る四温かな やす子
退院の延びて三寒四温かな ゆうこ 添削> 退院の日を数へ待つ四温かな
夕日落つ干大根の隙間から 大門 添削> 夕日落つ高櫓なる干大根
地下街の昼のにぎはひ女正月 こみち
枯芝に忘れボールの影長し 志乃 添削> 枯芝に忘れボールの夕日影
絨毯の如き麦の芽踏みにけり きみこ 添削> 絨毯の如き感触麦芽踏む
ラガー等の組し肩より湯気昇る きみこ
初稽古扇の要返しから ゆり
大杉の雪しづりたり光堂 みすず
薄氷を避けて通りぬ試歩の道 てるこ
冬銀河賢治の宇宙広がりぬ みすず 添削> 冬銀河賢治の宇宙思ひけり
揚げ舟の底さらけだし沼涸るる 好夫 添削> 揚げ舟の底もあらはに沼涸るる
冬木萌ゆ街の小さなペン画展 ふふこ 添削> ペン画展街の小さな冬館
もちよりの彩美しく女正月 こう 添削> とりどりに馳走もちより女正月
町おこし説く息白く早まりぬ 茂樹 添削> 町おこし説く老翁の息白し
手袋を脱ぎねんごろな御慶かな 初凪 添削> 手袋を脱ぎねんごろな御慶うく
梅が香や忘れられたる百度石 初凪 添削> 梅が香や古りて傾ぎし百度石
マスクして目より挨拶送りけり 楓 添削> マスクして目にて挨拶送りけり
冷たさに古雑巾も棒となり 百姓 添削> 古雑巾凍ててバケツに棒となる
力石傾きしまま注連飾り れいこ 添削> 力石傾きしまま注連飾る
コーヒーの味が戻りし風邪癒える ゆうこ 添削> 風邪抜けてコーヒーの味戻りけり
かじかみて切れ切れにむく冬りんご 明日香 添削> 悴みて切れ切れにむく林檎かな
沖はるか巨船動かず四温光 こみち 添削> 冬凪の沖なる巨船動かざる
酒蔵の神へ寒九の水を汲み よし女
おとろへし左義長を守る二三人 まや 添削> 左義長の残り火を守る二三人
飛騨川の懸崖を背に浮寝鳥 清 添削> 懸崖を砦としたる浮寝鳥
果樹園の蕾見歩く頬被り 清
待春の人の混みあふ浅草寺 はるを
保線夫の足跡つづく雪の駅 みすず 添削> 保線夫の足跡深き雪の駅
刺繍絵の吉祥天や淑気満つ れいこ 添削> 刺繍絵の吉祥天女淑気満つ
メモ書きに蜜柑乗せある妻の留守 茂樹
回春を願ふ七十路薬喰ひ 草根 添削> 回春を願ふにあらず薬喰ひ
一枚と云えど田打の土匂ふ 一尾
初富士を五右衛門風呂の窓に置く 我風 添削> 初富士や五右衛門風呂の窓の上に
枯蟷螂威嚇せしまま果ててをり 小筆 添削> 枯蟷螂威嚇の構へそのままに
玄関に草履華やぐ成人日 江斗奈 添削> 玄関に華やぐ草履成人日
草に置く朝霜水晶めきにけり 廣美子
からっぽの魚篭のぞきあふ寒の晴 こみち 添削> 寒釣の魚籠のぞけばみんな空ら
産声のやはり男児と初電話 川蝉 添削> 産声を聞かせてくれし初電話
破凧も月も捕らへて雑木かな 光晴 添削> 破凧のひっかかりたる雑木かな
青き目の修行僧ゐて初詣 公二 添削> 青き目のひともまじりて初詣
冬ざれや渡しの旗の垂れしまま 好夫
二の腕の白きを見せて弓始 登美子 添削> ふりしぼる二の腕の白き弓始
冬晴れの空に一引く飛行雲 廣美子
寒林の網くぐり行く機影かな とろうち 添削> 網目なす寒林を縫ふ機影かな
初茜烏帽子の岩を際だたす れいこ 添削> 初茜烏帽子の岩をまず染めて
寒凪の沖へ鳶の輪移りゆく よし女
野を駆ける子の背な追って冬の凧 俊郎 添削> 野を駆ける子の背に凧のあがりけり
冬晴れの水車の影も廻るかな 秋乃 添削> 冬日燦水車の影も廻りけり
七草やままごとほどの菜をきざむ 朝子
水仙や咲きて波立つ日本海 泉 添削> 水仙のなだるるところ日本海
雪塊の流ると見しは都鳥 光晴
釣り竿の届かぬを知る浮寝鳥 光晴
よそ行きの言葉なかなか春着の娘 登美子 添削> よそ行きの言葉にとちる春着の娘
訥々の語り部手酌炉を囲む 好夫 添削> 訥々と昔語りや炉辺に酌む
蝋梅の朝日に透けて匂いけり きみこ 添削> 蝋梅の朝日に透けて匂ひけり
競り台に乗る一徹の河豚の貌 たかし 添削> 台の上にふくれっ面の河豚糶らる
青空に産毛光れる冬芽かな 初凪 添削> 青空に産毛眩しき冬芽かな
磨崖仏雪の大杉供華として よし女 添削> 磨崖仏雪の大杉従者(ずさ)としぬ
若菜摘む手に海の風山の風 よし女
落花生箸置きにして初句会 志乃
咳き込まれ話の腰を折られけり 川蝉 添削> 咳き込みて話のつづき忘れけり
朽ち舟の風紋深く冬の浜 路 添削> 朽ち舟の砂に埋るる冬の浜
日の出前青磁の如き寒の空 けんいち 添削> 東雲に青磁の如き寒の空
恋札の宙に舞いたる歌留多取り よし 添削> 恋の札宙に舞いたる歌留多取り
とんど焚く子らの笑顔の揺らめきぬ 光晴 添削> とんど焚く子らの笑顔の揺らゆらと
初風やふれあふ絵馬の音軽ろき 我風 添削> 初風に絵馬ふれあへる音軽ろし
初荷船かもめの群を割って来る 東吾 添削> 初荷船かもめの群を分けて来る
福笹の大判小判頭上行く ミチコ 添削> 福笹の大判小判翳しゆく
水仙や背中合わせに野の仏 たかし 添削> 水仙のかたへに古し石仏
咳一つ混じりて車内アナウンス 一尾
底冷へや聖堂古き大理石 やす子 添削> 大理石づくし聖堂底冷えす
伐採の杉の香満てり春隣 千衣 添削> 伐採の杉の香満ちて春隣
汽笛鳴る十日戎の港町 清
寒紅の男言葉と心意気 川蝉 添削> ものいへば寒紅男勝りなり
息災と一行のみの初便り ゆきえ
中空を貫く音や弓始 秀昭 添削> 中空を発止と射貫き弓始
精確なVの字で飛ぶ鴨の陣 ちやこ 添削> Vの字を描きて鴨の陣翔ちぬ
床柱褒めて帰りぬ礼者かな 初凪
幼子の声に始まる初笑ひ れいこ 添削> 幼子の喃語に一家初笑ひ
読初めの句集より受く力かな こう 添削> 読初めの句集に勇気授かりぬ
侘助や茶室に絹の擦れる音 茂樹
若菜摘む富士の遥かに見ゆる土手 ていすけ 添削> 若菜摘む遥かに富士の見ゆる土手
寒雀一茶の句碑に遊びけり ゆき子
着膨れて吊り皮の腕擦り合ひ ミチコ 添削> 着膨れて吊り皮に手の届かざる
錆鼠の母の帯締め初鏡 初凪 添削> 錆鼠の帯きゅっと締め初鏡
宵戎人影ほのか旧花街 たかし 添削> 宵戎旧花街を辿りけり
裸木の影も裸木石ベンチ 孝由 添削> 裸木のしるき影落つ石ベンチ
浮かび来る間のさざ波や鳰の湖 よし女 添削> 潜きたるあとのさざ波鳰の湖
飛ばずとも見得を切りたり奴凧 とろうち 添削> 大見得を切る奴凧墜ちにけり
花丸は卒寿の宴や初暦 良坊 添削> 花丸は卒寿の宴(うたげ)初暦
見憶えある字の踊る年賀状 ちやこ 添削> 見憶えのある躍り字よ年賀状
のんびりとパソコンに向く七日かな こう 添削> パソコンに向ふ即ち初仕事
大漁旗ありたけ揚ぐる漁始 初凪 添削> 大漁旗ありたけ揚げて漁始
我が畑に春七草を揃へんと よし女 添削> 我が畑に春七草を数えけり
ハイッといいかるたの札を飛ばす夢 妙香 添削> ハイッといふや否や歌留多を飛ばしけり
銀嶺を四方に仰ぎて初句会 楓 添削> 銀嶺を四方に拝して初句会
葉牡丹の紫たたみつつ暮るる 楓
女子社員連れ初詣の社長かな 百姓 添削> 女子社員連れて社長の初詣
寒晴の巨大煙突稼動中 こみち
新暦還暦の日に二重丸 嘉一
裏木戸をこじ開け現るる雪女郎 れいこ 添削> 裏木戸をこじ開けをるは雪女郎
小春日や猫も廊下で背を伸ばし 文月 添削> 小春日の廊下に猫と並びをり
連凧の揚がりし空に天守閣 清 添削> 連凧のいま天守閣超えんとす
三日はやカレーの匂ふ新世帯 ゆきえ
熱燗や大事なことを切り出しぬ 正春 添削> 熱燗や意外なことを切り出され
枯野原汽車の煙の蛇行して 羽合 添削> 枯野汽車煙は右へ左へと
見送られ満天の星屠蘇の酔 公二 添削> 辞す道は満天の星屠蘇の酔
昨日まで会ひし人にも御慶かな ちやこ 添削> 昨日まで会ひし人にも御慶述ぶ
寒中に富士にとどけと球を打つ ていすけ 添削> 初ゴルフ富士へとどけと打ちにけり
付け終へし初荷の札の白きかな 東吾 添削> 付けらるる初荷の札の白きかな
歯科椅子の倒れてながむ寒夕焼 ひさこ 添削> 歯科椅子の倒れて窓の寒夕焼
門禮の会社巡りて丸の内 光晴 添削> 門禮の会社巡りや丸の内
さて今日は寒の入りとて背を伸ばし 文月
大凧に引っ張られをり百人衆 草根 添削> 大凧と引っ張りあへる百人衆
田の中に火柱立てて飾焚く 泉
福笑い整形手術しなければ あすみ
熱の子に茶粥俎板始かな ゆきえ
初富士や湾の屏風として立てり れいこ 添削> 一湾の凪ぎて初富士屏風立つ
七草や一つは畦で間に合わせ 百姓 添削> 七草の一つは畦に貰ひけり
雪道を無事に急げと救急車 廣美子 添削> 雪道に尻振り馳せる救急車
泊船の波に貼付く冬灯 一尾 添削> 泊船の波にたゆたふ冬灯
寒鴉苦吟す我を笑いけり けんいち 添削> 寒鴉苦吟の我を嘲笑す
若水やその一筅をははの前 登美子 添削> 若水やその一筅を老い母に
雲上に白銀輝く伊吹山 ごる歩 添削> 白銀の嶺雲上に抽んでし
置炬燵甲羅の如く妻寝入る 正春
初春の水車光をこぼしけり みすず 添削> 水車いま春の光をこぼしをり
手さぐりに鍵穴さがす寒さかな まや
雪景色犬の尻尾ぴんと立ち りえこ 添削> 雪野原犬の尻尾のぴんと立ち
足跡の上に足跡凍てにけり はるを
「出席」としたたむ返書初便り ゆきえ
貰い手のないカレンダー年越せり 正春
世に出でし子に一寸注ぐ年酒かな 敦風 添削> 世に出でし子と酌み交はす年酒かな
行儀良くクレーン並びし初御空 光晴 添削> 行儀良くクレーン直立初御空
源泉の湯気噴く庭や福寿草 ゆきえ
張り詰める臥龍の松の淑氣かな 好夫 添削> 老幹の臥龍の松の淑氣かな
露天風呂頬に冷たき風走る 陽子 添削> 露天風呂寒風頬に心地よし
寒の水汲みて硯の海満たす 楓
教卓に鏡餅あり新学期 れいこ 添削> 教卓の上に小さき鏡餅
芭蕉句碑なぞりて雪を払ひけり 大門 添削> 積む雪を払い翁の碑に見(まみ)ゆ
教室の寒さチョークの折れる音 はるを
標的を捉ふるしじま弓始 とろうち 添削> 的射たる音の確かさ弓始
自動ドアーまず飛び込みし風花や 千衣 添削> 自動ドアー開いて風花舞ひ込み来
松過や母の爪切る音聴こゆ まや
パソコンを立ち上げておく事務始め 初凪
初旅は青春十八きっぷなり 如風 添削> 初旅の青春十八切符買ふ
初夢を暴走族にさえぎらる ひさこ 添削> 暴走族憎し初夢覚めにけり
凧糸の切れんばかりに空が引く 千衣
かじかみて帳のことのは釘字なる 好夫 添削> かじかみて釘字となりし記帳かな
犬吠えて破魔矢で払う帰り道 泉 添削> 破魔矢もて吠えたる犬を払ひけり
新年や介護エプロン新調す 明日香 添削> 元朝の介護エプロン新調す
買初めのボールペン持つホ句の道 蒼 添削> 吟行の道行きにペン買初めす
書初めの信望愛の三文字かな 草根 添削> 信・望・愛の三文字書初めす
還暦の年頭所感初日記 ゆき子
酒樽に銭投げ入るる初神楽 やす子 添削> 酒樽に賽投げ入るる初神楽
からからと坂登りをり大枯葉 光晴 添削> からからと坂駆けのぼる大枯葉
描き終へて杭の水鳥まだ発たず 桑 添削> 描き終へて杭の水鳥まだ翔たず
天井に湯けむり高き雪の宿 素居 添削> 湯けむりや天井高き雪の宿
卆翁の気迫に見入る初書展 こう 添削> 卆翁の気迫の筆や初書展
初詣水子地蔵に菓子の山 きみこ
ニ杯目の御神酒に酔ひて年を越す ゆうこ 添削> 一杯の御神酒に酔ひて年を越す
大舞台大蛇はみだす初神楽 やす子 添削> 大舞台はみだす大蛇初神楽
古戦場貫く川や冬木の芽 清 添削> 古戦場貫く川の涸れにけり
箸立てのさみしくなりし四日かな とろうち
老犬のまなこ手で閉ぢ星冴ゆる とろうち 添削> 星冴ゆる夜や愛犬みまかりぬ
初御空宇宙の果てへ続きをり 秀昭 添削> 初御空宇宙へ旅行する時代
雪明かり五百羅漢の浄土かな みすず 添削> 凭れあふ五百羅漢は雪浄土
一羽立ち一斉に立ち寒雀 まや 添削> 一羽翔ちあとは一斉寒雀
冬濤の岩打つ響き能登金剛 ていすけ 添削> 能登金剛岩も砕けと冬怒涛
年迎ふ端渓に水たつぷりと 茂樹 添削> 書初の端渓に水たつぷりと
凍月の流れて行きぬ隅田川 初凪 添削> 凍月の浮かむ隅田の流れかな
来ぬ人の席にも置かれ祝箸 蒼
犬抱いて参道長し初詣 東吾
病む母の床にとどきし初日かな 大門 添削> 病む母の枕辺にいま初日さす
串柿の飾り端よりつまみ食ひ やす子 添削> 串柿の端欠けゐしはつまみ喰ひ
子を抱く羅漢の膝に雪つもる みすず 添削> 子を抱く羅漢の膝の深雪かな
[選評]
進むべき方向を示す意味で、あえて過度の添削をさせていただいた句が何点かあります。
ご理解いただけると嬉しいです。
みのる選の成績が思わしくない方は、ぜひ無料添削の指導を受けてください。
本日(1月19日)から、毎日句会の投句を1日1句にさせていただきました。
でも、1句になったから1句しか作らない・・と言うのではなく、
ぜひ今までのペースで句を詠んでください。
たくさん作って、その中から自信作を投句する・・というのが正しい姿勢です。
余った作品は、無料添削で見せてくださればいいと思います。
まだ試運転段階ですが、毎週句会(1週に3句)も始動しています。
ご自分のペースに併せて、お好きなほうへ参加してください。
もちろん、毎日と毎週の両方に参加されてもよろしいです。
ただし、毎日句会と毎週句会とは同じ句を投句してはいけません。
俳句を作り始めて間もない方は、なるべく毎日句を読む習慣が着いた方がよいので、
毎日句会をお勧めします。
少し慣れてきて、自分で推敲が出来るようになられたら、
作った作品を少し寝かせてよく推敲したものを毎週句会に投句されるのがよいと思います。
連山を茜に染めて初日出づ みすず 添削> 連山にひろがる茜初日出づ
朝日受け伽藍の庇大氷柱 好夫 添削> 朝日さす伽藍の軒の大氷柱
四方拝す北に筑波嶺西に富士 我風 添削> 四方拝北に筑波嶺西に富士
初メール休日勤務不満げに 江斗奈 添削> Eメール正月出勤中とあり
初春や金粉沈む供へ酒 東吾
注連の籾こぼれて土間に二つ三つ 六郎太
絹帯の畳擦る音淑気満つ とろうち 添削> 絹帯の畳擦る音淑気あり
淑気満つ空へ反りたる大庇 楓 添削> 初空へ反りし伽藍の大庇
算額を掲げし大坊初詣 一尾
初春の空晴れ渡り富士真白 俊郎 添削> 元朝の空晴れ渡り富士真白
殿上人めく抑揚や歌留多取り 敦風 添削> 殿上人めきし抑揚歌がるた
鏡餅皹は恵方の南南西 登美子
初風やちぎれんばかりの大漁旗 よし女 添削> 初風にちぎれんばかり大漁旗
咳き込みて話の続き忘れけり 川蝉
屠蘇の香に家族の平和感謝せり れいこ 添削> 屠蘇祝ふ家族の平和感謝して
挨拶の髪おもたげに春着の子 まや
靴下の重ね履きして除夜詣 ゆうこ 添削> 靴下を重ね履きして除夜詣
ねんごろに選る百余句や初句会 初凪
去年今年妻へ感謝の辞が言へず 孝由 添削> 屠蘇祝ふ妻へ感謝の辞を述べて
浮寝鳥見え隠れして潮満ちる 朝子 添削> 浮寝鳥見え隠れして潮満つる
一湾を金色に染め初日の出 朝子 添削> 一湾を金色に染め初日出づ
朝まだき山の気を呑む初湯かな 大門 添削> 山の気をまとふ露天の初湯かな
日溜りに鶏の遊べる初景色 よし女
初凧の木曽川またぎ風に乗る 清
望楼に日のほんのりと初御空 登美子 添削> 望楼にほのと明けゆく初御空
老杉の雪振り落とす息づかひ 好夫 添削> 身じろぎて老杉雪を振り落とす
着膨れて返事のほどに動かざり 茂樹 添削> 着膨れて返事のほどに動けざる
年越しや蕎麦車座になりて食ぶ こう 添削> 車座に年越し蕎麦をすすりけり
晩学は苦吟の日々や年暮るる 秀昭 添削> 晩学の俳句の虫や年暮るる
大歳や夫座す椅子を上座とし 志乃 添削> 年送る夫座す椅子を上座とし
エプロンをたたみて今宵年惜しむ 登美子 添削> エプロンをたたみて年を惜しみけり
行く年の銭湯にひと溢れをり やす子 添削> 行く年の銭湯にひと溢れけり
去年今年明治の母のゐる暮らし はるを
能登路行く車を襲う冬の波 ていすけ 添削> 道路まで冬波しぶく能登路かな
白鳥の飛翔緞帳あがるごと 我風
恋心秘めて寒紅ひき直す れいこ
菜畑へ礼して辞しぬ小晦日 志乃
セーターは彼のお下がり十六才 ほとり 添削> セーターは彼とお揃ひ十六才
数え日のひと日病の友とをり ゆき子
丁寧に仏壇清め年の暮 ゆき子
ひとやすみばかりの夫の煤払ひ とろうち
海苔舟の言葉短き夫婦かな 一尾 添削> 海苔舟の言葉少なき夫婦かな
職退きてゆったり年を惜しみけり きみこ 添削> 職退きて心置きなく年惜しむ
年の内時間違わず薬飲む ゆうこ 添削> 年の内時間違はず薬飲む
金策の尽きて思案の股火鉢 折山
数へ日にこの青空を賜りぬ 楓 添削> 数へ日に玉の日和を賜りぬ
年用意犬を洗ひて終へにけり 初凪
裸樹を透かして山に茜さす りえこ 添削> 枯木立透かして濃ゆき夕茜
襟巻きを編む手休まず話の輪 江斗奈 添削> 話す間も手は休まずに毛糸編む
朝まだき轍一すじ雪の上 小太郎
数へ日やあっという間の還暦ぞ 嘉一 添削> といふ間にわれ還暦ぞ年惜しむ
短日の家事二つ三つ残りけり ゆき子
紙漉女水をとろんと躍らせて 志乃
白息をからめ乙女ら笑ひ合ふ 敦風 添削> 白息を飛ばし乙女ら笑ひ合ふ
吹き溜まる落ち葉に消えし石仏 良坊 添削> 吹き溜まる落ち葉に埋まる石仏
大男大きな鐘の煤払い 百姓 添削> 大男屈みて鐘の煤払ふ
冬晴れに雲ひとつなし煙立つ ごる歩 添削> 冬晴れに煙突煙直立す
格別のことなき幸や年暮るる 草根 添削> 格別のことなきも幸年暮るる
雨音の何時しか消えて牡丹雪 孝由 添削> 雨音の消えしと見れば牡丹雪
嫁ぎ来て家風に合わせ年用意 あすみ 添削> 嫁として家風に馴染み年用意
冬日に手かざし介護の日日想う 江斗奈 添削> 冬日に手かざし介護の日々想ふ
転がりて枯芝いっぱいまとう児等 千衣 添削> 寝転がる子らは枯芝まみれかな
白菜の頭括られ尻太る みすず
極月の闇駆け抜ける救急車 楓
雪吊りや富士の稜線なだらかに とろうち 添削> 富士見えて雪吊松の直立す
裏山の枝打って仕事納めとす よし女 添削>裏山の枝打ち仕事納めとす
右肩を若干上げて注連飾 川蝉 添削> 注連飾右肩上がりかと思ふ
数へ日や人差し指の絆創膏 初凪 添削> 数へ日の人差し指に絆創膏
歳末の福引き券の余りけり 公二
数へ日や伝言板の尋ね犬 たかし 添削> 数へ日の伝言板に尋ね犬
蒼天に雪を置きたる伊吹山 清 添削> 蒼天に雪を置きたる伊吹の嶺
行く年や北の所業も又歴史 百姓 添削> 行く年や拉致問題も一歴史
閑職や仕事納めを見て回る 光晴 添削> 閑職子仕事納めを見て回る
落ち葉はく日課となりし朝の道 いさお 添削> 朝散歩日課の落葉掃きながら
嬰の手を握りつ眠る暖房車 孝由
木道は白一色や霜の朝 孝由
身幅だけ独り暮しの雪をかき あすみ 添削> 身幅ほどけ独り暮しの雪をかく
朝日浴びゆるびし湖や鴨の陣 楓
病院の薬局師走を知らざりか 妙香 添削> 病院の薬局混みし師走かな
喧嘩師と紛ふ競り声年の暮 みすず 添削> 年の市喧嘩にあらず競りの声
年惜しむ湯舟に深く身をしずめ ゆき子
鶏小屋の前に商ふ寒玉子 よし女
風花は子の掌を逸れにけり 一尾
冬麗児の積む積木支えをり たけし 添削> 冬うらら孫の積木を支へをり
大皿に足をはみ出す鱈場蟹 公二 添削> 大皿に足の乗らざる鱈場蟹
病棟の廊に手づくり聖樹かな 茂樹 添削> 病棟に手づくり聖樹点りけり
住職の落葉焚きたる暮色かな 良坊 添削> 住職の落葉焚きをる暮色時
電話きて勇み出で行く煤籠もり 光晴
挨拶の白き息にて返へさるる 秋乃 添削> 白き息相交はしつつ挨拶す
冬木立あらはにされし古墳群 好夫 添削> 冬木立疎となるここら古墳群
東山北山ほどに雪は無く 次郎
舞台より羊あふれし聖夜劇 志乃
満潮を待つ暁の白魚網 草根
凍雲の湾に吃水深き船 一尾
水の面に真向きそむきの枯蓮 よし女
球根を猫がほじくる小春かな 小筆
賀状書き庭師のラジオ洩れ聞こゆ ゆうこ 添削> 松手入枝にラジオをぶらさげて
年の瀬の一日細かに使ひけり こう 添削> 分刻みなる年の瀬の一日果つ
歳晩や残り仕事の底見えて こう 添削> 歳晩や残り仕事の目処ついて
寒風が座席吹き捲く始発駅 たけし 添削> 寒風に座ってをれぬ始発駅
冬空に真綿ちぎりし雲流る みどり 添削> 冬雲の真綿ちぎりしごと流れ
まつわりし子をあしらいつ煤払 とろうち 添削> まつはりし子と鬼ごっこ煤払
煤払ふ大音声のLet it be 初凪
張付きて消えて悲しき牡丹雪 きみこ 添削> ドライブの窓に張り付く牡丹雪
音楽に合わせて聖樹色変わる きみこ
野仏のよだれ掛けにも時雨れけり 小太郎
毛糸編むことのみ思う指の先 楓 添削> 指先に意志あるごとく毛糸編む
寒芹の根をくぐりては水生きる たかし 添削> 寒芹の根をくぐりては水走る
声高な母の指図や煤払ひ 小筆
船乗りの父の絵葉書クリスマス 清 添削> 船乗の父からクリスマスカード
幼子の瞳に聖樹明滅す とろうち
病室の娘と祝いたるクリスマス 嘉一 添削> 病室の娘と祝ふクリスマス
浮きし柚子ふやけてをりぬ冬至の湯 ちやこ
子等の顔照らしてゆれる聖夜の灯 ちやこ 添削> 子等の顔照らし瞬く聖樹かな
野々宮の苔に舞い落つ枯葉かな 羽合 添削> 野々宮の苔に散りこむ紅葉かな
難産子餅負ふまでに育ちけり 孝由
ばら銭も洗濯されて歳の暮れ 小筆
綿虫や時間どおりに来ないバス とろうち
息を吸い四肢伸ばしたる柚子湯かな りえこ 添削> 深呼吸して四肢伸ばす柚子湯かな
残業の息子に聖菓残す母 たけし 添削> 残業の子に分けておく聖菓かな
冬帽子久しく染めぬ髪に置く こみち 添削> 冬帽子久しく染めぬ髪の上に
荷崩れて蜜柑ころぐる年の市 よし女 添削> 荷崩れの蜜柑ころがる年の市
欠け佛や凍雀の転げをり やす子 添削> 欠け佛凍え雀の転げをり
寒芹の水を零して運ばるる はるを
煩悩に悩まされつつ年暮くる 折山 添削> 煩悩に悩まされつつ去年今年
白髪を梳いて天皇誕生日 ハジメ
家路まで冬の三つ星見つめつつ 嘉一 添削> 家路まで冬の三つ星仰ぎつつ
伸し板に湯気を広げる年の餅 川蝉
孫の字のカード届いてクリスマス ゆき子
童子来てじっと見詰むる障子貼り 孝由
冬の朝炭焼く煙たなびけり ごる歩 添削> 朝まだき炭焼く煙真直ぐに
語り部の途切れる声や虎落笛 我風
やわらかき冬日に蘭の鉢移す 楓 添削> 縁にさす冬日へ蘭の鉢移す
マンションの灯りの数だけクリスマス りえこ 添削> マンションの窓の数だけクリスマス
忘年会大合唱に果てにけり やす子
母となる肩で息して毛糸編む 登美子
はぐれ鳰夕日の川に潜りをり 清
束の間のぬくもり連れて冬日落つ 映児 添削> 束の間のぬくもり残し冬日去る
年惜しむまた花鉢の場所変へて まや
何もかも枯れてしまいし花壇かな あすみ
たまさかの争いごとの息白し 涼 添削> 些事なれど争いごとの息白し
大好きな餅食ぶための歯科通ひ ゆうこ
大根煮る火のこれ以上細まらず 志乃 添削> これ以上細火とならず大根煮る
招き猫坐る参道札納 我風
大股で颯爽とゆく黒ブーツ ごる歩
洞深く壁画の鹿の凍ててをり れいこ
柚子湯出て部屋に香りの漂へり たけし 添削> 柚子湯出て部屋にも香り漂ひぬ
狛犬の奥歯のあたり冬の蜘蛛 よし女
小太鼓の連打のごとく霰降る りえこ
再発の知らせ届きぬ虎落笛 こみち 添削> 再入院との知らせあり虎落笛
痩せし犬着ぶくれ人を引きにけり 小太郎 添削> 着ぶくれてゐて痩せ犬に引かれけり
冬ぬくし飼葉の桶の満たされて まや 添削> 冬ぬくし桶に飼葉の満たされて
哲学の疎水に散れる寒椿 次郎
風垣や良寛像が佐渡に向き 公二
軍艦も聖樹をともし並びけり 直 添削> 軍艦の並びて聖樹ともしけり
一仕事終えて午睡の炬燵かな りえこ
籠いっぱいの柚子を背負ひて来しをんな 秋乃 添削> 籠いっぱいの柚子を背負ひてをんな来る
背負ひたる子を傾がせて冬菜摘む れいこ
山と積む日記の売れ行き気にかかり 江斗奈 添削> 山積みの日記売りさばけるのかしら
高枝に葉を結ひあひて大根干す れいこ 添削> 木の枝に葉と葉を結び大根干す
数へ日の一日雨となりにけり はるを
冬木立みなぎる力空を指す きみこ 添削> 翳す枝に力みなぎる冬木立
紙飛行機舞ふ病室や冬ぬくし みすず
大根干す隣りに小さき古墳山 よし女 添削> 大根干す小さき古墳の山裾に
落葉焚く煙のトンネル縄電車 れいこ 添削> 縄電車落葉煙を突っ走る
相部屋の皆退院の寒夜かな ゆうこ 添削> 相部屋のみな退院す寒夜かな
[選評]
今年最後の秀句を選び終えてホット一息、時計は、23時30分をさしています。
毎週700〜800句の選をするのは、重労働ですけれど、
選び終えたあとの充実感にひたりながら熱いお茶をすするとき、
幸せを感じています。1年間、みなさんのご協力を感謝します。
来年も、よい句を見せてください。
一千のホ句を閲して年明くる みのる
読みかけのページに冬陽入れて閉じ 千春 添削> 読みかけのページに冬日入れて閉ず
理髪店出でて襟首冬の風 一尾 添削> 理髪店出でて襟首の風寒し
聖誕祭腕白娘がマリア様 孝由 添削> 聖誕祭腕白の娘がマリア様
湖北路の茶房の客となる時雨 小太郎 添削> 湖北路の茶房に時雨やどりかな
ストーブの傍らに座し聞き役に 志乃 添削> ストーブに座し聞き役に撤しけり
休むことなく末枯れの野の水車 よし女 添削> 末枯や水車は休むこと知らず
鳥の影散らす古刹の白障子 よし女 添削> 鳥翔ちし影のちらばる白障子
湯気立てて尿ほとばしる牛舎かな 小筆
麦の芽のかばかりの影震へけり 志乃
藁浸す塩湯の匂ひ注連作り れいこ
火の用心父子の声のよく似たり 千春 添削> 火の用心叫ぶ父子の声揃ふ
このあたり門を構ヘず葱畑 我風
枯れきって右折左折や菖蒲池 きみこ 添削> 右に折れ左に倒れ枯菖蒲
枯蔦に煉瓦倉庫の縛らるる 秋乃 添削> 蔦枯れて煉瓦倉庫を縛るごと
神垣やほのくれなゐに冬木の芽 志乃 添削> 神垣やほのくれなゐに牡丹の芽
由比ヶ浜ものみな枯れて鳶高し 初凪 添削> 由比ヶ浜万象枯れて鳶高し
末枯れの地に地図広げ鼎談す よし女 添削> 末枯れの地に測量図広げをり
散歩へと家を追われし四温かな 清 添削> 散歩へと妻の促す小春かな
冬日濃き出窓に猫の陣取れり ゆうこ 添削> 冬日燦出窓を猫の占領す
裏山に青竹を伐る年用意 まや
湯宿よりただ眺めをり遠雪嶺 秀昭 添削> 遠雪嶺眺めて浸る露天風呂
夕空の金屏風めく冬木立 はるを 添削> 寒夕焼金屏風めく木立かな
初氷踏み抜いた跡すでにあり ちやこ 添削> 初氷はや踏み抜かれたる跡のあり
大きめを選びし祖母の木守柿 敦風 添削> 大きめを選びて木守柿とせり
葉牡丹や老舗の黒き門構 千春
紙漉くや窓より見ゆる昼の月 良坊
風花がはやしてをりぬ登窯 我風 添削> 風花の乱舞やまざる登窯
畝筋の大きく曲がり麦芽立つ 志乃
どこからも見ゆる通天閣寒し ハジメ
狛犬の後ろしきりに笹鳴けり よし女
てのひらに丸き温みや寒たまご とろうち
難解な文豪の文字冬ぬくし 初凪 添削> 文豪の大書の文字の温かし
水鳥の水尾の交差す濠の昼 光晴
声高の現場監督着膨れて きみこ
毛づくろい済みて白鳥進水す きみこ
茜さす蓬莱峡に霜木立 ごる歩 添削> 茜さす蓬莱峡の冬木立
花街の路地のほそさや寒の月 恭雅
極月や壷を叩いて塩均す 志乃
荒れた掌や生命線もオイル塗る ひさこ 添削> 胼薬生命線も念入りに
玻璃窓のへのへのもへじ冬の朝 とろうち 添削> 玻璃窓のへのへのもへじ冬館
一湾を朱に染め上げし冬夕焼 初凪
時計屋の刻のまちまち十二月 よし女
冬うらら手を握り合ふ道祖神 登美子 添削> うららかや手を握り合ふ道祖神
還暦を祝ふ窓辺や冬薔薇 たけし 添削> 還暦を祝ふ窓辺に薔薇真っ赤
船頭の棹休めたる紅葉川 羽合
炉火ゆるび立居の風に崩れけり はるを 添削> 炉火の舌立居の風に崩れけり
歌唄ふ施設の子らの息白し 好夫
数え日や我が書きしメモ読み取れず 志乃
写さるる義士行列や冬ぬくし 秀昭 添削> 練り歩く義士行列や冬ぬくし
払暁や遠ふくろうは遠きまま 江斗奈 添削> 払暁や遠ふくろうの聞こえけり
白鷺の一羽孤高に凍ててをり 秋乃 添削> 白鷺の一羽高枝に凍ててをり
マスクして出よとの妻の声の追ふ 二青 添削> マスクして出でよと妻の追ひかけ来
街路樹や杭のごと剪る都会人 良坊 添削> 杭のごと剪られ街路樹裸なる
裸木を影が支へてをりしかな 志乃
山国の駅舎絣の小座布団 よし女
段取りを貼り紙にして年用意 ほとり
なつかしの新聞記事や畳替 清 添削> なつかしき新聞記事や畳替
良い場所に聞き上手居し焚火の輪 ゆうこ 添削> 聞き上手居て盛り上がる焚火の輪
ストーブの部屋出る用事ためてをり ゆうこ
寒空を弾く少年野球団 一尾
大銀杏枯れても周り睥睨す たけし 添削> 大銀杏枯れてあたりを睥睨す
榾の火か酒のまはりか顔ほてる 公二
噴煙を天に吹き上げ山眠る 二青
裸婦像の肩に初雪残る朝 千春 添削> 裸婦像の肩に残りし昨夜(よべ)の雪
後継ぎのいない冬田となりにけり ひさこ 添削> 後を継ぐものなき冬田打ちにけり
うなだれて相もたれあふ枯蓮 好夫 添削> うち枯れて相もたれあふ蓮かな
熱燗や泣き上戸とは知らざりし 登美子
手短の電話になりて師走かな ゆき子 添削> 手短に電話で済ます師走かな
好きなことみんな持ちよる炬燵の間 我風
尻餅も楽し子たちの大根引き 草根
日を受けて顔歪めたる雪だるま 立青 添削> 日を受けて泣き顔となる雪だるま
凍蝶に息ふきかけてゐる女 志乃
寒空にホース干しあり消防署 孝由
板の間の足に張り付く寒さかな ほとり
綿虫やつかみ切れずに遊ばれし 秀昭
収穫の大根横抱き帰る子等 ゆうこ 添削> 収穫の大根横抱き下校の子
伐採の雪呼ぶ音となりにけり よし女
うたた寝に石焼芋の声遠く 江斗奈 添削> 仮寝妻石焼芋の笛に覚む
美術館出て極月の人となり 秋乃
地を這つて煙の流る冬田かな まや 添削> 地を這ふて煙流るる冬田かな
冬木立足音ばかり響きけり 立青 添削> 冬木立足音だけが響きけり
山々に打ち粉のごとき小雪降る よし 添削> 山々に粉ふるごとく細雪
泥葱を剥けば女のうなじめく とろうち
積み上げる蔵書の高さ冬籠 好夫 添削> 砦とす蔵書の山や冬籠
切株を癒すが如く雪降れり よし女
北風の中を駈け行くランドセル オクラ
サンタさん居ると言ふ子の寝顔かな 孝由 添削> サンタさん居ると信じる子の寝顔
婚約を告げられてゐる炬燵かな こみち 添削> 婚約を告げられゐたる炬燵かな
天守閣日本の雪の美しき 秀昭
初雪の梢の先にほんのりと ゆり 添削> 初雪や梢の先にちょっぴりと
尻だけを突つ込んでゐる炬燵猫 とろうち
身にしむや枠の葉書の多かりき 如風 添削> 身にぞ入む欠礼はがき多かりし
競馬して曳かれくる馬息白し ゆき子 添削> 競走馬鼻息白く曳かれきし
白雪に影置く堂の深庇 初凪 添削> 白雪に影濃き堂の深庇
渋滞の尾灯遅々たり小夜時雨 一尾 添削> 渋滞の尾灯の滲む小夜時雨
中国茶あれこれ飲んで冬温し 志乃
チェンソーの音の交差や冬の山 よし女 添削> チェンソーの音のつんざく冬の山
誰と無く前後向きかえ焚火の輪 川蝉 添削> 焚火人思ひ思ひに向き変ふる
冬日差す度に川面の色変る たけし
階にいろはにほへと銀杏散る 秋乃
初雪や音なき朝の明けにけり ちやこ 添削> 静かなる朝や窓の外は雪
紅葉谷見えて沸き立つトロッコ車 羽合 添削> トロッコにあがる歓声紅葉峡
東京の初雪乗せて北国へ ちはる 添削> 北国の雪積む貨車は東京へ
底冷えやメモ書き螺旋より描かる ひさこ 添削> ペン寒しメモ書き螺旋より描かる
初雪や家事を怠ける日と決めし ひさこ 添削> 雪の朝家事を怠ける日と決めし
一村の昼しずかなり柿襖 東吾
神居ます大岩おおふ照紅葉 ていすけ 添削> 照紅葉神の大岩覆ひけり
多事多難書き込み多き古暦 ゆき子 添削> 多事多難ふりかへりもす古暦
ジャラジャラと小銭膨らむ年の暮れ よし 添削> ポケットに小銭膨らむ年の暮
口開けて初雪を受く下校の子 孝由
手袋のぬくもり胎の子に重ね 更紗
冬の涛日矢射しければ輝けり 一尾 添削> 束の間の日矢に輝く冬の涛
白鳥の雛やと見れば潜りけり よし女
犬の鼻炬燵の端より覗きたり りえこ 添削> 炬燵より覗くは犬の鼻らしき
自転車の荷篭にはみ出る白大根 ごる歩 添削> 自転車の荷篭はみ出す太大根
浮寝鳥を静に揺らし汐満る 素居
初雪や朝の一歩を迷ひけり 秋乃 添削> 初雪に朝の一歩を迷ひけり
着ぶくれて身ほとり欲のおおかりし 登美子 添削> 着ぶくれて身ほとりの欲捨てきれず
気だけ急き短日の用片付かず ゆうこ 添削> 思ふほど用片付かず日短
ひとひらの紅葉を妻の土産とし たけし 添削> 吟行の土産に嵯峨の散紅葉
娘の病我を導きクリスマス 嘉一 添削> 病室の娘と祝ひたるクリスマス
靴音のこだま大きく冬館 志乃 添削> 靴音の壁にはじける冬館
初雪や傘の重みをもて遊ぶ 秀昭 添削> 初雪の重みを傘に感じをり
夕焼けや切り絵の如く鳥渡る 如風 添削> 夕茜切り絵の如く鳥渡る
孫ひとり増える予定の春支度 敦風
影冴ゆる大聖堂の大玻璃絵 光晴 添削> 冬日透く大聖堂の大玻璃絵
冬天に鴉の声の響き合ひ ちやこ 添削> 冬天に塒(ねぐら)鴉の声響く
冬来たり天を突き刺す朴の芽や よし 添削> 天を突き刺さんと朴の太芽かな
立ち並ぶ羅漢が見入る木の葉雨 羽合 添削> 立ち並ぶ羅漢に木の葉雨やまず
浮きたがる柚子沈めては子と遊ぶ 孝由
嚔して吾が一日の始まりぬ 桃香
水涸れの底に不動の鷺の翳 よし女 添削> 涸れ川に一本足の鷺不動
見上げてはツリーの下で待つ夜寒 ミチコ 添削> 大いなる聖樹の下で待ち合はせ
十二月八日の朝や雲凍つる 草根 註:昭和16年12月8日-太平洋戦争勃発の日
サイレンの遠ざかりゆく夜寒かな りえこ 添削> サイレンの音に目覚むる夜寒かな
冬温し音に集いし池の鯉 廣美子 添削> 温かし手を打てば鯉集ひくる
下枝に紅葉の残る大樹かな たけし
膝掛けや教会堂の固き椅子 こう 添削> 膝掛けや礼拝堂の椅子固し
もぐり込む炬燵のあるを豊かさと ほとり
冬帽子どこから見ても好々爺 こう
掛け合ひの声にはずむや年の市 清 添削> 売り買ひの声の飛び交ふ年の市
泥大根洗うに逆手掴みかな 志乃
落葉踏んで異郷の人と親しめり はるを 添削> 落葉踏む異郷の人と肩並べ
短日や高速降りて道迷う 嘉一 添削> 高速道降りて迷子や日短
注連縄を作る男の指の節 千春 添削> 節太き男の指や注連を綯ふ
牛売りてにわかに老いぬちゃんちゃんこ 素居
ザビエル像居てカレル橋の冬温し 光晴 添削> カレル橋温しザビエル像に見(まみ)ゆ
短日や縫い針数へつつ納め よし女
木枯や吐く息そろふ朝練衆 千衣 添削> 朝練の気合の白き息揃ふ
ひとり住む子に届けよと聖菓焼く れいこ 添削> ひとり住む子に届けむと聖菓焼く
木箱より逃げ出す蛸や冬市場 秀昭 添削> 木箱より逃げ出す蛸や年の市
冬凪の航跡一直線描く 好夫
焼芋屋異国の人に囲まれり 東吾
冬すみれ紫色はさみしけり 蒼 添削> 冬すみれ紫色はさみしかり
無駄話蜜柑の皮が山となり 泉 添削> 無駄話蜜柑の皮を山と積み
剪定の終はりし街路樹広き空 孝由 添削> 街路樹の剪定済みて空広し
冬帝や荒波うねる日本海 更紗 添削> 日本海冬帝波を怒らしむ
子供等のひそひそ話炬燵かな れいこ 添削> 炬燵の子ひそひそ話せるは何
湯気立てて現場事務所の大やかん 初凪
落葉焚逃げる児を追ふ煙かな 千衣 添削> 子等逃げる方へと落葉煙かな
よじ登る子等受けとめし冬木かな ゆうこ 添削> 子ら登る冬木の梢逞しき
餅花となりて一枝の華やぎぬ ゆうこ
釣船の陸へ上げあり山眠る まや
落葉踏むわれは都会の人ならず はるを
干支作るガラス工房冬の雨 好夫
鳥の声梢明るき冬木立 ゆき子 添削> 晴れたれば梢明るき冬木立
枯芭蕉破れかぶれの風雨かな 東吾 添削> 風雨急破れかぶれの芭蕉かな
大根の地をせりあがる太さかな 志乃
時雨るやイルミネーション滲みつつ りえこ 添削> 街路樹の華燭の滲む時雨かな
川下り右も左も山錦 羽合 添削> 川下り右に左に紅葉峡
冬うらら島に受け継ぐ鯨唄 よし女
手袋に百姓の手をしのばせり 清 添削> 百姓の手を手袋に包みけり
粛々と銀杏散りけり太子堂 秋乃 添削> 粛々と黄落やまぬ太子堂
骨太の枯木に鳩の百羽程 たけし 添削> 陽だまりの枯木は鳩のハレムかな
小柴垣続く嵯峨野や竹の春 たけし 添削> 竹春の嵯峨野を綴る小柴垣
酔ふほどにさみしくなりぬ年忘れ まや
山眠るかつて戦のありしとこ 更紗 添削> 国取りの古戦場なる山眠る
冬日いま肩のあたりに止まりたり 東吾
トロッコの汽笛すぐ散る冬川原 東吾
忘れ花遊女の墓石の銘うすれ 好夫 添削> 返り花遊女の墓の寂れかな
冬の夜や打つ音高し古時計 よし 添削> 古時計真夜を刻める音寒し
グランドの少年等の息白し 歌子 添削> グランドを駈けまわる子等息白し
あれこれと寄せ植えてみる冬菫 蒼 添削> あれこれと寄せ植えてみる冬花壇
たらば食ぶ面目躍如の糸切り歯 初凪 添削> 糸切り歯大活躍やたらば食ぶ
夕鐘に煙たなびく古都の冬 みすず 添削> おちこちに落葉煙や古都めぐる
笹鳴きを右に左に古刹道 よし女 添削> 古刹道右に左に笹鳴ける
苔の法埋め尽くしたる散紅葉 たけし
武蔵野やなお鮮やかに冬紅葉 康子 添削> 武蔵野の冬の紅葉にたもとほり
ユリカモメ墜落のごと水しぶき きみこ
馬繋ぎし柱の疵も冬ざるる れいこ 添削> 馬繋ぐ柱の疵や冬ざるる
祇王祇女刀自の墓や花やつで きみこ 添削> 祇王祇女刀自の墓や苔の花
酒蔵の街に湯気立ち寒仕込み 江熊 添削> 湯気洩るる酒蔵の街寒仕込み
用向きの気重な道も小六月 敦風 添削> 用向きの気重な道の寒さかな
寒鴉一声あれば四方より とろうち 添削> 寒鴉一声鳴きてあと寡黙
散紅葉茶室に明かり灯りたり みすず 添削> 夕紅葉茶室に明かり灯りけり
脚太き十二神将冬に入る 東吾
冬菜売り丹波口より乗って来し 東吾
枯蓮四方八方向いてをり みすず
クリスマス迎へる準備とは祈り 二青 添削> クリスマス準備の祈り恙無く
濃尾野の始まるところ蕎麦を刈る 清 添削> これよりは濃尾平野よ蕎麦を刈る
枯草を引けば一度は抗はれ ゆうこ 添削> 枯草を引けば抗ふ力あり
大根足大きく組みてブーツの娘 秋乃 添削> 大根足はばからず組むブーツの娘
磴のぼる迎へ地蔵や冬紅葉 きみこ 添削> 参道に迎へ地蔵や冬紅葉
早朝は陣を作らず浮寝鳥 きみこ
鴨たちて水面の軽くなりにけり はるを 添削> 鴨たちて水面寂しくなりにけり
幾たびも括り直せし萩を刈る 孝由
庭の木々皆散り果てて空広し 妙香 添削> 庭の木々散り果てて空展けけり
寂しさも自由の一つ温め酒 素居 添削> 寂しさに耐ゆるも愉し温め酒
竹林の奥へ日当たる大小春 よし女 添削> 竹林へ玉の日洩るる小春かな
小鳥来る野の花活けしカフェテラス みすず
落葉して崩れ羅漢の手の祈り 羽合 添削> 草紅葉崩れ羅漢の手の祈り
残菊のひとかたまりに縛られて きみこ 添削> 残菊のひとかたまりに縛らるる
といふ間に火口湖の霧晴れにけり 千衣
金箔と見まごう屋根の銀杏かな 廣美子 添削> 屋根に積む銀杏金箔めきにけり
冬耕の畝真直ぐに鉄路まで 一尾
水涸れて平たく白し大井川 つとむ 添削> 水涸れて白々広し大井川
首塚や柊大樹花つけず まや 添削> 首塚へ柊花をこぼしけり
大熊手かつぐ男の天狗鼻 れいこ 添削> 大熊手かつぐ男は天狗鼻
寒北斗村の誇れる大けやき はるを 添削> 寒北斗村の要の大けやき
バプテスマ授け浜辺の焚火かな 二青 添削> 浸礼の人らが囲む浜焚火
軍手もみえし柿すだれ 蒼 添削> 柿すだれ軍手も並び干されけり
紅葉舟嵯峨野の川にみさをさし 羽合 添削> 紅葉舟嵯峨野の瀞にちらばりぬ
猿喰わずといふ柿に夕日照る 羽合 添削> 夕日照る猿も喰わぬといふ柿に
先ず母の隣が埋まる炬燵かな 我風
老い母も逝きたる故郷の冬座敷 初凪 添削> 在りし日の母の生活(たつき)の冬座敷
あづまやにただ降りしきる木の葉雨 つとむ 添削> あづまやに降りやまざりし木の葉雨
庭隅に静かに咲きし石蕗の花 オクラ 添削> 草庵の庭の一隅石蕗黄なり
手水鉢底に紅葉の揺れてをり たけし
涸川に光る一筋水流る 一尾 添削> 涸川と見しが一筋水光る
太平洋の光を引きて松手入れ れいこ 添削> 海光のいまとどきたり松手入れ
悴めりクルスを秘めし大黒天 れいこ 添削> 身に入むやクルスを秘めし大黒天
竹林に迷ひ込みたる紅葉かな 志乃 添削> 竹林の風に迷へる散紅葉
暮れなんとして山門の照る紅葉 きみこ 添削> 暮れなんとして山門の照紅葉
冬日包む去来の墓の小さきかな きみこ
野良猫の頬こすり行く枯木かな とろうち
火葬場の冬日に微笑みし遺影かな 江斗奈 添削> 火葬場の遺影微笑む冬日かな
軽々と岩を跳ぶ子や磯小春 よし女 添削> 磯小春子等は礁(いくり)を猿(ましら)跳び
外つ国の果物を買ふ漱石忌 はるを
弱震を告ぐる速報冬木の芽 はるを
実南天御顔うすれし石仏 みすず
叩かねば点かぬ門灯冬菜漬け おたふく 添削> 叩かねば点かぬ門灯日短
日の光り湖面にこぼす紅葉かな よし 添削> 木洩れ日を湖面にこぼす紅葉かな
名松の瀕死の色や冬ざるる 初凪
暗がりに拳で均すし込み味噌 志乃 添削> 土間暗し拳で均すし込み味噌
遠吠えが遠吠えを呼ぶ夜半の冬 我風 添削> 遠吠えが遠吠えを呼ぶ虎落笛
着ぶくれて斜め歩きや陶器市 秋乃
大根干すガードレールの端を借り よし女 添削> 大根干すガードレールの端までも
バス降りし一歩に銀杏落葉踏む 一尾
川の鯉池に移さる冬支度 ゆうこ 添削> 川の鯉池に移され冬支度
ビー玉の光集めて小春かな りえこ 添削> ビー玉のきらきら光る小春かな
空寂の文字抱く羅漢紅葉寺 羽合
豆剣士朝の挨拶声冴ゆる ちはる 添削> 豆剣士朝の挨拶息白し
玄関の明るくなりしシクラメン こう 添削> 玄関を明るうしたるシクラメン
日向ぼこ野仏何をか語るらん 廣美子 添削> 野仏とおしゃべりをして日向ぼこ
公園に藁の匂ひや冬構 ゆき子 添削> 其処ここに藁匂ふ園冬支度
紅葉燃ゆ女人高野の幟あり 如風 添削> 紅葉燃ゆ女人高野に詣でけり
混沌の秩父連山冬がすみ 初凪 添削> 混沌と秩父連山冬がすみ
銀杏散る下校の子ども声高し 嘉一 添削> 下校子の声の響きて銀杏散る
三百年の松登登と時雨けり 秋乃 添削> 時雨るるや三百年の松並木
竹林の香のほのかなり時雨後 つとむ
何処より水音聞こゆ渓落葉 ひろ 添削> 渓落葉かすかな水音聞こえけり
木の枝に手袋一つ掛けてあり 歌子 添削> 落し物らしき手袋木の枝に
よく笑ふ人と同席冬ぬくし 我風
言う程の悪人でなし冬帽子 素居 添削> 言ふ程の悪人でなし冬帽子
木枯らしの音に混じりて遠汽笛 孝由
幣凍むや荒行堂の大音声 秋乃 添削> 幣凍てし荒行堂に声響く
冬雲の影きわだたす月明かり りえこ 添削> 雲の影しるきと思ふ寒の月
川の字に寝ているままに布団干し ゆうこ 添削> 川の字の形に布団干されけり
読書子の足にまつはる炬燵猫 清
目標を一ト日一句と日記買ふ 川蝉 添削> こころざし一日一句日記買ふ
一湾に夕日射し込み群千鳥 よし女 添削> 一湾をつつむ夕日や群千鳥
飼い猫か銀杏落葉と戯るる 草根 添削> 猫をかし銀杏落葉に遊ばるる
冬日濃し紙いっぱいの童画展 よし女
蔦紅葉崩れかかりし切り通し 竹子 添削> 蔦紅葉崩れさうなる切り通し
野鴉の群れてたちまち冬の川 たかし 添削> 野鴉の群盗めきぬ冬河原
筆跡の喜怒哀楽や古日記 公二
診察を終へて安堵や冬ぬくし 二青 添削> 診察を終へたる安堵冬ぬくし
泥大根引つ下げて来る見舞客 とろうち 添削> 存問の客泥大根引つ下げて
庭もみぢ浮かべておりぬ犬の椀 竹子
時雨止み全山薄くもや立ちて 歌子 添削> 時雨止み全山もやひはじめけり
水底に積もりし紅葉日を集め きみこ 添削> 日照るとき水底紅葉蘇る
賀状書く一人ひとりの顔浮かべ ゆき子
潮先を翔ちては戻る夕千鳥 よし女
一干潟埋め尽くしたる百合鴎 よし女 添削> 砂嘴潟を埋め尽くしたる百合鴎
菊一輪暗し茶室に匂ひけり 桑 添削> 一輪の菊の香密つる茶室かな
樅の木に雪降りつむや待降節 みすず 添削> 樅の木に降りつむ雪や待降節
夫と子がギター奏でる夜半の冬 ちやこ 添削> 夫と子がギター爪弾く灯親し
しぐるるや門前町の長土塀 志乃
大小の古墳の芝や草紅葉 江熊 添削> 古墳から古墳へ辿る草紅葉
からからと落葉のまろぶ滑り台 敦風
枯露柿と金釘流や八百屋軒 とろうち 添削> 金釘に枯露柿と書く八百屋かな
紅葉寺仏手欠け尚慈悲の顔 ミチコ 添削> み手欠けし慈悲観音や紅葉冷
吊り橋の揺れに酔ひけり滝紅葉 竹子
大ぶりに切るがよろしきおでんかな ほとり 添削> 大ぶりに切りしがよろしおでん食ぶ
柿一つ梢に残り夕日さす りえこ 添削> 夕日さす高き梢に木守柿
濡れそぼつ銀杏落葉や御堂筋 たけし
しろがねの湖や鴛鴦渡り来る よし女
ジョギングの人の肩にも落葉降る ちやこ 添削> ジョギングの人の肩にも銀杏散る
落ち葉降る中につっこむモノレール れいこ 添削> 落ち葉降る中を潜りしモノレール
枯蓮や動かぬ水に風惑ふ れいこ 添削> 水の面に惑ふ風あり枯蓮
木枯らしに押され暖簾を潜りけり 光晴 添削> 木枯らしに押されて潜る縄のれん
登り来る人語や濃き渓紅葉 きみこ 添削> 紅葉谷よりのぼりくる人語かな
結界の紙垂もゆるがぬ小春かな 志乃 添削> 結界の紙垂ゆるがぬ小春かな
行きずりの焚火に暖をもらいけり 我風
鴨の声自己主張して餌もらふ ゆうこ 添削> 鴨の声自己主張して餌を欲る
小春凪小島とりまく漁り船 よし女
一陣の風に吹きとぶ冬紅葉 まや
日課なる恋の占ひ神の留守 幸子 添削> 神の留守なれど日課の恋占ひ
モノレール散り降る黄葉くぐり行く 幸子 添削> 黄落を潜りてすすむモノレール
時雨るゝや今朝の玄海荒れ模様 二青 添削> 時雨るゝや今朝の玄海浪高し
冬天をヒマラヤ杉の貫きぬ つとむ
横っちょにかぶる羅漢の朴落葉 敦風 添削> 朴落葉阿弥陀に被る羅漢かな
読経の間に間に笹子鳴きにけり 志乃
ジョギングの足音軽き落ち葉道 オクラ
雑踏をはなれ外苑冬うらら 我風
リストラに怯へ勤労感謝の日 初凪 添削> リストラに負けじ勤労感謝の日
トロッコの汽笛こだます紅葉川 清
冬近し地蔵の赤帽まあたらし 千衣
一言を悔いて眠れぬ暮れの秋 川蝉 添削> ひと言を悔ひて眠れぬ夜長かな
荒れた手に靴下絡む虎落笛 みどり 添削> 荒れた手に絡む靴下虎落笛
コンテナの影の形に霜柱 とろうち
山小屋の窓に溢るる冬銀河 みすず
歩けると云う幸いや落葉踏む ちはる 添削> 歩けると云ふ幸いや落葉踏む
紅葉の隧道となる寺磴かな 光晴 添削> 寺磴いま紅葉隋道とぞいはむ
うそ寒し棚田ににたる造成地 千衣
かいつぶり集団めいて水くぐる よし 添削> かいつぶり連鎖反応して潜る
男衆臥龍の松の手入れかな 竹子 添削> 寺宝なる臥龍の松の手入れかな
白菊や父逝きてはや五十年 こう 添削> 菊供ふ父逝きてはや半世紀
寄鍋や退院の母真ん中に はるを
[添削の説明]
◇何処より水音聞こゆ渓落葉 → 添削> 渓落葉かすかな水音聞こえけり
何処より・・は曖昧な表現
◇木の枝に手袋一つ掛けてあり → 添削> 落し物らしき手袋木の枝に
もう一歩突っ込んで、報告調を脱皮
◇言う程の悪人でなし冬帽子 → 添削> 言ふ程の悪人でなし冬帽子
旧仮名遣いに注意
◇幣凍むや荒行堂の大音声 → 添削> 幣凍てし荒行堂に声響く
大音声・・はやや強引な言葉
◇冬雲の影きわだたす月明かり → 添削> 雲の影しるきと思ふ寒の月
季語が重なるので、月を主役とするほうがおさまりがよい
◇川の字に寝ているままに布団干し → 添削> 川の字の形に布団干されけり
寝ているさまに・・は無理な表現
◇目標を一ト日一句と日記買ふ → 添削> こころざし一日一句日記買ふ
説明調となるを推敲すること
◇一湾に夕日射し込み群千鳥 → 添削> 一湾をつつむ夕日や群千鳥
つつむ夕日の中に群千鳥が影法師のように見えるんですね
◇飼い猫か銀杏落葉と戯るる → 添削> 猫をかし銀杏落葉に遊ばるる
飼い猫であってもなくてもいいですね
◇蔦紅葉崩れかかりし切り通し → 添削> 蔦紅葉崩れさうなる切り通し
今にも崩れそう・・という感じのほうがいいです
◇野鴉の群れてたちまち冬の川 → 添削> 野鴉の群盗めきぬ冬河原
たちまち・・がわからないですね
◇診察を終へて安堵や冬ぬくし → 添削> 診察を終へたる安堵冬ぬくし
「や」できらないほうがよい
◇泥大根引つ下げて来る見舞客 → 添削> 存問の客泥大根引つ下げて
病院ではない見舞客・・存問とするとより人間臭ささがでて泥大根が活きてきます
◇時雨止み全山薄くもや立ちて → 添削> 時雨止み全山もやひはじめけり
時雨が止んだ瞬間を詠むほうが力強い
◇水底に積もりし紅葉日を集め → 添削> 日照るとき水底紅葉蘇る
日を集め・・は言い古された表現。日照る瞬間を詠みましょう
◇一干潟埋め尽くしたる百合鴎 → 添削> 砂嘴潟を埋め尽くしたる百合鴎
干潟は季語になるので、砂嘴にしました
◇菊一輪暗し茶室に匂ひけり → 添削> 一輪の菊の香密つる茶室かな
菊が暗いのか、茶室が暗いのか不明。
◇樅の木に雪降りつむや待降節 → 添削> 樅の木に降りつむ雪や待降節
句の焦点が曖昧。雪に焦点をしぼります
◇夫と子がギター奏でる夜半の冬 → 添削> 夫と子がギター爪弾く灯親し
季語不適切
◇大小の古墳の芝や草紅葉 → 添削> 古墳から古墳へ辿る草紅葉
作者の居場所が不明。芝と草紅葉との関係が不明。
◇枯露柿と金釘流や八百屋軒 → 添削> 金釘に枯露柿と書く八百屋かな
書く・・がないと文字が出てきません
◇紅葉寺仏手欠け尚慈悲の顔 → 添削> み手欠けし慈悲観音や紅葉冷
尚慈悲の顔・・は、理屈
◇大ぶりに切るがよろしきおでんかな → 添削> 大ぶりに切らるがよろしおでん食ぶ
食べた方が絵になります
◇柿一つ梢に残り夕日さす → 添削> 夕日さす高き梢に木守柿
木守柿という季語を使いましょう
◇ジョギングの人の肩にも落葉降る → 添削> ジョギングの人の肩にも銀杏散る
落葉より銀杏が散った方が演出としてはいいです
◇落ち葉降る中につっこむモノレール → 添削> 落ち葉降る中を潜りしモノレール
ジェットコースターなら、つっこむ・・でもいいですが・・
◇枯蓮や動かぬ水に風惑ふ → 添削> 水の面に惑ふ風あり枯蓮
動かぬ水に風惑ふ・・ん?と考えてしまいますね
◇木枯らしに押され暖簾を潜りけり → 添削> 木枯らしに押されて潜る縄のれん
縄のれんか、赤提灯のほうがより感じがでます
◇登り来る人語や濃き渓紅葉 → 添削> 紅葉谷よりのぼりくる人語かな
人語が主役なので、濃き・・は不要
◇結界の紙垂もゆるがぬ小春かな → 添削> 結界の紙垂ゆるがぬ小春かな
も・・が、あると焦点がボケます
◇鴨の声自己主張して餌もらふ → 添削> 鴨の声自己主張して餌を欲る
餌を欲しがって自己主張してるんですね
◇日課なる恋の占ひ神の留守 → 添削> 神の留守なれど日課の恋占ひ
神の留守の季語が離れすぎると面白くない
◇モノレール散り降る黄葉くぐり行く → 添削> 黄落を潜りてすすむモノレール
散り降る・・はしつこいです
◇時雨るゝや今朝の玄海荒れ模様 → 添削> 時雨るゝや今朝の玄海浪高し
荒れ模様・・どのように荒れているかを具体的に
◇横っちょにかぶる羅漢の朴落葉 → 添削> 朴落葉阿弥陀に被る羅漢かな
横っちょ・・がわかりにくい。より具体的に
◇リストラに怯へ勤労感謝の日 → 添削> リストラに負けじ勤労感謝の日
そのとおりだと思いますが、読む人に勇気を与えましょう
◇一言を悔いて眠れぬ暮れの秋 → 添削> ひと言を悔ひて眠れぬ夜長かな
季語不適切
◇荒れた手に靴下絡む虎落笛 → 添削> 荒れた手に絡む靴下虎落笛
靴下に焦点を
◇歩けると云う幸いや落葉踏む → 添削> 歩けると云ふ幸いや落葉踏む
歴史的仮名遣い
◇紅葉の隧道となる寺磴かな → 添削> 寺磴いま紅葉隋道とぞいはむ
紅葉をこうようと読ますのはなるべく避けましょう
◇かいつぶり集団めいて水くぐる → 添削> かいつぶり連鎖反応して潜る
集団めく・・がわかりにくいです。具体的に
◇男衆臥龍の松の手入れかな → 添削> 寺宝なる臥龍の松の手入れかな
場所がわかったほうがいいですね。
◇白菊や父逝きてはや五十年 → 添削> 菊供ふ父逝きてはや半世紀
白菊や・・とすると菊に焦点がいきます。半世紀の方に力点をおくほうがいいです。
曲がる背を伸ばし柿の実落としけり げんた 添削> 老いの背を伸ばし柿の実落としけり
山寺の鐘に紅葉の散りいそぐ 光晴 添削> 夕鐘に寺の紅葉の散りいそぐ
縄電車落葉の中を走り行く ちはる 添削> 縄電車落葉蹴散らし走り行く
気をつけて気をつけていて風邪を引く 歌子 添削> 気をつけて気をつけてゐて風邪を引く
亡き友の句集を膝に冬日向 ゆき子 添削> 亡き友の句集を膝に日向ぼこ
鴨一羽さざなみたてて波郷の忌 ゆき子
揚げ舟を伏せて時雨るる漁師町 よし女
山里の白壁倉や柿すだれ 川蝉
参道を染めたる紅葉明りかな 朝子
名刹を巡るに今日の小春かな 朝子
ちゃんこ鍋相撲甚句を聞きながら 志乃
床柱なぜて褒められ畳替 皐月
古都大路仁王のごとく裸木立ち 清 添削> 裸木の仁王立つ古都大路かな
冬鴎遊覧船に縦きて舞ふ こう
リハビリに励む人見て日向ぼこ まや 添削> リハビリに励む人らと日向ぼこ
敷藁を持ち上げてゐる霜柱 はるを
車追ふ枯葉つぎつぎ力尽き 羽合 添削> 車追ふごとくに駈くる枯葉かな
釣船のひとつひとつに冬の日矢 れいこ
のど飴の助けを借りて授業せり 雅哉
このあたり昔塩田千鳥鳴く よし女
小春日や職去るひとの薄化粧 こみち
あーうーで通じるらしき日向ぼこ ゆうこ
朝毎に落葉まみれの戸口かな ちやこ 添削> 朝毎の日課戸口の落葉掃く
献立の決まらぬままに暮れやすし とろうち
新走り木曾路に青き杉の玉 如風
猪鍋や油照りする自在鉤 登美子
お手玉の代わりに蜜柑二つ三つ ゆり 添削> 二つ三つ蜜柑お手玉の代はりかな
瞬く間雲に隠れる冬の日や ミチコ 添削> と見る間に雲に隠るる冬日かな
冬菜濃し魚網囲ひに海女の畑 よし女 添削> 冬菜植う魚網囲ひに海女の畑
八ヶ岳襞を深めて冬に入る 川蝉
坪庭のひかりあつめて石蕗の花 桃香 添削> 坪庭の日差しあつめて石蕗黄なり
連山に厚き雲置く神の留守 こみち 添削> 峰々に厚き雲置く神の留守
小春日や駄菓子屋いまも量り売り とろうち 添削> 路地小春駄菓子屋いまも量り売り
親方の連れ来し茶髪子松手入 孝由
自然薯や仙人の杖ごとおかれ 登美子 添削> 仙人杖めきて自然薯おかれあり
母がまた小さくなりし神の留守 志乃
公孫樹の黄濠の水まで打ち染めぬ 光晴
萩刈るや庭の広さの戻りけり 草根 添削> 萩刈って庭の広さの戻りけり
絵硝子の天使震わす百舌高音 れいこ
ダム湖畔山なす紅葉なだれおつ よし 添削> ダム湖へと影のなだるる紅葉山
降ってすぐ消えて堆肥の上の雪 志乃 添削> 降ってすぐ消ゆる堆肥の上の雪
干大根まだ突っ張ってをりしかな 志乃
小春日や向きそれぞれに鴨憩ふ 素居
蓋開いて空の石棺うそ寒し よし女
熟柿吸ひ母に笑顔のこぼれけり まや 添削> 熟柿吸ひ母に笑顔の戻りけり
長州の名園めぐる小春かな よし女
冬うららうす埃ある広辞苑 はるを
閉じられし荒行堂や夕時雨 初凪
木の実打つ童地蔵の膝頭 よし女
片隅に薄日美くし雁来紅 皐月 添削> 一隅に届く薄日雁来紅
探し物ようよう出でて葛湯吹く 恭雅
小春日に背中包まれ針仕事 江斗奈
滝音をふところに抱き山眠る まや
残照の天龍川原草紅葉 竹子
忌を修すおんな二人の温め酒 登美子
野仏を片手で拝む時雨かな 歌子
リンゴ園無人売場に招き猫 あすみ
時雨るるや読経の続く修行堂 初凪
秋耕の土と見紛ふ雀かな たけし
青畝句碑紋付鳥の来てをりぬ よし女
苔の寺利休好みに紅葉降る よし女
楼門を過ぎて深まる紅葉かな 一尾
新雪や乗鞍の嶺光りけり 如風 添削> 初雪の乗鞍の嶺尖りけり
ひめゆりの塔の風化や白き菊 ていすけ 添削> ひめゆりの塔の風化や菊白し
鈍行の少しうたたね小春かな 歌子 添削> 鈍行のうたたね誘ふ小春かな
大根に十字を入れておでん鍋 蒼
境内に落葉の海の現われり 清 添削> 境内に落葉の海といひつべし
一撃となる手応えに牡蠣を剥く ゆうこ
湘南や沖まで蒼き小春凪 大門 添削> 湘南の沖まで蒼き小春凪
護摩堂の暗きに落葉吹溜り やす子
太平洋蜜柑の皮を投げ入れむ まや 添削> 黒潮へ蜜柑の皮を投げ入れむ
路地曲がる時柊の花にほふ きみこ
日まみれの雀の遊ぶ刈田かな 東吾 添削> 日まみれに雀の遊ぶ刈田かな
病む人の癒えし便りや帰り花 とろうち 添削> 帰り花全快といふ便りかな
名刹へ万燈の列うつくしき ゆき子 添削> 磴のぼる万燈の列うつくしき
老い母の寝癖髪とく秋の暮 嘉一
三脚をどこに据えよか照紅葉 たけし
一山に響く鐘の音冬に入る 初凪
葬送の列に随ふマスクかな まや
聖堂への険し石段木の実降る れいこ 添削> 聖堂へつづく嶮磴木の実降る
冬うらら影と影との背くらべ はるを
娘の炊きし大根どれにも串の穴 初凪
木枯らしや電線工夫の声飛ばし みすず 添削> 木枯らしに電線工の声飛ばし
日溜りの瓦捜して寒雀 清 添削> 日溜りの甍わたりす寒雀
朝練を駈け行く子らの息白し 桃香 添削> 朝練に駈け行く子らの息白し
落ち葉して大手ひろげる大欅 千衣 添削> 落葉して千手を翳す大欅
石蕗の花かくも黄色が黄色とは みどり
車椅子半身伸ばし菊を嗅ぐ ゆうこ
露天湯に一人占めして紅葉山 こう 添削> 露天湯に紅葉の山を一人占め
残菊のうち捨てられてなほ白し とろうち 添削> 残菊のうち捨てられてなほ香る
紅葉谷奈落の底も燃えてをり 初凪 添削> 紅葉谷一際燃ゆる奈落かな
白鳥の首もてあます昼寝かな 小筆 添削> 白鳥の首もてあます浮寝かな
寄生木のあわきみどりや初時雨 皐月
焼き芋屋あかあかと薪爆ぜにけり みすず
欠伸出てうつる小春の車内かな ゆうこ 添削> 電車内欠伸のうつる小春かな
流れつつ白鳥の首込み合へり まや
柏手に阿吽の呼吸木の実落つ 志乃
雁や棚引く雲に見え隠れ 好夫
敗荷のたがいに支えあふごどく 登美子
カーブ切る一転紅葉華麗なる よし 添削> 紅葉濃しヘアピンカーブ曲がるたび
墨色の雲に紅さす冬入日 蒼 添削> 墨投げしごとくに雲や冬夕焼
貴重な越の晴れ間の冬支度 多藤 添削> 冬支度越の晴れ間を惜しみつつ
露天風呂湯気の向うに濃紅葉 あすみ 添削> 露天風呂湯気の向うに紅葉濃し
凩に背を押されてか小走りに 歌子 添削> 凩に背中を押され小走りに
小春日の赤子の頬の弾みけり 更紗 添削> みどりごの頬小春日に弾みをり
風吹けば風にしたがふ落葉かな 更紗
花つわや参道それて青畝の碑 よし女 添削> 青畝師の碑ほとり石蕗の花明り
ゆったりと老いし犬引く今朝の冬 小筆 添削> 老いし犬引いて散歩や今朝の冬
霜月や服喪の便り早々と 桃香
秋霖に色づきそめし雑木山 とろうち 添削> 秋霖に彩づきそめし雑木山
親方の寡黙な一日松手入れ みすず
七五三よそのカメラを見てをりし ゆうこ
小坊主のひしめくごときシメジかな 初凪
落葉松の黄葉の海風渡る たけし 添削> 黄葉の落葉松林風渡る
木枯や鉄の足場の鳴り出して まや 添削> 木枯や鉄の足場の鳴り出しぬ
晩学の俳句入選秋灯 よし 添削> 晩学のほ句の虫なり秋灯下
天高しクレーンの上に人動く 光晴
アプローチ続く図書館蔦紅葉 よし女 添削> 図書館の入り口装ふ蔦紅葉
歯磨きの水沁みとほる今朝の冬 ゆき子
コスモスやシャッターチャンス定まりぬ 千衣 添削> 秋桜シャッターチャンス定まらず
降りしきる落葉きらリと夕日乗せ 我風 添削> 降りしきる落葉夕日をまき散らし
仲人の箸先ず動き菊膾 江斗奈 添削> 仲人の箸先ず動く菊膾
雑魚船の水尾に群がる冬鴎 清
鉄鉢に五穀を盛し今朝の冬 れいこ 添削> 鉄鉢に五穀を盛りし冬の朝
懸崖の上半分や照紅葉 たけし 添削> 懸崖の天辺ことに紅葉濃し
手の平に胡桃ころがす床の上 ひさこ 添削> てのひらに胡桃のまろぶ日向ぼこ
庭木刈る鋏の音の天に抜く 光晴 添削> 庭鋏機嫌よき音秋日和
塀越しに菊誉めて行く小挨拶 孝由 添削> 塀越しに覗きて菊を誉めらるる
城内の茶会の席に照紅葉 秀昭 添削> 照紅葉庇としたる野点かな
豊作へ立て続けなる威銃 志乃 添削> 米どころ立て続けなる威銃
湯上りの母に小春の日差かな 大門 添削> 小春の日施設の母を訪ねけり
見上ぐれば真白き梨の返り花 れいこ 添削> ゆくりなく真白き梨の返り花
大寺の隅々灯すつわの花 よし女 添削> 大寺の一隅つわの花明り
身に入むや踏絵版木の聖母子像 れいこ 添削> 身に入むや踏絵の聖母すりへりて
風呂で揉む霜焼けに血の通ひ出し ゆうこ
サーカスのあと木枯に纏はるる 桑 添削> サーカスを出て木枯に纏はるる
かそけきや枯れ葉が擦る日暮坂 幸子 添削> 日暮坂風の落ち葉の駈くる音
僧の言ふ落葉を掃くも修行なりと まや 添削> これもまた修行と寺の落葉掃く
朝練に急ぐ子等の息白し 千春 添削> 朝練の子たちの白き息揃ふ
荒波の恋路が浜に虹たてり ていすけ 添削> 荒波の恋路が浜に冬の虹
しぐるるや水掛地蔵目つむりて 登美子 添削> しぐるるや水掛地蔵御目伏す
途中まで抜かれしままの大根かな 小筆 添削> 途中まで抜かれしままの大根あり
暮早しかくれんぼうの鬼が泣く 我風
若き嫁はらわた抜きて秋刀魚焼く 孝由 添削> 若嫁ははらわた抜きて秋刀魚焼く
休日に男結びで雪吊りし あすみ 添削> 雪吊の縄みな男結びかな
ふりつもりなほふりしきる銀杏かな とろうち 添削> ふりつもりつつ黄落のなほ止まず
神鶏も鳩も小春に餌貰ふ ゆうこ 添削> 神鶏も鳩も小春に餌拾ふ
唐突に鴉の鳴けり冬小径 つとむ 添削> 唐突に鴉の鳴けり冬木立
湖の深き青さや冬初め 桃香 添削> 湖の深き青さや冬に入る
水鳥の吹かれて溜まる湖の端 まや 添削> 水鳥の吹きよせられし湖の端
レクイエム聴きて爽やか音楽堂 蓬 添削> 爽やかや音楽堂にレクイエム
露見風呂秋の夜空をひとり占め 信子 添削> 露天風呂秋の星空ひとり占め
虱取り撒かれし記憶木の葉髪 ひさこ
煮凝や諍い解けぬ今朝の膳 千春
夜長妻介護の愚痴か長電話 孝由 添削> 夜長妻介護の辛さ洩らしけり
ガンダーラ仏微笑みて冬うらら 涼 添削> 冬うらら微笑したまふガンダーラ
寒菊を一枝手折リて祖母の墓 桃香 添削> 一茎の寒菊手向く祖母の墓
酉の市煮込みに太き蛸の足 れいこ
菊咲くを褒めて裏木戸開かるる きみこ 添削> 賞の菊褒めて裏木戸開かるる
仰ぎ見るものの一つに木守柿 はるを
ままごとの貝皿残る朝寒し みすず 添削> ままごとの貝皿残る浜寒し
借景の山粧ひて道後の湯 蒼 添削> 道後の湯紅葉の山を借景に
廚事終えて親しむ灯火かな おたふく 添削> 家事終へてわたしの時間秋灯下
突然に窓いっぱいに雁の列 如風 添削> 大玻璃の窓いっぱいに雁渡る
水底の朽葉にちらと魚の影 我風 添削> 水底の朽葉動くは魚の影
野の墓の石に雨浸む芭蕉の忌 素居 添削> 野仏の石に雨浸む芭蕉の忌
冬の日に輝いて飛ぶ鳩の群れ きみこ 添削> 冬の日に煌き翔ちぬ鳩の群れ
我が神に委ねし命秋深し 二青 添削> 我が余命神に委ねて秋惜しむ
頸まはす十一月の骨の音 初凪
日矢移る紅葉次々かがよはせ こみち 添削> 日矢移る紅葉の山をかがやかせ
無人なる生家を掃きて秋惜しむ よし女
温め酒備前の盃に注ぎけり 蓬 添削> 温め酒備前の盃を傾けて
初時雨ねぐらへ急ぐ鳥の群 まや 添削> ねぐらへと急ぐ烏や夕時雨
棟上げの賑わう声や秋の空 桃香 添削> 棟上げの声つつぬけや秋高し
抱き上げし子犬の鼓動や冬近し 幸子 添削> 抱き上げし子犬の鼓動手に温し
背に苔の生ゆる羅漢や秋深し 猪乃介 添削> 背に苔の生ゆる羅漢の露けしや
猫の手も要ると言いつつ菊談義 江斗奈 添削> 猫の手も欲しと言ひつつ菊談義
魚売りの手押し車や辻小春 恭雅 添削> 辻小春手押し車の魚売
三宝に盛る新米の溢れをり 東吾 添削> 三宝に盛る新米のうちこぼれ
身に沁むや山家に残る耶蘇の像 登美子
雲間洩る日に沸き立ちぬ紅葉山 こみち 添削> 雲間洩る日矢に燃え立つ紅葉山
孫が来て秋の菜園遊び場に 秀昭 添削> 孫が来て冬菜畑の遊び場に
ぽくぽくと点字打つ音秋灯し とろうち
畑に挿す棒に色鳥来てゐたる まや
撫で佛の指の欠けたる寺普請 やす子 添削> 身に入むや指の欠けたる撫で佛
奔放に雲を遊ばす秋の空 きみこ 添削> 奔放に雲の遊びし秋の晴
うち破れ矢刀折れの蓮かな よし女
木枯しや屋台に座る場所もなし 泉
闇の夜に光る太刀魚釣られけり 草根 添削> 太刀魚ぼ釣られて闇に光りけり
輪唱のごとく散りしく落葉かな 我風 添削> 輪唱のごとくに木の葉降りやまず
路地の日にまな板干さる冬隣 ゆき子 添削> 路地の日にまな板干され冬隣
たもとほる仔馬の尻のよく肥ゆる 初凪 添削> たもとほる牧馬の尻のよく肥えて
天高く噴煙たなびく桜島 オクラ 添削> 天高く噴煙あげし桜島
五平餅ありと墨書や薄紅葉 一尾 添削> 五平餅ありと墨書や紅葉茶屋
釈迦堂の屋根新しき照紅葉 秀昭
朝な朝な産土神の椎拾ふ まや
九十九折る道にかぶさる照り紅葉 朝子
禅寺の磨き上げたる廊寒し 朝子
戻り花椀の転がる地蔵道 東吾
北向きの雪隠のまど蔦紅葉 折山 添削> 雪隠のまどに垂れたる蔦紅葉
先生にあげる野の花摘む子かな よし女
短日や血圧計のピピピピピ 初凪 添削> 短日や血圧計のピピと鳴く
団栗を友のしるしと貰ひたる ゆうこ 添削> 友情のしるし団栗くれたる子
餌台に動きどおしや鵯の首 とろうち
露天湯は檜の香り石蕗の花 みすず 添削> 石蕗咲いて檜の香る露天の湯
磯焚火海女の瞳に燃える色 千春 添削> 磯焚火海女の瞳に燃えにけり
箒目に椎の実一つありにけり 正春 添削> 箒目に椎の実一つまろびをり
田楽や抜けば真青な竹の串 素居
空稲架に横並びして里鴉 れいこ
日矢一筋紅葉の一樹を照らしけり こみち 添削> 日矢一筋紅葉の梢貫きぬ
廃屋の軒の柿の実たわわなる まや
はらはらと供花から供花へ冬の蝶 つとむ 添削> はらはらと供花から供花へ秋の蝶
秋入日連なる山を縁取りて 哲 添削> 秋入日連なる山を影絵とす
住む人のなきアパートや蔦かづら 幸子 添削> あばらやとなりしアパート蔦かづら
針金の輪をぶら下げて菊香る 和桜 添削> 針金の輪をぶら下げて菊枯るる
一灯を残し時雨るる大師堂 素居
竹の春嵯峨野に深く入りけり 東吾
まつすぐに続く並木の薄紅葉 こみち
ハロウィンの寒山拾得かぼちゃかな とろうち
新しき眼鏡に秋の澄みにけり 縄文 添削> 新しき眼鏡に秋の澄めりけり
禅寺の屋根の崩れや木の実降る こう
大仏は猫背におはす秋日和 正春
あと一枚紅葉撮ろうか瀧撮ろか たけし
手紙出すだけに着替えし夜寒かな ゆうこ
にはとりの道に出てゐる秋の暮 まや
能役者ふり向くつるべ落しかな はるを 添削> 能役者ふり向くつるべ落しの日
地下足袋のひょいと身軽に秋天へ 初凪 添削> 鳶職人ひょいと身軽に秋天へ
老人の愚痴を聞きつつ秋の暮 泉
進むほど色濃くなりし渓紅葉 オクラ 添削> 渓紅葉分け入るほどに濃かりけり
恩師はや音信のなき秋思かな こう 添削> 恩師より音信のなき秋思かな
団栗も転がしている洗濯機 歌子 添削> 団栗も渦に揉まるる洗濯機
松手入れはしごの片足池にあり よし女
じっくりと陽を吸い込んで次郎柿 素居 添削> たっぷりと陽を吸ふてをり次郎柿
木の葉髪クビ傾きの癖ありて よし 添削> 木の葉髪いつとなく首傾ぎ癖
抱きしめて男は萩を括りける 志乃 添削> 抱きしめて男は萩を括りけり
稲雀拍手二つに追はれゆき 恭雅 添削> 稲雀拍手二つに追はれけり
照り柿が目印山頭火旧居 よし女
白壁に入り日の名残り蔦紅葉 とろうち 添削> 白壁の夕日褪めゆく蔦紅葉
墨蹟に読めぬ字多し風炉名残 まや
天冠の埴輪の王子紅葉晴れ れいこ
秋深しハープに触れば響きだす 猪乃介 添削> 秋深し触るればハープ響きもす
缶蹴りの一抜け二抜け秋の暮 我風
朝光やねぐら翔ち来て田鶴となる よし女 添削> 朝光に翔ち来て田鶴となりにけり
せせらぎに葉先掴まれ草紅葉 とろうち 添削> せせらぎに葉先の揺るる草紅葉
秋祭り庫裏に寿司桶干されをり やす子
エメラルドグリーンの湖面秋日濃し 秀昭
懸崖のもみぢ苔むす瀧しぶき たけし 添削> 懸崖のもみぢに瀧のしぶきけり
湯豆腐や人それぞれの背中あり はるを
古刹にも勝手口あり秋簾 初凪
百年の文庫蔵より秋の声 れいこ 添削> 秋思あり百年といふ文庫蔵
縁側に猫伸びきって吊し柿 素居 添削> 縁側に猫伸びきって日向ぼこ
一歳と刻まれし墓碑すさまじき とろうち 添削> 一歳と刻まれし墓碑身にぞ入む
庭隅に入り日を呼びしつわの花 多藤 添削> 庭隅に入り日を集むつわの花
懸崖に根付き枝張るもみぢかな たけし
柚子一つ浮かべ長湯となりにけり やす子 添削> 柚子一つ浮かべ長湯を愉しめり
肌寒しポーズの時だけ胸を張り たけし 添削> 風寒しポーズの時だけ胸を張り
大いなる鳶の輪の中なまこ舟 よし女
鰯雲映る水面に投網する 俊郎 添削> 鰯雲映る湖面に投網うつ
富士山の見ゆる障子を開け放ち はるを 添削> 富士山を見よと障子を開け放ち
むかご採る垣根ごしなる句の話 我風 添削> むかご採る垣根ごしなる立話
蔵町の千本格子名残り月 恭雅
ひろびろと風吹き渡る芒原 つとむ
残照の土塀に歩む秋の蜂 好夫 添削> 残照の土塀に縋る秋の蜂
ローソンで剃刀を買ふ文化の日 東吾 添削> コンビニで剃刀を買ふ文化の日
掃く塵の中よりバッタ跳び出せり ちやこ
水晶の目を秋空に童子仏 れいこ
蕎麦こねる水が命か峠茶屋 あすみ 添削> 蕎麦こねる水が命と茶屋あるじ
壬生寺の拍子木響く十三夜 清
からくりの歯車多き秋思かな ゆうこ
蔵町の闇を山車の灯埋めつくす みすず
朴落葉拾ひつ捨てつ子の通る はるを 添削> 朴落葉拾ひつ捨てつ下校の子
老い初めし人美しき菊日和 敦風 添削> 初老なる妻美しき菊日和
大原や野にかたまりて彼岸花 桃香 添削> 大原野の路に一と叢彼岸花
串ほどの実生の枝も紅葉せり とろうち 添削> 串挿ししほどの実生も紅葉せり
犬が行き鯨が続く秋の雲 たけし 添削> 行く雲の犬や鯨や秋高し
かりがねや肩を抱き合ふ塞の神 よし女
虫の音やとぎれとぎれの四拍子 清 添削> 残る虫とぎれとぎれの四拍子
七五三の児の拗ねてゐし羅漢寺 れいこ 添削> 七五三児の拗ねてゐし羅漢寺
松籟のそぞろに寒し薪能 まや
蜜柑山車窓に消えてまた消えて はるを 添削> 蜜柑山車窓に消えてまた現(あ)れて
藤の実の錘となりて藤の棚 一尾 添削> 棚の藤鎖のごとく実を垂らす
手鉤打ち引き抜く競りの鰯箱 東吾
藁屋根を転がり落ちた熟し柿 俊郎 添削> 藁屋根を転がり落つる熟柿かな
破れし墓の石の扉や小鳥来る 恭雅 添削> 石龕(せきがん)の扉の開いてをり小鳥来る
柿の実の熟れて故郷に母ひとり 縄文
しきりなる赤子の喃語櫨紅葉 れいこ
山車回る百の提灯波となる 桑 添削> 山車回る百の提灯波となり
手品師の種の丸見え文化祭 まや 添削> 手品師の種丸見えや文化祭
新調の眼鏡やつわの花明かり よし女
風の園辞儀繰り返す秋桜 よし女
秋祭おかめのかいな太かりし 桑
柿照葉碑文は万葉仮名くづし 竹子
潜りたる鳰に水輪の広がりし きみこ 添削> 潜りたる鳰の水輪の広がりし
火口湖を鏡とするやいわし雲 千衣 添削> 火口湖の鏡を進むいわし雲
鮮やかに稜線秋の空画す こみち 添削> うち晴れて稜線秋の空画す
つくばいの水面に揺れて十三夜 れいこ
鳶舞ふ谷川岳の秋の空 秀昭 添削> 鳶舞ふ谷川岳の秋高し
金婚の記念撮影菊日和 桃香
団栗の転がる方へ分れ道 一尾 添削> 団栗の転がる方へ道分れ
秋の朝野原に気球首傾ぐ 哲 添削> 秋の野に吹かれて気球首傾ぐ
千年の古寺の由来碑こぼれ萩 敦風 添削> 寺縁起記す碑ほとりこぼれ萩
籾摺りの音の中なる辻地蔵 よし女
草紅葉踏みつつ行くや尾瀬ヶ原 ちはる 添削> 草紅葉踏みつ分け入る尾瀬ヶ原
帽子跳びコスモス畑に消えにけり 秀昭 添削> コスモスの風に帽子を飛ばさるる
撓わなる熟柿の触れむ農具小屋 一尾 添削> 枝撓み熟柿の触るる農具小屋
爽波忌のスープの鍋を焦がしけり ほとり
釣り舟の海にちらばる秋日和 朝子
戸を繰るや否や木犀かほりけり 朝子
豊の秋そびえ立ちたる古墳かな ゆうこ 添削> 豊の田に島のごときは古墳かな
子供らのむかご散らして通学路 桃香 添削> 子供らのむかご散らして登校す
せき‐がん【石龕】:石の塔。石の厨子(ズシ)。
緑青の風鐸に触れ秋の蝶 素居
霧の宿窓一面に山水画 ちはる
パレットの絵の具さながら色葉散る 光晴
光り物まだ手離さず古案山子 東吾
風見鶏右往左往や雹の降る よし
川土手が観客席の宮相撲 ただし 添削> 川土手が観客席や宮相撲
秋の夜や座右に置きたる広辞林 我風 添削> 広辞林座右としたる夜学かな
名の川の真砂で洗う芋煮鍋 志乃
舞良戸に秋日の届く大寺かな 志乃 添削> 舞良戸に秋日影濃き大寺かな
数珠玉やとぎれとぎれの子のはなし はるを
霧襖忽ちリフト消えにけり 千春
水底の魚影は秋となりにけり 東吾 添削> 水底に走る魚影も秋めきぬ
牛売りて牛舎に秋日留まりぬ 素居 添削> 牛売りし牛舎に秋日濃かりけり
浜小屋の跡の一叢花芒 一尾 添削> 浜小屋の跡に一叢花芒
崩れ咲く野菊の先は崖になり ゆうこ 添削> 崩れ咲く野菊の先に海展け
手廻しのオルガン秋を奏でけり れいこ
芒刈る身の丈程を抱えをり たけし
空堀に揺るる木漏日小鳥来る 志乃 添削> 空堀の木漏日散らし小鳥来る
これしきの坂に息切れ秋桜 敦風
どんぐりの弾みて行方定まらず ちはる
秋うらら小江戸めぐりのレトロバス こう
花嫁の父秋空に目を上げぬ 素居
渡し場に続く小道や野菊晴 我風 添削> 渡し場へ野菊の小道辿りけり
染め分けの紅葉拾ひぬ奥社 竹子
実むらさき稲荷小路に醤油の香 れいこ
秋夕焼雲を溶かして沈み行く ゆうこ 添削> 秋夕焼雲を溶かして褪めにけり
夕日濃し揺れとどまらず秋の草 きみこ 添削> 夕日影纏ひ秋草揺れやまず
福耳の僧の笑顔や菊の寺 素居 添削> 福耳の僧が案内や菊の寺
頬杖の羅漢の見遣る秋の宙 恭雅 添削> 頬杖の羅漢は秋を聞きにけり
富士の嶺にかかる雲なし稲架の列 とろうち 添削> 富士の嶺にかかる雲なし稲架日和
秋蝶や家光生れし部屋暗し 秀昭 添削> 家光の生家を訪へば秋の蝶
露天湯に人の気配や十三夜 まや
湧き水の底砂踊り澄めりけり よし女 添削> ひとところ底に砂噴き水澄める
山峡は紅に満つ秋の暮 たけし 添削> 山峡は紅に燃ゆ秋日和
ティーショットつるべ落としと競争し たけし 添削> ゴルフ打つつるべ落としの日に向けて
利き酒に酔ひて覗けり甑かな やす子
箒木や樽に溢るる仕込み水 やす子
秋の蝶土蔵に影を映しけり 桑 添削> 秋の蝶白き土蔵に影映す
天領を一跨ぎして秋の虹 東吾
そぞろ寒迷路のごとき古病舎 初凪 添削> そぞろ寒迷路のごとく古病舎
ロープウェーのドア開きたり霧の海 たかし 添削> ゴンドラのドアの開けば霧の海
産土の神煙らせて籾殻焼く よし女 添削> 籾を焼く産土神を煙らせて
草の実を飛ばし散らして野路をゆく 一尾 添削> 草の実を蹴散らして野路進みけり
ままごとの鍋にどんぐり煮られをり とろうち 添削> ままごとの鍋にどんぐり溢れけり
深かむりすればたちまち秋帽子 志乃
木工の木屑薫りし夜なべかな 清
秋蝶の牧牛の背につきまとう きみこ 添削> 牧牛の背を離れざる秋の蝶
人の死に夜寒の椅子を寄せあひて まや
爽やかや笑顔の遺影語るごと はるを 添削> 爽やかや遺影の笑顔語るごと
晩鐘の心に沁みて秋思かな 俊一 添削> 晩鐘の心に沁みる秋思かな
爽やかに赤きトマトの甘さかな 泉 添削> 爽やかや真っ赤なトマト丸かじり
油断して蓮葉大きな露こぼす 初凪 添削> と見るや否や蓮葉の露走る
石庭の一点となり黒揚羽 れいこ
望郷のメールを送る十三夜 和桜 添削> 望郷のメールを送る夜長かな
大いなる目玉一つの鳥威し 二青 添削> 大いなる目玉がおどる鳥威し
天高し響く庭師のはさみ音 きみこ 添削> 爽やかに響く庭師のはさみ音
白壁にどうだん紅葉火のごとし 東吾
秋天や金の鯱向き合えり 歌子 添削> 秋天に金の鯱向き合へり
山門を覆ふ紅葉の薄明り 我風 添削> 山門にうちかぶさりし紅葉かな
名水を汲む列にをり秋日和 大門 添削> 名水を汲むに列なす秋日和
朝寒の四肢伸ばしたる朝湯かな こう 添削> 秋寒し朝湯に四肢を伸ばしけり
健脚の師の影踏みつ秋の山 ゆき子 添削> 健脚の師の影踏みて登高す
高台に来て蒼天のなほ高し こみち 添削> 高台に来て秋天のなほ高し
片頬を染めし菩薩や秋の暮 やす子 添削> 片頬を染めし菩薩や紅葉影
黄金の光の夕日秋の湖 秀昭 添削> 湖の面黄金光り秋日落つ
秋麗ちんどん屋の音遠のけり みすず 添削> 秋麗間遠の楽はちんどん屋
縁糸の青きほつれや曼荼羅図 れいこ 添削> 縁糸の青きほつれや涅槃絵図
虫の夜や洗ひ仕舞の朱塗椀 志乃
トンネルを越えて目を射る紅葉かな たかし 添削> トンネルを抜けて目を射る照葉かな
秋の浜風の掃きゆく砂の上 まや 添削> 秋の浜風の掃きゆく白砂かな
無縁墓囲みて秋桜咲き乱る 幸子 添削> 無縁墓隠るるほどに秋桜
踏み入りてわれも飛蝗も驚きぬ はるを
狐雨人影去りし花野かな ゆき子 添削> 狐雨人影走る花野かな
強風に折れしコスモス尚咲きぬ ゆり 添削> 風折れのコスモス健気立ち直る
かみ合わぬ話の続く夜長かな こう 添削> かみ合はぬ話きりなき夜長かな
校庭の高き梢に鵙の声 オクラ 添削> 校庭の高き梢に鵙の贄
背の凡字宙へ跳ねつつ秋遍路 よし女 添削> 背の凡字風に躍りし秋遍路
稔り田を一直線に鉄路かな れいこ 添削> 稔り田を二分けしたる鉄路かな
雑踏の地下街出れば秋の風 正春
熊笹の露しとどなる山路かな よし
峡空に鳶の輪一つ冬近し 東吾
貨物車の何両も続き秋行くや ミチコ 添削> 秋日落つ貨物車のなほ続きをり
蘆の花中洲に渡るすべもなく 初凪 添削> 蘆の花中洲へ渡る道もがな
大笑いしたる如くの石榴かな きみこ 添削> 彼の石榴呵々大笑といひつべし
蔦紅葉朱印帳より舞ひこぼれ 志乃 添削> 開きたる朱印帳より蔦紅葉
四阿に住みたる秋の蚊に追はれ ゆうこ 添削> 四阿に憩へば秋の蚊に恋はれ
仁王尊紅葉の山を双肩に 江斗奈
病める歯に頬杖をつく夜長かな ひさこ 添削> 痛む歯の疼きやまざる夜長かな
着水をして渡り鳥陣に入る きみこ
母の住むホームへ銀杏拾いつつ 蓬 添削> 銀杏散る老人ホーム訪ふ道に
山間に一筋のぼる炭焼きか あすみ 添削> 山峡に一筋炭を焼く煙
万国旗はためく中を秋の蝶 とろうち添削> 万国旗はためき秋の蝶失せる
台風禍ゴルフコースの彼方此方に 光晴
[添削の説明]
今週は、添削の説明を書いてみました。毎週書けなくてごめんなさい・・・
◇望郷のメールを送る十三夜 添削> 望郷のメールを送る夜長かな
十三夜に限らず月を詠むのは原則として屋外の景。
◇大いなる目玉一つの鳥威し 添削> 大いなる目玉がおどる鳥威し
目玉一つ・・は説明。より具体的に情景描写をすると句が力強くなる。
◇天高し響く庭師のはさみ音 添削> 爽やかに響く庭師のはさみ音
天高く響くのはやや大げさ。小気味よい鋏の音に、爽やかさを覚える・・が自然。
◇秋天や金の鯱向き合えり 添削> 秋天に金の鯱向き合へり
焦点は鯱。「秋天や」で切ると焦点が秋天のほうへ傾きます。
◇山門を覆ふ紅葉の薄明り 添削> 山門にうちかぶさりし紅葉かな
たくさんのことを言うと句が弱くなる。紅葉明かりは連想に委ねます。
◇名水を汲む列にをり秋日和 添削> 名水を汲むに列なす秋日和
観察ポイントを少し引いて大景にした方が秋日和がよく効く。
◇朝寒の四肢伸ばしたる朝湯かな 添削> 秋寒し朝湯に四肢を伸ばしけり
朝寒、朝湯、と朝が続くのはよくない。
◇健脚の師の影踏みつ秋の山 添削> 健脚の師の影踏みて登高す
春の山でも同じになるので季語が動く。登高、高きに登る・・という季語を使うと良い句になる。
◇高台に来て蒼天のなほ高し 添削> 高台に来て秋天のなほ高し
原句は無季。
◇片頬を染めし菩薩や秋の暮 添削> 片頬を染めし菩薩や紅葉影
片頬を染めし・・と秋の暮の関係が不明確。
◇黄金の光の夕日秋の湖 添削> 湖の面黄金光り秋日落つ
金色なのは夕日ではなく湖面。湖の面は「うみのおも」と読む。
◇秋麗ちんどん屋の音遠のけり 添削> 秋麗間遠の楽はちんどん屋
なるべく時間経過でなく、瞬間を詠む。
◇縁糸の青きほつれや曼荼羅図 添削> 縁糸の青きほつれや涅槃絵図
涅槃絵図のほうが一般的。
◇トンネルを越えて目を射る紅葉かな 添削> トンネルを抜けて目を射る照葉かな
トンネルは抜けるんですよね。
◇秋の浜風の掃きゆく砂の上 添削> 秋の浜風の掃きゆく白砂かな
砂の上・・は説明。
◇無縁墓囲みて秋桜咲き乱る 添削> 無縁墓隠るるほどに秋桜
具体的に感じるまで、もう一歩突っ込んで写生します。
◇狐雨人影去りし花野かな 添削> 狐雨人影走る花野かな
人影が見えた方が動きが出て面白い。
◇強風に折れしコスモス尚咲きぬ 添削> 風折れのコスモス健気立ち直る
これももう一歩踏み込んで具体的に。
◇かみ合わぬ話の続く夜長かな 添削> かみ合はぬ話きりなき夜長かな
続く・・は説明。
◇校庭の高き梢に鵙の声 添削> 校庭の高き梢に鵙の贄
高枝に鵙が鳴くのはあたりまえ。鵙の贄(もずのにえ)という季語を覚えましょう。
◇背の凡字宙へ跳ねつつ秋遍路 添削> 背の凡字風に躍りし秋遍路
宙に跳ねる・・が解るようで解りにくい。
◇稔り田を一直線に鉄路かな 添削> 稔り田を二分けしたる鉄路かな
一直線に鉄路・・がやや説明的。
◇貨物車の何両も続き秋行くや 添削> 秋日落つ貨物車のなほ続きをり
言いたいことは解りますが、季語に無理があります。
◇蘆の花中洲に渡るすべもなく 添削> 蘆の花中洲へ渡る道もがな
もがな、もがもな、は古語。・・・があればなぁ〜〜、という願望を表します。
◇大笑いしたる如くの石榴かな 添削> 彼の石榴呵々大笑といひつべし
したる如くの・・もう一工夫欲しいです。
◇蔦紅葉朱印帳より舞ひこぼれ 添削> 開きたる朱印帳より蔦紅葉
舞ひこぼれ・・は説明。
◇四阿に住みたる秋の蚊に追はれ 添削> 四阿に憩へば秋の蚊に恋はれ
住みたる・・は、おかしい。
◇病める歯に頬杖をつく夜長かな 添削> 痛む歯の疼きやまざる夜長かな
歯に頬杖をつく?・・と揚げ足を取られそうですね。
◇母の住むホームへ銀杏拾いつつ 添削> 銀杏散る老人ホーム訪ふ道に
home=家庭。自宅。故郷。となるので、解りにくいです。老人ホームなのかな・・と思って添削しました。
◇山間に一筋のぼる炭焼きか 添削> 山峡に一筋炭を焼く煙
煙まで言わないと無理。
◇万国旗はためく中を秋の蝶 添削> 万国旗はためき秋の蝶失せる
蝶がどうなったのかが見えてこない。
・俳句は、一枚の絵画として情景が見えてくるように表現します。
・見えるままを写生すると説明で終わります。具体的に感じるまで我慢すること。
・伝えたい焦点を一つに絞るように推敲します。
籾がらの幾山つづく峡の暮 やす子 添削> 籾がらの幾山なせる峡田かな
木洩れ日がキラキラ光る薄紅葉 オクラ 添削> 木洩れ日のキラキラ光る紅葉晴
鳥渡る帯になりまた紐になり よし女 添削> 帯になりまた紐になり鳥渡る
故郷の過疎の話や木の実降る こう 添削> 故郷も過疎とはなりぬ木の実降る
妻が居て子が居て孫の運動会 孝由
深々と朝霧立てる舟溜り れいこ 添削> 深々と朝霧つつむ舟溜り
敬老日孫の手形が届く朝 あすみ 添削> 敬老日孫の手形の届きけり
若二人コスモスの中寄り添いて たけし 添削> コスモス畑恋の二人の見え隠れ
子の髪を豊かに濡らす今日の月 きみこ 添削> 娘の髪を豊かに濡らす今日の月
大仏の膝に舞い来る紅葉かな 素居 添削> 大仏の膝へ舞ひ散る紅葉かな
おしゃべりな釣人をりし秋日和 ゆうこ
養生訓掲げてありし葛の寺 志乃
バス待たず歩く大路や秋灯 一尾 添削> バス待たず歩く大路や古都の秋
捨案山子胸のボタンの掛け違い つとむ 添削> 胸ボタンの掛け違ひたる案山子かな
遠富士の近くに見えし野分晴 秀昭 添削> 今日の富士ま近に見ゆる野分晴
野分晴富士ひときわに近く見へ ちやこ 添削> 目と鼻の先に富士見ゆ野分晴
註: 厳密にいえば前2句は類想になるかも知れませんが、具体的写生の例として2句とも添削しました。
胡桃割る石器のまろき窪みかな みすず
棒立ちとなって果てけり曼珠沙華 志乃 添削> 棒立ちとなりて果てけり曼珠沙華
秋風に首立ち向ける孔雀かな たかし
翳る山翳りなき山秋の暮れ とろうち添削> 翳る山日当たれる山秋日和
野分それへの字に結び雲走る たけし 添削> 野分雲への字くの字に走りけり
バス降りる一歩に踏まれ草の花 志乃
道消えて海まで続く花野かな 素居 添削> 道消えて海へなだるる花野かな
牛を引き帰る畦道曼珠沙華 オクラ
杖立のなかにいるらしちちろ虫 志乃
一族の墓並びをり曼珠沙華 とろうち添削> 曼珠沙華燃ゆ一門の墓どころ
時々は鶏をしかりて小豆干す きみこ
稲田にも戦車の如きコンバイン 折山 添削> 大稲田戦車の如きコンバイン
病院で機器の受付うそ寒し ゆき子 添削> 診察の受付は機器うそ寒し - 2002/09/29
やや寒の駅に始発の人の列 敦風 添削> 秋冷の始発のホーム人まばら - 2002/09/29
山寺へ道細くして左右葛 光晴 添削> 参道といへども細し左右に葛
石畳擦りて流るる秋の川 秀昭 添削> 石畳滑りて速し秋の川
水澄みて青空の中に手を入れる 陽子 添削> 青空の映る秋水掬ひけり - 2002/09/29
辻馬車の豊の秋行くひづめ音 きみこ 添削> 辻馬車のひづめ高鳴る秋の晴 - 2002/09/29
野の道の一足ごとに飛蝗飛ぶ こみち 添削> 草の原一歩一歩に飛蝗とぶ
白土の剥がれし土蔵赤のまま 清
こぼれ萩弁天池に鯉跳ねる とろうち添削> こぼれ萩弁天池を染めにけり
秩父嶺をはるかに望む萩の寺 みすず 添削> 秩父嶺を借景となす萩の寺
澄む水の音も心を和らげり ゆうこ 添削> 秋川の調べに心和みけり
月の道木々のかたちに黒き闇 ちやこ 添削> 木々の枝のしるき影縫ふ月の道
共白髪憩ふ日差しのうららかに れいこ 添削> 秋日和ベンチの二人共白髪
[選評]
今週は、理屈や説明の句が目立ちました。
理屈を言わないで、素直な感動句を目指して下さい。
何時の日か天の花野でまみへなん 二青 添削> 天国も斯くと花野にあそびけり
きららかに照葉のこぼす雨しずく 大門 添削> 朝日燦照葉によべの雨雫
小鳥来る欅の巨枝の動かざる 好夫 添削> 小鳥来る欅木立の高枝に
辻馬車のくつわを鳴らす秋の道 きみこ 添削> 辻馬車のくつわを鳴らす野路は秋
初秋の蒼紫に暮るる湖 秋乃 添削> 水澄みて青紫に昏るる湖
寺巡る秋の七草ほしいまま こう 添削> 巡拝や秋の七草数へつつ
田の畦に一揆の如し曼珠沙華 ただし
巡礼の前を後ろを秋の蝶 志乃
秋耕や夕日に鍬を光らせて 素居
秋天の鳶の大いなる輪を描く こみち 添削> 秋天の鳶大いなる輪を描く
天高し声を揃えて長縄飛び ゆうこ 添削> 縄跳びの歌声揃ふ天高し
天高し縄の電車の脱線す ゆうこ 添削> 草紅葉縄の電車の脱線す
草の絮五分の渡船に付き来たる よし女 添削> 川風に草の絮とぶ渡船かな
石筍の紫うつす秋の水 れいこ 添削> 石筍の紫うつし水澄める
秋の草風あるごとく活けられし 初凪
撫子の句碑へと続くほそき道 みすず 添削> 一句碑へ撫子の道辿りけり
落し水響き合ひたる棚田かな はるを
突っ立って刈田の藁を焼きゐたる たかし
古寺にひしめき合って曼珠沙華 志乃 添削> 古寺の一隅に燃ゆ曼珠沙華
秋うらら異常はなしと医師の宣 一尾 添削> 秋うらら医師の診断異常なし
飼い猫の膝に甘へる秋日和 ゆき子
残り鴨一心不乱の羽づくろひ よし女 添削> 余念なく羽づくろひして残る鴨
寺めぐり萩を揺らしてすれ違う 秀昭 添削> 寺小道萩を揺らしてすれ違ふ
胡麻干すや観音堂の広縁に まや
萩寺の何処からどこまで萩の波 光晴 添削> 寺の庭踏みどころなく萩盛る
秋の蚊も巡礼バスに乗り込みぬ 志乃 添削> 秋の蚊の巡拝バスに紛れ込み
パソコンに振り回されて夜なべかな 和桜 添削> パソコンに振り回されて夜の長き
人気あり小泉総理案山子かな あすみ 添削> 人気あり小泉総理めく案山子
見上ぐれば笑ふごとくに柘榴割れ ゆき子
稲を刈る迷彩服の男かな 志乃
塾通ひ秋夕焼けに目もくれず 孝由
みちのくや軒に並んだ吊るし柿 陽子 添削> 軒すだれなすみちのくの吊るし柿
飛行雲とけて消えゆく秋日和 のぶお 添削> 秋天にとけて消えゆく飛行雲
秋冷や身丈の合はぬバスローブ 初凪
安達太良の山並よりの薄紅葉 秋乃 添削> 安達太良の山並は早薄紅葉
磐梯の秋の湖より暮れ初むる 秋乃 添削> 磐梯の秋日に湖の昏れなんと
野仏や柿栗供ふ峠道 やす子 添削> 野仏に柿栗供ふ峠道
後の月澄み渡りたる牧の空 やす子 添削> 後の月澄みてひろびろ牧照らす
城跡の固き石垣彼岸花 一尾 添削> 城跡の石垣染めて彼岸花
曼珠沙華すくと伸びたる青き空 はるを 添削> 蒼天へ背伸びするごと曼珠沙華
新聞にくるまれしまま柿熟るる つとむ
上は右下左へと秋の雲 孝由 添削> 上は右下は左へ秋の雲
アンカーへバトンタッチの爽やかに 一尾
秋天や飛行機雲はどこまでも 歌子 添削> 秋天へ飛行機雲のどこまでも
棚田段鮮やかに分け彼岸花 孝右 添削> 彼岸花棚田の畦を区切りけり
標識灯ともる起重機秋の暮 ただし
白萩のアーチくぐれば心字池 ゆきこ
夜長くこのパソコンの気ままなる 敦風 添削> パソコンに弄ばれて夜の長し
池鏡色とりどりに落葉散る あすみ 添削> 池鏡色とりどりに紅葉散る
巫女の舞ふ大和舞とや宮の秋 二青 添削> 大和巫女比翼の舞や宮の秋
断崖に海轟きて葛の花 清 添削> 断崖にひびく波濤や葛の花
由布岳が揺れるが如くすすき原 きみこ 添削> 由布岳が揺るるが如くすすき原
夕とんぼ二三度水面を揺らし行く よし女 添削> 二三度水面を小突く夕とんぼ
秋日傘手を振る姉に老い少し 初凪
喚声の声ほど採れず茸狩 まや
どんぐりの沈む水底魚影過ぐ とろうち添削> どんぐりの沈む水底まで見ゆる
床の間に芭蕉の句あり露の宿 こう 添削> 床の間に古りし一幅露の宿
長き夜や歳時記繙き苦吟する 孝由 添削> 歳時記を座右としたる夜長かな
夕映えの一条残る秋の湾 光晴 添削> 夕映えの沖に退く秋の湾
ドライヴの右に左に望の月 光晴
沢音の力強さよ水の秋 我風 添削> 沢音の力強さよ峡の秋
かげふみに母も混りぬ十三夜 竹子 添削> かげふみに母も加はる十三夜
どんぐりのころころ走る古墳道 たかし 添削> どんぐりの落ちて古墳の道走る
広き野を踏んまへて立つ秋の山 こみち
秋天や瞬いて鳥見失ふ 志乃
秋港船の名なべて美しき 志乃
霊園にひとはけの雲秋彼岸 ゆき子 添削> 蒼天にひとはけの雲秋彼岸
乱れ飛ぶ蜻蛉の向かふ雲流る ちやこ 添削> 乱れ飛ぶ蜻蛉雲はゆっくりと
廃園に埋もれる門や草の花 羽合 添削> 廃園に傾く門や草の花
竹林に風の吹き抜け秋の声 つとむ 添削> 竹林の風の騒めきも秋の声
玄海の波穏やかに秋の航 二青 添削> 玄海といへど穏やか秋の航
聖堂の窓を彩る秋夕焼 みすず
木犀の香り背に受け朝散歩 ちはる 添削> 木犀の香に立ち止まる朝散歩
風の道ひたすら揺れる萩の花 好夫 添削> 風の道盛りの萩の揺れやまず
村おこし部落総出で秋祭り あすみ 添削> 過疎なれど村中総出秋祭り
秋冷の壁に李朝の金鶏画 れいこ
秋の蚊を打ち損ねたる夕べかな 秋乃
海霧晴れて崖上観音姿見す 光晴 添削> 海霧晴れて崖上観音現れにけり
冷ややかや鎌倉彫の鏡割れ 初凪
捨案山子愁ひあるらし今朝の顔 我風 添削> 捨案山子ちらと愁ひを見せにけり
ぼた山へ葛盛りあがり盛りあがり 志乃 添削> ぼた山へ葛競りあがり競りあがり
秋の蝶挿し替ふ墓の供華に来て よし女 添削> 墓の供花替へんとすれば秋の蝶
毬栗の飾られている道の駅 ゆき子 添削> 毬栗の飾られてゐる道の駅
橋の下つながり続く葛の原 ゆうこ 添削> 橋の下上なくつづく真葛原
吟行のつれづれ零余子取りゐたる まや 添削> 吟行のことを忘れて零余子取る
西行庵秋の七草溢れけり やす子
完全なる円を見上げる良夜かな 和桜 添削> 月今宵まこと真円うたがはず
魚掴む子らの歓声下り簗 孝右
コスモスに心優しくなりにけり きみこ 添削> 安けしや風のコスモス見てをれば
コスモスの群れの中から子供達 陽子 添削> 子供らはコスモス畑を迷路とす
畦道の標のごとく彼岸花 光晴
見上げれば機織る如く鰯雲 蒼 添削> 機織りし衣のごとくに鰯雲
棟上の槌音ひびく秋の空 妙香 添削> 棟上の槌音ひびく天高し
持ち寄りて梨葡萄桃読書会 竹子 添削> 読書会梨葡萄桃持ち寄りて
手を尻に駅のベンチの冷えたれば とろうち
夜遊びの猫の出でゆく望の月 まや
夕冷えの御堂に祈りささげをり みすず 添削> 夕冷えの御堂にひとり祈りけり
渓声を聴きて歩むや吾亦紅 みすず 添削> せせらぎに沿ひたる小道吾亦紅
厨辺に虫の音迫る夕べかな 羽合 添削> 虫の音に手もとはかどる夕厨
[選評]
最近あたらしく参加してくださる方が増えて感謝しています。
今週の秀句(みのる選)は、ゴスペル俳句の進むべき道を示す意味で、
真剣に選び、また添削しています。
客観写生の訓練を通して作者の個性が滲み出る
ただこのことをのみ願って選んでいます。
頭で考えた句、理屈の句、言葉遊びの句、は原則として選びません。
特別、みのるの選に権威があるわけでもなく、絶対ではありませんが、
ぜひこれをご理解いただきたいのです。
客観写生の俳句はつまらない、物足りない・・と、思われる方はいらっしゃると思います。
勿論、いろんな考え方や俳句の楽しみ方があって当然で、
どれが正しくてこれが駄目、ということはなく自由だと思います。
でも、先人たちが残した伝統俳句を否定するのではなく、これを理解し、マスターした上で、
より新しいスタイルや考え方を追求するのが正道だと思います。
土手上やラインダンスの彼岸華 孝右 添削> 風の土手ラインダンスの彼岸華
万葉の植物展や秋高し よし 添削> 万葉の植物展や古都の秋
流木に座して語らう秋の浜 歌子 添削> 流木に座して語らふ秋の浜
かぶさりて道半分に萩の花 ただし 添削> 萩盛る半分道にかぶさりて
産直便かぼちゃにレシピ添えてあり 竹子 添削> 産直のかぼちゃにレシピ添えてあり
独り来て話をかけて墓洗う あすみ 添削> あれこれと話しかけもし墓洗ふ
伊勢の海見ゆすすき原なびくたび こみち 添削> すすき原吹き分けられて海見ゆる
鉋の刃研いで潜らす秋の水 東吾
秋うらら露店に並ぶ風景画 清
門口へ母をともなひ月仰ぐ まや
霧迅し木の幹濡れて来たりけり まや
掃苔や我を堕ろさず生みし母 敦風
夕茜取込み咲くは曼珠紗華 歌子 添削> 夕茜燃ゆ一と叢の曼珠紗華
白樺のこみちの露や光たり 定輔 添削> 白樺のこみち露けき朝散歩
三段の色跳び箱に小鳥来る 江斗奈 添削> 園児らの色跳び箱に小鳥来る
野分かな合格祈願絵馬鳴らす 涼 添削> 春嵐合格祈願絵馬鳴らす
枝先になるほど淡き式部の実 きみこ 添削> 枝先になるほど淡し式部の実
雁やディズニーランドの空の下 まや 添削> 雁行やディズニーランドの空高く
しづかなる神馬の眼一葉落つ とろうち
針の手を止めて聞きいる虫の声 あすみ 添削> 縫針の手を止めて聞く虫の楽
糠雨に萩零るるや芭蕉句碑 みすず 添削> 糠雨に零るる萩や芭蕉句碑
秋凛や丹の色古りし奥社 みすず 添削> 秋凛や丹塗り剥げたる奥社
岩峰に連なる道や蕎麦の花 清
天竜の流れに沿ひて稲の秋 清 添削> 天竜の流れが分かつ豊の秋
帽子飛び案山子の頭禿げてをり ゆうこ 添削> 帽子飛ばされし案山子は禿頭
隣国のなほ遠きかな小鳥来る 初凪
富士裾野十里四方の芒原 まや
雨降れどほのかに明き月の空 ちやこ 添削> どことなくほのと明るき雨月かな
萩の葉のそよぎの中の陶石場 れいこ
対岸へ続く飛び石赤とんぼ つとむ 添削> 対岸へ飛び石伝ひ赤とんぼ
葛の葉で隠れし川の音を聞く 歌子 添削> 音すれど流れは見えず葛の谷
空家を包み込みたる葛の花 歌子 添削> 廃屋を虜にしたる真葛かな
贈られし句集繙く夜長かな 孝由
店先の壺にあふれし秋桜 朝子 添削> 店先の壺にコスモスあふれしめ
萩ゆるる庭に野点の茶会かな 朝子 添削> 萩の屑散り敷く庭に野点かな
秋麗痩せてみたいと茶葉選び ミチコ 添削> 秋麗ダイエット茶をすすりけり
夜長妻テレビに浸り涙して ミチコ 添削> 夜長妻テレビドラマの虜かな
秋思かな廓に残る長煙管 初凪 添削> 秋思あり廓に残る長煙管
投句して共鳴者も無きほうせん花 妙香 添削> 投句して没ばかりなりほうせん花
夕日さす豊平川に鮭のぼる 竹子 添削> 鮭のぼるらし夕波のきらめきて
孫四人集へばすなはち敬老日 こみち 添削> 孫四人集ふすなはち敬老日
初紅葉見下ろす山の喫茶店 秀昭 添削> 山の茶屋見下ろす谷は薄紅葉
雨音に虫の音重ね旅の宿 ちはる 添削> 雨音かはた虫の音か旅枕
秋風に吹かれて色の褪せし絵馬 俊郎 添削> 秋風や色褪せし絵馬鈴なりに
秋日差し原爆ドームの内の壁 はる 添削> 濃き秋日原爆ドーム貫きて
小鳥来るひねもすミシン踏む窓へ 初凪
湧き水に喉癒されて秋遍路 蒼 添削> 名水に喉をうるほす秋遍路
酒臭き夫の帰宅や月天心 素居
つい長湯してしまひけりちちろ鳴く 小筆 添削> つい長湯してしまひけり虫浄土
蜩や静かな夕日送りけり なつこ 添削> 蜩やあたりをつつむ夕帷
間引菜の零るる村の郵便局 まや
ずい道を抜ければ秋よ棚田あり よし 添削> ずい道を抜ければ秋の棚田あり
人気なき薬草園の昼の虫 はる
欄干に列をなしたる赤とんぼ 秀昭
予後の夫日々穏やかに小鳥来る こう 添削> 予後の夫日毎に元気小鳥来る
おほかたは野の幸月の御饌とせり 我風 添削> おほかたは野辺の幸なり月の御饌
色鳥の色こぼしたる水辺かな 涼 添削> 色鳥の瑠璃こぼしたる水辺かな
不細工な梨をおまけにつけくれし ゆうこ 添削> 不細工な梨をおまけに貰ひけり
稲束を富士の夕日へ掛けつらね まや
庭手入れ欠かすことなし菊の主 つとむ 添削> 菊手入れ欠かすことなし庭主
鯊釣に上手も下手もなかりけり つとむ
宅急便土のつきたる新生姜 歌子
添削> 土匂ふ宅急便の新生姜
また一基クレーン伸びて天高し 光晴
添削> クレーンの直立したる天高し
秋の風千畳閣を吹き通る はる
添削> 人気無き千畳閣や秋の風
大樫に耳当ててゐる秋の風 たかし
添削> 大樫に耳当てて聞く秋の声
浮浪者の寝まる土手道秋の風 みすず
雲行きを雨来ると読み秋耕す よし女
添削> 雨を呼ぶ雲行きと見て秋耕す
露けしや石廟古りし瑞龍寺 初凪
高まりてよりの虫の音闇深し きみこ
添削> 虫の楽高鳴る闇の深さかな
倒木のはや紅葉する一葉かな れいこ
添削> 倒木としてもみづれる一樹あり
「新蕎麦」の墨書に暖簾くぐりけり 孝由
添削> 新蕎麦と墨書貼られし老舗かな
耐へること神に祈りし長き夜 二青
車椅子見え隠れする花野かな ゆき子
鬼瓦の睨むそのさき鰯雲 のぶお
秋灯旅の土産の長寿箸 我風
添削> 食の秋旅の土産の長寿箸
一病と共に歩みて秋の暮れ 蒼
添削> 一病とかかはりゐたる秋の暮
売店の前の日溜り蜻蛉群れ ゆうこ
添削> 駅頭の前の日溜り蜻蛉群れ
ちちろ虫電話の声は喪を告げぬ 竹子
添削> ちちろ鳴き電話の声は喪を告ぐる
手話の子の指しなやかや月明り れいこ
添削> 手話の子の指しなやかに月を愛づ
松風を見下ろしている良夜かな 和桜
添削> 松風が頬撫でてゆく良夜かな
コスモスやフラダンスかな右左 あすみ
添削> フラダンスさながら風の秋桜
柿吊るす軒先淡く日が差しぬ 泉
添削> 軒簾なす干し柿に夕日さす
見届けし落暉や秋の東尋坊 初凪
添削> 東尋坊つるべ落しの日に佇ちぬ
倒されて案山子の見てる青い空 まや
帯解きて畳に落ちし萩のちり たかし
添削> 帯解けば畳に落ちし萩のちり
鰯雲風速計のゆるやかに とろうち
添削> 鰯雲風速計の機嫌よし
陶板の標を木の実打ちにけり れいこ
添削> 陶板の標を打ちし木の実かな
蔓引けば遠くに揺れて烏瓜 れいこ
棟上げの柱組まるる赤とんぼ はるを
葛の花谷突き上げて熟れにけり ひろ
添削> 吹き上げてくる谷風に葛香る
石仏と見しは子の墓赤のまま はる
添削> 幼子の墓に手向けし赤のまま
茅葺の山門朽ちて蝉時雨 禾青
添削> 茅葺の朽ちし山門蝉時雨
露の玉物干竿にひと並び 草根
石仏の並ぶ参道赤のまま はる
霧の香の羽衣まとふ深山杉 羽合
添削> 羽衣のごと霧まとふ深山杉
蜻蛉の群をつれ来る渡し舟 大門
添削> 蜻蛉の群が付き来る渡し舟
小流れの分水嶺てふ葛の花 初凪
添削> 分水嶺てふ小流れの葛匂ふ
秋茄子をきゅっきゅと洗ひ漬けむとす こみち
添削> きゅっきゅと鳴かせ秋茄子洗ひけり
カルデラやすすきの原に牛の群 たかし
添削> カルデラのすすきの原に牛群るる
秋夕焼バスの乗客われひとり よし女
添削> 秋夕焼乗合バスにわれひとり
野の草のひれ伏すまでに秋の雨 縄文
添削> ことごとく雨にひれ伏す秋の草
ひとむらの鶏頭燃ゆる女寺 志乃
大土間に野の花活けて藏凉し みすず
添削> 大土間の甕に秋草溢れしめ
サングラスおでこ掛けてはメモを読む ゆうこ
添削> サングラスおでこに掛けてメモを読む
卒寿超ゆ母に安堵の菊枕 大門
添削> 卒寿超ゆ母やすらけく菊枕
川隔て大杉木立仏法僧 ひろ
添削> 立ち並ぶ大杉襖仏法僧
病む人の体に良しと鯊を煮る ちはる
添削> 病む母の食進めんと鯊を煮る
宮島の長き回廊秋気澄む よし
懸崖にもたれて咲ける酔芙蓉 江斗奈
手作りの看板並ぶ梨街道 彩女
添削> 街道に並ぶ看板梨どころ
野良猫の慕い寄る婆糸芒 はる
添削> 野良猫の慕い寄りくる枯野かな
ねこじゃらし夕日の塀に影揺らし 素居
添削> ねこじゃらし夕日の塀に影揺るる
親指の探る鰯の背骨かな 縄文
山里に夕日隠れの花すすき 初凪
添削> 里山に夕日傾くすすきかな
頬杖の五百羅漢に秋の蝶 桑
藪虱しがみ付きたる尾つぽかな 秋乃
添削> 犬の尾にからみ付きたる藪虱
秋灯や浮世絵ならぶ文庫蔵 みすず
添削> 文蔵にならぶ浮世絵秋ともし
何処までも続く花野の蝦夷の旅 二青
添削> 何処までも花野の続く蝦夷の旅
稔田を静かに過ぐる照り翳り 志乃
添削> 稔田を静かに過ぐる雲の翳
なだらかに伸びて蒜山花すすき きみこ
添削> 蒜山のすそ野の起伏花すすき
なつめろの映画にひたる夜長かな 清
添削> なつめろの映画に更くる夜長かな
ハングライダー影ゆっくりと大花野 こう
脇谷に入るたび匂う葛の花 ひろ
添削> 道曲がるたび脇谷の葛匂ふ
夫よりも少し遅れて花野行く きみこ
秋高し下校の子らの声走る ミチコ
添削> 秋高く下校の子らの声ひびく
真ん中の案山子の服に覚えあり 志乃
添削> 彼の案山子着てをる服に覚えあり
初紅葉五百羅漢を染めにけり 秋乃
添削> 薄紅葉五百羅漢に陽を洩らす
海上で仰ぐ夕焼け旅土産 ちやこ
添削> 甲板に仰ぐ夕焼け旅名残
夏に病んで庭の草丈見ないふり 彩女
添削> 夏負けて伸び放題の庭の草
露草や路辺に小さき石仏 光晴
添削> 露草の路辺に小さき石仏
ビル街の窓てふ窓に大西日 孝由
崩れけむ露けき岩の彫り仏 たかし
添削> 風化して露けき岩の彫り仏
凭れ合う五百羅漢や秋の寺 恭雅
添削> 凭れ合ふ五百の羅漢秋を聞く
露天湯へつづく石段虫の音 更紗
添削> 露天湯へつづく石段虫すだく
澄む水に白き足首なほ白く ゆうこ
添削> 澄む水に白き足首浸しけり
爽やかや老人検診終へし朝 こう
添削> 爽やかや老人検診異常なし
研ぎ立てのナイフ滴る梨のつゆ 竹子
添削> 皮剥けばナイフ滴る梨のつゆ
岩稜を乗越す霧の迅さかな ひろ
添削> 岩稜を越えゆく霧の迅きかな
序破急の波ありにけり虫時雨 こみち
添削> 自ずから序破急奏づ虫時雨
旅続く威銃にも耳慣れて 志乃
添削> 野路の旅威銃にも耳慣れて
ひぐらしや一足早き山の暮 はるを
添削> ひぐらしや峡の道行き昏れ早し
七谷に竹切る音のこだまかな 志乃
次々と花野を巡り蝦夷を旅 二青
添削> 花野また花野と巡る蝦夷の旅
テニスボール交差して飛ぶ赤とんぼ ちやこ
添削> 赤とんぼテニスボールにあたらずや
筑波嶺に向かひ向日葵揃ひ咲き 草根
添削> 向日葵のみな筑波嶺に向きて咲く
夕影に対なすなぞへ葛の闇 光晴
添削> 夕影の濃ゆきなぞへに葛匂ふ
ラッパ飲みして許される麦茶かな ゆうこ
秋高しゆっくり廻る観覧車 ゆき子
秋日差海の碧さを深めけり れいこ
添削> 秋日差ひろごる海の碧深し
白樺を風吹きぬけり涼新た みすず
添削> 白樺の小道縫ふ風涼新た
山鳩の間遠く鳴きし今朝の秋 やす子
鈴虫や本積み上げし長廊下 やす子
屹立す高層ビルに晩夏光 光晴
添削> 屹立す高層ビルを射す西日
花の野に遊びて八ヶ岳の昏れゆけり みすず
添削> 昏れかぬる八ヶ岳(やつ)の花野にあそびけり
蓮池に鯉の浮く間のなかりけり 志乃
添削> 蓮の池鯉浮く隙間なかりけり
夜半の雨萩を散らして通り過ぎ あすみ
添削> かく萩の乱れをりしは昨夜(よべ)の雨
義理ひとつ欠いてしまひし残暑かな 志乃
包丁の進めぬ抜けぬ南瓜かな ゆうこ
添削> 包丁の抜けなくなりし南瓜かな
秋空に一筆入れる飛行機雲 清
添削> 秋天に真一文字や飛行雲
能楽の舞台をよぎる秋の蝶 秀昭
添削> 能舞台よぎる里の秋の蝶
ねこじゃらし畑一面の優美かな ゆり
添削> ねこじゃらし畑一面の揺れやまず
悔しくて眠れぬ夜の長きかな 秀昭
添削> 悔しさに眠れぬ夜の長きかな
萩ゆるる庭園茶房コーヒー飲む 朝子
添削> コーヒー飲む庭園茶房萩ゆるる
大本営跡の礎石や赤とんぼ はる
添削> 大本営跡の礎石に赤とんぼ
ひつじ雲クラーク像の指の先 宏
添削> クラーク像さす右手(めて)の上のいわし雲
葉のひとつ落つと見へたり秋の蝶 とろうち
添削> こぼれ落つ斑葉(いさは)に非ず秋の蝶
冬瓜の納屋にごろりと横たはる やす子
錆色の湿原の水秋暑し まや
添削> 錆色に淀む湿原秋暑し
自転車を土手に寝かせて鰯雲 羽合
古備前の甕に溢るる秋桜 みすず
添削> 秋桜備前の甕に溢れしめ
滝抜けて来たると思うやんまかな 素居
添削> 滝抜けて来たると思ふやんまかな
自転車の影の大きく夕茜 れいこ
添削> 自転車の影長く伸び秋日落つ
母逝きし年を越えたり蚯蚓鳴く きみこ
添削> 母逝きし年を越えたり盆供養
愚痴聞いてとぎれがちなる梨の皮 志乃
添削> 愚痴聞いて梨を剥く手のとまりがち
秋草にまぎれて蝶の消えやすき まや
添削> 草むらに紛れ秋蝶消えやすき
あめんぼう水輪重ねてすれ違ふ こみち
添削> あめんぼの水輪ぶつかりやすきかな
哀悼碑寄辺なきつる伸び来たり 羽合
花氷囲み歌舞伎を待ちにけり やす子
添削> 花氷囲み歌舞伎を待つ屯(たむろ)
川霧や岩と見えしが立ちあがる 志乃
参道に伏してつづくや萩の花 はる
添削> 萩の花伏して参道綴りけり
日照雨来て声落としたる秋の蝉 光晴
添削> 日照雨来て声をひそめし秋の蝉
洗濯をたたむ西日に火照るまま ゆうこ
添削> 洗濯をたたむ西日に火照る縁
衝突の瞬間はじけ水馬 和桜
牧師我キャンプの子等へ物語る 二青
旧道となりて人無し鰯雲 素居
添削> 旧道は人影を見ず鰯雲
山間の音の響きや遠花火 皐月
添削> 山間に谺す音や遠花火
かき氷一匙もらひ泣き止みぬ ゆうこ
添削> かき氷一匙もらひ泣き止む児
蔓そっと引いてうなづく通草かな たかし
添削> 蔓そっと引けばうなづく通草かな
涼風や信濃の宿の朴歯下駄 きみこ
添削> 土間涼し信濃の宿の朴歯下駄
曲がるたび千曲は光る秋の風 きみこ
添削> 曲がるたび秋風光る千曲川
最終便発ちし空港天の川 一尾
仲見世を一筋避けてかき氷 つとむ
花葛や山をゆるがす発破音 志乃
鳥渡る平家亡びし海峡を よし女
韮の花一畝白き屋敷畑 初凪
添削> 屋敷畑一畝白き韮の花
サンダルに潮の香残し夏去りぬ 彩女
添削> サンダルに残る潮の香夏の果
足裏に床のひやりと夜の秋 とろうち
秋空に雲の船団ゆるゆると 光晴
添削> 船団のごとく秋雲進みけり
ふる里は音ひとつ無き天の川 ゆき子
添削> ふる里の深きしじまよ天の川
ゆっくりと良夜の道を歩きけり 孝子
滝壷へ迷わぬひと葉ありにけり 志乃
添削> 滝壷へ錐もむひと葉ありにけり
長電話すめば俄かや虫すだく こう
添削> 長電話すみて俄かに虫すだく
秋うらら置物のごと牧の牛 はるを
傾けるケルンをかくす霧時雨 れいこ
ラジコンのヘリ胡麻粒や秋の空 宏
野分あと将棋倒しの植木鉢 ゆき子
盆花の一輪挿しや猫の墓 はる
添削> 猫の墓にも一輪の盆の供花
瀬に掛り精霊舟の燃え尽きぬ はる
添削> 瀬に掛り精霊舟の燃えあがる
数恃み騒ぎをりけり猫じゃらし 草根
添削> 一と屯風に騒げる猫じゃらし
鰭の塩たつぷり焦げて鮎並ぶ 東吾
笑い皺白く残りし日焼けかな ゆうこ
黄落の始まってゐしダムの奥 志乃
添削> 黄落の始まってゐしダム湖かな
時刻表風がめくって夏終わる 彩女
添削> 秋風が繰る卓の上の時刻表
生身魂誉め言葉には耳立てぬ 和桜
添削> 生身魂誉め言葉には耳聡し
喜雨来る音弾けたる窓辺かな やす子
添削> 音立てて喜雨の弾ける窓辺かな
とんぼうの尻下げてゐる道祖神 とろうち
秋燕や間口の広き呉服店 はるを
盆舟の燃えさかりつつ流れけり はる
蕉翁の旅寝思ほゆ星月夜 丑之助
添削> 蕉翁の旅寝を思ふ星月夜
幼らも仏も去りて夏果つる 初凪
添削> 幼らも仏も帰り夏果つる
朝日また昇る八月十五日 秋乃
爽やかに乗馬の鞭のひびきけり まや
清水の舞台見上ぐる秋高し 和桜
添削> 清水の舞台に佇てば秋高し
星見んと早稲の香闇に佇めり 志乃
添削> 早稲香る闇に佇む星月夜
花芒揺れて大学移転跡 敦風
添削> 廃校となりし広庭花すすき
白萩や夕日に映える垣根かな あすみ
添削> 白萩の夕日に映ゆる垣根かな
藍染の桶干してあり実南天 東吾
秋空や機窓はるかに水平線 草根
添削> 秋晴の機窓水平線見ゆる
いろいろと言はれ掬へぬ金魚かな ゆうこ
添削> あれこれと言はれ掬へぬ金魚かな
風に身を寄せ合ひ流る燈籠かな みすず
添削> 流灯の風に身を寄せ合ふごとし
トンネルの先は海なり夏岬 草根
添削> トンネルを抜けて展けし夏岬
秋澄むや苔のむしたる道しるべ 涼
添削> 野路の秋苔のむしたる道しるべ
不精髭剃って終りし盆休み 縄文
貸し出しの杖からっぽの盆の寺 志乃
添削> 貸し出しの杖はからっぽ盆の寺
声張りて父の仕切りし墓掃除 ゆうこ
添削> 声高(こわだか)に老父の仕切る墓掃除
秋桜や地蔵の笑みの微かなる とろうち
添削> 秋桜微笑地蔵を取り囲み
焼いて煮て揚げて夕餉は茄子づくし 幸子
瀧壺へ悠然として鳶舞えり 秀昭
添削> 瀧空を悠然と鳶舞へりけり
[選評]
---秀逸
◇サンダルに残る潮の香夏の果 彩女
まだ浜の砂がついているようなビーチサンダル。楽しかった出来事が連想で広がります。
◇猫の墓にも一輪の盆の供花 はる
ご主人の墓の横に、立てられた愛猫の墓が見えてきます。
◇黄落の始まってゐしダム湖かな 志乃
深緑の水を湛えていた湖に、黄葉が散りそめているのに驚いた。
◇生身魂誉め言葉には耳聡し 和桜
ほんとうは悪口も聞こえてるんですけどね、、、、(*^。^*)
◇朝日また昇る八月十五日 秋乃
何事もなく朝日が昇ることさえ平和だと思える戦中派
◇藍染の桶干してあり実南天 東吾
色の取り合わせが絶妙。意識的でないところが上手いです。
◇不精髭剃って終りし盆休み 縄文
なんとなく無聊(ぶりょう)に過ごしてしまうんでよね。
◇焼いて煮て揚げて夕餉は茄子づくし 幸子
いかにも美味しそう。
---添削
◇サンダルに潮の香残し夏去りぬ→ サンダルに残る潮の香夏の果
潮の香残し・・は理屈になります。
◇秋空に雲の船団ゆるゆると→ 船団のごとく秋雲進みけり
空と雲は重複用語になります。なるべく焦点を絞る。
◇ふる里は音ひとつ無き天の川→ ふる里の深きしじまよ天の川
音ひとつ無き・・は説明
◇滝壷へ迷わぬひと葉ありにけり→ 滝壷へ錐もむひと葉ありにけり
迷わぬ・・はやや強い主観。客観写生とし主観は連想にゆだねます。
◇盆花の一輪挿しや猫の墓→ 猫の墓にも一輪の盆の供花
供花に焦点を持ってきます。
◇数恃み騒ぎをりけり猫じゃらし→ 一と屯風に騒げる猫じゃらし
理屈っぽくなるので、数頼む・・とまでは言わない方がいいです。
◇黄落の始まってゐしダムの奥→ 黄落の始まってゐしダム湖かな
ダムの奥・・場所が曖昧
◇時刻表風がめくって夏終わる→ 秋風が繰る卓の上の時刻表
時刻表のある場所が見えてこない
◇生身魂誉め言葉には耳立てぬ→ 生身魂誉め言葉には耳聡し
耳立てる・・具象性に欠けることば
◇喜雨来る音弾けたる窓辺かな→ 音立てて喜雨の弾ける窓辺かな
まず音に驚いて、窓を見たら雨が勢いよく弾けてる。表現は素直に・・
◇幼らも仏も去りて夏果つる→ 幼らも仏も帰り夏果つる
去りて・・より「帰り」のほうが解りやすいのでは?
◇清水の舞台見上ぐる秋高し→ 清水の舞台に佇てば秋高し
仰いで天が高いのは常識的。
◇星見んと早稲の香闇に佇めり→ 早稲香る闇に佇む星月夜
ことばの組立が窮屈
◇花芒揺れて大学移転跡→ 廃校となりし広庭花すすき
大学移転跡・・・実景が連想しづらいです。
◇秋空や機窓はるかに水平線→ 秋晴の機窓水平線見ゆる
機窓といえば空は不要。はるかに・・は曖昧
◇いろいろと言はれ掬へぬ金魚かな→ あれこれと言はれ掬へぬ金魚かな
いろいろ→あれこれ。好みの問題かも知れませんが・・・
◇風に身を寄せ合ひ流る燈籠かな→ 流灯の風に身を寄せ合ふごとし
流る燈籠→流灯として、句に余裕を持たせます
◇トンネルの先は海なり夏岬→ トンネルを抜けて展けし夏岬
作者の場所が曖昧で説明になっています。
◇秋澄むや苔のむしたる道しるべ→ 野路の秋苔のむしたる道しるべ
季語の選定が不的確
◇貸し出しの杖からっぽの盆の寺→ 貸し出しの杖はからっぽ盆の寺
盆の寺を強調するのではなく、杖が一本もなかった・・という驚きに焦点を置きます。
◇声張りて父の仕切りし墓掃除→ 声高に老父の仕切る墓掃除
声高(こわだか)の老父。より具体的に・・・という工夫を忘れないように
◇秋桜や地蔵の笑みの微かなる→ 秋桜微笑地蔵を取り囲み
や、で切らない方が良いです。
◇瀧壺へ悠然として鳶舞えり→ 瀧空を悠然と鳶舞へりけり
実景かもしれませんが、滝壺に舞ふのはことばとして不自然。
薄雲り落ち蝉掃きぬ寺の僧 春堂
添削> 蝉落ちて沙弥の箒に掃かれけり
送り火の燃えつくすまで立ち尽くす 鉦三
添削> 送り火の灰となるまで立ち尽くす
島々を模す石庭にあかとんぼ 朝子
凧糸の絡みのままに防砂林 れいこ
添削> 凧糸の高枝に絡む防砂林
山門の仁王の素足赤とんぼ 素居
添削> 山門の仁王の脛に赤とんぼ
とんぼうの間無しに動く魚眼かな 秋乃
添削> せはしなく動くとんぼの眼かな
葉の落つと見しは秋蝶ハーブ園 哲
老ひ母の病めば見る間の夏の草 初凪
添削> 母病めば伸び放題に草茂る
一片の雲の影あり秋の富士 とろうち
添削> 一片の雲の影行く秋の富士
夕涼や丘の墓苑の通り雨 ゆうこ
添削> 通り雨過ぎて墓苑の夕涼し
新涼や鐘楼の音ひとつなり 秀昭
添削> 新涼の鐘楼の音澄めりけり
トマトもぎエプロンに取る五つ六つ たかし
夜干し梅尽きぬ話の従姉妹会 ひろ
添削> 長き夜の話尽きざる従姉妹会
手作りの料理抱へて帰省の子 ゆき子
添削> 帰省の子手作り料理抱へきし
一掃けの雲つらなれる秋の空 のぶお
添削> 一掃けの雲の白さよ秋の空
迎火や屈んで母の小さかり はるを
添削> 迎火や屈みし母の背ナ小さし
流灯せし幼子磧に掌を合はす はる
添削> 流灯の磧に子らの合掌す
夜長きて湯宿一つの灯りかな 涼
添削> 温泉(ゆ)の宿の消ゆるともなき夜長の灯
新涼や気球の影が川渡る 志乃
灯籠を流してふいに水匂ふ 初凪
添削> 流灯をうながす風に水匂ふ
夕日落ち明星光る空涼し 牡丹
添削> 昏れなんと太白光る空涼し
新涼やおしめりほどの雨過ぎて こみち
添削> 秋熱しおしめりほどの雨過ぎて
蝉しぐれ瀬音となりて流れ行く とろうち
添削> 蝉しぐれ瀬音と和合して高し
湧水に飯粒沈む秋の蜂 まや
添削> 湧水に飯粒沈む秋の峡
落ち萩を踏みて入りぬ喫茶店 秀昭
添削> こぼれ萩踏みて入りぬカフェテラス
かなかなの途切れて昏れを速めをり こう
添削> かなかなの間遠となりて森昏るる
盆棚に遺愛の湯呑地酒かな 鉦三
添削> 盆棚に遺愛の湯呑地酒注ぐ
デパートの中の縁日汗かかず ゆうこ
盆の月民家の軒を照らしけり 幸子
添削> 盆の月過疎の村落照らしけり
鳩吹くと埴輪は谺返しけり 志乃
添削> 鳩吹くともの言ふごとき埴輪かな
向日葵の群れて空なる駐車場 羽合
添削> 向日葵の籬(まがき)をなせる駐車場
鶺鴒の波打ち飛びぬ川瀬かな 哲
添削> 鶺鴒の波打ち翔ちし川面かな
露天温泉にのんびりとして秋夜明け 秀昭
添削> 頬なでてゆく露天温泉の風は秋
病む窓に遠くかすかな祭り笛 初凪
添削> 病む窓にひびくは遠き祭り笛
だらけたる猫の腹見る極暑かな 光晴
添削> 猫の腹大波を打つ極暑かな
雨脚の水紋増ゆる流灯会 はる
添削> ほつほつと雨の水輪や流灯会
盆花の日照雨に濡れてをりにけり たかし
添削> 盆花に霧吹くごとく日照雨過ぐ
夏空や噴火口に立つ人小さし みすず
添削> 噴火口に立つ我小さし秋天下
昼電車ドア開くごとに蝉時雨 羽合
添削> ローカル線ドア開くごとに蝉時雨
幼顔残し日焼けの人夫かな ゆうこ
添削> 童顔の人夫の日焼逞しき
朝顔の触覚となりて蔓ゆらり ゆり
添削> 朝顔の蔓触覚のごと揺るる
手枕に入り来る風や盆の月 大門
添削> 手枕に通ひ来る風盆の月
道問えばお気をつけてと爽やかに 鉦三
星出でて夜干しの梅の香りけり 東吾
落蝉の一声鳴いて闇の底 縄文
添削> 落蝉の一声鳴きて闇深し
のけぞりて踊太鼓のめつた打ち まや
添削> のけぞりて踊太鼓をめつた打ち
眉月の涼し遠富士影見えて 竹子
添削> 眉月の涼し遠富士影絵めく
かなかなの声ふりそそぐ芭蕉句碑 みすず
添削> 蝉涼し芭蕉の句碑にふりそそぎ
るりの沼小舟漕ぎゆく音涼し みすず
添削> 沼鏡小舟漕ぎゆく音涼し
帰省子のノートパソコン休みなし 一尾
添削> 帰省子のノートパソコン手放さず
岬鼻はるかに白き盆の波 初凪
添削> 岬鼻の沖に白きは盆の波
涼風に自転車降りて歩きけり 淡雪
さざ波や湖面を渡る風の秋 とろうち
添削> さざ波の湖面を渡る風は秋
打ち水の忽ち乾く墓石かな 秋乃
[選評]
とりいそぎ選のみ発表します。
街道の車少なく盆休 こう
添削> 首都道路車少なく盆休
手を浸す細き流れに秋はじめ 涼
添削> 手を浸すせせらぎに涼新たなり
草に木に風はや秋の息づかい 鉦三
添削> 草に木にはや秋風の息づかい
船虫のわらわら逃げる荒磯道 初凪
添削> 船虫の四散して逃ぐ荒磯道
庭を掃き清めてありぬ盆の家 まや
添削> 一穢なく掃かれし庭や盆の家
朝顔の狼藉許す葡萄棚 初凪
添削> 朝顔の蔓越境す葡萄棚
日盛りや回覧板を斜め読み 志乃
山高く見ゆる朝なり秋立ちぬ こみち
打水に苔ゆっくりとふくらめり こみち
添削> 打水にゆっくりと苔ふくらみぬ
ジョギングの足音軽き今朝の秋 れいこ
夏の空映して疎水迅しかな きみこ
添削> 秋の雲映して疎水迅きかな
原爆忌元安川の燦ざめき 光晴
添削> 流灯に元安川の燦ざめき
山寺の長き階段蝉時雨 ゆき子
添削> 山寺の長き石段蝉時雨
杉箸のにほひ残りて冷奴 彩女
添削> 杉箸のほのとにほひぬ冷奴
炎天や電柱影も有り難き 牡丹
添削> 炎天の電柱陰も有り難し
蟻の列走り根たどり幹を攀ぢ こみち
添削> 走り根をたどりて進む蟻の列
和菓子屋に明日立秋の紙貼られ 竹子
添削> 立秋と紙貼られたる菓子舗かな
磯菊や屋根より高き防波堤 はるを
とんぼうの岩を掴みてたぢろがず 秋乃
添削> とんぼうの岩を掴みてみじろがず
かなかなに急かさるるごと夕厨 初凪
添削> かなかなの声に急かるる夕厨
夏負けにマイナス思考はびこりし 江斗奈
添削> 夏負けてマイナス思考抜け出せず
飛行雲伸びて涼しき今朝の秋 きみこ
棚経や幼き膝もかしこまり まや
添削> 棚経に幼き膝もかしこまり
落日や刻々雲の色を変え 幸子
添削> 刻々と色変はりゆく夕焼雲
八ヶ岳にかかる大虹真向かいに こう
添削> ゆくりなく八ヶ岳(やつ)の大虹まなかひに
托鉢僧滂沱の汗をものとせず 志乃
朝顔の空近きより咲きにけり こみち
添削> 朝顔の空近きより咲き始む
帰省子の定年近くなりにけり 清
手が合へば足が合はずに盆踊り ゆうこ
添削> 手が合へば足が合はざる盆踊
つまずきし石にも小言極暑かな 鉦三
添削> つまずきし石にも小言道極暑
せせらぎの涼ひと時を憩ひけり 秋乃
添削> せせらぎの涼にひと時憩ひけり
閃光のひきもきらずやはたた神 とろうち
添削> 閃光の卍に飛びしはたた神
窓開けて朝日と共に蝉時雨 江斗奈
添削> 朝窓を開けるや否や蝉時雨
[選評]
暑い季節は句ごころを集中させにくく、どうしても頭で考えがちです。
考えて作った句は常識や概念が働き易く、具象性に欠けて来るのです。
舌頭に千転といいますが、何度も読み返して、より具体的になるように推敲します。
より具体的に・・・という例を、今週の週句に見てみましょう。
◇街道の車少なく盆休→ 首都道路車少なく盆休
街道では具体的に連想しにくいです。
◇手を浸す細き流れに秋はじめ→ 手を浸すせせらぎに涼新たなり
細き流れ・・・抽象的
◇草に木に風はや秋の息づかい→ 草に木にはや秋風の息づかい
秋の息づかひ・・・理屈
◇船虫のわらわら逃げる荒磯道→ 船虫の四散して逃ぐ荒磯道
わらわら・・・わかるようでわかりにくい
◇庭を掃き清めてありぬ盆の家→ 一穢なく掃かれし庭や盆の家
清めてあり・・・は説明
◇とんぼうの岩を掴みてたぢろがず→ とんぼうの岩を掴みてみじろがず
たじろがず・・・理屈
◇夏負けにマイナス思考はびこりし→ 夏負けてマイナス思考抜け出せず
はびこる・・・理屈
◇落日や刻々雲の色を変え→ 刻々と色変はりゆく夕焼雲
落日は季語にはなりません
◇朝顔の空近きより咲きにけり→ 朝顔の空近きより咲き始む
もう一歩突っ込むことで、力強さが違うでしょう
◇閃光のひきもきらずやはたた神→ 閃光の卍に飛びしはたた神
ひきもきらず・・・抽象的
◇窓開けて朝日と共に蝉時雨→ 朝窓を開けるや否や蝉時雨
朝日とともに・・・説明
吟行のとき、常に「具体的に・・・」を意識して観察することで、
考えて作る悪癖から脱却し、写生力が向上していきます。
考えて作っている間は類句、類想に陥りやすく個性は現れてきません。
写生こそが個性なのです。頑張りましょうね。
雲の峰立つ外洋へ出航船 一尾
添削> 雲の峰立つ外洋へ出航す
ただ者でなき踊り手の一人居り 初凪
麒麟草茂る高台売り地札 江斗奈
添削> 麒麟草隠れとなりし売り地札
日記には何も記さず祭の夜 縄文
水撒きの飛沫潜りし園児かな みすず
舟虫にのぞかれている釣り道具 志乃
添削> 舟虫にのぞかれている釣り具箱
若狭へと青田貫く鯖の道 清
朝涼し羊のような雲の群れ 江斗奈
添削> 牧涼し羊の群のような雲
一本の意思動きゆく蟻の道 武雄
添削> 蟻の道意志あるごとく進みけり
高層のビルが邪魔なり遠花火 彩女
[選評]
極暑のためでしょうか、全体に不調でした。
字余り、字足らず、破調の句も目立ちました。
初学の間は、正しく5・7・5の調子になるように推敲しましょう。
散り落ちし毬藻の如き栗のいが きみこ
添削> ここだ(古語:こんなにたくさん・・の意)落つ毬藻の如き栗のいが
水面を蜻蛉尾で打つ夕茜 きみこ
添削> 茜染む水面をつつく夕蜻蛉
水打って素顔戻せり庭の石 鉦三
添削> 水打たれ素顔に戻る庭の石
向日葵をうつむきさせし鉄砲雨 江斗奈
添削> 向日葵の花のうつむく鉄砲雨
持ってけと投げ売られたる鰯かな 初凪
添削> 持ってけと鰯投げ売る魚屋かな
帰省子をピアノ調律して待てり とろうち
夏草や無縁仏となりし墓 志乃
添削> 夏草や無縁仏の墓傾ぐ
夕蝉の鳴いて里山昏れにけり 縄文
添削> 蝉の声間遠となりて山昏るる
寝ころびて畳の匂ふ夏の月 ゆき子
添削> 寝ころびて畳の匂ふ夏座敷
夕凪の海を動かし高速艇 一尾
添削> 夕凪に一引く水脈や高速艇
峰雲を虫の渡りて硝子窓 桑
添削> 雲の峰登らんと這ふ玻璃の虫
大阿蘇の雲の峯など見て帰る 二青
添削> 大阿蘇の広野に仰ぐ雲の峯
紅引きて夏負けの顔見せまじき 二青
添削> 夏負けの顔見せまじく紅を引く
夏帯に解かれて大き息一つ 初凪
添削> 夏帯を解いて大きな息一つ
灯台と瞬きあへる夏の星 たかし
添削> 灯台と瞬きあへる星涼しい
脱け殻を蹴り落としては蝉翔ちぬ れいこ
添削> 己が殻蹴り落とし蝉翔ちにけい
太陽を燦燦と受くトマト味 ゆり
添削> 太陽に燦と輝きトマト熟る
湯上りのほてりの侭や門涼み やす子
添削> 湯上りのほてりをさます門涼
望郷や母の姿に雲の峰 きみこ
添削> 望郷や母の笑顔に雲の峰
明易し夫に綴るeメール 幸子
添削> 明易し旅の宿よりeメール
松林入れば忽ち蝉時雨 二青
添削> 林中に入れば忽ち蝉時雨
かなかなや歩調の緩む夕散歩 ちやこ
添削> 散歩道夕かなかなに歩の緩む
蝉時雨兵合葬の石の塔 はる
添削> 蝉時雨兵合葬の石塔に
朝露にぬれて白磁の狐かな はるを
添削> 朝露にぬれて白磁の陶狐
抜手きるライトアップのプールかな ゆき子
滝の汗一筋口に塩辛く ゆうこ
添削> 汗滂沱一筋口に塩辛く
大文字になる古民家の縁涼し 牡丹
添削> 大の字に憩ふ旧家の縁涼し
つづけざま魚の跳ねたる涼しさよ まや
家中のシーツ剥ぐ妻梅雨明ける 宏
うかと出て水鉄砲に打たれけり 志乃
星涼しここより日付変更線 更紗
添削> 星涼しこれより日付変更線
日盛りや声掛け合ひて測量士 初凪
朝曇ゲートボールの打球音 げんた
添削> 朝曇ゲートボールの音ひびく
近道の野を横切れば月見草 げんた
大西瓜砂丘の地より届きけり 秀昭
夏草の茂りのままにクルス墓 れいこ
添削> 夏草の茂り隠れにクルス墓
夕闇の蝉の合唱止みにけり 秀昭
添削> 夕闇の蝉の合唱遠のきぬ
[選評]
毎日句会のみなさん、暑中お見舞い申し上げます。
猛暑にもめげず、休まず投稿しててくださる熱意にぼくも励まされています。
理屈を言わず、出来るだけ具体的な写生句になるように添削しました。
作品は出来る限り、5・7・5の正調になるように自分で推敲することが必要です。
ただし、そのために無理な言葉づかいになるのもいけません。
古語は、短くて多くのことが言えるので、手軽な古語辞典を買って、勉強されるといよいと思います。
また、歴史的仮名遣いにも慣れてください。
俳句でよく使われる古語の例
ここだ:
どち:
べし:
な・・・そ:
・・なん:
古語類語辞典―現代語から古語が引ける
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4385140413/qid=1028335558/sr=1-13/ref=sr_1_2_13/249-9178386-1685117
現代俳句 古語逆引き辞典
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4826801386/qid=1028335558/sr=1-32/ref=sr_1_2_32/249-9178386-1685117
俳句古語辞典
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4053012554/qid=1028335710/sr=1-58/ref=sr_1_2_58/249-9178386-1685117
その他各社から出版されている小型の古語辞典などが便利と思います。
間違いやすい仮名遣いの例
会う 合う: 会ふ 合ふ
あじさい:あぢさゐ
うえ(上):うへ
おしえ(教え):をしへ(教へ)
おとこ おんな:をとこ をんな
おる(居る折る):をる
かおり:かをり
〜さえ:〜さへ
〜そう:〜さう
匂う:匂ふ
賑わう:賑はふ
這う:這ふ
まず:まづ
〜よう:〜やう
PukiWikiに「俳句用語集古語編」「歴史的仮名遣い一覧表」などのページを作ると面白いですね。
有志を募ります。(^-^)
片蔭に地図をひろげて異国の地 はるを
光あうビル踏まえ立つ雲の峰 鉦三
添削> 大玻璃のビル踏んまえて雲の峰
夏炎ゆるコンテナ並ぶ大埠頭 れいこ
添削> コンテナの山に埠頭の夏炎ゆる
涼風や目を閉ぢて聞く樹のさやぎ とろうち
添削> 目つぶれば樹々のさやげる風涼し
天狗杉走り根覆ふ苔青し みすず
添削> 大杉の走り根覆ふ苔涼し
夏霧や修験の峰の鎖道 清
捨てられて光る自転車草いきれ 敦風
添削> 捨てられし自転車光る草いきれ
雲の峰登りつめたる観覧車 鉦三
膝までは水に釣師の檜笠 一尾
添削> 瀬の波に立ちし釣師の檜笠
日照り雨羅の裾からげゆく 竹子
添削> 羅の裾からげゆく日照雨(そばえ)かな
西空に月煌煌と台風過 げんた
空蝉の脚に力の残りけり みすず
野分去る空は浄土の茜雲 光晴
やまももの実に汚れけり石の椅子 はる
添削> やまももの実に汚れたる石の椅子
一条の吊橋ほかは夏の山 大門
添削> 一条の吊橋四囲は夏の山
ハンカチを探す間に落つ涙かな 初凪
灯涼し栞をはさむ真砂女の句 初凪
添削> 灯親し栞をはさむ真砂女の句
四国路は車窓に瀬戸の大夕焼 一尾
添削> 旅愉し車窓に瀬戸の大夕焼
田水沸く穀倉地帯人を見ず 志乃
かなかなや母を待つ子の砂遊び れいこ
サングラスかけて笑顔の伝はらず はるを
夕闇のせまりて京の祭り笛 きみこ
添削> 京の町昏れて高鳴る祭り笛
藍浅き空のたそかれ月涼し 竹子
添削> 藍残る空昏れなんと月涼し
棚経の僧のゐぬれば猫の座布 光晴
庭石の顔のごときへ水を打つ まや
不忍池雨後の蓮の葉盛り上がる こう
添削> 蓮の葉の盛り上がりたる雨後の池
塩壺の塩をむんずと胡瓜もみ 初凪
叩いてももう首振らぬ扇風機 初凪
添削> 叩かれて首を振りだす扇風機
慰霊碑の囲みの中の蝉の穴 はる
添削> 慰霊碑のほとりにあまた蝉の穴
郭公のこだま返しや峪深し 秀昭
どの家も山坂がかり遠郭公 まや
銭湯の高窓照らす大西日 哲
添削> 銭湯の高窓洩るる西日かな
口髭の漢の創る花氷 れいこ
雲の峰金色に染む夕茜 やす子
[選評]
無季、破調、理屈、陳腐な滑稽、意味不明(独りよがり)など、
基本をクリアーできていない平凡な作品が目立ちました。
猛暑で吟行しづらい季節なので、どうしても考えて句を作りがちですが、
考えて作らないこと / 感じて作ること / 写生
GH俳句の基本であるこれらを大切ににして夏を乗り切りましょう。
[ワンポイント:暑いときの句の作り方]
暑いときに、「暑い」と感じるのは平凡になります。
生活の周辺から、「涼しさ」を感じるような情景を見つけて句にするといいです。
神山の出雲回廊雲の峯 敦風
被爆樹の札持つ木立五月闇 はる
添削> 被爆樹と札の立ちたる茂りかな
夏木立子らの声するかくれんぼ ゆき子
添削> かくれんぼしておる子らや夏木立
炎昼や鎖のやうに結ふネクタイ 縄文
門前を掃く竹箒明け易し とろうち
呼ばれても犬横向きし暑さかな ゆうこ
添削> 呼ばれても犬そっぽ向く暑さかな
嵐去り葉末の滴輝けり れいこ
添削> 雨晴れて葉末の滴輝けり
納得の行くまで曲がる胡瓜かな 鉦三
雷光に夕闇の町現るる きみこ
青鷺の羽根を拾ひし近江かな まや
まくなぎや目鼻立ちよき仏たち はるを
切り払ふ下枝に惑ふ蜥蜴かな れいこ
添削> 剪らんとす下枝に惑ふ蜥蜴かな
梅雨荒れて葬儀の列を乱しをり 秀昭
添削> 荒梅雨に葬儀の列の乱れけり
沓石にまず一滴はたた神 哲
添削> 沓石にまず一滴夕立来る
風鈴や歩み初む子の好奇心 鉦三
こわもてが夜店で売りし水中花 初凪
添削> こわもてのおっちゃんが売る水中花
炎天の一本道に逃げ場なし 一尾
ボール蹴る中のひとりは裸なり 志乃
添削> ボール蹴る子らのひとりは裸なり
夏草の一叢にある陰と陽 こみち
台風に先駆け雲の翔ける朝 江斗奈
添削> 台風の先駆けの雲迅きかな
早起きし朝顔市の鉢選び ミチコ
添削> 早起きし朝顔市の鉢選ぶ
風鈴に遅れて夜風来たりけり 志乃
父と子と大の字ふたつ夏座敷 とろうち
風鈴売風を集めてゆきにけり まや
添削> 風鈴売風を集めてをりにけり
鮎釣りの長竿捌く人涼し 光晴
添削> 竿捌き涼し早瀬に鮎を釣る
土壁の亀裂や地震の街灼くる 敦風
添削> 土壁に地震の亀裂や街灼くる
神域を包み込みけり蝉しぐれ とろうち
添削> 神域の杜の広さや蝉しぐれ
戦国の出城の跡や草いきれ 清
水しぶきほどは進まぬ泳ぎかな ゆうこ
山門をくぐる日傘をたたみけり 志乃
ソーダ水はじけて二人無口なる 更紗
此処だけの話筒抜け心太 鉦三
麦秋や塩狩峠の大落暉 光晴
添削> 夕日落つ塩狩峠麦の秋
垂直の断崖涼し石切場 志乃
猫の目の絞り限界日の盛り 恭雅
胸高に晒しを巻きて禊かな まや
添削> 胸高の晒しは女行者かな
滝壷に野菜踊れり修行坊 ゆき子
添削> 滝壷に野菜の躍る修行坊
ひと口ごとにラムネ玉鳴らし飲む 志乃
添削> ラムネ飲むひと口ごとに玉鳴らし
富士に灯のともり一番星涼し とろうち
巫女歩む広縁凉し三井の寺 みすず
門古りし八雲の旧家風涼し きみこ
添削> 風通ふ八雲旧居の門涼し
梅雨の池時折見せる亀の顔 ちやこ
添削> 梅雨の池出ては引っ込む亀の首
夏草の乱るるままに事故の跡 一尾
添削> 事故の痕隠せぬままに草茂る
浜昼顔バックネットを上りきり 志乃
噴煙の夏雲隠す桜島 清
添削> 噴煙と夏雲けじめなかりけり
若葉風大落葉松を仰ぎけり 竹子
仏法僧奥の院より駆け降りぬ 皐月
添削> 奥院へ木暗き道や仏法僧
ローカル線窓真っ青に葛茂る 光晴
添削> ローカル線右に左に真屑原
掬はるる気配に金魚向き変ふる 鉦三
洗濯機白手袋の溺れをり 初凪
夏蝶の迷わず止まる無縁塚 初凪
添削> 寧かれと夏蝶の舞ふ無縁塚
もろこしが陣地を区切る貸し農園 ゆうこ
添削> もろこしが区切り線なす貸し農園
蟷螂の子の斧未だ透けてをり 縄文
湯の谷の風の暗さやほととぎす 秀昭
添削> 温泉の谷の空の暗さやほととぎす
青林檎穂高を雲の上に置き はるを
畑仕事麦藁帽に守られて 秀昭
添削> 畑仕事麦藁帽を頼みとし
青田風新幹線の駅に立ち ゆき子
かき氷崩しつ身の上話かな 鉦三
ビル群に海霧纏ひをる朝かな 秋乃
添削> 海霧纏ふ高層ビルの林かな
青草や礎石のみなる仁王門 とろうち
ひまわりが雲押し上げて咲きにけり きみこ
添削> ひまわりの雲押し上げて咲きにけり
糠雨も音無く受けて額の花 縄文
添削> 音もなく降る糠雨や額の花
傘持たぬ母子像ありて梅雨の日々 げんた
添削> 傘持たぬ母子像に梅雨長きかな
荒梅雨の千曲川波逆巻けり はるを
添削> 荒梅雨の波逆巻ける千曲川
髪切ってうなじ涼しき会釈かな 鉦三
荒梅雨や古りし家に在る父と母 秋乃
添削> 荒梅雨や古りし家守る老夫婦
柴又の低き軒より梅雨の蝶 れいこ
[選評・添削あれこれ]
麦秋や塩狩峠の大落暉→ 夕日落つ塩狩峠麦の秋
◇塩狩峠というと有名な三浦綾子さんの小説を連想しますね。
一粒の麦が地に落ちて・・・。麦秋や・・で、切らない方がいいです。
門古りし八雲の旧家風涼し→ 風通ふ八雲旧居の門涼し
◇八雲が数々の作品を残したという旧居の門に佇んでいると涼しい風が通ってきた。
八雲を偲ぶ存問のこころがある。
梅雨の池時折見せる亀の顔→ 梅雨の池出ては引っ込む亀の首
◇梅雨の池の措辞がうまいですね。「時折みせる・・」は説明。
夏草の乱るるままに事故の跡→ 事故の痕隠せぬままに草茂る
◇原句では夏草という季語の働きが弱いです。
噴煙の夏雲隠す桜島→ 噴煙と夏雲けじめまかりけり
◇実景はわかりませんが、噴煙に隠れてしまうと夏雲は見えなくなるので、
夏雲の感じが具体的に連想しにくいですね。
仏法僧奥の院より駆け降りぬ→ 奥院へ木暗き道や仏法僧
◇駆け降りたのは、作者なのか仏法僧の声なのか?という疑問が湧きます。
昼なお暗く心許ない奥院の道ならば仏法僧が効いてきます。
ローカル線窓真っ青に葛茂る→ ローカル線右に左に真屑原
真っ青に葛茂るのはあたりまえですね。「真屑原」という具体的なことばがあります。
夏蝶の迷わず止まる無縁塚→ 寧かれと夏蝶の舞ふ無縁塚
◇迷わず止まる・・という強い主観がこの句の命と見るか否かで意見が分かれると思いますが、
あえてGH風に添削しました。
もろこしが陣地を区切る貸し農園→ もろこしが区切り線なす貸し農園
◇貸し農園といえば陣地とまで言わない方がいいでしょうね。
湯の谷の風の暗さやほととぎす→ 温泉の谷の空の暗さやほととぎす
◇俳句では、「温泉」と書いて「ゆ」と読ませます。
風が暗い・・というのは無理な感じ方です。
ビル群に海霧纏ひをる朝かな→ 海霧纏ふ高層ビルの林かな
◇朝・・という感じも効いているので、ちょっと迷いましたが・・
高層ビル群の天辺だけが霧に包まれている港町の風情ですね。
糠雨も音無く受けて額の花→ 音もなく降る糠雨や額の花
◇音無く受けて・・が少し気になる表現です。
蕭条と降る小糠雨と額紫陽花はよく似合いますね。
傘持たぬ母子像ありて梅雨の日々→ 傘持たぬ母子像に梅雨長きかな
◇とらえどころは良いのですが、表現方法で損をしました。
作者が言いたかったのはこうではないかと添削しました。
荒梅雨や古りし家に在る父と母→ 荒梅雨や古りし家守る老夫婦
◇父と母では具体的な連想が出来ないので、「老夫婦」にしました。
この古りた旧居は、老夫婦の生活の苦労も喜びも、みな知って居るんですよね。
灰皿にたまる煙草や梅雨鬱陶し 光晴
添削> 灰皿に吸い殻の山梅雨鬱陶し
土産売る風鈴の音響かせて きみこ
添削> 風鈴の音が客呼ぶお土産屋
まむし絵の看板おどけキャンプ場 やす子
添削> キャンプ場まむし注意と危険札
緑陰に伏せて犬待つ長話 ゆうこ
添削> 緑陰に犬を伏させて長話
公園の緑蔭を縫ひ出勤す はる
添削> 公園の緑蔭われの通勤路
聖書読むことも日課や夕端居 二青
添削> 端居して聖書日課を読みはじむ
切通しコンクリ崖に蔦茂る 江斗奈
添削> 切通し右に左に蔦茂る
でで虫の生れしばかりや殻薄し 初凪
添削> でで虫の生れしばかりの殻透ける
青葦や河原に下りる道埋もる 芙美子
添削> 葦の原河原に下りる道はどこ
夕刊はビニール袋梅雨深し げんた
添削> 夕刊はビニールパック梅雨深し
ごった返す梅雨の地下街食堂街 一尾
添削> ごった返す梅雨の地下街昼餉時
首塚の祠新し半夏生 まや
弥勒寺の水音高し額の花 れいこ
お見舞の墨のにじみて青時雨 皐月
添削> 墨にじむお見舞い書や青時雨
はんざきの岩より半身出てをりぬ 秋乃
添削> はんざきの全身岩に隠れざる
鎮もりて青田の中の一軒家 志乃
紫陽花の暗きに猫の雨宿り はるを
水打って並べ直さる宿の下駄 鉦三
添削> 水打って宿下駄行儀良く並ぶ
おろがめば滴りに濡れ磨岩仏 皐月
添削> 滴りに裳裾を濡らす磨岩仏
サイダーのつぶやいているお仏壇 志乃
添削> サイダーのつぶやいてゐるお仏壇
梅の雨髪のかさばり消え失せぬ 竹子
添削> 梅じめり髪のかさばり消え失せぬ
青田風窓開け放つ一軒家 一尾
ひまはりへ園児の名札付ひてをり やす子
添削> ひまはりに園児の名札付ひてをり
肥後の路 江戸・伊勢の路 菖蒲園 敦風
添削> 肥後の路江戸の路あり菖蒲園
ワイパーのひとなで梅雨の街新た 竹子
托卵の子へ届けかし遠郭公 志乃
荒梅雨や川燈台に灯を入るる 東吾
添削> 荒梅雨や川燈台の灯点りて
梅の実を避けてみくじを結びけり 秋乃
甲板に星見て眠る帰省かな 清
添削> 甲板に星を仰ぎし帰省かな
梅雨寒や窯焚きほのほ音唸り やす子
添削> ごうごうと炎の音す梅雨の窯
久闊を叙して乾杯黒ビール れいこ
添削> 久闊を叙して乾杯ビール干す
極楽と言ふ寺のあり夏の古都 秀昭
添削> 古都涼し極楽寺に詣でけり
詩仙堂水ぎわを染める京鹿子 朝子
潮の香や風鈴の鳴る港町 一尾
添削> 潮風に風鈴の舌上機嫌
父となる笑みのこぼれし日焼け顔 れいこ
添削> 父となる笑みのこぼれし日焼かな
紫陽花の囲む四阿紺の中 はる
添削> 四阿をとりかこみたる濃紫陽花
梅雨晴間洗車しようかどうしよか 縄文
草いきれ総身にまとふ測量士 にんじん
添削> 草いきれ総身にまとひ測量す
夕焼けに向かって伸びし飛行雲 ゆうこ
添削> 夕焼に一の字を引く飛行雲
海霧の利休鼠に暮れなずむ 志乃
白壁に薔薇めぐらせて茶房かな 志乃
添削> 白壁を薔薇もて覆ふ茶房かな
すぱすぱと西瓜切りゆく八百屋かな みすず
夕端居回覧板で花貰う ミチコ
添削> 夕端居回覧板を貰ひけり
紫陽花の雨を恋しといふ風情 二青
添削> 紫陽花に一雨欲しき風情見ゆ
雨上る郭公の声まだ濡れて 志乃
大窓を開け放ちたり遠青嶺 こう
添削> 開け放ちたる大窓に青嶺見ゆ
指入れて鼻緒の加減初浴衣 鉦三
高枝に取り残したる枇杷光る 妙香
心なき百合泥棒へ壁手紙 清
墓を越えまた一つ越え夏の蝶 秋乃
添削> 墓を越えつぎの墓へと夏の蝶
山雨来て蛍袋を叩きたる はるを
食細き母へ用意の冷奴 まや
緑陰に静かに並ぶ矢倉墓 ちやこ
添削> 緑陰に並ぶ矢倉はみなお墓
花時計眺めしうちに梅雨晴間 秀昭
添削> 花時計佇みをれば梅雨晴るる
書き出しの濃く出て梅雨のボールペン 志乃
みずすまし一つ放心ひとつ跳ね 鉦三
猫の子のねらってをるや火取虫 三十
添削> 猫の目のねらってをりし火取虫
林立す鉄塔を縫う青嵐 美衣弥
添削> 林立の鉄塔不動青嵐
参道へせり出す雨の濃紫陽花 志乃
浮き草が田んぼの淵を彩りて きみこ
一と刷けの白雲嬉し梅雨晴れ間 こう
添削> 梅雨晴れて一と刷けの雲白きかな
養生訓箸に添へあり夏の膳 鉦三
添削> 養生訓書く箸袋夏の膳
大粒の汗もかまわず祈りをり 二青
添削> 祈りつつ満面の汗ぬぐはざる
大山蟻仏足石を横切りぬ 志乃
麦秋のまっただ中にバス降りる 初凪
夕暮れは御堂包めり蟻地獄 まや
添削> 夕帷つつむ御堂や蟻地獄
熊出る看板大き朴の花 やす子
添削> 熊出ると大き看板朴の花
退屈な吾を見ている金魚かな 初凪
石仏の光背即ち岩煙草 光晴
添削> 石仏の光背覆ふ岩煙草
聖玻璃の天女涼しき天主堂 れいこ
添削> 彩窓の天女涼しき天主堂
梅雨寒やひしめきあって水子仏 志乃
添削> 梅雨寒しひしめきあへる水子仏
万緑の斑鳩の里憩いけり きみこ
添削> 万緑の斑鳩の里訪ねけり
紫陽花の坂登りつめ御廟へと ゆうこ
引越しや軒風鈴を忘れあり まや
駄菓子屋に飴の七色夏祭 鉦三
がやがやと一団来るや花菖蒲 三十
添削> 姦しき一団来るや花菖蒲
十薬や愉快な笑顔羅漢さま ゆり
添削> 十薬の浄土に笑まふ羅漢かな
鎌倉や茶屋の幟の霧雫 志乃
添削> 札所道茶屋の幟の霧雫
昼寝の子手の宝物離したり ゆうこ
添削> 昼寝の子手の宝物離さざる
江ノ電の窓いっぱいに夏の海 羽合
添削> 江ノ電の窓に展けし夏の海
梅雨晴れの島ぽっかりと浮かびをり 更紗
添削> 梅雨晴れて島ぽっかりと浮かびをり
筧水菖蒲いかだを揺らしをり みすず
揺らぎ行く浮き舟仕立ての花菖蒲 光晴
添削> 浮き舟を模す花菖蒲揺れやまず
梅雨上がり知らせる鳥の声競い ミチコ
添削> 梅雨晴れて来しと諸鳥騒ぎけり
風鈴の退屈雨の降り続く 鉦三
せせらぎにはみだしてをる濃紫陽花 朝子
トンネルに鬨の声めく青嵐 志乃
紫陽花を揺らして人とすれ違う 秀昭
添削> 紫陽花を揺らして人のすれ違ふ
花菖蒲和服美人の佇まい ちやこ
添削> 花菖蒲和服美人の佇つごとし
笹の葉が微ともそよがぬ梅雨曇 江斗奈
添削> 笹の葉の微ともそよがぬ梅雨曇
滴りのリズムとなりし気息かな 志乃
添削> 滴りのリズムとなりし息づかひ
乱反射押し流しけり夏の川 はる
添削> 夏日いま乱反射する川面かな
銀匙に口紅のあと氷菓子 更紗
添削> 銀匙に口紅のあと氷菓食ぶ
万国旗真夏の空に翻る れいこ
鶏小屋の騒ぎ静まる暑さかな 清
添削> 鶏小屋に小競り合ひある暑さかな
花菖蒲葉先に雫溜めており きみこ
添削> 花菖蒲花弁に雫溜めており
夕焼川帯のごとくに流れけり まや
一夜にて放す約束蛍籠 まや
梅雨空に黒ずむ萱の屋根重し 哲
添削> 梅雨空に黒ずむ萱の合掌家
三渓園池の土橋に茂る苔 縄文
添削> 名園の土橋を覆ふ苔涼し
早苗田に吹く風やさし朝かな きみこ
添削> 早苗田に風の生まるる朝かな
真ん中に赤子寝て居る夏座敷 鉦三
寄せ書きの祈りとどけや星祭 こう
青葦のしずけさに打つ投網かな 東吾
朽ち舟の一つ置きけり菖蒲池 みすず
添削> 朽ち舟の水漬きしままや菖蒲池
夏空を突きてクレーン大埠頭 れいこ
添削> 夏空へクレーンの鬩ぐ埠頭かな
神主はこの浜育ち海開 一尾
睡蓮やいつしか小糠雨となる ゆき子
籠枕すべりおちたる昼の夢 たかし
病にて床にふせたる梅雨長く 頼人
添削> 憂さつのる病臥の床に梅雨長し
夕焼けや先行くわれの影法師 合歓
添削> 大夕焼先行くわれの影法師
遠くから来る風見へて湖涼し 鉦三
緑陰や気高く白きマリア像 初凪
添削> 緑陰にあり純白のマリア像
崖に咲く真横に伸びし濃紫陽花 秀昭
添削> 懸崖になだるるごとし濃紫陽花
貝殻の聖水盤の薔薇白し れいこ
添削> 貝殻の聖水盤に薔薇白し
車窓より飛び去る植田幾枚も 丑之助
嶺の風流るる汗をぬぐひけり ひさふみ
添削> 嶺に立ち流るる汗をぬぐひけり
夕立の過ぎるを待てる店の先 きみこ
添削> 不意打ちの夕立に店混みにけり
摩天楼そらに溶け入るついりかな 光晴
父の日や父となる子と酌交はす 鉦三
玻璃越しに微笑み交はす日傘の娘 二青
添削> 窓越しに会釈して過ぐ日傘の娘
金魚田に雨足速き日暮れかな 初凪
添削> 金魚田を一雨過ぎる日暮れかな
夏蝶や波打ち際のカフェテラス 初凪
添削> 蝶遊ぶ波打ち際のカフェテラス
飼ひ猫のけもののにほひ梅雨の入り 丑之助
添削> 飼ひ猫にけもののにほひ梅雨に入る
夏焚火喧嘩のやうな浜言葉 宏
鉢花の贈られて来し父の日に 秀昭
添削> 父の日の吾に鉢花とどきけり
緑陰に勝者と敗者憩ひけり まや
夏の天飛行機雲の一直線 やす子
添削> 夏空へ一の字を引く飛行雲
青梅雨のてるてる坊主犬小屋に はるを
メロン切る仏も数の中に入れ 鉦三
骨太の日焼けの男舫い解く 一尾
添削> 骨太の日焼けの腕舫い解く
風鈴を鳴りやませざる夜風かな とろうち
添削> 風鈴の上機嫌なる夜風かな
開け放つ茶会席より花菖蒲 朝子
押し鮨や浜で拾ひし重り石 初凪
添削> 押し鮨や浜で拾ひし重し石
梅雨寒の点灯長し手術室 こう
添削> 梅雨寒し手術中の灯まだ消えず
黴の書に井泉水の署名あり まや
屋根叩く音強弱の梅雨いりかな やす子
添削> 屋根叩く音の序破急梅雨に入る
授からぬ子よ父の日をまた過す 丑之助
門扉への敷石覆ふ萼紫陽花 敦風
添削> 門までの敷石覆ふ四葩かな
夕闇にぼうっと白き四葩かな のぶお
夕暮や散歩邪魔する糠蚊かな ひさふみ
添削> ついてくるまくなぎ憂しき散歩かな
雲迅しざわめき立てる夏木立 光晴
喋り手に聞き手が送る団扇風 鉦三
蜘蛛の囲の低きに風の流れをり 東吾
公園のベンチ占めたる昼寝かな はる
オルゴールの小箱を開く夕端居 はるを
流れくるエーデルワイス山の夏 芙美子
紫陽花の雨を恋ひゐる風情あり 二青
犬の舌だらりと長し夏木立 三十
塔頭を隠してをりし濃紫陽花 れいこ
添削> 山上の塔頭隠す濃紫陽花
水馬風に逸りて跳びにけり 東吾
畦草を刈る片足は川の中 はるを
万緑の中や戦死者名鑑碑 はるを
売れ残る茄子苗に実のぶら下がり ゆうこ
休日の緑陰いつもの顔そろう きみこ
朝寝して一日の贅を尽くしけり 恭雅
雷鳴に家出の猫の戻りけり 恭雅
十薬に風一撫です二撫です 三十
縄電車木の葉の切符風薫る 鉦三
深閑と縁切寺の濃紫陽花 れいこ
玄関に釦を拾ふ衣更 初凪
ストレスの精にしてをる夏太り よしこ
夏霧の瀬戸に霧笛の鳴り止まず 清
薫風裡ゴスペル聞こゆ小教会 光晴
添削> 薫風裡賛美歌洩るるチャペルかな
紫陽花や崖にめぐれる裾模様 江斗奈
添削> 懸崖の裾模様なす濃紫陽花
夕焼空切り進みゆく飛行雲 みすず
添削> 大夕焼切り進みゆく飛行雲
旅立ちの登舷礼や夏の雲 清
[選評]
新しく参加してくださる方が増えて感謝します。
ゴスペル俳句では、吟行による写生句を奨励しています。
俳句を学ぶのに一番よい方法であり、上達への最も近道だからです。
「俳句レッスン」というページに読んで学ぶテキストを用意していますので、
ぜひ、ご一読ください。 みのる
夏空へ玉蘭庁の甍反る れいこ
夏布団はみ出す脛の若きかな 初凪
遠雷に風立ち騒ぎはじめたり かたつむり
城跡の濠鎮めけり菱の花 縄文
祈祷会涼し夜風の入り来て みすず
添削>祈祷会涼し夜風の通ひきて
草刈りて空き地臨時の駐車場 ゆうこ
添削>草刈りし空き地は臨時駐車場
熱帯魚知るや珊瑚の海の色 清
五月闇白衣のままの帰宅かな はるを
進水を祝ふ汽笛や青葉風 清
端居して所在なさげの娘婿 とろうち
花あざみ一輪活けて野だて傘 朝子
マイクから浴衣美人の甘い声 ゆうこ
添削> マイクもつ浴衣美人の甘い声
土間涼し備前の甕を傘立てに まや
翡翠の一擲に沼静まれり 牡丹
麦笛を習う子の頬ふくらめり 牡丹
全山は五彩の緑伊吹山 秋乃
娘らが匙で食ひをる冷奴 敦風
叩かれて抱かれて西瓜買はれけり 鉦三
北斎の美人姿絵夏は来ぬ 秋湘
添削>北斎の美人姿絵夏座敷
苔むしぬ無縁仏や木下闇 とろうち
添削> 下闇の無縁仏ら苔衣
香水をふって憂さなど晴らしをり 恭雅
添削> 憂さ晴らしとて香水をふりにけり
ギヤマンのグラスに挿され捩り花 れいこ
サングラス外して道を尋ねけり まや
四肢折りて鹿の昼寝や春日山 やす子
隣家より三味の爪弾き夕端居 秋乃
添削> 隣家より洩るる三味の音夕端居
コンビニの軒忙しき夏燕 光晴
花苔や犇めきあひて無縁塚 初凪
添削> 塚なせる無縁仏や苔の花
帆船の白きに群れて都鳥 れいこ
添削> 帆船のマストに群るる都鳥
肥後系も江戸系も濡れ菖蒲園 ゆき子
添削> 肥後と江戸艶競ひをり花菖蒲
川底に魚影の速し竹落葉 はるを
麻暖簾風の向こうに母の背な ミチコ
添削> 麻暖簾透けし向こうに母の背な
羅の回転ドアに呑み込まる たかし
添削> 羅の回転ドアに消えにけり
神杉を見上げて汗を拭うなり きみこ
添削> 神杉を見上げて汗を拭ひけり
ひらひらと蝶昇り来る二階かな 三十
菜殻火の爆ぜて五右衛門風呂沸きぬ 縄文
夏つばめ六甲山を急降下 はるを
大鳥居くぐりて余花の道なれや 秋乃
添削> 大鳥居くぐりて余花の道となる
マンションの片影およぶ川堤 はる
紫陽花や黒塀高き船問屋 みすず
てのひらの蛍は胸に移りけり 東吾
冷麦を啜る耳輪を揺しつヽ 鉦三
青田風新幹線の窓開かず 初凪
ドリンクを山ほど買いて夏準備 よしこ
添削> ドリンクを山ほど買ひて暑に耐ふる
青年の真白き八重歯更衣 考子
路地裏に隠れし風の涼しさよ 圭子
添削> 路地裏に通ひし風の涼しさよ
*成績の振るわない方は、E-mailによる無料添削を受けて下さい。
信楽のぐい呑み二つ初鰹 考子
添削> ぐい呑みは信楽焼や初鰹
染め髪の娘の如く麦光る 哲
添削> 金髪のごとくに畑の麦光る
蟻運ぶもの蟻よりも大きけれ 三十
添削> 蟻運ぶもの己より大きけれ
蜆煮る酒ふりてより賑やかに 東吾
天仰ぐ泰山木の白きかな ちやこ
添削> 青空に泰山木の白きかな
風鈴や品川宿の屋形船 かたつむり
少年の反抗期いま青嵐 草根
添削> 少年のいま反抗期青嵐
初なりの茄子をもぎつつ何にしよ 美衣弥
添削> 初茄子をもぎつつ料理法案ず
あかがねの光に燃えてビルの群れ 煙於
添削> 夕焼けにあかがね色のビルの群れ
翅を以って深呼吸しつ糸蜻蛉 縄文
添削> あげさげの翅深呼吸糸蜻蛉
誕生日皿に溢れしさくらんぼ れいこ
乳搾る牛の眼優し夏の牧 とろうち
添削> 乳搾る眼涼しき牧の牛
宿浴衣女四人はかしましく まや
添削> 宿浴衣熟女三人かしましく
新しき巣箱見上げる聖五月 ゆき子
添削> 新しき巣箱に五月来たりけり
草笛にとぼとぼ歩く子供かな 三十
添削> 草笛をひとりぼっちで吹く子かな
リラ散れば友の忌日を思ひけり 芙美子
添削> リラ咲いて忌日の彼を悼みけり
船溜まり影もゆれづに薄暑かな かたつむり
添削> 船溜まりひと揺れもせぬ薄暑かな
大粒の雨滴こぼして額の花 ゆき子
添削> 大粒の雨露ためて額の花
ぶつからぬように漕げども寄るボート ゆうこ
理科室の蛇口にさらす心太 竹子
添削> 理科室のシンクにさらす心太
飛びたがる帽子を叱る草刈女 鉦三
添削> 飛びたがる帽子を叩く草刈女
袋掛け枝にラジオの鳴りどおし 東吾
草笛を吹く子の背にランドセル れいこ
添削> ランドセル背に草笛を吹く子かな
薔薇園や青磁にそそぐハーブティー たかし
添削> 卓涼し青磁にそそぐハーブティー
紫陽花の毬重たげに朝の雨 ゆき子
添削> 紫陽花の毬重たげに雨に垂る
大胆に身軽にボート飛び乗れり ゆうこ
添削> 大胆に女飛び乗るボートかな
初ものの意外と甘しスイカ食む きみこ
添削> 初ものの西瓜意外と甘かりし
薫風を社にそそぐ大公孫樹 桑
添削> 大公孫樹そよぐ社の風涼し
青磁杯初夏の空色映しをり みすず
添削> 青磁杯涼し空色映しをり
山下りる吾を案内す夏の蝶 哲
添削> 深山道吾を案内す夏の蝶
緑蔭に石の机と石の椅子 鉦三
深酒の朝に百鳥囀れる 光晴
添削> 二日酔残りし朝や囀れる
蛍火の重なり合ふて弾けけり はる
夏蝶の羽を休める花の中 妙香
添削> 夏蝶の羽休めゐる花壇かな
遠出して郭公ききし朝かな こう
添削> 深山道郭公ききし朝かな
洒落た名をつけられて薔薇咲き競ふ 桑
薬袋を膝にバス待つ夏帽子 一尾
添削> 薬袋膝にバス待つ夏帽子
サッカーの事など話し青き踏む 三十
添削> 青き踏む友はサッカー通らしき
噴水や雲に届と揚がりけり きみこ
添削> 高揚がる噴水雲に届くかと
真ん中に市長夫人の白日傘 まや
白靴の縄文遺跡1周す まや
添削> 白靴で縄文遺跡めぐりけり
退職の別れのビールほろ苦し みすず
添削> 退職の別れのビール干しきれず
額の花延命と言ふ清水かな 鉦三
添削> 延命と言ふ名水や額の花
めまといの丘の上まで纏い来て 初凪
添削> 丘の上までめまといに纏わるる
守宮乗る中山道の道しるべ 東吾
篝火の爆ぜて深まる五月闇 考子
アセチレンガス匂ふ夜店の懐かしき 縄文
添削> アセチレンガスの匂ひす夜店かな
水草に小魚群れし夏の川 やす子
添削> 小魚の水草に群るる夏の川
遠雷に怯え吠えする犬を撫づ 竹子
添削> 遠雷に怯ゆる犬を抱き上ぐる
蛍をすくう手の闇のぞきけり れいこ
添削> 手のひらに掬ひし蛍覗きけり
雨の日の話し相手よ七変化 芙美子
蜘蛛の囲の煌きゆれる雨上がり こう
添削> 蜘蛛の囲はがね光りす雨上がり
富士へ雲流れて速しほととぎす まや
杉木立清涼な風渡りけり 哲
緑陰に軽音楽の調べ聴く 一尾
添削> 緑陰に軽音楽のコンサート
中天に昼の月あり花楝 はる
草引けば瞬時にまろき団子虫 みすず
添削> 草引けばころげ出でたる団子虫
顔役のもう酔ってをり祭前 ゆうこ
添削> 顔役のもう酔ふてをり祭前
リュックより顔出し揺るる小判草 みすず
片恋の話などして蚊遣香 更紗
かき氷崩しつつ愛育てをり 東吾
瀬の音の遠き磧や額の花 はる
添削> 瀬の音のしるき磧や額の花
草矢射る子等には遠き向かう岸 縄文
古祠に木佛のいます木下闇 はる
藤の蔓てんでに空を引き寄せリ みすず
外灯を映して水田暮れなずむ よしこ
添削> 外灯を映して水田暮れなんと
噴煙の島より寄する卯波かな 草根
蛍火の登りつめたる高さかな まや
歩くこと夫と日課やすいかずら やす子
添削> 日課とす夫との散歩すいかずら
青羊歯の光れる中に野の仏 みすず
添削> 青羊歯の光れる中に石仏
車窓から大パノラマの野焼きあと ミチコ
添削> 車窓いま野焼の原をパノラマに
緑蔭に被曝体験聞く円座 はる
添削> 緑蔭に被曝体験談語る
早乙女の水鏡して家路かな れいこ
添削> 水鏡して早乙女の家路へと
五月雨の掛声漏るる武道館 一尾
添削> 朝涼し気合いの洩るる武道館
開け放つ会所五月の風抜ける 哲
添削> 全開の会所を抜ける風涼し
手話の子の笑顔こぼるる聖五月 みすず
田どころの力と恃む梅雨の川 志乃
添削> 梅雨の川力と頼む米どころ
甚平着て企業戦士の柔和なる 初凪
添削> 甚平着て企業戦士には見えず
ねじ花や名主屋敷の高敷居 初凪
天と地を縦横無尽に夏燕 とろうち
添削> 天地(あめつち)を縦横無人夏燕
一村を統べて郭公鳴きにけり 縄文
添削> 郭公の声一村を統べにけり
梅雨の海真一文字の波頭 こう
添削> 波頭真一文字に梅雨の海
青葉潮大岩に彫る磨崖佛 やす子
添削> 大巌の磨崖佛へ青葉潮
干草の中より男の子掬い上ぐ まや
道ならぬ恋かもしれず遠蛙 東吾
紅き波うねり寄す如躑躅園 光晴
添削> 紅き波うねるが如く躑躅燃ゆ
あぢさゐや雲より風に雨意深し 鉦三
添削> 濃紫陽花風雲急を告げにけり
いくたびも池を叩きし夏つばめ のぶお
夏草や流人めきたる僧の墓 ゆき子
添削> 夏草や墓は流人の僧なりし
洗礼を天より受けし大夕立 草根
添削> 不意打ちの夕立われを洗礼す
みはるかす国後島や夏霞 初凪
添削> みはるかす国後島は夏霞
閑居して金魚跳ねたる水の音 とろうち
添削> 閑居子に金魚跳ねたる水の音
自転車の子らの風切る夏木立 はるを
添削> 自転車の子ら駈け抜ける夏木立
朝錬の剣道の声夏木立 ゆき子
添削> 剣道の声のこだます夏木立
半島のなかば消へをり走梅雨 光晴
添削> 沖つ島なかば消へをり梅雨げむり
老漁夫の磨き上げたる日焼けかな 草根
添削> 老漁夫の黒光りせる日焼かな
滝壺を覗くおんなの膝頭 初凪
蛙田の鳴きやみて闇広がれり とろうち
添削> 鳴きやみて蛙田の闇広がれり
県境の峠を綴る夏蕨 縄文
羽抜鳥骨董市にまぎれ込み まや
芭蕉句碑夏山霧にのまれけり 志乃
添削> 芭蕉句碑夏山霧につつまるる
霊山の水を入れたる田を植うる はるを
添削> 霊山の水を引きたる植田かな
木下闇薬草園につづく道 はる
一山に水音ひびく涼しさよ 志乃
添削> 一渓にひびく水音の涼しさよ
残雪に雲ひとむらの八ヶ岳 かたつむり
添削> 一片の雲のかかりし八ヶ岳涼し
万太郎句碑にこぼれて花卯木 れいこ
添削> 万太郎句碑にこぼるる花卯木
漆喰の続く家並に風光る 牡丹
添削> 漆喰のま白き家並風光る
エンジンの掛かりて代田ざわめけり 一尾
せせらぎに足を浸せる薄暑かな とろうち
園の門くぐりし時に薔薇匂ふ 泰山
道の端に供養の花や梅雨寒し 哲
添削> 道端に供養の花や梅雨寒し
半島の地図になき道水芭蕉 初凪
夏風邪や一眠りして癒ゆるべし 竹子
添削> 一眠りすれば癒ゆべし夏の風邪
ブロンズの親王像や風薫る れいこ
釣り糸のそばを泳ぎし水馬 ゆうこ
添削> 釣り糸のそばを屯す水馬
空と雲映す棚田の田植えかな とろうち
添削> 雲の影踏みて棚田の田植えかな
鶴嘴を地に立ててをり新樹雨 東吾
閉ざされし山の茶店や花は葉に はる
添削> 閉ざされし峠の茶店や花は葉に
鍾乳洞出でて眩しき新樹かな 芙美子
梅雨寒の会議堂々めぐりかな こう
添削> 遅々として進まぬ会議梅雨寒し
銭亀の重なり合ひて売られけり 秋乃
噴水の頂点風に定まらず 鉦三
旅を恋ふ若葉の風に誘われて こう
添削> 旅を恋ふ若葉の風に吹かれゐて
濃淡の緑目にしむ甲斐の山 ゆき子
添削> 目にしみる五彩の緑甲斐の山
雪舟展大噴水に向かへらる れいこ
添削> 雪舟展大噴水をゲートとす
五月晴れ同じ帽子で散歩かな 煙於
添削> お揃いの帽子で散歩五月晴
祇王井の碑にふれて咲く手毬花 東吾
赤きバス平野突っ切る麦の秋 初凪
添削> 麦秋の一と筋道を馳せるバス
梅雨寒や街灯白くけぶりたり とろうち
添削> 街灯の白くけぶりて梅雨寒し
癒さるる童句碑あり緑陰に 桑
添削> 緑陰の童の句碑に憩ひけり
机這う山蟻一匹つぶしけり 妙香
添削> 机這ふ小さき蟻をつまみ出す
新家庭木香薔薇の柔らかし 竹子
添削> 新家庭木香薔薇の匂ひけり
試歩の道言葉かけあふ桐の花 やす子
添削> 存問の言葉かけあふ桐の花
葉の上の伏せの姿勢に雨蛙 縄文
添削> 平伏の姿勢に鳴ける雨蛙
滴りの岩屋の奥に灯りたる まや
添削> 滴りの岩屋の奥に灯揺るる
僅かなる雲の風呼ぶ朴の花 宏
添削> 朴の花あるやなしやの風に揺れ
夏めくや日の斑の揺るる暦塚 れいこ
添削> 夏木立日の斑の揺るる暦塚
サングラス別の人格歩み出す 鉦三
植え終へし棚田に風の生まれけり きみこ
青々と葭の田をゆく櫓音かな 東吾
添削> ま青なる葭の田をゆく櫓音かな
五月晴れ脳異常なし父九十 泰山
添削> 卆寿なる父健康や五月晴
野茨の香りに歩み留められ 草根
添削> 野茨の香りに歩み留めけり
葛布織る実演コーナー音涼し まや
カーネーション抱へ喜ぶ顔見たく ゆうこ
添削> 抱くほどのカーネーションに顔緩む
小麦畑続く大地やあかね雲 初凪
添削> あかね雲果なく続く小麦畑
新茶送る恙無きやと文添へて こう
旅の荷に甲斐の山蟻こぼれ落つ まや
西瓜食ふあぐら上手も父似かな 鉦三
添削> 西瓜食ぶあぐら姿も父に似て
木漏れ日の影揺りにけり若葉風 はる
添削> 木漏れ日の影揺れやまず風若葉
卯の花の匂へる千本鳥居かな れいこ
添削> 卯の花の匂ふ千本鳥居かな
耕運機幾何学模様描きをり みすず
湯上りの髪の匂ひや夜の薄暑 ゆき子
添削> 湯上りの髪の匂ひや夕涼し
男箸崖崩すごと冷奴 鉦三
七彩に輝く跡はなめくじら 光晴
片側は被爆の傷の新樹かな はる
添削> 被爆傷今も癒えざる新樹かな
余り苗近江の風を遊ばせて 東吾
右脚の上げたままなる守宮かな かたつむり
添削> 右脚を上げたままなる守宮かな
検眼の安堵や窓の柿若葉 鉦三
添削> 検眼の済みし安堵や窓若葉
白髪を染めて出にけり若葉風 光晴
添削> 白髪を染めて外出風若葉
滝落ちてしぶきを散らす若葉風 ミチコ
添削> 滝落ちてしぶきを散らす梢かな
来賓のスピーチ長し目借時 とろうち
遠山に棚引く雲や桐の花 牡丹
一望の青田や雨の佐久平野 こう
仏壇に庭の夏菊瑞々し 多藤
添削> 庭の菊一輪剪って夏花とす
雨粒の光りて落ちず花あやめ 朝子
バトンガール皐月の空へ飛ばしたり のぶお
十字架の尖塔見ゆる花楝 はる
農具屋を男飛び出す雷雨中 志乃
添削> 農具小屋男飛び出す雷雨中
分校に子どもの消えし燕の巣 たかし
添削> 過疎すすむ村の分校燕の巣
[添削の説明]
◇旅を恋ふ若葉の風に誘われて→ 旅を恋ふ若葉の風に吹かれゐて
誘われて→吹かれゐて・・客観的・具体的に
◇濃淡の緑目にしむ甲斐の山→ 目にしみる五彩の緑甲斐の山
濃淡→五彩・・より具体的に
◇雪舟展大噴水に向かへらる→ 雪舟展大噴水をゲートとす
向かえらる→ゲートとす・・具体的に
◇五月晴れ同じ帽子で散歩かな→ お揃いの帽子で散歩五月晴
同じ帽子→お揃いの帽子・・具体的に
◇赤きバス平野突っ切る麦の秋→ 麦秋の一と筋道を馳せるバス
言いたいことを欲張らない。
◇梅雨寒や街灯白くけぶりたり→ 街灯の白くけぶりて梅雨寒し
切れ字の使用は慎重に
◇癒さるる童句碑あり緑陰に→ 緑陰の童の句碑に憩ひけり
癒さるる・・は理屈
◇机這う山蟻一匹つぶしけり→ 机這ふ小さき蟻をつまみ出す
小動物には愛の心で接しましょう。ゴスペル俳句は愛です
◇新家庭木香薔薇の柔らかし→ 新家庭木香薔薇の匂ひけり
柔らかし・・抽象的
◇試歩の道言葉かけあふ桐の花→ 存問の言葉かけあふ桐の花
試歩に限定すると句が小さくなります
◇葉の上の伏せの姿勢に雨蛙→ 平伏の姿勢に鳴ける雨蛙
もう少し言葉を選ぶとより具体的になりますね
◇滴りの岩屋の奥に灯りたる→ 滴りの岩屋の奥に灯揺るる
灯りたる・・もう一歩突っ込むとより具象性が出てきます
◇僅かなる雲の風呼ぶ朴の花→ 朴の花あるやなしやの風に揺れ
雲の風呼ぶ・・一寸無理な措辞です
◇夏めくや日の斑の揺るる暦塚→ 夏木立日の斑の揺るる暦塚
夏めく→夏木立・・出来るだけ具体的な季語を選びます
◇青々と葭の田をゆく櫓音かな→ ま青なる葭の田をゆく櫓音かな
青々と・・だと「櫓音」にかかってしまいます
◇五月晴れ脳異常なし父九十→ 卆寿なる父健康や五月晴
切れ字はありませんが、いわゆる3段切れになっています
◇野茨の香りに歩み留められ→ 野茨の香りに歩み留めけり
留められ・・は理屈
◇カーネーション抱へ喜ぶ顔見たく→ 抱くほどのカーネーションに顔緩む
情景が曖昧ですね。実際に喜んでいる顔のほうが句になります
◇小麦畑続く大地やあかね雲→ あかね雲果なく続く小麦畑
大地・・では広さがでないです
◇西瓜食ふあぐら上手も父似かな→ 西瓜食ぶあぐら姿も父に似て
あぐら上手・・解るようでわかりにくい言葉
◇木漏れ日の影揺りにけり若葉風→ 木漏れ日の影揺れやまず風若葉
影揺りにけり・・無理な言葉
◇卯の花の匂へる千本鳥居かな→ 卯の花の匂ふ千本鳥居かな
5・7・5の正調を大切に
◇湯上りの髪の匂ひや夜の薄暑→ 湯上りの髪の匂ひや夕涼し
下5の季語が不適切
◇片側は被爆の傷の新樹かな→ 被爆傷今も癒えざる新樹かな
片側・・は曖昧です。句意としては場所は不要
◇右脚の上げたままなる守宮かな→ 右脚を上げたままなる守宮かな
右足の・・であれば、上がりしままの・・ですね。
◇検眼の安堵や窓の柿若葉→ 検眼の済みし安堵や窓若葉
何の若葉でもいいですね
◇白髪を染めて出にけり若葉風→ 白髪を染めて外出風若葉
出にけり→外出・・より具体的に
◇滝落ちてしぶきを散らす若葉風→ 滝落ちてしぶきを散らす梢かな
滝、若葉で季重なりです。
◇仏壇に庭の夏菊瑞々し→ 庭の菊一輪剪って夏花とす
原句では夏菊でなくてもよいことになりますから、「夏花」という季語を使います。
◇農具屋を男飛び出す雷雨中→ 農具小屋男飛び出す雷雨中
農具屋・・一寸考えてしまう言葉ですね
◇分校に子どもの消えし燕の巣→ 過疎すすむ村の分校燕の巣
子供の消えし・・突然消えた?とも解せるので・・
聖五月米寿の母の歌集編む はるを
登校の列を映して春田かな とろうち
添削> 登校の列を映せる水田かな
気負うほど若くはあらじ衣更ふ 恭雅
添削> 気負ふほど若くはあらじ衣更
雨燕遊覧船にうち交じり 志乃
添削> つばくらめ遊覧船にうち交じり
薔薇園の人出にまじる車椅子 牡丹
薫風やガラシャの墓にクルス無し 泰山
添削> クルスなきガラシアの墓風薫る
夭折の詩人の碑文えごの花 皐月
添削> 夭折の詩人の碑ありえごの花
カーテンを替えて書斎の夏めきし きみこ
添削> 夏めきし部屋のカーテン替へてより
海桐咲く溶岩厚き磯蔭に れいこ
葉桜の影置く椅子や川堤 はる
沖はるか白い客船五月憂し たかし
添削> 沖進む白き客船五月晴
春昼の佃小橋や舫船 初凪
天を突く如き銀杏の若葉かな 妙香
添削> 空覆ふ大樹の銀杏若葉かな
寺庭へ雀寄り来る青葉雨 やす子
添削> 寺庭に宿る雀や青葉雨
翡翠の一挙一動見てゐたる まや
添削> 翡翠の一挙一動見てあかず
くちびるは笑みのかたちや草の笛 竹子
薫風のガラス窓より祈祷会 桑
添削> 祈祷会窓を開ければ風薫る
子供の日犬の命名会議かな 鉦三
新緑や山に詩吟の声揃ふ はる
添削> 新緑の山に詩吟の声ひびく
雨傘の彩とりどりや菖蒲池 こう
添削> とりどりの彩の雨傘菖蒲園
谷底に白瀬のひかり時鳥 まや
添削> 谷底に白きは瀬波時鳥
降りしきる緑雨の中を出棺す 泰山
添削> 降りやまぬ緑雨の中を出棺す
さざなみの風にきらめく植田かな みすず
添削> さざなみにきらめく風の植田かな
音もなく庭先濡らす若葉雨 ちやこ
添削> 音もなく濡るる庭先若葉雨
ぺんぺん草鳴らして畦の下校道 更紗
添削> ぺんぺん草鳴らして畦の下校の子
逆光のせせらぎ早し五月晴 光晴
添削> 逆光に煌めく早瀬五月晴
雪舟展出でて眩しき若葉かな 初凪
水馬映りし雲にたわむれて きみこ
添削> 水馬映りし雲にあそびをり
夏立つや連山如き雲描く ミチコ
添削> 脈々と連なる雲の峰描く
夏蝶の空に落書きしてゐたり はるを
添削> 落書きのごと舞ふ空の夏の蝶
藍倉を出て初夏の風川湊 たかし
添削> 藍倉を出て風涼し川湊
菖蒲挿す山のホテルの表門 ゆき子
薫風の西行峠標石 まや
添削> 風薫る西行峠標石
夏館草花垂らし開け放つ やす子
添削> 夏館窓に鉢花溢れしめ
神鶏の羽ばたき受けて樟落葉 ゆうこ
添削> 神鶏の羽ばたきに舞ふ樟落葉
引越しの荷そのままに新茶かな 秋乃
添削> 引越しの荷は手つかずや新茶汲む
水浴びの小鳥の散らす新樹光 こう
添削> 水浴びの小鳥春光まき散らし
旧道の低き家並の軒菖蒲 一尾
添削> 旧道の低き家並や軒菖蒲
路地抜けてまた路地に入る薄暑かな 初凪
受刑者の手になる椅子や青葉闇 竹子
添削> 受刑者の手づくりの椅子若葉蔭
畔塗や高く真直ぐなひととなり 竹子
添削> 畦を塗る実直なそのひととなり
亀の子に泳ぐ手のあり足のあり はる
引き潮にゆるゆる進む潮干狩 縄文
添削> 引く潮に沖へ沖へと潮干狩
葉桜や見舞いの客の遠退きし 皐月
添削> 見舞客足遠のきて花は葉に
一族の集ひ和やか柏餅 れいこ
添削> 柏餅一族郎党和やかに
虚を衝きしとかげ一瞬止どまりぬ 皐月
添削> 虚を衝かれとかげ一瞬たじろぎぬ
墨堤や古りし欄干百千鳥 初凪
添削> 墨堤に古りし欄干百千鳥
薫風や一枚一枚剥ぐレタス きみこ
石畳静かに濡れ行く五月雨 妙香
添削> 石畳濡らしそめたる緑雨かな
藤房の揺れてそのあと風渡る 志乃
滴りや一叢ここに岩煙草 かたつむり
添削> 滴れるここに一叢岩煙草
足利の墓に降り積む藤の花 れいこ
添削> 藤の花降る足利の墓どころ
瑠璃色のきりりと涼し江戸切子 みすず
添削> 江戸切子きりりと瑠璃の色涼し
かの人へ西行庵の落し文 まや
添削> ひろひもす西行庵の落し文
禅寺や百の牡丹に百の傘 まや
添削> 寺広し百の牡丹に百の傘
飛行雲まっすぐにあり五月空 孝子
添削> 飛行雲まっすぐのびる五月晴
橋幾つ大川端に春惜しむ 初凪
添削> 幾橋の大川端に春惜しむ
長靴の泥そのままに菖蒲売 志乃
添削> 長靴に乾きし泥や菖蒲売
後戻り京都老舗の粽買う ミチコ
添削> 旅愉し京都老舗の粽食ぶ
湖の色どこまでも透け青葉光 れいこ
添削> 緑さす見よこの湖の透明度
田水張る真白き鷺の身じろがず やす子
[選評]
参加者の増加とともに投句数もうなぎのぼり。嬉しい悲鳴です。
今週から、添削の説明は少し時間をおいて書くことにしました。
答えがわかる前に、ご自分で考えていただく時間があった方がよいかなと思ったのと、
これを書きあげてからだと、結果の発表が遅れるからです。
何度も説明していますが、GHでは考えて作った句、理屈の勝った句は採りません。
申し訳無いのですが、これはGHの基本コンセプトですのでご理解下さい。
成績の上がらない方は、ご自分の作品をもう一度よく見直して下さい。
秀句を選ぶときは作者が解っていますので、その方のレベルに応じて選んでいます。
わかりやすく言えば、上級者には奮起を促す意味で厳しく、
また初級者には励みになるように優しく、を意識して選びます。
必ずしも全ての作品のレベルが同じではありませんので、
くれぐれも誤解のないようにしてください。
今週の秀逸については、時間的な関係で現在見合わせています。
ほんとうに申し訳ありません。時間の余裕が出てくればまた復活いたします。
[添削の説明]
◇登校の列を映して春田かな→ 登校の列を映せる水田かな
水田でないと映る感じがないですね。
◇気負うほど若くはあらじ衣更ふ→ 気負ふほど若くはあらじ衣更
良い句です。体言止めの方がいいでしょう。
◇雨燕遊覧船にうち交じり→ つばくらめ遊覧船にうち交じり
晴れの方がより感じが出ると思います。
◇薫風やガラシャの墓にクルス無し→ クルスなきガラシアの墓風薫る
クルス無し・・が強調されるので、季語に重心を持っていって余情を出します。
◇夭折の詩人の碑文えごの花→ 夭折の詩人の碑ありえごの花
碑文までいうと説明的
◇カーテンを替えて書斎の夏めきし→ 夏めきし部屋のカーテン替へてより
○○だから□□・・のパターンは説明。答えは後から言うほうがいいです。
◇沖はるか白い客船五月憂し→ 沖進む白き客船五月晴
憂しがまずいです。白→晴という感覚が素直です。
◇天を突く如き銀杏の若葉かな→ 空覆ふ大樹の銀杏若葉かな
銀杏の場合、「天を突く」という措辞は無理があります。
◇寺庭へ雀寄り来る青葉雨→ 寺庭に宿る雀や青葉雨
より来る・・は説明。
◇翡翠の一挙一動見てゐたる→ 翡翠の一挙一動見てあかず
見てゐたる・・は説明。
◇薫風のガラス窓より祈祷会→ 祈祷会窓を開ければ風薫る
作者の位置は風薫る屋外、窓の内から祈祷が聞こえてきた・・
ということだと思いますが、わかるようでわからないですね。
あつい祈りが終わって窓を開けるとすがしい五月の風が差し込んできた。
・・と詠むのが俳句です。
◇新緑や山に詩吟の声揃ふ→ 新緑の山に詩吟の声ひびく
この場合は「や」で切ってはいけません。
◇雨傘の彩とりどりや菖蒲池→ とりどりの彩の雨傘菖蒲園
菖蒲園のほうが人が見えてきますね。
◇谷底に白瀬のひかり時鳥→ 谷底に白きは瀬波時鳥
ひかり・・は言わないで連想に任せると余情がでます。
◇降りしきる緑雨の中を出棺す→ 降りやまぬ緑雨の中を出棺す
あまり強い感じではないほうが緑雨の感じにそうと思います。
◇さざなみの風にきらめく植田かな→ さざなみにきらめく風の植田かな
さざなみの風・・は、ちょっとおかしいです。
◇音もなく庭先濡らす若葉雨→ 音もなく濡るる庭先若葉雨
庭先の濡れ始めるのを見て、雨が降り始めたことを合点する・・
どちらでもよいようですが、違いが解るでしょうか。
◇ぺんぺん草鳴らして畦の下校道→ ぺんぺん草鳴らして畦の下校の子
畦をいえば道は不要
◇逆光のせせらぎ早し五月晴→ 逆光に煌めく早瀬五月晴
せせらぎ・・ではちょっとスケールが小さいです。
◇水馬映りし雲にたわむれて→ 水馬映りし雲にあそびをり
俳句はなるべき言い切ります。
◇夏立つや連山如き雲描く→ 脈々と連なる雲の峰描く
雲の峰という季語を使えば句がスマートになります。
◇夏蝶の空に落書きしてゐたり→ 落書きのごと舞ふ空の夏の蝶
言いたいことをできるだけ具体的に写生することが大切です。
◇藍倉を出て初夏の風川湊→ 藍倉を出て風涼し川湊
作者が何を感じたのが曖昧。風涼しのほうが明快ですね。
◇薫風の西行峠標石→ 風薫る西行峠標石
薫風の・・だと季語の働きが弱くなります。
◇夏館草花垂らし開け放つ→ 夏館窓に鉢花溢れしめ
沢山のことを言い過ぎないこと。
◇神鶏の羽ばたき受けて樟落葉→ 神鶏の羽ばたきに舞ふ樟落葉
受けて・・は説明。
◇引越しの荷そのままに新茶かな→ 引越しの荷は手つかずや新茶汲む
そのままに・・が曖昧
◇水浴びの小鳥の散らす新樹光→ 水浴びの小鳥春光まき散らし
新樹光を散らす・・はことばに無理があります。
◇旧道の低き家並の軒菖蒲→ 旧道の低き家並や軒菖蒲
「や」で切って、季語をすこし離します。
◇受刑者の手になる椅子や青葉闇→ 受刑者の手づくりの椅子若葉蔭
手になる椅子・・は曖昧
◇畔塗や高く真直ぐなひととなり→ 畦を塗る実直なそのひととなり
高く真直ぐな・・は解りにくいことばですね。
◇引き潮にゆるゆる進む潮干狩→ 引く潮に沖へ沖へと潮干狩
ゆるゆるどう進んでいるのか曖昧。具体的に
◇葉桜や見舞いの客の遠退きし→ 見舞客足遠のきて花は葉に
遠退くだけでは、眼前から遠ざかっていく・・ともとれます。
◇一族の集ひ和やか柏餅→ 柏餅一族郎党和やかに
集い・・は言わないで連想させる。
◇虚を衝きしとかげ一瞬止どまりぬ→ 虚を衝かれとかげ一瞬たじろぎぬ
より具体的に連想できることばを吟味します。
◇墨堤や古りし欄干百千鳥→ 墨堤に古りし欄干百千鳥
切れ字はないですが、欄干と百千鳥も切れていることに注意。
切れ字が二つあるのと同じです。
◇石畳静かに濡れ行く五月雨→ 石畳濡らしそめたる緑雨かな
静かに・・は言わない。
◇滴りや一叢ここに岩煙草→ 滴れるここに一叢岩煙草
不用意に切れ字を使わないこと。厳密には季重なりですが同季なので許容しました。
◇足利の墓に降り積む藤の花→ 藤の花降る足利の墓どころ
降り積むなら藤の屑になります。降っているさまなら藤の花で良いです。
◇瑠璃色のきりりと涼し江戸切子→ 江戸切子きりりと瑠璃の色涼し
きりりと涼し・・がわりにくいことばですね。
◇かの人へ西行庵の落し文→ ひろひもす西行庵の落し文
かの人へ・・は不要だと思います。
◇禅寺や百の牡丹に百の傘→ 寺広し百の牡丹に百の傘
どんな寺でも良いと思うので、広さをだしたほうがいいでしょう。
◇飛行雲まっすぐにあり五月空→ 飛行雲まっすぐのびる五月晴
五月空・・は曖昧な季語
◇橋幾つ大川端に春惜しむ→ 幾橋の大川端に春惜しむ
幾つもの橋を渡りながら春を惜しんだという意ですが、
句に詠む場合は瞬間写生にします。
◇長靴の泥そのままに菖蒲売→ 長靴に乾きし泥や菖蒲売
面白い句ですね。更に突っ込んで観察すると連想が広がりますね。
◇後戻り京都老舗の粽買う→ 旅愉し京都老舗の粽食ぶ
後戻り・・は説明。
◇湖の色どこまでも透け青葉光→ 緑さす見よこの湖の透明度
できるだけ具体的に推敲すると力強くなります。
連山に雲立ち昇る朴の花 はるを
添削> 遠山に雲立ち昇る朴の花
花祭張り子の象の白きかな 東吾
行脚傘手に仰ぎゐる新樹かな はる
濃き淡き躑躅あふるる里の駅 更紗
添削> 濃く淡く躑躅あふるる里の駅
尻濡れしあとはざぶざぶ蜆掘る 志乃
手を出せぬ子にも配られ祭菓子 ゆうこ
水底の蝌蚪にも届く子らの声 つとむ
添削> 水底の蝌蚪に声掛く子どもたち
音立て冷やそうめんやひとり昼 やす子
添削> 音立てて冷やそうめんを啜りけり
煌めける風の中なる柿若葉 光晴
添削> 翻り風に煌めく柿若葉
緑陰に並ぶ羅漢の慈眼かな 芙美子
夏富士を真青の湖面に湛へけり 秋乃
添削> 真青なる湖面に映る富士涼し
陽だまりにしばし遊びし柳絮かな 縄文
添削> 陽だまりにしばし遊びて柳絮飛ぶ
新緑に包まれ村の水源地 きみこ
添削> 新緑に包まれ染まる水源地
卯の花や踏めば落石ありさうな はるを
添削> 卯の花やここら落石危険地区
十六本玻璃に張り付く指蜥蜴 つとむ
添削> 玻璃に付く蜥蜴の指は十六本
上州の風のゆたかに鯉幟 ゆき子
添削> ゆたかなる上州の風鯉幟
万緑のまっただ中や旅の駅 ゆき子
添削> 万緑のまっただ中や道の駅
青葉して海一望の伊勢路かな 秋湘
びっしりと夫に予定の五月入る ゆうこ
添削> びっしりと予定の詰まる五月来る
新樹光湖空にロープウェイ仰ぐ 芙美子
添削> 新樹光湖空を過ぎるロープウェイ
花の寺1万平方百千鳥 きみこ
添削> この寺領一万平方百千鳥
松葉菊燃え立つ色に海の町 みすず
添削> 松葉菊燃ゆる見晴らし海展け
れんげ田に子等の歓声雲をつく れいこ
添削> れんげ田の空にこだます子等の声
風船を目当てにいらぬ物を買い ちやこ
添削> 風船をせがまれいらぬ物を買ふ
子の指の鍵盤走る新樹光 こう
添削> 鍵盤に弾む十指や新樹光
楠若葉古刹の屋根を抜きん出て 志乃
添削> 大寺の屋根抽ん出て楠若葉
新緑の庭に朱なるは太鼓橋 牡丹
指させばのけぞり落つる蜥蜴の子 れいこ
添削> 吾を見てのけぞり落つる蜥蜴の子
休みたる畑の隅に大根花 ちやこ
添削> 荒れ果てし畑の一隅花大根
夢うつつ朝寝の耳に「イエスタディ」 初凪
添削> 「イエスタディ」うつつに聞きし朝寝かな
一対の花の挿されて墓地朧 皐月
添削> 一対の供花の挿されて墓地朧
花大根あふれこの先無人駅 初凪
添削> 花大根あふれしここは無人駅
舗装路を一気によぎる蜥蜴かな 草根
添削> 舗装路を韋駄天走る蜥蜴かな
上げ潮に足もて探る浅蜊採り 一尾
雨蛙跳ねて古墳へ道細る きみこ
添削> 雨蛙跳ね古墳へと道案内
ヤドカリのよろりよろける忘れ潮 初凪
廃線の鉄路の錆のかぎろひぬ 縄文
添削> 廃線の錆の鉄路のかぎろひぬ
新緑に隠れてしまふ山の墓 志乃
添削> 新緑に隠るる峡の墓所
竹の子にこゑかけてゐる園児らよ はるを
添削> 竹の子に語りかけもす園児たち
えんどうの花海鳴りの遠くより 東吾
添削> 間遠よりひびく海鳴り花えんどう
風光るブロンズ像の小人たち れいこ
添削> ブロンズの小人の像に風光る
吃水の深き船ゆく卯浪かな 一尾
添削> 卯浪分け吃水深く船進む
青嵐上枝下枝とぞめきけり 牡丹
孔子像ほほえむがごとく樹下涼し 牡丹
何処までも高き空あり鯉幟 二青
添削> 何処までも青き空あり鯉幟
竹皮を脱ぎ散らかして天辺へ れいこ
添削> 皮を脱ぎ散らかして伸ぶ今年竹
歩道橋初夏の風うけ立ち話 ミチコ
添削> 歩道橋風の涼しと立ち話
遠目にも楠の若葉の輝けリ 妙香
添削> 遠目にも輝く楠の若葉かな
畑仕事してうたた寝の春の夢 泰山
添削> 畑仕事終へてうたた寝の春の夢
[選評]
具体的な客観写生術を身につけるには対象を深く見る忍耐が必要です。
せっかく良いところをとらえているのに、深く観察しないで頭で作ってしまう。
この域を脱出するには、理屈ではなくひたすら句を作り続けることと、
どのように添削されたかをきちんと復習しておくことです。
俳句独特のことばの用法があるのでこれも学習していきます。
五・七・五に整えるために、無茶で窮屈なことば使いをときどき見ます。
これは文法以前の問題です。
ことばの省略を意識して推敲すればたいていはすんなり収まるものです。
こころして、推敲しましょう。
[添削の説明]
◇連山に雲立ち昇る朴の花→ 遠山に雲立ち昇る朴の花
遠近法を使って朴の花に焦点が来るように推敲すると佳句になります。
◇濃き淡き躑躅あふるる里の駅→ 濃く淡く躑躅あふるる里の駅
駅に焦点を絞ります。
◇水底の蝌蚪にも届く子らの声→ 水底の蝌蚪に声掛く子どもたち
必要以上に飛躍しないこと。素直に・・
◇音立て冷やそうめんやひとり昼→ 音立てて冷やそうめんを啜りけり
ひとり昼・・は説明ですから不要。
◇煌めける風の中なる柿若葉→ 翻り風に煌めく柿若葉
より具体的に・・
◇夏富士を真青の湖面に湛へけり→ 真青なる湖面に映る富士涼し
焦点が曖昧
◇陽だまりにしばし遊びし柳絮かな→ 陽だまりにしばし遊びて柳絮飛ぶ
遊泳している様子がわかるように・・
◇新緑に包まれ村の水源地→ 新緑に包まれ染まる水源地
村・・は説明
◇卯の花や踏めば落石ありさうな→ 卯の花やここら落石危険地区
何を踏むのか不明。
◇十六本玻璃に張り付く指蜥蜴→ 玻璃に付く蜥蜴の指は十六本
なかなか面白い発見です。指蜥蜴は??ですね
◇上州の風のゆたかに鯉幟→ ゆたかなる上州の風鯉幟
ゆたかに・・だと鯉幟にもかかってしまいます。鯉幟の前で切れないとおかしいです。
◇万緑のまっただ中や旅の駅→ 万緑のまっただ中や道の駅
旅の・・は説明。駅を具体的に言うと情景がより鮮明になるでしょう。
◇びっしりと夫に予定の五月入る→ びっしりと予定の詰まる五月来る
五月入る・・は無理なことば。夫に限定すると逆になんのことかと考えさしてしまいます。
◇新樹光湖空にロープウェイ仰ぐ→ 新樹光湖空を過ぎるロープウェイ
空に、仰ぐ、は無駄な説明ことば。過ぎる・・というと動きが見えてきますね。
◇花の寺1万平方百千鳥→ この寺領一万平方百千鳥
花の寺・・は桜を意味するので季重なりです。
◇松葉菊燃え立つ色に海の町→ 松葉菊燃ゆる見晴らし海展け
原句は焦点がありません。
◇れんげ田に子等の歓声雲をつく→ れんげ田の空にこだます子等の声
雲を突く・・は無理
◇風船を目当てにいらぬ物を買い→ 風船をせがまれいらぬ物を買ふ
目当てに・・は理屈
◇子の指の鍵盤走る新樹光→ 鍵盤に弾む十指や新樹光
指だけに焦点をしぼります。
◇楠若葉古刹の屋根を抜きん出て→ 大寺の屋根抽ん出て楠若葉
楠の大きさを言わずにそれを感じさせる・・この句から学びましょう。
別になおさなくても良かったけどなおしました。>志乃さんm(__)m
◇指させばのけぞり落つる蜥蜴の子→ 吾を見てのけぞり落つる蜥蜴の子
ユーモアな句ですね。滑稽は大切な俳句の要素です。
◇休みたる畑の隅に大根花→ 荒れ果てし畑の一隅花大根
休みたる畑・・は説明。
◇夢うつつ朝寝の耳に「イエスタディ」→ 「イエスタディ」うつつに聞きし朝寝かな
これもユニークな作品です。ちょっと解りにくかったので整理しました。
◇一対の花の挿されて墓地朧→ 一対の供花の挿されて墓地朧
花は桜を意味するので、「供華」とするのがよいでしょう。
◇花大根あふれこの先無人駅→ 花大根あふれしここは無人駅
事実かもしれませんが、この先・・が曖昧ですね。焦点を明確にするというサンプルです。
◇舗装路を一気によぎる蜥蜴かな→ 舗装路を韋駄天走る蜥蜴かな
一気によぎる・・は説明語。具体的に見えてくるように言葉を捜しましょう。
◇雨蛙跳ねて古墳へ道細る→ 雨蛙跳ね古墳へと道案内
焦点が道になっているので季感が薄れています。
◇廃線の鉄路の錆のかぎろひぬ→ 廃線の錆の鉄路のかぎろひぬ
かぎろうのは錆ではなくて鉄路ですね。
◇新緑に隠れてしまふ山の墓→ 新緑に隠るる峡の墓所
隠れてしまう・・は説明。
◇竹の子にこゑかけてゐる園児らよ→ 竹の子に語りかけもす園児たち
声をかける/語りかける・・どちらも同じ意味ですが、情が違いますね。
◇えんどうの花海鳴りの遠くより→ 間遠よりひびく海鳴り花えんどう
海鳴りの聞こえる遠くからえんどうの花がやってくる・・
というふうにもとれてしまうので逆にしました。
◇風光るブロンズ像の小人たち→ ブロンズの小人の像に風光る
対象物と季題との関連づけを明確にしないと季語が動いてしまいます。
◇吃水の深き船ゆく卯浪かな→ 卯浪分け吃水深く船進む
これも卯波と船との関係が希薄
◇何処までも高き空あり鯉幟→ 何処までも青き空あり鯉幟
どこまでも高いというのは知識的。どこまでも青いは感覚的。
俳句は知識(理屈)ではなく、感性を大切にします。
◇竹皮を脱ぎ散らかして天辺へ→ 皮を脱ぎ散らかして伸ぶ今年竹
天辺へ・・が解りにくいですね。
◇歩道橋初夏の風うけ立ち話→ 歩道橋風の涼しと立ち話
夏の風・・は曖昧
◇遠目にも楠の若葉の輝けリ→ 遠目にも輝く楠の若葉かな
答えを後で言うと説明調を避けることが出来ます。
◇畑仕事してうたた寝の春の夢→ 畑仕事終へてうたた寝の春の夢
畑仕事しながらうたた寝しているようにも感じてしまうので直しました。
葉桜の木漏れ日道となりにけり はる
潮臭き中州の橋や投網干す 東吾
海に向く水夫の墓や柿若葉 東吾
添削> 海に向く水夫の墓や若葉影
春光や笑顔ばかりの写真館 初凪
添削> 春光や笑顔の並ぶ写真館
手をかけてほんの小鉢の木の芽和 ゆうこ
添削> 手間かけてほんの小鉢の木の芽和
下校子の畦に鳴らすや草の笛 みすず
添削> 下校子の畦に競ひし草の笛
手造りのガラスの風鈴すすめられ きみこ
添削> 手造りのガラス風鈴よく鳴りぬ
見届けし最後となりし大牡丹 泰山
添削> ぼうたんの大往生を看取りけり
ふつふつとジャムの煮つまる若葉雨 ゆき子
蠅生まる色の鮮やか料理本 一尾
添削> 蠅生まるカラー写真の料理本
暮れ初むる琵琶湖大橋蜆汁 秋乃
添削> 暮れ初むる琵琶湖大橋蜆舟
風光る息子の喉に仏あり ちやこ
添削> 風光る息子の太き喉仏
窯の火の炎のびだす夜明かな やす子
添削> 窯の火の舌ちょろちょろす夜明かな
孫の顔見たしと春のカナダへと 二青
添削> 孫の顔見たしと春の旅支度
ぼうたんに遅速のあるや深山寺 はるを
添削> ぼうたんにの艶に遅速や深山寺
湧き水の呼吸に揺らぐ水芭蕉 芙美子
添削> 湧き水のリズムに揺らぐ水芭蕉
遠山に沈む夕日や桐の花 青々
木下闇睨みきかせる仁王の目 光晴
添削> 木下闇仁王は目玉むきにけり
顔に汗ためて看護婦廻り来る きみこ
添削> 顔に汗ためしナースの笑顔かな
持ち傘をささぬ無精や春の雨 草根
瓔珞の揺るる姿や藤の花 たかし
添削> 瓔珞のごと藤房の垂れにけり
犬吠えて朧月夜を教えけり 皐月
添削> 犬しきり朧の月に吠えにけり
広場覆ふメタセコイアの若葉萌ゆ ゆうこ
添削> 広場占めメタセコイアの若葉映ゆ
紺碧の空に光りしつばくらめ 更紗
添削> 紺碧の空に一閃つばくらめ
耕せる畑の向ふビルの街 ちやこ
添削> ビル街に隣る畑を耕せる
春憂ひテレビはけふも姦しく 初凪
添削> 春愁やテレビコメディ姦しく
みくびっておりて直らず春の風邪 きみこ
添削> みくびってをりて抜けざる春の風邪
古傷の痛み出したる菜種梅雨 こう
音もなく降る藤の花見上げけり ゆき子
添削> 音もなく降り積む藤の花の屑
地震とどむ要石とや木下闇 草根
新しき百合の一束捕虜の墓 はる
添削> 手向けある百合香りけり捕虜の墓
青葉若葉本堂なかに佇めり 光晴
添削> 若葉影拾ひつつ堂めぐりけり
春の水に体まかせて藻の揺れる 妙香
添削> 春水に心地よささう藻の揺るる
こぶしほど蕾ふくらむ牡丹かな ゆうこ
添削> こぶし解くごとくほぐるる牡丹かな
春眠をむさぼり伸びし髭を切る 春風
添削> 無精ひげそらず春眠むさぼりぬ
たぢろがぬ船点々と春眠し 秋乃
添削> たぢろがぬ船点々と沖うらら
紅白のつつじの風の吹き込めり 泰山
添削> 紅白のつつじの風の通ひけり
雨しずく伝わり落ちる藤の花 つとむ
添削> 藤房をたたら走りす雨しずく
陽炎や草も木もなき象の園 はる
添削> 陽炎や草も木もなき象舎かな
卓袱台の朝日に来たり春の蝿 芙美子
添削> 卓袱台の朝日に蠅の生まれけり
お茶を摘む心のリズム奏でつつ 二青
添削> お茶を摘む心にリズム奏でつつ
濡るるともなき雨にゐて桐の花 たかし
添削> ほつほつとこぼるる雨や桐の花
遠足の子を容れて山太りけり きみこ
春霞緑の街を覆いたり ちやこ
添削> 街路樹をすっぽり覆ふ春霞
真っすぐに沼突き上げる菖蒲の葉 たかし
添削> 真っすぐに沼突き上げる菖蒲の芽
縄張りを主張して啼く雲雀かな 二青
添削> 縄張りを主張して啼く揚雲雀
弾みしは雨に打たれし若楓 きみこ
添削> 糠雨に弾みやまずよ若楓
波音にちから満ちたる夏隣 ゆき子
添削> 磯をうつ波音に力夏隣
庭の木々艶めきたちし穀雨かな こう
添削> 庭の木々塗れて艶めく春の雨
シャボン玉塀の向こうに吹くは誰 初凪
花冷えの琵琶湖大橋暮れなづむ 秋乃
添削> 佇める琵琶湖大橋花の冷え
白牡丹朝日に透けるごときかな 牡丹
飛び石も雨帯び春の庭となり 哲
添削> 飛び石を濡らしそめたる春の雨
老鶯や横揺れ止まぬかずら橋 やす子
踏青やポケット図鑑を伴ひて 光晴
添削> ポケットに豆図鑑入れ踏青す
万緑の道に響きし鼓笛隊 更紗
添削> 新緑の大路を進む鼓笛隊
春惜しむ日記のように句を詠みて ゆき子
添削> 惜春の一句を添えて日記書く
薄若葉重なり合ひて透けて見ゆ ちやこ
添削> 日に透けて重なりあへる若葉かな
風通るたび若草の発光す 志乃
添削> 風通ふたびに若草日を弾く
真打の名も新しき春灯 縄文
小手毬や二十歳のままの友の墓 つとむ
添削> 小手毬や二十歳で逝きし友の墓
父母の墓碑訪へば落椿 はる
添削> 落椿墓の父母訪へば
土筆もう出てゐるはずと四つん這ひ 草根
マラソンを競ふ選手や麦穂波 泰山
添削> ひた走るマラソン左右に麦穂波
筍を茹でるなにやら大仕事 竹子
青葉風絵馬剥落や阿弥陀堂 やす子
添削> 春寒し剥落激し堂の絵馬
[選評]
今週は沢山採りました。最近理屈の句が目立ちます。
ゴスペル俳句では自然写生を推奨していますので、
できるだけ吟行に出かけて作句して下さい。
また、作りっぱなしで投句しないで十分推敲して下さい。
チェックポイントを掲げておきます。
・句意が明快になるように何度も推敲する
・技巧的な言葉におぼれない
・無理な擬人描写は避ける
・季語の本意を歳時記でチェックして正しく使う
・時間の流れを詠まないでできるだけ瞬間を詠む
[添削の説明]
◇海に向く水夫の墓や柿若葉→ 海に向く水夫の墓や若葉影
墓と若葉との位置関係を明確にした方がいいです。
◇春光や笑顔ばかりの写真館→ 春光や笑顔の並ぶ写真館
できるだけ客観表現を・・
◇手をかけてほんの小鉢の木の芽和→ 手間かけてほんの小鉢の木の芽和
俳句では声を出して読んだときの言葉のひびきも大切
◇下校子の畦に鳴らすや草の笛→ 下校子の畦に競ひし草の笛
鳴らすは説明
◇手造りのガラスの風鈴すすめられ→ 手造りのガラス風鈴よく鳴りぬ
説明で終わらないように推敲しましょう
◇見届けし最後となりし大牡丹→ ぼうたんの大往生を看取りけり
言いたいことが具体的に伝わるように推敲しましょう
◇蠅生まる色の鮮やか料理本→ 蠅生まるカラー写真の料理本
色鮮やか・・は抽象的
◇暮れ初むる琵琶湖大橋蜆汁→ 暮れ初むる琵琶湖大橋蜆舟
実際はそうかもしれないけれど、やっぱり蜆船でしょうね
◇風光る息子の喉に仏あり→ 風光る息子の太き喉仏
息子の成長を言いたいので、更に具体的に・・
◇窯の火の炎のびだす夜明かな→ 窯の火の舌ちょろちょろす夜明かな
具体的に推敲するほど、一枚の絵として連想できるでしょう
◇孫の顔見たしと春のカナダへと→ 孫の顔見たしと春の旅支度
場所はどこでもいいですね
◇ぼうたんに遅速のあるや深山寺→ ぼうたんにの艶に遅速や深山寺
なんの遅速か不明
◇湧き水の呼吸に揺らぐ水芭蕉→ 湧き水のリズムに揺らぐ水芭蕉
呼吸・・はちょっと無理
◇木下闇睨みきかせる仁王の目→ 木下闇仁王は目玉むきにけり
睨みきかせる・・は主観
◇顔に汗ためて看護婦廻り来る→ 顔に汗ためしナースの笑顔かな
報告で終わらないように
◇瓔珞の揺るる姿や藤の花→ 瓔珞のごと藤房の垂れにけり
藤房をだしたほうがより具体的に連想が働きますね
◇犬吠えて朧月夜を教えけり→ 犬しきり朧の月に吠えにけり
教えけりは・・お仕着せになりますね
◇広場覆ふメタセコイアの若葉萌ゆ→ 広場占めメタセコイアの若葉映ゆ
若葉は萌えるより映えるでしょうね
◇紺碧の空に光りしつばくらめ→ 紺碧の空に一閃つばくらめ
光りし・・はあいまいです
◇耕せる畑の向ふビルの街→ ビル街に隣る畑を耕せる
耕すを主役にした方がいいです
◇春憂ひテレビはけふも姦しく→ 春愁やテレビコメディ姦しく
今日も昨日も・・という感じは避けてより具体的に
◇みくびっておりて直らず春の風邪→ みくびってをりて抜けざる春の風邪
抜けざるのほうが言葉としては適切でしょうね
◇音もなく降る藤の花見上げけり→ 音もなく降り積む藤の花の屑
見上げる・・は説明
◇新しき百合の一束捕虜の墓→ 手向けある百合香りけり捕虜の墓
新しき・・は説明。香るとすれば新しいこともわかるし具体的ですね
◇青葉若葉本堂なかに佇めり→ 若葉影拾ひつつ堂めぐりけり
青葉若葉とかさねる用法はお奨めできません。色の違いはあるでしょうが・・
◇春の水に体まかせて藻の揺れる→ 春水に心地よささう藻の揺るる
体まかせて・・は無理な擬人表現です。
◇こぶしほど蕾ふくらむ牡丹かな→ こぶし解くごとくほぐるる牡丹かな
説明にならないように。具体的に・・
◇春眠をむさぼり伸びし髭を切る→ 無精ひげそらず春眠むさぼりぬ
眠りながら髭を切る??
◇たぢろがぬ船点々と春眠し→ たぢろがぬ船点々と沖うらら
季語が離れすぎて動きます
◇紅白のつつじの風の吹き込めり→ 紅白のつつじの風の通ひけり
吹き込むは・・は少し強すぎて風情を失います
◇雨しずく伝わり落ちる藤の花→ 藤房をたたら走りす雨しずく
藤房という言葉を覚えましょう
◇陽炎や草も木もなき象の園→ 陽炎や草も木もなき象舎かな
象の園・・がわかりにくいですね
◇卓袱台の朝日に来たり春の蝿→ 卓袱台の朝日に蠅の生まれけり
蠅生る・・という季語があります
◇お茶を摘む心のリズム奏でつつ→ お茶を摘む心にリズム奏でつつ
心のリズム・・ちょっとわかりにくいです。一時の違いを大切に
◇濡るるともなき雨にゐて桐の花→ ほつほつとこぼるる雨や桐の花
濡るるともなき雨・・具体的に連想しにくい言葉
◇春霞緑の街を覆いたり→ 街路樹をすっぽり覆ふ春霞
「緑」は季語として働くので注意
◇真っすぐに沼突き上げる菖蒲の葉→ 真っすぐに沼突き上げる菖蒲の芽
菖蒲の葉では季語になりませんね
◇縄張りを主張して啼く雲雀かな→ 縄張りを主張して啼く揚雲雀
揚雲雀を使う方がいいです
◇弾みしは雨に打たれし若楓→ 糠雨に弾みやまずよ若楓
どんな雨かを言った方がより具体的
◇波音にちから満ちたる夏隣→ 磯をうつ波音に力夏隣
場所を表現しましょう
◇庭の木々艶めきたちし穀雨かな→ 庭の木々塗れて艶めく春の雨
季語に無理あり。具体的に推敲しましょう
◇花冷えの琵琶湖大橋暮れなづむ→ 佇める琵琶湖大橋花の冷え
暮れなずむをいれるとかえって言い訳に聞こえてしまいます。
◇飛び石も雨帯び春の庭となり→ 飛び石を濡らしそめたる春の雨
春の庭・・が抽象的
◇踏青やポケット図鑑を伴ひて→ ポケットに豆図鑑入れ踏青す
伴う・・は曖昧
◇万緑の道に響きし鼓笛隊→ 新緑の大路を進む鼓笛隊
町中での万緑はやや無理。鼓笛隊があれば響くは不要
◇春惜しむ日記のように句を詠みて→ 惜春の一句を添えて日記書く
句意を明快にすることと季語が動かないように注意
◇薄若葉重なり合ひて透けて見ゆ→ 日に透けて重なりあへる若葉かな
見ゆ・・は不要。具体的に
◇風通るたび若草の発光す→ 風通ふたびに若草日を弾く
発光す・・は無理。
◇小手毬や二十歳のままの友の墓→ 小手毬や二十歳で逝きし友の墓
二十歳のままの・・は小理屈になりますね
◇父母の墓碑訪へば落椿→ 落椿墓の父母訪へば
追慕の情を強く出すには、父母の墓→墓の父母とします
◇マラソンを競ふ選手や麦穂波→ ひた走るマラソン左右に麦穂波
競うは当たり前なので不要。麦畑が広がっている様子を具体的に
◇青葉風絵馬剥落や阿弥陀堂→ 春寒し剥落激し堂の絵馬
原句は季語動きます。季語の選びかたの大切さを復習しましょう。
島々のうなづきあへる卯波かな 秋湘
手庇の春海原に船居らず 初凪
ままごとのグルメは木の芽摘んで来て ゆうこ
添削> ままごとのグルメは木の芽づくしかな
女王サマとお言ひ私は鬼薊 縄文
水底に蝌蚪の逃げたる濁りあり きみこ
添削> 蝌蚪逃げて水底に立つ泥神楽
点描のごと落葉松の芽吹き染む みすず
添削> 点描のごと落葉松の芽吹きけり
紫に野藤まとはる山木立 竹子
添削> 仁王立つ大樹にあまた懸かり藤
春疾風欅梢のただならず 縄文
添削> 春疾風欅の梢ただならず
花屑の路上に気まま渦巻す 桑
添削> 花屑の風に渦巻く遊歩道
空に溶け山に浮き出し山桜 ゆうこ
添削> 渓空に溶けいるごとし山桜
公魚の光散らすや四手網 芙美子
添削> 公魚のきらめき躍る四手網
平和の火揺らぐ公園鳥雲に はる
添削> 平和の火揺らぐ慰霊碑鳥雲に
パンジーの溢れ新婚家庭かな 初凪
添削> 新婚のベランダパンジー溢れしめ
休まざる蝶を眩しと思ひけり 志乃
添削> 舞ひ止まぬ蝶を眩しと思ひけり
禅寺の芭蕉の句碑や松の花 草根
添削> 古びたる翁の句碑や松の花
花冷や珈琲店にひとあふれ やす子
生まれ来る子に幸せをクローバー 更紗
添削> クローバー摘む胎の子に幸あれと
山桜頭塔多き山ノ内 皐月
藤棚の下に置かれし長き椅子 泰山
添削> 長椅子に棚藤屑をこぼしけり
じぐざぐに道案内せし蝶のあと ゆうこ
添削> じぐざぐに道案内す畦の蝶
田舎道バスの轍のかげろいて 妙香
添削> 田舎道バスの轍のかげろひぬ
送電の塔亭々と霞みけり 縄文
旅果ての駅弁買ひて春惜しむ ゆき子
添削> 駅弁を頬ばり旅の春惜しむ
たんぽぽや安曇野の田を縁取りて 皐月
添削> 安曇野の畦縁取りてたんぽぽ黄
春愁や墨磨って筆取るでなし はる
花回廊足音へ鯉寄り来たる やす子
添削> わが影により来る鯉や花回廊
目覚めたる蛙をかこむランドセル 芙美子
添削> 穴出でし蛙をかこむランドセル
沼風の通り径なる雪柳 ゆき子
添削> 沼風の通ひ径なる雪柳
湧き上がる如き芽吹きや大欅 草根
添削> 湧き上がる如くに芽吹く大欅
芽柳の道きて古物市の立つ 秋乃
添削> 芽柳の道に古物市並ぶ
饒舌のガイドの鼻の日焼けかな 草根
[選評]
最近投句数は増えているのですが、採れる句が減ってきたように思います。
受けをねらって意図的に面白おかしく言い回したり、偏見や理屈の句はゴスペル俳句の志す方向ではありません。
また、同じような句を少しだけ変えて何度も投句したり、「○○にて」という説明入の句があります。
ルール違反と言うほどではありませんが、あまり感心できません。ほんとうに佳い句には本来説明は不要です。
ゴスペル俳句の定義や俳句レッスンにある、わたしの作句理念をもう一度読み直して頂いて、
正しい写生道を目指して下さい。
[今週の添削]
◇ままごとのグルメは木の芽摘んで来て→ ままごとのグルメは木の芽づくしかな
摘んで来て・・は説明
◇水底に蝌蚪の逃げたる濁りあり→ 蝌蚪逃げて水底に立つ泥神楽
濁りは説明・・より具体的に
◇点描のごと落葉松の芽吹き染む→ 点描のごと落葉松の芽吹きけり
俳句はできるだけ言い切ること
◇紫に野藤まとはる山木立→ 仁王立つ大樹にあまた懸かり藤
懸かり藤という言い方があります
◇春疾風欅梢のただならず→ 春疾風欅の梢ただならず
「の」の位置を変えました。リズムの問題ですが・・
◇花屑の路上に気まま渦巻す→ 花屑の風に渦巻く遊歩道
気ままは・・理屈です
◇空に溶け山に浮き出し山桜→ 渓空に溶けいるごとし山桜
二つのことを言わない
◇公魚の光散らすや四手網→ 公魚のきらめき躍る四手網
光散らす・・は曖昧
◇平和の火揺らぐ公園鳥雲に→ 平和の火揺らぐ慰霊碑鳥雲に
公園では焦点が絞れません。
◇パンジーの溢れ新婚家庭かな→ 新婚のベランダパンジー溢れしめ
良い句ですね。(*^。^*) パンジーの位置を具体的に・・
◇休まざる蝶を眩しと思ひけり→ 舞ひ止まぬ蝶を眩しと思ひけり
休まざる・・は説明
◇禅寺の芭蕉の句碑や松の花→ 古びたる翁の句碑や松の花
「松の花」を見つけたのがこの句の手柄。禅寺まで言うと作意が覗きます。
松のことは松に習へ・・という芭蕉の教えをふまえています。
◇生まれ来る子に幸せをクローバー→ クローバー摘む胎の子に幸あれと
言いたいことが言い切れてないのでなおしました。
◇藤棚の下に置かれし長き椅子→ 長椅子に棚藤屑をこぼしけり
原句のママだと説明。より深く鑑賞すること
◇じぐざぐに道案内せし蝶のあと→ じぐざぐに道案内す畦の蝶
蝶のあと・・が曖昧です
◇田舎道バスの轍のかげろいて→ 田舎道バスの轍のかげろひぬ
旧仮名遣ひになれましょう。
かげろひて・・というのは連句的な表現。俳句では言い切ります
◇旅果ての駅弁買ひて春惜しむ→ 駅弁を頬ばり旅の春惜しむ
買うだけでは春惜しむ感じが出ないですね
◇たんぽぽや安曇野の田を縁取りて→ 安曇野の畦縁取りてたんぽぽ黄
この句は「や」で切ってはいけません
◇花回廊足音へ鯉寄り来たる→ わが影により来る鯉や花回廊
回廊だから足音に鯉が寄ってくる・・という説明になると常識的になります
◇目覚めたる蛙をかこむランドセル→ 穴出でし蛙をかこむランドセル
目さめる・・は説明的
◇沼風の通り径なる雪柳→ 沼風の通ひ径なる雪柳
風が通ふ路・・というほうが風情が増すと思います
◇湧き上がる如き芽吹きや大欅→ 湧き上がる如くに芽吹く大欅
この句も「や」で切ってはいけません
◇芽柳の道きて古物市の立つ→ 芽柳の道に古物市並ぶ
道来て・・は説明
春柳風のそこから生まれけり つとむ
添削> 芽柳のそこから風の生まれけり
祈祷会終はりし帰路の春の月 二青
添削> 祈祷会終へて家路へ春の月
杖つきてリハビリ励む若葉風 泰山
添削> リハビリの杖余念無き若葉風
春日傘母はそこまで買い物に 更紗
添削> 春日傘ちょっとそこまで買い物に
いくたびか水鏡打ち朝燕 たかし
添削> 湖鏡掠め掠めてつばくらめ
乳母車樹下に寄せある花筵 芙美子
休耕田ゲンゲ浄土のまま打たず 妙香
花大根塀の破れを示しけり 縄文
添削> 花大根塀の破れに覗きけり
城跡の石垣支ふ菫かな 志乃
添削> 城跡の石垣に咲く菫かな
菜園が井戸端となる春日向 多藤
添削> 菜園の井戸端会議春うらら
山路抜けうぐいす耳に残りけり つとむ
添削> 老鶯の声耳につく深山道
荒海や焔のごとき浜薊 志乃
筍の突き出る雨の切通し 一尾
添削> 筍の突き出る雨後の切通し
武蔵野は欅芽吹きの中にある 縄文
添削> 武蔵野は欅芽吹きのただ中に
菜園の仕切りとなりし豆の花 やす子
白くまの蟹股座り春暑し 秋乃
添削> 白くまの蟹股座り園暑し
朝凪の湾に散らばる浅蜊舟 光晴
散る花の舞い上がりてはたゆたへり 皐月
添削> 一陣の風に高舞ふ落花かな
一山の静かなる日や木の芽晴 東吾
どこへでも座れる服で花巡り ゆうこ
単線の分け行く春のキャベツ畑 秋乃
添削> 単線の右に左にキャベツ畑
春落葉して大楠でありにけり 志乃
添削> 大楠の水無月落葉きりもなや
海坂を駈け下りて来る春帽子 初凪
添削> 坂道を駈け下りて来る春帽子
大卯波寄せし形跡荒磯道 初凪
添削> 荒磯道ひと呑みに大卯波寄す
半島へいちにちの旅啄木忌 秋湘
添削> 小島へと一と日の旅や啄木忌
のどけしや牛の涎のとどまらず かたつむり
添削> 牧のどか牛の涎のとどまらず
澄み渡る青き空あり花吹雪 二青
添削> 筒抜けに青き空あり花吹雪
土筆摘む袋時々覗き合ひ ゆうこ
添削> 土筆摘む時々袋見せあひて
花屑を分けゆく鯉の背鰭かな 牡丹
群青の空に背伸びす春木立 羽合
添削> 群青の空へと芽木の直立す
春の海あるかなきかの雲の影 皐月
添削> 春の海一朶の雲の影も見ず
江ノ島を春の夕焼けつつむころ かたつむり
添削> 江ノ島へ傾く春の夕日かな
風紋の砂舞いゆくや浜えんどう みすず
添削> 刻々と変はる風紋浜えんどう
春疾風右往左往の風見鶏 ゆき子
添削> 風見鶏右往左往や春疾風
龍馬像を仰ぎ見てをり落花舞ふ 草根
添削> 落花舞ふ空を仰ぐは龍馬像
髪型をポニーテールに春の朝 ちやこ
添削> 髪型をポニーテールに青き踏む
春星を仰ぎ露天の湯に浸る みすず
添削> 満天の春星仰ぐ露天の湯
崖下の大波飛沫く豆の花 やす子
添削> 崖下に大波飛沫く豆の花
[選評]
今月は過去最高の投句数で約400句でした。
◇春柳風のそこから生まれけり→ 芽柳のそこから風の生まれけり
素直な言葉遣いに・・
◇祈祷会終はりし帰路の春の月→ 祈祷会終へて家路へ春の月
ことばのつながりを大切に・・
◇杖つきてリハビリ励む若葉風→ リハビリの杖余念無き若葉風
説明調を添削しました。
◇春日傘母はそこまで買い物に→ 春日傘ちょっとそこまで買い物に
母は・・は不要
◇いくたびか水鏡打ち朝燕→ 湖鏡掠め掠めてつばくらめ
湖鏡(うみかがみ)と読みます。
◇花大根塀の破れを示しけり→ 花大根塀の破れに覗きけり
良いところをとらえました。理屈が勝たないように・・
◇城跡の石垣支ふ菫かな→ 城跡の石垣に咲く菫かな
これも同様。盤石な石垣から可憐なスミレが覗いている対比だけで十分。
◇菜園が井戸端となる春日向→ 菜園の井戸端会議春うらら
井戸端会議といわなければ通じません。
◇山路抜けうぐいす耳に残りけり→ 老鶯の声耳につく深山道
説明調を添削しました。
◇筍の突き出る雨の切通し→ 筍の突き出る雨後の切通し
雨後の筍・・が面白いでしょうね。
◇武蔵野は欅芽吹きの中にある→ 武蔵野は欅芽吹きのただ中に
ある・・は不要
◇白くまの蟹股座り春暑し→ 白くまの蟹股座り園暑し
動物園であることを定義しないとおかしな句になります。
◇散る花の舞い上がりてはたゆたへり→ 一陣の風に高舞ふ落花かな
説明調を添削しました。
◇単線の分け行く春のキャベツ畑→ 単線の右に左にキャベツ畑
春キャベツ??
◇春落葉して大楠でありにけり→ 大楠の水無月落葉きりもなや
原句だとやや季語が動きます。
◇海坂を駈け下りて来る春帽子→ 坂道を駈け下りて来る春帽子
「海坂」は海への坂の意味ではなく、高所から見下ろした海の様子に使います。
◇大卯波寄せし形跡荒磯道→ 荒磯道ひと呑みに大卯波寄す
寄せし形跡・・はわかりにくいですね。もっと大胆に・・
◇半島へいちにちの旅啄木忌→ 小島へと一と日の旅や啄木忌
「半島」では句意あいまいです。
◇のどけしや牛の涎のとどまらず→ 牧のどか牛の涎のとどまらず
場所が不明
◇澄み渡る青き空あり花吹雪→ 筒抜けに青き空あり花吹雪
澄む・・は秋の表現
◇土筆摘む袋時々覗き合ひ→ 土筆摘む時々袋見せあひて
覗きあう→見せあう。仲の良い様にしてみました。
◇群青の空に背伸びす春木立→ 群青の空へと芽木の直立す
背伸びは主観勝ち、できるだけ客観的に・・
◇春の海あるかなきかの雲の影→ 春の海一朶の雲の影も見ず
あるかなきか・・は説明的です。
◇江ノ島を春の夕焼けつつむころ→ 江ノ島へ傾く春の夕日かな
素直な写生を・・
◇風紋の砂舞いゆくや浜えんどう→ 刻々と変はる風紋浜えんどう
舞ひゆく・・は抽象的。
◇春疾風右往左往の風見鶏→ 風見鶏右往左往や春疾風
答えは後から言います。
◇龍馬像を仰ぎ見てをり落花舞ふ→ 落花舞ふ空を仰ぐは龍馬像
落花を仰いでいるように写生します。
◇髪型をポニーテールに春の朝→ 髪型をポニーテールに青き踏む
「春の朝」はやや動きます。
◇春星を仰ぎ露天の湯に浸る→ 満天の春星仰ぐ露天の湯
星を仰げば浸るは不要
◇崖下の大波飛沫く豆の花→ 崖下に大波飛沫く豆の花
作者の位置を明確にします。
原句では崖下にいてそこに豆の花が咲いている・・ようにも解せますね。
白昼の賽銭箱を春蚊出づ 志乃
引潮の沖へ沖へと潮干狩 一尾
花ミモザ窓辺明るき茶房かな ゆき子
一山を桜屏風に杣の家 光晴
添削> 全山を桜屏風に一杣家
白孔雀落花に羽をひろげをり れいこ
添削> 白孔雀桜吹雪に羽ひろげ
人おらぬテニスコートに花吹雪 芙美子
相槌を打って叱らる4月馬鹿 はるを
添削> 相槌を打って叱られ4月馬鹿
新しき靴が間違ひ花疲れ ゆうこ
添削> 花疲れ新しき靴間違われ
奏楽は卆壽婦人よイースター こう
添削> 奏楽は卆壽の婦人イースター
花筏川ゆるやかに広がれり 東吾
地蔵堂包むが如く山桜 妙香
花ふぶき雪のごとくに石畳 妙香
添削> 花吹雪降り積もりたる石畳
春雨の匂ひをさせて犬帰る 初凪
添削> 春雨の匂ひをつけて犬戻る
波頭白くあやなす春の闇 かたつむり
添削> 波頭白くあやなす春の海
車椅子桜吹雪の樹下に寄せ こう
花屑の底に溜りし陶器市 桑
制服は少し大きめ入学す 三十
添削> だぶだぶの制服を着て入学す
菜の花に沖つ白波見ゆるかな はるを
添削> 花菜畑越しに浦和の波白し
夕闇にさざ波のごと梨の花 れいこ
添削> 夕風にさざ波のごと梨の花
新妻のドレス引きゆく芝桜 やす子
添削> 新妻の真白きドレス芝桜
花吹雪浴びて墓前の祈りかな こう
添削> 花吹雪浴びてぬかづく墓前かな
ゾウさんの歌くり返す春帽子 志乃
土筆の子入院の子を見舞いけり 皐月
添削> 土筆もて入院の子を見舞ひけり
漕ぎ出でて近江の花を見渡せり 東吾
花楓あるかなきかの風に揺れ みすず
添削> 若楓あるかなきかの風に揺れ
葱坊主拳を高く上げしごと 三十
添削> 拳突き上げたるごとく葱坊主
緩やかに疎水をくだる花の塵 光晴
添削> 緩やかに疎水をくだる花筏
鵜河原に舟伏せてあり花吹雪 東吾
添削> 伏舟の並ぶ鵜河原花吹雪
上野やま野外礼拝春日和 清志
添削> 上野やま野外礼拝百千鳥
囀りや墓前礼拝晴れやかに みすず
添削> 囀りや墓前礼拝はじまりぬ
口数の多き下戸どち花の宴 縄文
添削> 口数の多き下戸どち花筵
春の雨やみ赤松の幹匂ふ 泰山
添削> うららかや雨後の赤松幹匂ふ
散る花を浴びて酒屋に使ひせり 光晴
添削> 散る花を浴びて酒屋へ走りけり
花屑と云ふは惜しけり箒の目 一尾
添削> 箒目の庭花屑と云うは惜し
花びらのくるくる回る手水鉢 にんじん
花の塵淵に集めて鯉の池 きみこ
添削> 花屑の吹き寄せられし鯉の池
初蝶来動物慰霊塔の辺に 志乃
連翹に雨の明るき夕べかな やす子
鞦韆や日照雨に傘のささぬまま 秋乃
添削> 鞦韆にあそびて日照雨やりすごす
[選評]
理屈の句がやや目立ちました。
初心者の俳句修行は自然写生が基本です。
成績の奮わない方は必ず添削を受けて下さい。
◇一山を桜屏風に杣の家→ 全山を桜屏風に一杣家
大きい山と小さい杣家との対比させて句柄を大きく
◇白孔雀落花に羽をひろげをり→ 白孔雀桜吹雪に羽ひろげ
落花だと大地に敷いた花のようにもとれるので・・
◇相槌を打って叱らる4月馬鹿→ 相槌を打って叱られ4月馬鹿
一字の違いですが・・
◇新しき靴が間違ひ花疲れ→ 花疲れ新しき靴間違われ
答えはあとから
◇奏楽は卆壽婦人よイースター→ 奏楽は卆壽の婦人イースター
突寿婦人・・やや言葉に無理を感じます。
◇花ふぶき雪のごとくに石畳→ 花吹雪降り積もりたる石畳
雪のごとくに・・は説明
◇春雨の匂ひをさせて犬帰る→ 春雨の匂ひをつけて犬戻る
させて・・は曖昧。戻る・・の方がいいと思います。
◇波頭白くあやなす春の闇→ 波頭白くあやなす春の海
闇では波は見えません。
◇制服は少し大きめ入学す→ だぶだぶの制服を着て入学す
少し大きめ・・は説明。具体的に・・
◇菜の花に沖つ白波見ゆるかな→ 花菜畑越しに浦和の波白し
見えるは不要
◇夕闇にさざ波のごと梨の花→ 夕風にさざ波のごと梨の花
風が欲しいです。
◇新妻のドレス引きゆく芝桜→ 新妻の真白きドレス芝桜
引き行く・・は説明
◇花吹雪浴びて墓前の祈りかな→ 花吹雪浴びてぬかづく墓前かな
具体的に
◇土筆の子入院の子を見舞いけり→ 土筆もて入院の子を見舞ひけり
土筆の子・・は無理な言葉
◇花楓あるかなきかの風に揺れ→ 若楓あるかなきかの風に揺れ
若楓のほうが風にあうと思います。
◇葱坊主拳を高く上げしごと→ 拳突き上げたるごとく葱坊主
高く・・はやや大げさ。突き上げる・・でより具体的に
◇緩やかに疎水をくだる花の塵→ 緩やかに疎水をくだる花筏
こうゆうときに「花筏」をつかいます。
◇鵜河原に舟伏せてあり花吹雪→ 伏舟の並ぶ鵜河原花吹雪
やや説明調なのを写生風に添削しました。
◇上野やま野外礼拝春日和→ 上野やま野外礼拝百千鳥
動かない季語をもってきます。
◇囀りや墓前礼拝晴れやかに→ 囀りや墓前礼拝はじまりぬ
晴れやかに・・は抽象的
◇口数の多き下戸どち花の宴→ 口数の多き下戸どち花筵
花筵とするほうが、具体的に見えてきますね。
◇春の雨やみ赤松の幹匂ふ→ うららかや雨後の赤松幹匂ふ
季語が動かないように
◇散る花を浴びて酒屋に使ひせり→ 散る花を浴びて酒屋へ走りけり
使いせり・・は説明
◇花屑と云ふは惜しけり箒の目→ 箒目の庭花屑と云うは惜し
箒の目・・だけでは庭が見えてきません。
◇花の塵淵に集めて鯉の池→ 花屑の吹き寄せられし鯉の池
より具体的に
◇鞦韆や日照雨に傘のささぬまま→ 鞦韆にあそびて日照雨やりすごす
雨と傘では憑きすぎ
うららかや人語に犬の耳動く 芙美子
書道塾花見の席と早変わり 妙香
添削> 書道塾花見座敷となりにけり
一陣の風に走るや花の塵 みすず
添削> 一陣の風に駆け出す花の塵
シャベルカー自由自在の川普請 みすず
添削> シャベルカー右往左往す川普請
芽柳の池のほとりを歩みけり 皐月
添削> 芽柳の匂ふ池塘をたもとほり
花冷えや捻挫の足の重たくて みすず
添削> 花疲れ捻挫の足をひきずりて
遠足の顔の張り付くモノレール 初凪
花冷えの檻にゴリラの不貞寝かな 皐月
添削> 花冷えの檻に不貞寝のゴリラかな
村はずれ伝え話しのさくら咲く にんじん
添削> この村の伝説の大桜咲く
散る花に皇子の木馬の走らんか れいこ
添削> 駈けんとす木馬の皇子に花吹雪
芽吹風清涼殿の戸を開く れいこ
添削> 戸を開けし清涼殿へ木の芽風
春雷や遠眼差しの西郷像 初凪
海へ行く道まっすぐや風光る 三十
添削> 海坂へ道まっすぐや風光る
降る花にゴリラの上目づかいかな 志乃
添削> 降る花を上目づかいに見るゴリラ
春昼の手枕で寝るゴリラかな 秋乃
ランナーの襷に止まず花吹雪 芙美子
添削> 駅伝のランナーの背に花吹雪
夕暮れにまだ間のありし山桜 皐月
春雷のひと鳴り池のさざ波す 志乃
添削> 春雷の一喝に池さざ波す
夕焼けに染まり行くなか雪柳 一尾
添削> 夕茜して雪柳染めにけり
蔀戸の開かる小御所芽吹風 れいこ
添削> 蔀戸の開かるる御所木の芽風
落椿裏参道を綴りけり 青々
ゆっくりと大観覧車花の上 きみこ
じゅうたんのごと道に敷く落花かな 牡丹
パンダ舎に主は在らず花万朶 縄文
添削> パンダ舎の主は不在花万朶
春の土象の背中に乾きけり 志乃
添削> 春の泥象の背中に乾きをり
畦の蝶吾を導くごとく舞ふ 青々
添削> 畦の蝶吾をいざなふごとく舞ふ
鶯の声に目覚める古都の朝 つとむ
添削> 鶯の声に目覚むる古都の旅
花吹雪鳳凰堂にひろがれり 東吾
バス停のベンチ分け合ふ花の客 更紗
添削> バス停のベンチ満員花の客
花筵親子三代顔揃ひ 更紗
添削> 花筵親子三代勢揃ひ
溝川に春のめだかの影走る たかし
添削> 溝川にめだかの影の走りけり
春嵐ちぎれ風船天に入る やす子
添削> 春嵐ちぎれ風船天に消ゆ
漣にきらめき踊る花筏 牡丹
添削> 漣にきらめき躍る花筏
青空にせり上がりたる初桜 東吾
添削> 青空にせり上がりたる山桜
ペンギンのプール埋めきり花筏 光晴
添削> ペンギンのプールを埋む落花かな
驟雨きて花見の陣取り散しをり 光晴
添削> 驟雨きて花見の陣を乱しけり
やむことのなく神苑の落花急 牡丹
菜の花の黄に薄れゆく夕日かな 茂羽
添削> 夕日落つ花菜畑の黄の薄れ
天蓋の桜しだれて戦きぬ かたつむり
添削> 天蓋のごとく枝垂るる大桜
友逝きぬ白もくれんの咲きしころ 皐月
天窓に桜溢るる搾乳舎 れいこ
[選評]
添削句について簡単に説明します。
◇書道塾花見の席と早変わり→ 書道塾花見座敷となりにけり
早変わり・・は理屈。
◇一陣の風に走るや花の塵→ 一陣の風に駆け出す花の塵
句を強くするために、瞬間写生を意識しましょう。
◇シャベルカー自由自在の川普請→ シャベルカー右往左往す川普請
自由自在ということばは抽象的。
◇芽柳の池のほとりを歩みけり→ 芽柳の匂ふ池塘をたもとほり
池塘(ちとう):池堤のことです。たもとほる:いったりきたりすること。
◇花冷えや捻挫の足の重たくて→ 花疲れ捻挫の足をひきずりて
的確な季語に推敲します。
◇花冷えの檻にゴリラの不貞寝かな→ 花冷えの檻に不貞寝のゴリラかな
焦点をゴリラに
◇村はずれ伝え話しのさくら咲く→ この村の伝説の老桜咲く
伝説というからには大きい老桜なんでしょうね。
◇散る花に皇子の木馬の走らんか→ 駈けんとす木馬の皇子に花吹雪
花が風で斜めに降るので、いかにも走り出すように見えるのです。
◇芽吹風清涼殿の戸を開く→ 戸を開けし清涼殿へ木の芽風
芽吹風というと木の芽風より少し早い時期の感じです。芽吹いている方がいいでしょう。
◇海へ行く道まっすぐや風光る→ 海坂へ道まっすぐや風光る
行く・・は不要。海坂という言葉があります。シンプルでいい句出すね。
◇降る花にゴリラの上目づかいかな→ 降る花を上目づかいに見るゴリラ
原句のままでもよかったかな?
◇ランナーの襷に止まず花吹雪→ 駅伝のランナーの背に花吹雪
襷に・・というのはちょっと無理。何のランナーかも具体的に。
◇春雷のひと鳴り池のさざ波す→ 春雷の一喝に池さざ波す
雷は神さまなので一喝として力強さを図りました。
◇夕焼けに染まり行くなか雪柳→ 夕茜して雪柳染めにけり
夕焼けでもいいですが、季語として働くのを避ける意味で夕茜にしました。
◇蔀戸の開かる小御所芽吹風→ 蔀戸の開かるる御所木の芽風
窮屈なことば遣いを推敲しました。ここも木の芽風のほうがいいです。
◇パンダ舎に主は在らず花万朶→ パンダ舎の主は不在花万朶
うまく材料をとらえました。
パンダ舎そのものが主役にならないようにことばのあしらいを工夫しました。
◇春の土象の背中に乾きけり→ 春の泥象の背中に乾きをり
アフリカに春はあるの?という声も聞こえそうですが、動物園の句として採りました。
◇畦の蝶吾を導くごとく舞ふ→ 畦の蝶吾をいざなふごとく舞ふ
いざなふ・・のほうが蝶の雰囲気ですね。
◇鶯の声に目覚める古都の朝→ 鶯の声に目覚むる古都の旅
目覚むる・・があるので朝は不要。旅としたら具体的な雰囲気が出てきます。
◇バス停のベンチ分け合ふ花の客→ バス停のベンチ満員花の客
分け合う・・はやや説明的。
◇花筵親子三代顔揃ひ→ 花筵親子三代勢揃ひ
勢揃ひ・・のほうが適切だと思います。
◇溝川に春のめだかの影走る→ 溝川にめだかの影の走りけり
春は不要。
◇春嵐ちぎれ風船天に入る→ 春嵐ちぎれ風船天に消ゆ
天に入る・・天に消えるというほうが素直でしょうね。
◇漣にきらめき踊る花筏→ 漣にきらめき躍る花筏
漢字は正しく使うように注意。踊る・・は季語ですね。
◇青空にせり上がりたる初桜→ 青空にせり上がりたる山桜
初桜・・が引っかかったので、山桜として大きさを出しました。
◇ペンギンのプール埋めきり花筏→ ペンギンのプールを埋む落花かな
通常は川などで流れている状態でないと花筏とは言いません。
◇驟雨きて花見の陣取り散しをり→ 驟雨きて花見の陣を乱しけり
進行形写生ではなく瞬間写生を・・
◇菜の花の黄に薄れゆく夕日かな→ 夕日落つ花菜畑の黄の薄れ
夕日が薄れ行くのはおかしいです。
◇天蓋の桜しだれて戦きぬ→ 天蓋のごとく枝垂るる大桜
戦きぬ・・が意味不明。天蓋のようだ感じたらそれだけを強調しましょう。
職安に人溢れをり柳の芽 草根
添削> 職安に溢るる人や柳の芽
初蝶の縺れ合ひつつ空に消ゆ みすず
添削> 蝶縺れ合ひつつ空に消えにけり
春の瀬や飛沫あげつつ鯉群れり みすず
添削> 春の瀬に飛沫あげつつ鯉群るる
トンネルの合間にまぶし春の海 羽合
添削> トンネルを出でて展けし春の海
タンカーの動かざるごと春の海 初凪
添削> タンカーの動くともなく沖うらら
空の青深まりてきし蝌蚪の国 芙美子
添削> 斯く深き空の青さよ蝌蚪の国
久闊の友誘ひて野に遊ぶ 二青
添削> 久闊の友をさそひて野に遊ぶ
野文楽舞台広しと囀れり 東吾
闘病の春障子けふ開けてあり 初凪
添削> 闘病の春障子けふ開ゐてをり
野の仏を囲みてやさし花菫 きみこ
添削> 野仏をとり囲みたる花菫
菜の花や日照雨に出遭い墓の丘 芙美子
添削> 日照雨いま菜の花畑よぎりけり
春昼や続く欠伸が手にあふれ ゆうこ
添削> 春昼や続く欠伸に手が遅れ
流氷の軋みて割けし海暗し 光晴
添削> 流氷の軋みやまざる海暗し
生涯を神に仕へて暖かし 二青
添削> 生涯を神に捧げて暖かし
山茱萸線香花火の如開く きみこ
菜の花にみずうみの風移りけり 東吾
添削> 湖の風花菜畑へ通ひけり
山峡のトロッコ駅に風光る 一尾
添削> 峡走るトロッコ列車風光る
無縁墓樒の花の真っ盛り れいこ
柳芽を映して水面のどかなリ 妙香
添削> 柳芽の垂れて水面に触れんとす
シャボン玉吹けば童の顔になり 初凪
春一番永田町を吹き清む 光晴
添削> 春一番永田町をば吹き荒るる
摩周湖の晴れて冬芽の輝けり 光晴
鉄骨を吊り啓蟄の地に降ろす 東吾
トンネルを抜けて春日に目をつむる ゆうこ
添削> トンネルを出てめつぶしの春日かな
成績のふるわない方は必ず添削指導を受けて下さい。
産院の受け付けに笑む雛飾り ゆうこ
添削> 産院の受け付けに笑む雛かな
青空へ歓喜の合唱白木蓮 桑
添削> 歓喜するごと白れんの咲き揃ふ
凍て尽きし湖に走るは雲の影 光晴
添削> 凍て尽きし湖をさ走る雲の影
種選む一升壜を取り出して 東吾
雨雫はじき返せり猫柳 やす子
野遊びに浮かれて走りまわる犬 ちやこ
揚雲雀真っ直ぐ下に声落とす きみこ
人の手に渡りし屋敷辛夷咲く たかし
菜の花を咲かせて杣の村閑か きみこ
ひと隅に紫撒ける仏の座 れいこ
添削> 一隅に紫撒くは仏の座
長閑しや星占いのよく当たり 初凪
求人誌積まれてをりし春炬燵 初凪
添削> 求人誌堆く積む春炬燵
雪吊の解かれし松の空青し 多藤
春コートポケットにある五円玉 縄文
添削> 五円玉ポケットにある春コート
桜餅山路にひさぐたすき掛け 志乃
添削> 茶屋あるじ緋襷なりし桜餅
遠来の友を誘ひて野に遊ぶ 二青
添削> 久闊の友を誘ひて野に遊ぶ
げんげ田にのたうちたれど誰も居ず たかし
添削> げんげ田にのたうちたれど誰も来ず
巣燕や石積み高き輪中蔵 東吾
夕風に花菜明かりの揺るるかな みすず
添削> 夕風に黄の揺れやまず花菜畑
展望台おちこちの梅今盛り 妙香
添削> 展望台盛りの梅を一望す
苗札に和名書き添ふ西洋種 一尾
卵に目描けば雛になりにけり ゆうこ
添削> 眉目描かれて雛となる卵
そよ風に吹かれしままや糸桜 やす子
添削> そよ風に吹かれ縺るる糸桜
初蝶や鎮守の杜の神楽殿 芙美子
添削> 初蝶来鎮守の杜の神楽殿
轆轤場の茶碗のいびつ山笑ふ れいこ
添削> 轆轤場にいびつの茶碗山笑ふ
春昼のがらんごろんと脱水機 志乃
添削> 脱水機がらんごろんと春の昼
春霞影絵のように船進む きみこ
添削> 沖霞影絵さながら船進む
十ほどの不揃いの墓山笑う 哲
青空を悲しく見つむ目刺しかな 初凪
添削> 青空を見つむ目刺の眼かな
桃咲いて里への道を明るくす 初凪
潮風に木の香漂ふ木場の春 みすず
鉄塔を囲み土筆野広がれり 東吾
初蝶はかざす掌のうち掌のそとへ ゆう菜
添削> 初蝶来かざす掌のうち掌のそとへ
春愁や白昼灯る常夜灯 青々
永き日や声出す犬の大欠伸 芙美子
添削> 永き日や犬声出して大欠伸
風誘ふ芽吹柳でありにけり 志乃
小手毬を揺らし朝刊取り出しぬ 哲
添削> 小手毬に触れて朝刊取り出しぬ
銀鈴の空に撒いたる雲雀かな かたつむり
添削> 大空に銀鈴を振る雲雀かな
軽やかに凹む鍵盤初つばめ 秋湘
添削> 軽やかに凹む鍵盤つばめ来る
春障子小鳥の陰の跳ねにけり やす子
添削> 春障子小鳥の影の跳ねにけり
山肌に馬耕のあげし土けむり れいこ
添削> 山裾に耕馬のあげし土けむり
春光の角度に合わす樽の底 志乃
添削> 春の日の角度に合はす樽の底
隧道に歌をうたえり木の芽山 志乃
添削> 隧道に歌へばひびく木の芽山
ただ無為に佇みをりし春の土堤 青々
夕方は合図の如く椿落つ 東吾
添削> 夕暮の合図の如く椿落つ
岬過ぎまた岬見る春の旅 初凪
添削> 岬から岬へ春の船の旅
啓蟄や声掛け合える測量士 芙美子
添削> 啓蟄や声飛ばし合ふ測量士
摘草の小さき手にある名なし草 秋乃
添削> 野遊びや幼な手にある名なし草
一心に伝ひ始めし吾子の春 れいこ
お品書き筆でしたため雛の膳 ゆうこ
添削> お品書き達筆なりし雛の膳
[選評]
添削させていただいた作品の一部について補足しておきます。
◇産院の受け付けに笑む雛飾り→ 産院の受け付けに笑む雛かな
雛飾りではなくて雛(ひひな)が笑むのですよね。
◇青空へ歓喜の合唱白木蓮→ 歓喜するごと白れんの咲き揃ふ
合唱は言い過ぎです。
◇春コートポケットにある五円玉→ 五円玉ポケットにある春コート
原句の焦点は五円玉になります。季感に焦点を持ってくるのが基本。
◇桜餅山路にひさぐたすき掛け→ 茶屋あるじ緋襷なりし桜餅
句が弱くなるので焦点がぼけないように。
◇夕風に花菜明かりの揺るるかな→ 夕風に黄の揺れやまず花菜畑
夕べの花菜明かりは少し矛盾します。
◇青空を悲しく見つむ目刺しかな→ 青空を見つむ目刺の眼かな
悲しくは不要。
◇轆轤場の茶碗のいびつ山笑ふ→ 轆轤場にいびつの茶碗山笑ふ
素直なことばのつながりにした方がいいです。
◇春昼のがらんごろんと脱水機→ 脱水機がらんごろんと春の昼
春昼の位置をかえました。
◇春霞影絵のように船進む→ 沖霞影絵さながら船進む
作者の位置がわかるように・・・
◇銀鈴の空に撒いたる雲雀かな→ 大空に銀鈴を振る雲雀かな
比喩が飛躍しすぎないように。
◇春光の角度に合わす樽の底→ 春の日の角度に合はす樽の底
春光は春の風光の意として使われるケースが多いです。
厳密には、春光=春日ではありません。誰でも間違いやすいので注意!
◇隧道に歌をうたえり木の芽山→ 隧道に歌へばひびく木の芽山
隧道にこだましているのですが、山に響いているようにも感じさせると
季語が動きません。今週一番の作品です。(*^。^*)
◇岬過ぎまた岬見る春の旅→ 岬から岬へ春の船の旅
作者の位置が不明。
◇啓蟄や声掛け合える測量士→ 啓蟄や声飛ばし合ふ測量士
測量している場所の広さを感じさせるように添削しました。
◇摘草の小さき手にある名なし草→ 野遊びや幼な手にある名なし草
草という字がだぶらないようにしたほうが良いです。
◇お品書き筆でしたため雛の膳→ お品書き達筆なりし雛の膳
もう一歩突っ込んで写生するとより具体的で佳句に変身します。
教会の庭を囲みて花菫 二青
添削> 教会の庭を埋めし花菫
春日いまさざ波を揉む川面かな 青々
三輪車ベルを鳴らして花菜風 更紗
添削> 三輪車ベルを鳴らして花菜畑
馬具小屋の工具磨かれ卒業す やす子
非常ベルまた誤作動の春の昼 初凪
添削> 春昼の非常ベルまた誤動作す
蟻穴を出て宅地は分譲中 縄文
添削> 蟻穴を出でし宅地は分譲中
全身でウォークマンを聴く春日向 羽合
添削> 全身でウォークマン聴く春の人
山鳩の鳴きて静まる竹の秋 みすず
添削> 山鳩のそぞろに鳴くや竹の秋
湧水を賜る池や百千鳥 羽合
添削> 湧水の絶えざる池や百千鳥
口あけて白木蓮を見上げけり 志乃
添削> 口あけて白木蓮を立ち仰ぐ
暁の行灯ゆらぐ白魚舟 たかし
神木と競ふ幟の午祭り 青々
添削> 神木を凌ぐ幟や午祭り
啓蟄や開け放たれし牧草舎 れいこ
啓蟄や集乳缶の音高く れいこ
添削> 啓蟄や搾乳缶の音高く
原木の波間にきしむ木場の春 みすず
添削> 原木のきしみあふ音木場の春
休耕田なずなの花の野となりぬ 志乃
病院の混んで啓蟄過ごしけり ゆうこ
添削> 啓蟄の日の病院の混みにけり
春の風大きくペダル踏む朝 初凪
添削> 春風裡大きくペダル踏みにけり
さざ波にただよふ雛背を正し れいこ
添削> さざ波に雛は背なを正しけり
朱の橋を渡りて花菜明かりかな みすず
添削> 太鼓橋わたれば花菜明かりあり
啓蟄の土に広げり測量図 東吾
添削> 啓蟄の土に広げし測量図
菜の花の岬みあげて舵をきる かたつむり
添削> 菜の花の岬めざして舵をとる
春疾風白バイ隊の列なして 縄文
添削> 隊伍なし走る白バイ春疾風
あおあおと京菜を盛れる白磁かな 初凪
添削> 堆く京菜を盛れる白磁皿
寒戻りひねもす碁など打ちゐたり 牡丹
添削> 春遅しひとり碁などを打ちゐたり
春の浜干さるる魚の光りたり みすず
添削> 春の浜干さるる魚の光りをり
茎立ちの花あしらヘリ夕餉かな やす子
添削> 茎立ちの花を添へある夕餉膳
遠目なる菜の花明かり浜離宮 牡丹
古代雛亡き母に似る目鼻立ち ゆき子
添削> 目鼻立ち亡き母に似し古雛
菜の花や洗濯物の影映す かたつむり
添削> 花菜畑洗濯物の影揺るる
矢場の的まだ傷つかず春隣 東吾
添削> 春隣矢場の的は無垢のまま
春泥の轍をよぎる轍かな 志乃
花の種入れて封する手紙かな 志乃
添削> 花種を入れて存問の手紙出す
閼伽桶の底に梅蘂降り溜まり 志乃
添削> 閼伽桶の底に降り積む梅の蘂 - 2002/03/02
記念樹の土をへこませ春の雨 ゆうこ
添削> 記念樹の盛土をたたく春の雨
春光の弾けてフリーマーケット 東吾
添削> フリーマーケット広場に風光る
天平の丸顔ばかり雛の間 東吾
添削> 天平の丸顔並ぶ雛の間
家を出でし子の古雛守りをり 竹子
添削> 嫁ぎ娘の残せし雛をまもりけり
朗々と法話洩れ来る春障子 初凪
添削> 朗々と読経の洩るる春障子
色褪せし衣を繕う内裏雛 芙美子
添削> 色褪せし衣を繕ふ古雛
防犯のカメラに外すマスクかな 志乃
添削> 防犯カメラ思はずマスク外しけり
歳時記のページ弾ませ春の風 秋湘
添削> 歳時記のページ繰りをる春の風
子の遊ぶボールの行方春の池 妙香
添削> 子の遊ぶボールの行方草萌ゆる
銀婚の記念写真に山笑ふ 初凪
添削> 笑ふ山背にして記念写真撮る
朝靄の棹繰る影や布刈舟 かたつむり
添削> 朝靄に棹繰る影は布刈舟
立ち寄りし水琴窟の音の春 にんじん
添削> 訪へば水琴窟の楽は春
風邪治り途端忙し家事のつけ ゆうこ
添削> 風邪癒ゆる間もなく家事に追はれけり
百草の野にひざまずき蓬摘む 志乃
初雷に窯焚き神事始まりぬ やす子
添削> 初雷や窯焚き神事始まりぬ
[選評]
わたくしごとながらここ数日時間がとれず、取り急ぎ「みのる選」
のみ発表します。
今週は理屈、観念の作品が多いのが気になりました。
ゴスペル俳句の目指している方向をご理解いただいて励んで頂きたいと願います。
成績の悪い方は必ず添削指導を受けて下さい。
春の雲流れてビルのガラス窓 きみこ
添削> 総玻璃のビルの壁面春の雲
一句添え四温の便り届きけり 青々
峽の里山茱萸の黄の暮れのこる れいこ
添削> 山茱萸の黄の暮れのこる峽の里
紙雛の顔どことなし吾子に似せ ゆうこ
添削> 紙雛吾子の眉目に似せて描く
うららかや足踏みミシンの音軽く みすず
添削> うららかや足踏みミシン音軽し
荒積みの石に座りて山火守る 東吾
淀川のよどみなき流れ春匂う 妙香
添削> よどみなき大河の流れ春匂ふ
年輪にチョークの白や木場の春 東吾
春月の土手に上れば川匂ふ 初凪
誰も居ぬ春野で大きマイウェイ 桑
添削> マイウェイ唄ひつつゆく春野かな
ひもすがら和む陽射しの春障子 青々
山峡に広がる花菜明かりかな みすず
添削> 山峡を埋める花菜明かりかな
芽柳の黄金の御簾の煌めける 草根
添削> 芽柳の黄金の御簾めきにけり
壷焼きのつぶやきながら匂ひけり れいこ
添削> 壷焼きのつぶやきに似し泡かな
釣糸の動くを見るや日永かな ゆう菜
添削> 釣竿の動くともなき日永かな
春霜や甍に鱗粉舞ふ如く ゆう菜
添削> 霜降りの甍鱗のごときかな
野焼きの火いっきに猛り走りたる やす子
添削> と見る間に一気がけする野焼きの火
春光やなにするとなく庭へ出て 志乃
添削> なにするとなく春光の庭に立つ
大仏の歩き出しさう春の風 秋湘
添削> 大仏の歩き出しさう春日和
山茱萸の黄に埋もれし一軒家 れいこ
添削> 山茱萸の黄に埋もれたる一山家
春風にシートはためく地鎮祭 縄文
添削> 春風にふくらむ幕や地鎮祭
永き日や眼鏡外して欠伸かな ゆう菜
添削> 永き日や眼鏡外して大欠伸
垣根越ししだれて梅の匂ひけり 牡丹
雪晴れや飛騨の陣屋の長梯子 東吾
大空にとどまる鳶や里は春 寅
添削> 高空に黒一点や春の鳶
朝日受く順にほころぶ梅の花 縄文
添削> 真っ先に南枝の梅のほころびぬ
琴の音をBGMや梅日和 牡丹
添削> 琴の音をBGMや梅の山
四つ手網あげて輝く春の水 寅
永き日の丹念に拭くガラスかな 寅
添削> 永き日の丹念に拭く窓ガラス
羽衣の如にたなひく春の雲 光晴
添削> 羽衣に似し一刷の春の雲
紅梅やかんぬき太き屋敷門 みすず
土に差す鎌と大根畑かな 東吾
春遅々とケーブルカーのすれ違ひ 光晴
添削> すれ違ふ空らのゴンドラ春遅し
海からの風来て遊ぶ花菜畑 きみこ
太陽のごとき妻ゐて春の家 草根
添削> 太陽のごとき妻ゐて家の春
光琳の紅梅ひよの声優し 竹子
添削> 光琳の紅梅として芳しき
棟上や東風にはためく祝幕 志乃
梅の香に三の鳥居をくぐりけり みすず
添削> 梅が香に三の鳥居をくぐりけり
春炬燵広げしままの旅の本 やす子
添削> 旅の本うちひろげたる春炬燵
水鳥に餌を打ち遊ぶ日向かな 東吾
春光や能楽殿の太柱 志乃
陽をうけて波に白々浮寝鳥 ちやこ
添削> 陽射すとき波に煌く浮寝鳥
[今週の秀逸]
一句添え四温の便り届きけり 青々
釣竿の動くともなき日永かな ゆう菜
うららかや足踏みミシン音軽し みすず
年輪にチョークの白や木場の春 東吾
紅梅やかんぬき太き屋敷門 みすず
海からの風来て遊ぶ花菜畑 きみこ
太陽のごとき妻ゐて春の家 草根
旅の本うちひろげたる春炬燵 やす子
[選評]
◇春の雲流れてビルのガラス窓→ 総玻璃のビルの壁面春の雲
ガラス面の大きさを表現すると季語が活きてきます。
◇峽の里山茱萸の黄の暮れのこる→ 山茱萸の黄の暮れのこる峽の里
体言止にするほうが句が落ち着きます。
◇紙雛の顔どことなし吾子に似せ→ 紙雛吾子の眉目に似せて描く
どことなし・・は曖昧です。添削句では紙雛(かみびいな)と読みます。
◇うららかや足踏みミシンの音軽く→ うららかや足踏みミシン音軽し
語調を整えます。
◇淀川のよどみなき流れ春匂う→ よどみなき大河の流れ春匂ふ
淀川でなくてもいいいですね。
◇誰も居ぬ春野で大きマイウェイ→ マイウェイ唄ひつつゆく春野かな
誰も居ぬ・・は説明なので不要。
◇山峡に広がる花菜明かりかな→ 山峡を埋める花菜明かりかな
山峡となれば埋める、広がるのなら山麓。山峡の方が驚きがあります。
◇芽柳の黄金の御簾の煌めける→ 芽柳の黄金の御簾めきにけり
焦点がボケるので沢山言い過ぎないこと。
◇壷焼きのつぶやきながら匂ひけり→ 壷焼きのつぶやきに似し泡かな
これも言い過ぎ。泡に焦点を絞りました。
◇釣糸の動くを見るや日永かな→ 釣竿の動くともなき日永かな
季語の活きるように推敲します。
◇春霜や甍に鱗粉舞ふ如く→ 霜降りの甍鱗のごときかな
感じたことを素直に、シンプルに・・
◇野焼きの火いっきに猛り走りたる→ と見る間に一気がけする野焼きの火
できるだけ瞬間写生にまとめると勢いが増します。
◇春光やなにするとなく庭へ出て→ なにするとなく春光の庭に立つ
この場合の切れ字「や」は逆効果。ほんとうに切れてしまいます。
◇大仏の歩き出しさう春の風→ 大仏の歩き出しさう春日和
うららかな春日和のほうが適切です。
◇山茱萸の黄に埋もれし一軒家→ 山茱萸の黄に埋もれたる一山家
一山家とすれば場所が鮮明になります。
◇春風にシートはためく地鎮祭→ 春風にふくらむ幕や地鎮祭
ふくらんだほうが春風らしいですね。
◇永き日や眼鏡外して欠伸かな→ 永き日や眼鏡外して大欠伸
「や」「かな」一句に切れ字は一つまで。
◇大空にとどまる鳶や里は春→ 高空に黒一点や春の鳶
上と下とを同時に詠むのは無理があります。どちらかに焦点を・・
◇朝日受く順にほころぶ梅の花→ 真っ先に南枝の梅のほころびぬ
原句は理屈的ですね。直感を大切にします。
◇琴の音をBGMや梅日和→ 琴の音をBGMや梅の山
梅の山として場所を具体化します。
◇永き日の丹念に拭くガラスかな→ 永き日の丹念に拭く窓ガラス
ガラスだけでは曖昧です。
◇羽衣の如にたなひく春の雲→ 羽衣に似し一刷の春の雲
青空に一つだけのほうが羽衣の感じが出ると思います。
◇春遅々とケーブルカーのすれ違ひ→ すれ違ふ空らのゴンドラ春遅し
原句は季語が動きます。
◇太陽のごとき妻ゐて春の家→ 太陽のごとき妻ゐて家の春
春の家は季語として無理。「家の春」はお正月の季語になります。
◇光琳の紅梅ひよの声優し→ 光琳の紅梅として芳しき
光琳の梅に焦点を絞りましょう。
◇梅の香に三の鳥居をくぐりけり→ 梅が香に三の鳥居をくぐりけり
梅の香と言う言い方が悪いと言うことではありません。
梅が香に・・と言う言い方が定番のようになっているので違和感がないと思います。
◇春炬燵広げしままの旅の本→ 旅の本うちひろげたる春炬燵
いま、広げてる方が力強いです。
◇陽をうけて波に白々浮寝鳥→ 陽射すとき波に煌く浮寝鳥
これも瞬間写生にするとさらによくなりますね。
浜の日を燻らせをり白子干し 小悟
万歩計腰にありけり春炬燵 草根
しばらくは近道となる野焼き跡 一尾
寒雀投網打つごと地に戻る 東吾
添削> 投網打つごと地に戻る寒雀
あたたかや母になる子の息遣ひ 寅
添削> あたたかや母になる娘の息遣ひ
古雛に老衰なきを哀しめり 小悟
添削> 老衰といふものはなし古雛
大鷲の鋭声に春日翳りけり れいこ
這い初めし子の突進す雛の段 初凪
突然の闇夜を裂きし猫の恋 二青
恋猫のまっさかさまに塀を落つ 秋湘
寒風に研ぎすまされし三日月 きみこ
添削> 寒風に研ぎすまされし匕首の月
神木の雪解水なる五十鈴川 ゆうこ
膝ならべ夕日に染めしシャボン玉 かたつむり
添削> 膝ならべ夕日に吹きしシャボン玉
年ふりし雛には古き物語 寅
添削> 年古りし雛にまつはる物語
畠毎に野焼の煙立ち昇り ちやこ
添削> 立ち昇る田ごとの野焼煙かな
春光やグラスキリリと磨き上ぐ 初凪
添削> 春光にかざしてグラス磨き上ぐ
春霞見知らぬ人の遠会釈 縄文
探梅の手話の指先よく動く 皐月
かたはらに鍬の乾ける冬菜畑 東吾
窯出しの壷に湯気立つ春の雨 小悟
爆音に機影は見えず朧月 縄文
添削> 音すれど機影は見えず月朧
たわたわと春の寄りくる貯水場 東吾
添削> たわたわと春を湛へし貯水場
空缶の焦げて転がる焼野かな 一尾
添削> 空缶の焦げて転がる野焼跡
春の陽に背を押されつつ試歩の杖 青々
棟梁の声の降りくる木の芽晴 志乃
発進にバスの屋根より雪くずれ ゆうこ
添削> 発進のバスの屋根より雪落つる
[今週の秀逸]
老衰といふものはなし古雛 小悟
寒風に研ぎすまされし匕首の月 きみこ
年古りし雛にまつはる物語 寅
春光にかざしてグラス磨き上ぐ 初凪
かたはらに鍬の乾ける冬菜畑 東吾
窯出しの壷に湯気立つ春の雨 小悟
たわたわと春を湛へし貯水場 東吾
空缶の焦げて転がる野焼跡 一尾
[選評]
◇寒雀投網打つごと地に戻る→ 投網打つごと地に戻る寒雀
答えは後から言う方がいいですね。
◇あたたかや母になる子の息遣ひ→ あたたかや母になる娘の息遣ひ
この句の場合、「娘」を使う方が情が深くなります。
◇古雛に老衰なきを哀しめり→ 老衰といふものはなし古雛
哀しめりは主観の押しつけになります。
◇寒風に研ぎすまされし3日月→ 寒風に研ぎすまされし匕首の月
匕首の月(ひしゅのつき)と読みます。あいくちのことです。
◇膝ならべ夕日に染めしシャボン玉→ 膝ならべ夕日に吹きしシャボン玉
染める・・は説明。
◇年ふりし雛には古き物語→ 年古りし雛にまつはる物語
ふりし・・と古きがだぶります。
◇畠毎に野焼の煙立ち昇り→ 立ち昇る田ごとの野焼煙かな
説明調をなおしました。
◇春光やグラスキリリと磨き上ぐ→ 春光にかざしてグラス磨き上ぐ
より具体的に・・。
◇爆音に機影は見えず朧月→ 音すれど機影見えざる朧かな
朧月というと焦点が月に絞られてひろがりがなくなります。
◇たわたわと春の寄りくる貯水場→ たわたわと春を湛へし貯水場
原句は風にうち寄せられる波を詠んだもので、湖でも池でもよいことになります。
貯水場をいかすために、「湛え」にしてみました。たわたわ・・で風に波立つ様子は
言わなくても解りますね。高度な推敲の例として取り上げました。
東吾さん、ごめんなさい。
◇空缶の焦げて転がる焼野かな→ 空缶の焦げて転がる野焼跡
野分最中なのか後なのかを明確に・・
◇発進にバスの屋根より雪くずれ→ 発進のバスの屋根より雪落つる
この場合、雪くずれ・・は中途半端な言葉です。
[あとがき]
ある程度作句の基本がつかめた方はできるだけ自力で推敲する訓練をされる方がいいのですが、
成績の思わしくない方は必ず添削を受けてください。
基本が身に付かないままいくら多作しても上達は望めません。
忙しくてもできるだけ戸外に出て吟行で作る習慣を付けてください。
考えて作る作り方は必ず壁にぶち当たります。
そして、考えて作る悪い習慣が身に付くと、それを脱却するのに時間がかかるのです。
暖かくなってきました。たがいに切磋琢磨して頑張りましょうね。
柔らかく髪撫ぜて行く春の風 きみこ
恋の猫よろよろときて水を飲む 志乃
添削> よろよろときて水を呑む猫の夫
葉牡丹の怠けはじめの芯緩ぶ 志乃
添削> 葉牡丹の呆けはじめの芯緩ぶ
春の空大福餅の留まれり かたつむり
添削> 春の空大福餅のごとき雲
跳ねるまま母に抱かれ合格子 羽合
添削> 小躍りし母に抱かるる合格子
農具小屋風を通して春を待つ 一尾
添削> 農具小屋開け早春の風入るる
紅白の幕新しき梅の茶屋 羽合
真夜中の地震にふるへる余寒かな 草根
紅梅に近づけば空真青なり 初凪
添削> うち仰ぐ紅梅の空真青なり
歩みても抜かれてばかり春の山 かたつむり
添削> 追い抜かれてもマイペース春山路
快晴の空に白梅まぶしかり 更紗
添削> 紺碧の空に白梅まぶしかり
薄氷の縁漣に揺れにけり 縄文
添削> 薄氷の縁に漣生まれけり
夜を鳴らす雪解雫の山の宿 にんじん
添削> 夜も絶えぬ雪解の音や山の宿
春風や漣立てて艀ゆく 寅
添削> 春風の漣分けて艀ゆく
たそがるる池辺に梅の匂ひけり 羽合
足跡の弾んでおりぬ春渚 初凪
休日を祝うが如く梅日和 きみこ
添削> 休日を待ってましたと梅日和
粉雪のひらひら朝の光かな 三十
添削> 粉雪のひらひら朝日まき散らし
犇めける墓地東京に日脚伸ぶ 三十
造成の進まぬままに草青む 一尾
添削> 進むとは見えぬ造成草青む
春夕焼しりとりしつつ家路かな みすず
添削> しりとりをしつつ夕焼の道戻る
合掌に似て春蘭の花芽かな 志乃
添削> 合掌に似し春蘭の花芽かな
大川を気ままに春の鴎かな 寅
添削> 大川をと行きかく行く春鴎
園児らを汲み上げ春の観覧車 小悟
藁苞に秘めし気高さ寒牡丹 光晴
添削> 藁苞を洩るる気品や寒牡丹
久闊の友のメ−ルや暖かし 二青
添削> 久闊の友の便りの暖かし
願掛けの御籤を枝に梅開花 青々
添削> 鈴なりの神籤を枝に梅開く
ひらひらと青き空より春の雪 みすず
添削> 青き空よりひらひらと春の雪
ジョギングの人陽炎が包みをり ゆう菜
添削> ジョギングの人陽炎に消えにけり
寒ガラス今日は何処や楠見上げ 妙香
添削> 高枝より吾を見下ろす寒鴉
春遅し口紅少し強く引き 縄文
添削> 春遅し口紅濃ゆく引きにけり
梅匂ふ墓の愛犬寧かれと 牡丹
梅百本匂ふ御苑の日本庭 牡丹
うららかやバス待ちきれず歩き出す 寅
添削> 歩くべしうららかなればバス待たず
暮かねる上野の山や烏鳴く 光晴
鈴なりの絵馬かたかたと東風に舞ふ 青々
添削> 鈴なりの絵馬かたかたと東風に鳴る
結び目におぼえ書きあり種袋 にんじん
春うらら蓄音機鳴る蚤の市 みすず
殉教の墓碑に真白き雪被る スダチ
添削> 雪真白殉教の碑を埋めけり
豆撒きやおまけの小さき面つけて ゆうこ
添削> 豆を撒くおでこに小さき鬼の面
[今週の秀逸]
葉牡丹の呆けはじめの芯緩ぶ 志乃
ほのぼのとした春らしさを感じます。
薄氷の縁に漣生まれけり 縄文
春を見つけた驚きがあります。
春風の漣分けて艀ゆく 寅
春風が動くようで動かない。
犇めける墓地東京に日脚伸ぶ 三十
日常的に都会に住む人には発見できない感覚。やられました。
しりとりをしつつ夕焼の道戻る みすず
メルヘンの世界です。お姉さんと弟の姿を連想してしまいました。
藁苞を洩るる気品や寒牡丹 光晴
藁苞の隙間からボタンの姿がうかがえます。
隙間から少しだけ見えているのがなお良いんですね。
鈴なりの神籤を枝に梅開く 青々
それぞれの思いで願掛けをした人々はどうなったでしょう。
結び目におぼえ書きあり種袋 にんじん
何でもないことが一句になります。
雪真白殉教の碑を埋めけり スダチ
真白という言葉を見つけたのが手柄です。
[選評]
◇恋の猫よろよろときて水を飲む→ よろよろときて水を呑む猫の夫
猫の夫としたほうがリアルです。おもしろい句ですね。
◇葉牡丹の怠けはじめの芯緩ぶ→ 葉牡丹の呆けはじめの芯緩ぶ
怠け・・はちょっと無理があります。
◇春の空大福餅の留まれり→ 春の空大福餅のごとき雲
大福が留まっては大変です。
◇跳ねるまま母に抱かれ合格子→ 小躍りし母に抱かるる合格子
より具体的に。
◇農具小屋風を通して春を待つ→ 農具小屋開け早春の風入るる
理屈を脱却しましょう。
◇紅梅に近づけば空真青なり→ うち仰ぐ紅梅の空真青なり
近づけば・・では時間が動きます。瞬間写生を!
◇歩みても抜かれてばかり春の山→ 追い抜かれてもマイペース春山路
言いたいことを明確に。
◇快晴の空に白梅まぶしかり→ 紺碧の空に白梅まぶしかり
快晴→紺碧・・より具体的に。
◇薄氷の縁漣に揺れにけり→ 薄氷の縁に漣生まれけり
せっかくの発見を報告にしないように。
◇夜を鳴らす雪解雫の山の宿→ 夜も絶えぬ雪解の音や山の宿
夜を鳴らす・・という言葉は無理。
◇春風や漣立てて艀ゆく→ 春風の漣分けて艀ゆく
写生で作るとこうなります。考えて作らないこと。
◇休日を祝うが如く梅日和→ 休日を待ってましたと梅日和
作者もお天気になることを祈っていたんですよね。
◇粉雪のひらひら朝の光かな→ 粉雪のひらひら朝日まき散らし
朝の光・・が曖昧。
◇造成の進まぬままに草青む→ 進むとは見えぬ造成草青む
理屈にならないように推敲します。
◇春夕焼しりとりしつつ家路かな→ しりとりをしつつ夕焼の道戻る
たくさんのことを言い過ぎないように。
◇合掌に似て春蘭の花芽かな→ 合掌に似し春蘭の花芽かな
似て→似し・・でしょうね。
◇大川を気ままに春の鴎かな→ 大川をと行きかく行く春鴎
気まま・・というのが具体的に連想できませんね。
◇藁苞に秘めし気高さ寒牡丹→ 藁苞を洩るる気品や寒牡丹
秘めし・・理屈。
◇久闊の友のメ−ルや暖かし→ 久闊の友の便りの暖かし
「や」で切ると季語が動きやすくなります。
◇願掛けの御籤を枝に梅開花→ 鈴なりの神籤を枝に梅開く
神籤ですから願掛けは不要。
◇ひらひらと青き空より春の雪→ 青き空よりひらひらと春の雪
ことばに違和感の生じないように推敲します。
◇ジョギングの人陽炎が包みをり→ ジョギングの人陽炎に消えにけり
走っているので消えてしまった方が絵になりますね。
でも、これは好みかもしれません。
◇寒ガラス今日は何処や楠見上げ→ 高枝より吾を見下ろす寒鴉
今日は何処や・・は理屈。
◇春遅し口紅少し強く引き→ 春遅し口紅濃ゆく引きにけり
男性の作品とは驚きました。少し強く・・は理屈。
◇うららかやバス待ちきれず歩き出す→ 歩くべしうららかなればバス待たず
待ちきれず・・ではうららかさが消えてしまいます。
◇鈴なりの絵馬かたかたと東風に舞ふ→ 鈴なりの絵馬かたかたと東風に鳴る
かたかたと舞う・・のはおかしいので、鳴るにしました。
◇殉教の墓碑に真白き雪被る→ 雪真白殉教の碑を埋めけり
真っ白な雪を強調した方がいいです。
◇豆撒きやおまけの小さき面つけて→ 豆を撒くおでこに小さき鬼の面
おまけの・・は説明。
啓蟄や園の狸の寝惚け顔 寅
添削> 春の園檻の狸の寝ぼけ顔
水温み鯉一跳ねす二跳ねす 三十
添削> 繰り返す鯉のジャンプや水温む
雷神の呵々大笑よ春近し 初凪
添削> 春雷の呵々大笑とひびきけり
春風を貫くや真っ赤なオープンカー みすず
添削> 春風を疾駆すオープンカー真っ赤
送迎のバスふくらめり梅日和 小悟
添削> 巡拝のバスふくらめり梅日和
老眼の進みし我に春浅し 二青
添削> 春愁や老眼ことに進みけり
客仏の片寄せられし春の闇 初凪
添削> 春陰に片寄せられし客仏
朝礼を囃す高みの寒鴉 初凪
添削> 朝礼を囃す高枝の寒鴉
病みし身の無念夢想に春日浴び 多藤
添削> 春日いま無念夢想のわれ包む
四五粒は妻にも触れし追儺豆 小悟
ゆったりと春雨を聴く湯浴みかな みすず
添削> 雨だれの春を奏づと聴く湯浴み
病む母の春待つ日々の良き笑顔 二青
添削> 病む母に笑顔のもどり春を待つ
春の日を満身に受け土手の道 げんた
添削> 満身に春日を浴びる川堤
雪の富士真青の天に突きぬけり 光晴
添削> 蒼天に全容見せる雪の富士
トランプを買って来りし日向ぼこ 三十
添削> 日向ぼこトランプ占いしてをりぬ
由緒書き大仏殿の春の闇 初凪
添削> 縁起読む大仏殿の春の闇
野茨に真紅の棘の芽吹きをり やす子
飛び散りて雀四温の風の中 寅
老い人の歩確かめつ春の路 哲
添削> 一歩づつ確かめ老の春散歩
伸びきっててんでに傾ぐ冬大根 みすず
下ろす足思わず止めし蕗の薹 妙香
春めくや後ろ歩きの家路の子 桑
添削> 春めくや後ろ歩きに下校の子
遠くよりわが名呼ばれぬ梅日和 東吾
盆梅の苔星霜を語るやに 縄文
添削> 盆梅の幾星霜や苔青し
寒紅を引く妻の背の老いにけり 二青
口紅で気持ちも変わる春の顔 ゆうこ
添削> 春立ちて口紅の色変へにけり
包丁をはなれたがらぬ糸菜かな 志乃
やわらかき雨に光れり名草の芽 志乃
添削> やわらかき雨に顔出す名草の芽
ストーブに煮豆つぶやく真昼かな やす子
添削> ストーブに煮豆つぶやく亭午かな
玄海の荒波高く寒明くる 二青
春の人なりて昨日の服は着ず ゆうこ
添削> 春立つ日なれば昨日の服は着ず
小走りの子について行く春の園 ゆうこ
白煙を打ちかぶりたる寒施行 やす子
添削> 香煙を打ちかぶりたる寒施行
春近し猫に相思の猫のゐて 寅
添削> 春近し猫に相思の間柄
片言は片言どうし春隣 寅
添削> 片言は片言どうし春うらら
早天の祈りを終へて鴨の海 二青
添削> 早天の祈りを終へて鴨を見る
春の空ビル窓拭く人揺れ止まず 光晴
添削> 春空を拭くごとビルの窓を拭く
弁財天おみくじ結はふ実南天 一尾
添削> 実南天あまたのみくじ結ばれて
春の雨どこが入り口東福寺 初凪
添削> 大寺のどこが入り口春の雨
緋の床机甘味処の豆火鉢 初凪
添削> 緋床几に豆火鉢おく嵯峨の茶屋
大寒のあだし野参りひざまずき やす子
句座見ゆる次庵の雪見障子より やす子
粉雪のはらりと肩に女かな 三十
添削> 粉雪の女の肩にとどまらず
板橋のよくしなひけり猫柳 きみこ
悴みて朝の川原に句を拾ふ 光晴
添削> 着膨れて朝の川原に句を拾ふ
背負ひたる闇が動けり焚火果つ 東吾
添削> 背負ひたる闇が動けり焚火燃ゆ
[今週の秀逸]
春雷の呵々大笑とひびきけり 初凪
豪快な句ですね。これは個性と見るべき・・?
包丁をはなれたがらぬ糸菜かな 志乃
身辺のものすべてに命があることを教えてくれます。
作ったのではなくて授かった句です。
春立つ日なれば昨日の服は着ず ゆうこ
男にはわからない女ごころ
春空を拭くごとビルの窓を拭く 光晴
長閑な風景でしょう。だから春が動かないのです。(^_-)v
大寺のどこが入り口春の雨 初凪
「春の雨」の季語が動くようで動かない、これがいいんです。
俳句は理屈ではない・・・んですよね。
句座見ゆる次庵の雪見障子より やす子
雪見障子隠れなので完全には見えません。
句会の様子が気になる作者の気持ちが伝わってくるでしょう。
粉雪の女の肩にとどまらず 三十
ふと、夢千代姉さんを連想してしまいました。
小説的な俳句ですね。
背負ひたる闇が動けり焚火燃ゆ 東吾
自然写生の訓練を重ねることで見えないものが見えてくる。
[選評]
◇啓蟄や園の狸の寝惚け顔→ 春の園檻の狸の寝惚け顔
園に狸が出没するとは思えないので・・
◇水温み鯉一跳ねす二跳ねす→ 繰り返す鯉のジャンプや水温む
水温み・・と上五を詠むと、原因→結果となって説明
繰り返す鯉のジャンプを見て春の到来を感じる・・のが感動
◇雷神の呵々大笑よ春近し→ 春雷の呵々大笑とひびきけり
春近し・・は説明になります。
◇春風を貫くや真っ赤なオープンカー→ 春風を疾駆すオープンカー真っ赤
できるだけ破調をさけて推敲します。
◇送迎のバスふくらめり梅日和→ 巡拝のバスふくらめり梅日和
何の送迎なのかわかるようでわかりにくいです。
◇老眼の進みし我に春浅し→ 春愁や老眼ことに進みけり
春浅し・・だと季語が動きます。
◇客仏の片寄せられし春の闇→ 春陰に片寄せられし客仏
焦点は「片寄せられし客仏」にした方がいいですね。
◇朝礼を囃す高みの寒鴉→ 朝礼を囃す高枝の寒鴉
高み・・では鴉の姿が見えてきません。
◇病みし身の無念夢想に春日浴び→ 春日いま無念夢想のわれ包む
病みし身は説明になるので不用。
◇ゆったりと春雨を聴く湯浴みかな→ 雨だれの春を奏づと聴く湯浴み
原句ではやや季語が動きます。
◇病む母の春待つ日々の良き笑顔→ 病む母に笑顔のもどり春を待つ
日々の・・は時間が経過するので句が弱くなります。
俳句はできるだけ瞬間を写生する方が力強くなります。
◇春の日を満身に受け土手の道→ 満身に春日を浴びる川堤
原句では下五の「土手の道」が上句と切れています。
この句の場合は切れない方がいいですね。
◇雪の富士真青の天に突きぬけり→ 蒼天に全容見せる雪の富士
天に突きぬけり・・は理屈。素直な表現を心がけます。
◇トランプを買って来りし日向ぼこ→ 日向ぼこトランプ占いしてをりぬ
買って来りし・・は説明。情景が具体的に連想できるように写生します。
◇由緒書き大仏殿の春の闇→ 縁起読む大仏殿の春の闇
縁起(えんぎ)という言葉があります。
読んでいる作者の姿が連想できないと「春の闇」が効かない。
◇老い人の歩確かめつ春の路→ 一歩づつ確かめ老の春散歩
他人の情景を写生すると弱い句になる。
自分を詠むか、作者に成り代わって詠むように工夫するとよい。
◇春めくや後ろ歩きの家路の子→ 春めくや後ろ歩きに下校の子
家路・・では子どもの姿が不鮮明。
◇盆梅の苔星霜を語るやに→ 盆梅の幾星霜や苔青し
苔の状態を写生していないので、語るやに・・といわれても???
句をひねらず、素直に詠むこと。
◇口紅で気持ちも変わる春の顔→ 春立ちて口紅の色変へにけり
春の顔・・がよくわからないですね。
言いたいことを全部言わずに、連想にゆだねると余韻のある句になる。
◇やわらかき雨に光れり名草の芽→ やわらかき雨に顔出す名草の芽
雨に光れりは説明的。
雨に誘われるように顔を出した名草の芽を発見した驚きを詠む。
◇ストーブに煮豆つぶやく真昼かな→ ストーブに煮豆つぶやく亭午かな
真昼・・亭午(ていご)という言葉があります。
◇春の人なりて昨日の服は着ず→ 春立つ日なれば昨日の服は着ず
句意を明確に・・。
◇白煙を打ちかぶりたる寒施行→ 香煙を打ちかぶりたる寒施行
白煙・・がわかりにくいですね。
◇春近し猫に相思の猫のゐて→ 春近し猫に相思の間柄
猫に・・猫・・という表現法は避ける方がよいでしょう。
◇片言は片言どうし春隣→ 片言は片言どうし春うらら
春隣は動きます。季語の選択を十分推敲しましょう。
◇早天の祈りを終へて鴨の海→ 早天の祈りを終へて鴨を見る
一般的には鴨は川か池に生息します。
池辺か川堤で早天の祈りをした・・という趣がいいと思います。
◇春の空ビル窓拭く人揺れ止まず→ 春空を拭くごとビルの窓を拭く
原句の「春の空」は季語が動きます。
◇弁財天おみくじ結はふ実南天→ 実南天あまたのみくじ結ばれて
みくじの白と実南天の赤が対照的に浮かべばよいので、弁財天は不要。
◇春の雨どこが入り口東福寺→ 大寺のどこが入り口春の雨
東福寺は大きいお寺ですが、知らない人にはわからないので・・
◇緋の床机甘味処の豆火鉢→ 緋床几に豆火鉢おく嵯峨の茶屋
切れ切れにならないように推敲しましょう。(^-^)
◇粉雪のはらりと肩に女かな→ 粉雪の女の肩にとどまらず
はらりと肩にどうなったんでしょう?
粉雪といえばはらりは見えてきます。小説的な面白い句ですね。
◇悴みて朝の川原に句を拾ふ→ 着膨れて朝の川原に句を拾ふ
悴みて・・だと手足しか見えてきませんから、着膨れて・・でしょうね。
◇背負ひたる闇が動けり焚火果つ→ 背負ひたる闇が動けり焚火燃ゆ
燃えている方がおもしろいと思いました。
*成績のふるはない方は遠慮なく添削を受けて下さい。
花辛夷天に見へざる風渡る 寅
添削> 峡空に渡る風あり花辛夷
着膨れの釣師淡々釣果見せ 一尾
添削> 着膨れの釣師は寡黙釣果見せ
黎明を切り抜き絵となす大枯木 光晴
添削> 黎明の空に切り絵や大枯木
観音の留守にしている春御堂 初凪
添削> 御本尊さまはお留守や春御堂
炉を掻けば火の粉ばかりが楽しげに かたつむり
添削> 炉を掻けば待ってましたと火の粉舞ふ
雪吊りの力抜けたる余り縄 東吾
物好きと言はれ厳寒一人旅 ゆうこ
雲間から日差しに惑う冬木立 賢介
添削> 雲洩れて絡む日のあり冬木立
遊船の陸に揚げられ春を待つ 一尾
添削> 遊船の陸に背を干し春を待つ
早春の湯気たて神馬の長尿 寅
添削> 早春の湯気たて神馬尿りけり
大縄を順々に飛び日脚伸ぶ 三十
添削> 縄跳びの輪に入る子等に日脚伸ぶ
時雨るるや頭隠せる桜島 げんた
添削> 桜島時雨れて頭隠しけり
河豚の汁すすればくもる眼鏡かな ゆう菜
添削> 河豚汁をすすればくもる眼鏡かな
野仏に凍てし賽銭供えらる ゆうこ
添削> 野仏に積まれし賽の凍てにけり
飴色の寒ぶり大根味深し ちやこ
添削> 味濃ゆし飴色に透くぶり大根
白き息言葉少なき人なれど 東吾
石階を昇りつめれば春の風 きみこ
添削> 石階を昇りつめれば風光る
寒鯉の動かば水の濁りけり 三十
添削> 寒鯉の身じろげば水濁りけり
嵯峨野路や組み紐つむぐ春の色 みすず
添削> つむぎゆく組みひも春の色となり
木守柿残照の去来庵極まれり 光晴
添削> 去来庵夕日に映ゆる木守柿
終バスに取り残されて悴みぬ 初凪
緋毛布の人力車ゆく竹の道 みすず
添削> 緋毛布の人力車ゆく嵯峨小道
木蓮のつぼみ多くて春を待つ 妙香
添削> 木蓮のあまたのつぼみ春を待つ
春待つや槌で打ち出す鉋の刃 東吾
雨やがて雪と変はれリ国境 東吾
靴底に土やわらかく春近し ちやこ
添削> 踏青の靴底に土やわらかし
古蓑に淡き冬日の去来庵 光晴
欠席の椅子にもっとも冬の日矢 志乃
添削> 欠席の椅子にも隔てなき冬日
水底に春を探るやかいつぶり 縄文
添削> 水底の春を探るやかいつぶり
時雨るるや鐘撞堂の磴九段 初凪
添削> 時雨るるや鐘撞堂へ磴九段
寒椿散りて赤さの目立ちけり 妙香
添削> 地に落ちて緋を極めたる寒椿
武蔵野の重ねし枯葉日の差して 桑
添削> 武蔵野の深き落葉を踏みにけり
ジョギングの足止め得たり冬の梅 ゆう菜
添削> ジョギングの足を止めもし梅探る
湯豆腐や白地に金の箸袋 東吾
空っ風良妻賢母はつまらない 寅
添削> 水温む良妻賢母はつまらない
一病のありて初日を拝みけり 秋乃
添削> 一病を恃みて初日拝みけり
珈琲の飲まずに冷めし春隣 秋乃
添削> 春愁の珈琲さめてしまひけり
剥製を睨み返して牡丹鍋 小悟
添削> 剥製が睨みをきかす牡丹鍋
独身寮地酒もちより年酒酌む ひさご
添削> 独身寮地酒もちより屠蘇祝ふ
難解な賀状の絵文字解読す ひさご
修行僧口一文字寒の橋 一尾
添削> 橋半ば口一文字寒行僧
懐手して相談に応じけり 三十
冬晴れや江戸川土手に千葉を見る 竹子
添削> 千葉見えて江戸川堤冬晴るる
水仙の右も左も岬かな 東吾
数へ歌三つ目厨より和せり 小悟
寒牡丹己一人の蓑を着て 縄文
添削> 藁苞に孤独なりけり寒牡丹
胸豊かなり寮生の雪だるま 小悟
梅のつぼみ今にも唇開けそうに 妙香
添削> 梅ほぐれ今にも唇を開けそうに
煮凝りや白き眼の飛び出せり やす子
添削> 煮凝りや白き眼の睨みをり
何話す雀裸木占拠して きみこ
添削> ぺちゃくちゃと雀枯木を占拠して
喪のコートみぞれの庭に脱ぎにけり 志乃
忠魂の碑古りぬ冬の雨 青々
添削> 忠魂と刻みたる碑に雨寒し
[今週の秀逸]
◇御本尊さまはお留守や春御堂 初凪
公開のために出張されてご本尊は留守なのです。
出開帳という季語を逆の立場から詠んで一句に仕立てました。
◇雪吊りの力抜けたる余り縄 東吾
雪吊りの縄の緊張感を詠んだ句は沢山ありますが、
余り縄に注目したところが非凡です。
◇つむぎゆく組みひも春の色となり みすず
女性らしい素敵な感性に脱帽です。
◇古蓑に淡き冬日の去来庵 光晴
嵯峨野にある落柿舎には古い蓑と傘が吊るしてあって昔を忍ばせている。
傾く夕日に佇んでいると温故知新のこころが湧いてくるのである。
◇欠席の椅子にも隔てなき冬日 志乃
人間は独善的にものを見たり分け隔てをするが自然(神の愛)はそれをしない。
作者の主観がそう捉えたのである。
◇水温む良妻賢母はつまらない 寅
全く関係のない季語を取り合わせて一句をなす。初心者には難しい手法である。
季語がピッタリ嵌ると佳句になるが、選択を誤ると忽ち凡句となる。
◇独身寮地酒もちより屠蘇祝ふ ひさご
侘しさのなかにも温かさを感じる一句です。
互いにもちよった地酒を利きながらふるさと談義に花咲く。
◇胸豊かなり寮生の雪だるま 小悟
ふざけながら寮生らのつくる雪だるまは胸豊かなるビーナス像?
若い人たちは表面的な美しさに憧れる。ほんとうは中味なんだけれど・・m(__)m
◇煮凝りや白き眼の睨みをり やす子
煮凝という季語の本質を上手に捉えました。
個性の芽生えを感じてうれしく拝見しました。
[選評]
念願の京都OFF吟行鍛錬会を実施しました。
はじめは、「3句以上」ということで安心させておきながら、
本番では5句、10句とだまし討ちの形になってしまいました。
もっと、ゆっくりと俳句談義に花を咲かせたいという思いで参加
してくださった方もあったと思います。ごめんなさい。
でも、鍛錬会の前と後とでみなさんの作風が一変してきたのを感
じます。なんという選者冥利でしょう。(^_^)v
添削させていただいた中から、いくつかを解説します。
◇花辛夷天に見へざる風渡る→ 峡空に渡る風あり花辛夷
見えないのに渡るのはおかしいですね。
◇炉を掻けば火の粉ばかりが楽しげに→ 炉を掻けば待ってましたと火の粉舞ふ
楽しげに・・というのは説明で具体的に伝わりません。
◇早春の湯気たて神馬の長尿→ 早春の湯気たて神馬尿りけり
長尿・・ここまでいうと理屈になりますね。
◇大縄を順々に飛び日脚伸ぶ→ 縄跳びの輪に入る子等に日脚伸ぶ
原句だと縄跳びの情景だということがわかりにくいです。
◇野仏に凍てし賽銭供えらる→ 野仏に積まれし賽の凍てにけり
凍てた賽銭を供えたのではなく、供えられたものが凍ててるんですよね。
◇石階を昇りつめれば春の風→ 石階を昇りつめれば風光る
同じような季語ですが、原句だと動きます。風光るだと情景が見えてきますね。
◇木蓮のつぼみ多くて春を待つ→ 木蓮のあまたのつぼみ春を待つ
つぼみ多くて・・は説明。
◇靴底に土やわらかく春近し→ 踏青の靴底に土やわらかし
踏青、青き踏む・・こんな季語もあります。
◇水底に春を探るやかいつぶり→ 水底の春を探るやかいつぶり
「に」というと説明くさくなります。一字の違いですが・・
◇時雨るるや鐘撞堂の磴九段→ 時雨るるや鐘撞堂へ磴九段
「の」は説明。打ち仰ぐ感じを出すと、「時雨るるや」が効いてきます。
◇武蔵野の重ねし枯葉日の差して→ 武蔵野の深き落葉を踏みにけり
原型を止めていませんが、作句の基本例として採りました。
原句は言わんとすることが多くて焦点がありません。
◇ジョギングの足止め得たり冬の梅→ ジョギングの足を止めもし梅探る
冬の梅・・という季語は無理がありますね。
ジョギングという現代的なことばと、梅探るを組み合わせると新鮮です。
◇空っ風良妻賢母はつまらない→ 水温む良妻賢母はつまらない
季語が動きます。下句を活かすために十分季語を吟味しましょう。
春を感じさせたほうが句が活きると思います。春愁だと憑きすぎ。
◇一病のありて初日を拝みけり→ 一病を恃みて初日拝みけり
作者は「一病息災」を言いたいのだと思います。
もう一歩突っ込んで推敲するといいですね。
◇珈琲の飲まずに冷めし春隣→ 春愁の珈琲さめてしまひけり
この句も季語の選択が不適切です。
◇剥製を睨み返して牡丹鍋→ 剥製が睨みをきかす牡丹鍋
作者の言わんとすることは解りますが、牡丹鍋が睨み返しているようにも
聞こえて、やや無理を感じます。
◇寒牡丹己一人の蓑を着て→ 藁苞に孤独なりけり寒牡丹
ここまで擬人化するともろに主観が覗くので無理を感じます。
藁苞(わらづと)という言葉はよく使います。
◇何話す雀裸木占拠して→ ぺちゃくちゃと雀枯木を占拠して
何話す・・は主観。上手に写生して主観は連想に委ねると余情がでます。
揚げ餅の競ひて立てる破裂音 初凪
添削> 揚げ餅の小気味よく立つ破裂音
思ひ出し笑ひしてゐる日向ぼこ ゆうこ
藁沓の逆さに乾く囲炉裏端 縄文
一灯の輪に入る雪の競ひ合ふ 小悟
親しんだ人の通夜なほ冷たくて 妙香
添削> うそ寒く親しき人の通夜修す
梅が香をたずね二の丸三の丸 寅
添削> 探梅や二の丸三の丸訪ね
熊笹に雪跳ね返す力かな 志乃
添削> 熊笹の雪跳ね返す力見よ
探梅の山懐の土匂ふ かたつむり
添削> 探梅やめぐる山路の土匂ふ
学生の群れの冬帽教授らし 一尾
添削> 学生の中の冬帽教授らし
玻璃窓を磨きて春の光入れ みすず
添削> ぴかぴかに磨く玻璃窓春日燦
純白を纏ふ雪山鳶放つ 青々
添削> 白面となりし雪山鳶放つ
厄除けの鈴振って買う厄神祭 きみこ
添削> 鈴の音確かめて買ふ厄神祭
霜よけの古新聞のニュース読む 彩女
ゆっくりと毛皮を脱ぎし女かな 志乃
臥す人に風花舞ふを教へらる 初凪
寒潮に石蓴からみし朱の鳥居 やす子
添削> 潮引けば石蓴からみし朱の鳥居
北風に自転車並び倒れ行き ゆうこ
添削> 北風に自転車将棋倒しかな
厳寒に耐えれず椅子に正座せし ちやこ
添削> 椅子の上に正座して吾寒に耐ふ
巫女の振る神鈴に似て水仙花 寅
添削>神鈴のごと水仙の盛りかな
寒梅に紅の兆すや池の端 縄文
添削> 池の端の寒梅にまず紅兆す
東山も四条も煙る時雨かな 妙香
添削> ふりむけば時雨に煙る東山
飛び縄を回す全身バネとなり 志乃
闇空を真っ二つにす冬の雷 みすず
添削> 闇空を一太刀に裂く冬の雷
街道を一筋逸れて梅探る 青々
凧凱旋兵のやうに降りてくる 孝子
添削> 凱旋の将のごと凧降りてくる
筑波よく晴れ藁屋根の霜雫 小悟
寒ガラス何かくわえて追われてる 妙香
添削> 寒鴉何か咥えて飛び翔ちぬ
冬木影揺るや羅漢のかんばせに 寅
添削> 枯木影切るや羅漢のかんばせを
雨上がり南天の実の赤さかな 三十
添削> 雨晴れて極まる赤や実南天
アパートの小さき庭に冬薔薇 ちやこ
添削> ベランダの小さき鉢に冬薔薇
訥々と来し方に触れ榾の主 小悟
新調のコートで古着隠しけり ゆうこ
添削> 新調のコートの下は古着かな
寒行の僧おうおうと過ぎにけり 縄文
添削> 寒行の僧おうおうと進みけり
霜柱踏む喪の列の長かりし 更紗
添削> 霜柱踏む葬列の長からず
町内の目印の梅咲きにけり 竹子
添削> 町内の要の梅の咲きにけり
[今週の秀逸]
思ひ出し笑ひしてゐる日向ぼこ ゆうこ
熊笹の雪跳ね返す力見よ 志乃
ゆっくりと毛皮を脱ぎし女かな 志乃
臥す人に風花舞ふを教へらる 初凪
寒鴉何か咥えて飛び翔ちぬ 妙香
訥々と来し方に触れ榾の主 小悟
寒行の僧おうおうと進みけり 縄文
[選評]
◆揚げ餅の競ひて立てる破裂音→ 揚げ餅の小気味よく立つ破裂音
競ひて立てる・・はやや説明。音に焦点を絞ります。
◆親しんだ人の通夜なほ冷たくて→ うそ寒く親しき人の通夜修す
なほ冷たくて・・は直感すぎて説明。季語を借りて主観を代弁させることが大切。
◆梅が香をたずね二の丸三の丸→ 探梅や二の丸三の丸訪ね
香をたずね・・には無理がある。ことばの巧みに走らないこと。
◆熊笹に雪跳ね返す力かな→ 熊笹の雪跳ね返す力見よ
瞬間写生をこころざすことで力強さがでる。
◆探梅の山懐の土匂ふ→ 探梅やめぐる山路の土匂ふ
自分のことばを使って素直に表現すること。
◆学生の群れの冬帽教授らし→ 学生の中の冬帽教授らし
群れの冬帽・・では、その中のひとりは・・という感じが出ない。
◆玻璃窓を磨きて春の光入れ→ ぴかぴかに磨く玻璃窓春日燦
「春の光」という季語は屋外での春らしさを詠む場合が多い。
磨きて・・光入れ・・では落ち着きがないので体言止の工夫をしたい。
◆純白を纏ふ雪山鳶放つ→ 白面となりし雪山鳶放つ
純白を纏ふ・・という言い方は古いと思う。
雪山の大きさを出して欲しかったので添削した。
◆厄除けの鈴振って買う厄神祭→ 鈴の音確かめて買ふ厄神祭
厄除、厄神と同義語が重なるのは言わずもがなになるるのでよくない。
◆寒潮に石蓴からみし朱の鳥居→ 潮引けば石蓴からみし朱の鳥居
寒潮がよくわかりません。石蓴も季語です。
◆北風に自転車並び倒れ行き→ 北風に自転車将棋倒しかな
並び倒れ行き・・は説明。その様子を具体的に連想できるようなことば推敲すること。
◆厳寒に耐えれず椅子に正座せし→ 椅子の上に正座して吾寒に耐ふ
原因→結果と表現すると報告になるのでつまらない。意外性、滑稽がほしいです。
◆巫女の振る神鈴に似て水仙花→ 神鈴のごと水仙の盛りかな
巫女の振る・・は不要。推薦の様子を具体的に・・
◆寒梅に紅の兆すや池の端→ 池の端の寒梅にまず紅兆す
原句ではなぜ池の端なのかわかりにくいですね。
◆東山も四条も煙る時雨かな→ ふりむけば時雨に煙る東山
二つの場所を言うと焦点がボケる。瞬間の驚きを写生します。
◆闇空を真っ二つにす冬の雷→ 闇空を一太刀に裂く冬の雷
真っ二つにす・・も説明的。
感じたことを具体的且つリアルに連想できることばに推敲します。
◆凧凱旋兵のやうに降りてくる→ 凱旋の将のごと凧降りてくる
言わんとすることは解りますが、推敲不足です。
◆寒ガラス何かくわえて追われてる→ 寒鴉何か咥えて飛び翔ちぬ
追われてる・・は不要。あれっ!?という感じだけで十分。
その方が余韻が生まれます。そのあとのことは連想に委ねる。
◆冬木影揺るや羅漢のかんばせに→ 枯木影切るや羅漢のかんばせを
原句は平凡で季語が動きます。
枯木の鋭い影が羅漢のかんばせを切った・・というように大胆に感じる訓練をしてほしい。
◆雨上がり南天の実の赤さかな→ 雨晴れて極まる赤や実南天
南天の実が赤いのはあたりまえ。言いたいことを具体的に伝える工夫が必要。
◆アパートの小さき庭に冬薔薇→ ベランダの小さき鉢に冬薔薇
アパートの小さき庭・・では具体的な情景を連想しにくいですね。
◆新調のコートで古着隠しけり→ 新調のコートの下は古着かな
古着隠しけり・・といってしまうと理屈になる。
◆寒行の僧おうおうと過ぎにけり→ 寒行の僧おうおうと進みけり
時間が経過すると句が弱くなる
◆霜柱踏む喪の列の長かりし→ 霜柱踏む葬列の長からず
作者の感じと全く逆になるので申し訳ないが、
死者を悼む気持と、季語がよく効くように添削するとこうなる。
◆町内の目印の梅咲きにけり→ 町内の要の梅の咲きにけり
目印の梅・・がわかるようでわからない。
町内のご婦人方がいつも井戸端会議にふけるような場所にある梅を連想したい。
真白なる母の春着や割烹着 初凪
添削> 真白なる母の春着は割烹着
玄関へ雛飾りし泥湯宿 やす子
添削> 玄関に雛飾りし泥湯宿
打ち返すひと鍬ごとに息白し かたつむり
母子像の素足で立てり寒椿 げんた
添削> 母子像の素足のほとり寒椿
一湾を水仙の香の廻り来る 彩女
添削> 一湾の風水仙の香を運ぶ
寒の雨骨揚げを待つはりの中 皐月
添削> 骨揚げを待ちゐるロビー雨寒し
薄闇に餅花の白浮かびけり 志乃
冬帽子色それぞれの六地蔵 かたつむり
添削> 六地蔵色とりどりの冬帽子
哲学者らしき貌して寒の鯉 縄文
添削> 寒鯉の貌哲学者めきにけり
成人の晴着の群れに我子見る ちやこ
添削> 成人の晴着の群れの中に吾子
縁取り持ちて春を呼ぶ心地なり ゆうこ
添削> 月下氷人即ち春を呼ぶ心地
蝋梅の香に誘わるる一寺あり 青々
添削> 一末寺訪へば蝋梅匂ひけり
春隣る朝湯朝酒まどろみぬ 光晴
添削> 余生愉し朝湯朝酒春を待つ
気動車の湯上がりのごと深雪晴れ 羽合
添削> 気動車の湯気逞しき深雪晴
手習ひの夢の字大きとんど焼 やす子
添削> 手習ひの大き夢の字とんど燃ゆ
ごろごろと小銭のあたる懐手 桑
添削> 手のひらに小銭の遊ぶ懐手
吾の風邪の移りしごとし猫の咳 げんた
添削> 吾に媚ぶ愛猫に風邪移らずや
日曜の昼の独り居日向ぼこ 三十
添削> 日向ぼこ日曜なれど予定なし
献花凍て死亡事故跡鎮まりぬ 縄文
添削> 死亡事故現場の献花凍てにけり
大雪やしじまに竹の折れし音 みすず
添削> 雪やまずしじまに竹の折るる音
[今週の秀逸]
真白なる母の春着は割烹着 初凪
寒鯉の貌哲学者めきにけり縄文 縄文
余生愉し朝湯朝酒春を待つ 光晴
気動車の湯気逞しき深雪晴 羽合
手習ひの大き夢の字とんど燃ゆ やす子
手のひらに小銭の遊ぶ懐手 桑
死亡事故現場の献花凍てにけり 縄文
[選評]
二度三度見直しましたが、今週は採れる句が少なかったです。
ぼくの感性が鈍っているのかもしれません。ごめんなさい。
☆真白なる母の春着や割烹着→真白なる母の春着は割烹着
切れ字をいれると「割烹着」という落ちが弱くなります。
☆玄関へ雛飾りし泥湯宿→玄関に雛飾りし泥湯宿
「へ」は行動の表現になり人が出てきますね。この場合は
雛に焦点があるほうがよいです。
☆母子像の素足で立てり寒椿→母子像の素足のほとり寒椿
寒椿の位置を具体化した方が実景胃が見えてきます。
☆一湾を水仙の香の廻り来る→一湾の風水仙の香を運ぶ
作者の立っている場所と展けた大景との対比が大切・・
☆寒の雨骨揚げを待つはりの中→骨揚げを待ちゐる玻璃に雨寒し
原句だと玻璃の中に雨が降っているようです。
☆冬帽子色それぞれの六地蔵→六地蔵色とりどりの冬帽子
色とりどりなのは六地蔵ではなく冬帽子の方ですね。
冬帽子を上五に持ってくると切れ字効果がでてしまいます。
☆哲学者らしき貌して寒の鯉→寒鯉の貌哲学者めきにけり
ことばをひねらず感じたそのままを表現するほうが感動があります。
☆成人の晴着の群れに我子見る→成人の晴着の群れの中に吾子
我子見る・・は説明。吾子に焦点を持ってきます。
☆縁取り持ちて春を呼ぶ心地なり→月下氷人即ち春を呼ぶ心地
ちょっと破調ですね。月下氷人ということばがあります。
☆蝋梅の香に誘わるる一寺あり→一末寺訪へば蝋梅匂ひけり
何気なく訪ねたお寺に蝋梅の香りを発見した驚き・・という設定の方がいいです。
☆春隣る朝湯朝酒まどろみぬ→余生愉し朝湯朝酒春を待つ
余生を楽しみながら春を待つ・・ぼくもあと2年です。関係ないですが・・
☆気動車の湯上がりのごと深雪晴れ→気動車の湯気逞しき深雪晴
湯上りのように感じたというのは面白いですが、やや無理を感じます。
深雪晴れ→深雪晴。体言としてつかうときは送り仮名不要。
☆手習ひの夢の字大きとんど焼→手習ひの大き夢の字とんど燃ゆ
大きく揺れながら「夢」の字が燃えている情景ですね。
☆ごろごろと小銭のあたる懐手→手のひらに小銭の遊ぶ懐手
原句では情景が不鮮明。
☆吾の風邪の移りしごとし猫の咳→吾に媚ぶ愛猫に風邪移らずや
作者のやさしさが滲み出るように詠む。即ち、ゴスペル俳句の極意です。(^_^)v
☆日曜の昼の独り居日向ぼこ→日向ぼこ日曜なれど予定なし
素十先生の作風を愛する作者はいつも客観写生を追及して止まない。
その意味では原句でも悪くはないですが、この程度の主観は入ってもよいと思います。
☆献花凍て死亡事故跡鎮まりぬ→死亡事故現場の献花凍てにけり
凍てた献花を発見したのが手柄なので、これに焦点を持ってきて句を強くします。
☆大雪やしじまに竹の折れし音→雪やまずしじまに竹の折るる音
大雪や・・というと中七以降を説明するための前提として知性が働いている点に注意。
碁仇の賀状に俳句書かれをり げんた
添削> 碁仇の賀状に俳句とは意外
野良猫の伸びに欠伸の日向ぼこ 光晴
添削> 野良猫に貰ひ欠伸す日向ぼこ
馬笑ふ顔につられて初笑ひ ゆうこ
寒紅やおとこの様にする握手 初凪
添削> 寒紅のおとこの様にする握手
屋根よりの雪解け水が音を奏で ゆうこ
添削> 楽奏づごと屋根落つる雪解水
寝顔みて蒲団を直す夜更けかな 寅
添削> 寝顔見て子らの蒲団を直しけり
夫が眼で買えと言ってる福達磨 志乃
添削> 夫が眼で買えと合図す福達磨
雪の道互いに譲る会釈かな 多藤
添削> 会釈して互いに譲る雪の道
元日の静けさに鳴る下駄の音 三十
碁仇と対戦日時初電話 げんた
遠火事と決め寝返りを打ちしのみ 志乃
凧揚がる空の碧さのはてしなく きみこ
添削> 凧揚がる空の碧さのどこまでも
鶏鳴の残響澄みし今朝の寒 青々
添削> 鶏鳴の鋭き今朝の寒さかな
マスクした母と娘を見誤る 彩女
添削> マスクした母を娘と見間違ふ
毛糸あむ糸の心となりてあむ 橋中孝子
添削> 針先に心通はせ毛糸編む
着ぶくれて辻講釈に聞き耽けゆ 桑
添削> 着ぶくれて辻説法を聞きにけり
寒靄を蹴散らし昇る朝日かな 縄文
添削> 朝靄に刎ねて散らばる冬日かな
図書館の書架に届かぬ冬明り 一尾
添削> 図書館の書架に伸びたる日脚かな
悴みてのど飴落とす二番線 初凪
添削> 悴みてのど飴を取り落しけり
元気にと祈る七草お粥かな 妙香
添削> 長命を祈り七草粥を食ぶ
千切れ雲切り絵の如く寒夕焼け スダチ
添削> 千切れ雲貼り絵の如し寒夕焼
初明り夫の顔など眺めゐて 秋乃
冬晴や湾一望の観覧車 一尾
添削> 初凪の湾を一望観覧車
全身をあぶりて去りし焚き火かな ゆうこ
添削> くるくると全身あぶる焚き火かな
霜晴れや家のかたちに白き影 げんた
凧の糸揚がり切りたる軽さかな 初凪
添削> 凧揚がり切ったる糸の軽さかな
枯木立真っ赤に燃ゆる夕日かな 青々
初雪を身にまとい来る出前かな 彩女
添削> 粉雪をまとひて届く出前かな
情けなき顔して午後の雪だるま ゆうこ
三が日無聊に過ごす烏どち 縄文
お茶漬けを所望されたる四日かな 初凪
初句を詠むすなわち吾の仕事始 青々
添削> ホ句を詠むわたしの仕事始かな
眠る児の破魔矢握りて母のむね かたつむり
添削> 母の胸破魔矢握りて吾子眠る
雪だるまらしき残骸門にあり ゆうこ
添削> 雪だるまらしき残骸山門に
[今週の秀逸]
野良猫に貰ひ欠伸や日向ぼこ 光晴
夫が眼で買えと合図す福達磨 志乃
鶏鳴の鋭き今朝の寒さかな 青々
針先に心通はせ毛糸編む 橋中孝子
着ぶくれて辻説法を聞きにけり 桑
初凪の湾を一望観覧車 一尾
凧揚がり切ったる糸の軽さかな 初凪
三が日無聊に過ごす烏どち 縄文
[選評]
◇碁仇の賀状に俳句書かれをり→碁仇の賀状に俳句とは意外
原句では報告です。へぇー、あいつ俳句もやるのか・・・
という驚きがでるようにするとよい句になります。
◇野良猫の伸びに欠伸の日向ぼこ→野良猫に貰ひ欠伸す日向ぼこ
原句では猫が日向ぼこをして伸びと欠伸をしているようです。
◇寒紅やおとこの様にする握手→寒紅のおとこの様にする握手
寒紅や・・で切ってしまうと中七以降との繋がりが怪しくなります。
◇屋根よりの雪解け水が音を奏で→楽奏づごと屋根落つる雪解水
原句は破調。調子を整えてリズム感をだします。
◇寝顔みて蒲団を直す夜更けかな→寝顔見て子らの蒲団を直しけり
夜更けは説明になるので不要。
◇夫が眼で買えと言ってる福達磨→夫が眼で買えと合図す福達磨
ことばを工夫すると、動作がより具体的に連想できるようになります。
◇雪の道互いに譲る会釈かな→会釈して互いに譲る雪の道
不用意な切れ字の用い方は句意をあいまいにします。
◇凧揚がる空の碧さのはてしなく→凧揚がる空の碧さのどこまでも
空が主役になるのではなく、元気よく揚がる凧に焦点を置く方が力強いですね。
◇鶏鳴の残響澄みし今朝の寒→鶏鳴の鋭き今朝の寒さかな
残響澄みし・・と寒さがつながりにくいです。
切れ味のよいことばを工夫して、季語が動かないように表現します。
◇マスクした母と娘を見誤る→マスクした母を娘と見間違ふ
母と娘の二人を見誤ったという意味だと思いますが、
焦点をどちらかに絞った方が印象鮮明になります。
◇毛糸あむ糸の心となりてあむ→針先に心通はせ毛糸編む
糸のこころ・・が解る様でわからないですね。あむ・・が二回も出てきます。
手編みというのは心が通っているから温かいんですよね。きっと・・
◇着ぶくれて辻講釈に聞き耽けゆ→着ぶくれて辻説法を聞きにけり
聞き耽けゆ・・文法的にも変な表現ですね。
無理なことば使いを避けて、素直に表現した方が共感を得やすいです。
◇寒靄を蹴散らし昇る朝日かな→朝靄に刎ねて散らばる冬日かな
作者は乱反射している朝日の様子に感動したのだと思います。
靄を蹴散らし・・はちょっと無理な表現ですね。寒靄というのも季語としてはやや無理と思います。
◇図書館の書架に届かぬ冬明り→図書館の書架に伸びたる日脚かな
句意が変わってしまいましたが、情緒の有無が句の命です。
◇悴みてのど飴落とす二番線→悴みてのど飴を取り落しけり
二番線は余分だと思います。
◇元気にと祈る七草お粥かな→長命を祈り七草粥を食ぶ
無駄なことばを省いてより具体的になるように推敲します。
◇千切れ雲切り絵の如く寒夕焼け→千切れ雲貼り絵の如し寒夕焼
千切れ雲、切り絵と同じことばが重複するので貼り絵にしました。
この句の場合は、如く・ではなく、如しが正しいと思います。
◇冬晴や湾一望の観覧車→初凪の湾を一望観覧車
冬晴や・・で切ると季語が動きます。
初凪という季語があります。このほうが情景が具象化すると思います。
◇全身をあぶりて去りし焚き火かな→くるくると全身あぶる焚き火かな
全身をあぶる・・ということばが面白いので、
焦点をぼかさないために、去りし・・は省いた方がいいです。
◇凧の糸揚がり切りたる軽さかな→凧揚がり切ったる糸の軽さかな
揚がるのは糸ではなく凧ですね。(^−^)
◇初雪を身にまとい来る出前かな→粉雪をまとひて届く出前かな
初雪でなくてもよいですね。
雪の状態を具体的に言うことで情景が具体的に見えてきます。
◇初句を詠むすなわち吾の仕事始→ホ句を詠むわたしの仕事始かな
すなはち・・ということばを入れることでかえって句が窮屈になりました。
技巧的でないほうがかえって親しさが増すこともあります。
◇眠る児の破魔矢握りて母のむね→母の胸破魔矢握りて吾子眠る
母の胸ではなくて、眠る子供のほうに焦点を持ってきます。
◇雪だるまらしき残骸門にあり→雪だるまらしき残骸山門に
門だけでは具体的な情景が見えてきません。
山門とすると一枚の絵に見えてくるでしょう。
辻褄のあはぬ初夢より覚めぬ 初凪
頬被りして福耳の隠れけり 寅
添削> 頬被りより福耳のはみ出しぬ
孫からと貰う年玉温かし 妙香
添削> ありがたし孫からと貰ふお年玉
末枯の野辺の踏切鳴り出しぬ 羽合
添削> 枯野あり無人踏切鳴り出しぬ
明り消し窓辺で見入る銀世界 遙
添削> 寒灯や窓の外なる銀世界
元日や老犬と行く通い道 げんた
添削> 元日や犬の散歩は怠らず
いつもより赤く紅差す初鏡 更紗
産土の玉砂利の音も淑気かな 初凪
添削> 踏み進む玉砂利の音の淑気かな
着ぶくれて駅伝走者待つ沿道 光晴
添削> 着ぶくれて駅伝走者応援す
左見右見屋台へ子らの初詣 一尾
添削> 目当てなる屋台へ子らの初詣
艶やかに玉砂利濡れて淑気かな かたつむり
添削> 玉砂利の雨に濡れたる淑気かなに
ゴンドラに初日突き刺す東京湾 スダチ
添削> 初日いまゴンドラを突き射しにけり
侘助や五輪塔より低く咲き 皐月
添削> 侘助や五輪の塔に添ふごとく
梯子乗り「遠見」決まるや蔵の町 みすず
添削> 梯子士の遠見きまりし出初式
屠蘇祝う音頭息子に譲りけり 多藤
添削> 屠蘇祝ふ長子が音頭とりにけり
遠山に雪雲幾重うち添えり 竹子
添削> 遠山に雪催なる雲幾重
蛇行して列を崩せる初の市 やす子
添削> 人並みの蛇行してをり年の市
癖文字の語りかけたる年賀かな やす子
添削> 癖文字の彼とわかりし賀状かな
お転婆が紅引き澄ます御元日 スダチ
添削> お転婆が紅引き澄ます初写真
去年今年俳句の門を叩くなり 牡丹
添削> 去年今年俳句の虫となりにけり
淑気満つ一隅照らす神の燭 青々
添削> 神の燭一隅照らす淑気かな
年始の客あちこちの様子面白く 妙香
添削> 年始客あらぬうわさを面白く
新妻の娘から来る年賀状 竹子
添削> 新婚の娘から来し年賀状
歳時記の手に馴染みきし年の暮れ 初凪
添削> 歳時記の手に馴染みたる年の暮
枯欅大夕焼を背なに受く 光晴
添削> 大枯木燃ゆる夕日に直立す
空風やサイレンに和する犬の声 羽合
添削> サイレンに和して犬吼ゆ寒風裡
数え日や時間通りに腹の減る 縄文
年の瀬の掃除日和と張り切りぬ ゆうこ
添削> 年の瀬の掃除日和賜りぬ
鴨行くや水掻く脚の止まるなし 一羊子
添削> 水掻きの休む間のなし鴨進む
年の瀬にゴルフクラブの手入れから ゆうこ
添削> 年用意ゴルフクラブの手入れまた
日向ぼこ鳩にひょうきん者在りて 清志
添削> 日向ぼこひょうきんものの鳩をかし
数え日の夫婦にちがう用のあり 志乃
雪予報コンロの炎むらさきに 志乃
添削> 寒波急コンロの炎むらさきに
金色の日矢の突き抜く冬の雲 やす子
添削> 雲切れて洩る金色の冬日かな
茎漬や母の手になる塩加減 寅
添削> 茎漬や母の味なる塩加減
雪嶺をうつす鏡の河口湖 彩女
添削> 湖鏡して雪嶺を映しけり
夜半の冬手届くほどの銀河かな ちやこ
添削> 翳す手の届きさうなる銀河かな
この道を行けば故郷通り雪 きみこ
添削> 故里へ深雪の道を辿りけり
鼓の緒常よりきつく初稽古 寅
添削> 鼓の緒きりりと締めて初稽古
新調の毛布嫌げに犬の嗅ぐ 竹子
添削> 新調の毛布を犬の嫌ひけり
病む身には病院長き冬休み 彩女
添削> 入院の身に刻長し去年今年
冬西日あかあか燃えて山に落つ みすず
添削> 枯山に真っ赤な夕日落ちにけり
薪割りの飛び散る木片匂ひ立つ みすず
添削> 薪割りの飛び散るときに杢匂ふ
年の瀬の曜日忘れてしまひけり 志乃
老犬の眠りこけたる冬日向 ゆうこ
添削> 老犬の深き眠りや冬日向
[今週の秀逸]
辻褄のあはぬ初夢より覚めぬ 初凪
頬被りより福耳のはみ出しぬ 寅
枯野あり無人踏切鳴り出しぬ 羽合
着ぶくれて駅伝走者応援す 光晴
屠蘇祝ふ長子が音頭とりにけり 多藤
翳す手の届きさうなる銀河かな ちゃこ
新調の毛布を犬の嫌ひけり 竹子
入院の身に刻長し去年今年 彩女
枯山に真っ赤な夕日落ちにけり みすず
年の瀬の曜日忘れてしまひけり 志乃
今週の選評はお休みさせていただきます。
ごめんなさい。m(__)m
電球を替へれば厨暖かし きみこ
数え日や読まれずにある本の嵩 縄文
添削> 数え日やつんどくの嵩減りもせず
三代の女でこねる鏡餅 寅
添削> 三代の女がこねる鏡餅
北風吹くや火の見の鐘を揺らしつつ みすず
添削> 北風吹いて火の見櫓の鐘揺るる
初雪や夜勤の身支度整へて みすず
添削> 初雪や夜勤の支度終へし吾に
洗車終ふ小さき松を飾りゐて 縄文
添削> いと小さき松を飾りて洗車了
雪積むと母の葉書の書き出しは 志乃
添削> 母からの存問便り雪積むと
世事離れ空白多き古暦 青々
添削> 職退いて空白増えし古暦
売り出しの旗を叩けり空っ風 光晴
添削> バーゲンの旗慌し空っ風
少年の決意の固く息白し 初凪
添削> 少年の決意を述ぶる息白し
駅伝の都大路も冬の色 妙香
添削> 駅伝の都大路は冬景色
雲と雲掻き分け冬陽海に落つ 更紗
添削> 雲切れて一湾照らす冬日かな
来年は嫁す子や元気障子貼る 杉の子
添削> 婚の日の決まりたる娘と障子貼る
自転車のかごに乗る子の頬被り ゆうこ
長湯かな柚子の蔕なぞくすぐりて 志乃
添削> 長湯せり柚子の蔕なぞくすぐりて
年忘れ笑い上戸に叩かれて 初凪
雪よりも白く砕けし能登の波 寅
[今週の秀逸]
北風吹いて火の見櫓の鐘揺るる みすず
母からの存問便り雪積むと 志乃
バーゲンの旗慌し空っ風 光晴
少年の決意を述ぶる息白し 初凪
[選評]
今週は全体に不調でした。ぼくの感性が鈍いのかと思って何度も見直しをしましたが・・。
どうしても季語の説明になっているものが多かったです。
柚湯(柚風呂)の句がたくさんありましたが常識的な写生に終っているものが多く残念でした。
ぼくの好きな句を例にあげてみましょう。
湯を掻けば柚子右回り右回り 鈴木幸子
風呂の蓋柚子の匂ひを封じ得ず 州崎美佐穂
紙一重なんですが、もう一歩突っ込んで具体的に表現することが大切ですね。
今週の添削について
◇数え日や読まれずにある本の嵩→数え日やつんどくの嵩減りもせず
より具体的にすることで作者の気持ちが連想出来ます。
◇三代の女でこねる鏡餅→三代の女がこねる鏡餅
で・・は説明。
◇北風吹くや火の見の鐘を揺らしつつ→北風吹いて火の見櫓の鐘揺るる
火の見の鐘・・は不適切。
◇初雪や夜勤の身支度整へて→初雪や夜勤の支度終へし吾に
身支度を整えるのは屋内、夜は屋内から外は見えないです。
身支度を終えて外に出ようとしたら初雪が風ってきた・・という設定に直しました。
◇洗車終ふ小さき松を飾りゐて→いと小さき松を飾りて洗車了
終ふ〜飾りゐて・・が不自然です。瞬間写生することで力強さがでます。
◇雪積むと母の葉書の書き出しは→母からの存問便り雪積むと
書き出し・・というのは説明になるので不要。
◇世事離れ空白多き古暦→職退いて空白増えし古暦
世辞離れは抽象的。
◇売り出しの旗を叩けり空っ風→バーゲンの旗慌し空っ風
何の売り出しかわかりにくいのでバーゲンにしました。
こうすると師走の町の様子が具体的に見えてくると思います。
◇少年の決意の固く息白し→少年の決意を述ぶる息白し
固く・・は説明。連想でわからせるようにします。
◇駅伝の都大路も冬の色→駅伝の都大路は冬景色
冬の色・・がわかるようで判りにくいです。
◇雲と雲掻き分け冬陽海に落つ→雲切れて一湾照らす冬日かな
雲と雲掻き分け・・はちょっと無理がありますね。これも瞬間写生することで具体化します。
◇来年は嫁す子や元気障子貼る→婚の日の決まりたる娘と障子貼る
来年、元気・・というのが説明になって作者の言いたい感情を隠しています。
◇長湯かな柚子の蔕なぞくすぐりて→長湯せり柚子の蔕なぞくすぐりて
作者にはあえて上五で切る意識が働いていると思います。
発句的にまとめるなら「柚子の蔕なぞくすぐりて長湯かな」とするのが常套と思います。
終わりを、くすぐりて・・・とすることで連句的な連想の広がりを持たせているのが、
この句の命と思うので、切れ字は使わないほうがいいでしょう。ちょっと高度なテクニックですが・・
電線に音符奏でる寒雀 スダチ
添削> 電線に音符並びす寒雀
大空へ辛夷の花芽揃ひけり げんた
煮凝りや言葉不要の夫婦酒 杉の子
添削> 煮凝りをせせりあひつつ夫婦酒
おでん酒サビしか知らぬ曲ばかり 更紗
ビル壁に当たって折れし冬木影 志乃
捨て犬の一夜の宿に古毛布 彩女
小さき手で剥いたみかんを誉めてやり ゆうこ
年忘れ右に左にお酌して 更紗
帰宅してはや褞袍着の親父かな 三十
凍滝をてらてら流れ神の水 志乃
添削> 神の水てらてら流れ滝凍つる
片付けの邪魔しないでと十二月 げんた
添削> 片付けの邪魔しないでと師走妻
ブラジルを恋ふる人夫や年の暮 みすず
添削> ブラジルを恋ふる人夫やクリスマス
夫婦仲たがえて黙す炬燵かな 多藤
毛糸玉転がしながら冬ごもり 妙香
極月の大阪走りだしにけり 寅
アイドリングなせば車の息白し 縄文
添削> 白息はアイドリングの車かな
両脇に大根抱えて老婆行く ちやこ
囲炉裏火を豆の機嫌に合わせたり 志乃
添削> 炉火を守る豆の機嫌に合わせつつ
スキー宿御国訛りに温まる スダチ
添削> スキー宿御国訛りに迎えらる
冬枯れの畦でこぼことしてゐたり 三十
息白し釧路の鶴の恋踊り 光晴
添削> 息白し釧路の鶴の恋の舞
焼き芋を持つ手代えつつ帰りけり 彩女
添削> 焼き芋を持つ手代へつつ戻りけり
初雪や留まり難し窓ガラス 一尾
添削> 風花の留まり難し窓ガラス
風花を見上げる空の青さかな 彩女
添削> ま青なる空へ風花狂ひけり
初雪でてのひら洗う獣医かな 志乃
添削> 深雪もててのひら洗う獣医かな
煤掃きにくしゃみはせぬか御本尊 縄文
添削> 煤掃きにくしゃみしさうや御本尊
白鳥のたたらを踏める着地かな 初凪
冬うららに誘われ出れば風強し 妙香
添削> 冬晴れに誘はれ出れば風強し
青天へ連ね干しゆく赤蕪 みすず
添削> 青天へ連ね干さるる赤蕪
[今週の秀逸]
ビル壁に当たって折れし冬木影 志乃
ブラジルを恋ふる人夫やクリスマス みすず
片付けの邪魔しないでと師走妻 げんた
炉火を守る豆の機嫌に合わせつつ 志乃
焼き芋を持つ手代へつつ戻りけり 彩女
白鳥のたたらを踏める着地かな 初凪
[選評]
添削させていただいたものについて要点をまとめてみました。
自分で推敲する場合にも同様のチェックをされるとよいと思います。
*せっかくよいところを捉えているのに季語の選択で失敗しているケース。
*余計な主観のことばを加えたために独りよがりに陥るケース。
*焦点の絞り方が不十分で弱い作品になっているケース。
◇電線に音符奏でる寒雀→電線に音符並びす寒雀
音符奏でる・・ということばは無理。
素直に表現すればあっちむきこっちむきばらばらの寒雀のようすがわかります。
ぺちゃくちゃおしゃべりする様子、小躍りする様子は「寒雀」らしくありません。
◇煮凝りや言葉不要の夫婦酒→煮凝りをせせりあひつつ夫婦酒
煮凝りや・・で切ると季語が動きます。言葉不要の・・は説明です。
◇凍滝をてらてら流れ神の水→神の水てらてら流れ滝凍つる
流れる水ではなく荘厳な凍滝の方を主役に持ってきて句を大きくさせます。
◇片付けの邪魔しないでと十二月→ 片付けの邪魔しないでと師走妻
季語の選択を確かにして句意をより具体化します。
◇ブラジルを恋ふる人夫や年の暮→ブラジルを恋ふる人夫やクリスマス
年の暮れ・・はどちらかといえば日本的な季語、田舎からの出稼ぎ人を描くのであれば、
「故里を恋ふる人夫や年の暮」となりますが常識的ですね。
異国の人を捉えた驚きでで成功していますから、クリスマスのほうが情が出ると思います。
◇アイドリングなせば車の息白し→白息はアイドリングの車かな
折角の滑稽が原句ではやや説明的になっています。
◇囲炉裏火を豆の機嫌に合わせたり→炉火を守る豆の機嫌に合わせつつ
いい句ですね。説明的にならないようにするとより深い味が出ます。
◇スキー宿御国訛りに温まる→スキー宿御国訛りに迎えらる
温まる・・は抽象的。言わなくても連想で感じさせるのがテクニック。
◇息白し釧路の鶴の恋踊り→息白し釧路の鶴の恋の舞
恋踊り・・ことばを工夫することで優雅な鶴のすがたを表現できます。
◇焼き芋を持つ手代えつつ帰りけり→焼き芋を持つ手代へつつ戻りけり
帰りけり・・戻りけり。ことばの雰囲気ですから好みが分かれるかもしれません。
自宅へ急ぐ感じを強く出すために戻りけりにしました。
◇初雪や留まり難し窓ガラス→風花の留まり難し窓ガラス
この場合「や」で切ってはいけません。初雪の・・が正しいです。
季語の特徴として風花のほうがいいですね。
◇風花を見上げる空の青さかな→ま青なる空へ風花狂ひけり
添削の域を超えているかも知れませんが、季語が不動となような表現が大切です。
青空ではなく風花を主役にするべきですね。
◇初雪でてのひら洗う獣医かな→深雪もててのひら洗う獣医かな
とても面白い句ですが、初雪・・と言われるとちょっと考えてしまいますね。
作者の見た情景はわかりませんが、季語を選べばより小説的な雰囲気がだせます。
◇煤掃きにくしゃみはせぬか御本尊→煤掃きにくしゃみしさうや御本尊
遠慮しないで感じたことをはっきりと言い切ることが大切。
◇冬うららに誘われ出れば風強し→冬晴れに誘はれ出れば風強し
冬麗は家の中ではなく戸外に出てから感じる季語です。
窓の外の様子をうかがっているとあまりに穏やかそうなよい天気なので外出してみたが、
いがと風が強かったという意味ですね。
◇青天へ連ね干しゆく赤蕪→青天へ連ね干さるる赤蕪
原句では作業している人の姿が強く出てしまいます。
青天に並べられた赤蕪に焦点をしぼって句意を強くします。
★注意
残念ながら、「ことばを駆使して句をひねる」という作りかたから脱皮できない
作品が見られます。これらの句の多くは観念的で、「想古し」の感がしますし、
どうしても類句、類想になりがちです。ゴスペル俳句では自然写生を基本とした
句の作り方を学んでいますので、ぜひ吟行で作る習慣を身につけて欲しいです。
自然写生というと誤解が生じるかもしれませんが、
阿波野青畝先生は、次のように述べておられます。
それでは自然とは何をさすのか。山川草木だけではない。
われわれの周囲そのままが自然と見るのである。
「作句の壷」のコーナーでは青畝先生の俳話集を紹介しています。ぜひお読み下さい。
http://www.gospel-haiku.com/tubo/
セーターの課長日曜出勤す 初凪
団欒の窓に聖樹の星ひかる 彩女
添削> 団欒の窓に煌く聖樹かな
年用意電子手帳の電池買ふ 志乃
冬晴れの青空を割る飛機の雲 光晴
添削> 冬晴れの青空を切る飛行雲
極月の家計簿赤字続きけり 更紗
添削> 極月の家計簿赤字うべなひぬ
登校の列を乱すや初氷 彩女
添削> 登校の列乱るるは初氷
夕日落つ影絵となりし冬木立 藤魚
添削> 夕日落つ影絵となりし枯木立
一鍬に白き息吐く農夫かな 一尾
添削> 打ちおろす一鍬ごとに息白し
せがまるる昔語りや落葉焚 寅
添削> 訥々と昔語りや落葉焚
部屋寒し遺品の俳誌堆く 曽田哲
水鳥の夢見る如くふくらみぬ 寅
添削> ふくらみて水鳥夢を見るならん
寒いことこの上なくて書を開く 三十
添削> 寒いことこの上なくて書を閉ずる
幾度も翼広ぐや恋白鳥 みすず
添削> 幾度も翼広ぐは恋白鳥
ラガー等の組し肩より湯気登る きみこ
石垣の崩れし墓所や冬紅葉 げんた
添削> 崩れたる墓所の石垣冬紅葉
トランプで一人占ひ炬燵かな 初凪
添削> トランプで一人占ふ炬燵かな
濡れし地にちぎり絵のごと散紅葉 秋乃
添削> ちぎり絵のごとく舗道の散紅葉
涸れ川やあまたの石に貌かたち 初凪
添削> 涸川やあまたの石の貌かたち
鴨暮れて大白鳥の暮れ残る 志乃
添削> 鴨見えず大白鳥の暮れ残る
暖房に仏間お香を満たしゆく 多藤
添削> 暖房をいれて香たく仏間かな
傷跡が痛むと咳を恐れつつ ゆうこ
添削> 傷跡にひびくと咳を恐れけり
千歳飴青い眼の子も並びをり 萌々
庭に散り雪かとまがう山茶花の花 妙香
添削> 山茶花の雪かと紛ふ落花かな
待降節手話も謳ふやコンサート みすず
添削> 手話も謳ふ待降節のコンサート
[今週の秀逸]
登校の列乱るるは初氷 彩女
年用意電子手帳の電池買ふ 志乃
部屋寒し遺品の俳誌堆く 曽田哲
幾度も翼広ぐは恋白鳥 みすず
ラガー等の組し肩より湯気登る きみこ
トランプで一人占ふ炬燵かな 初凪
傷跡にひびくと咳を恐れけり ゆうこ
[選評]
寒くなって吟行に出にくい季節ですが、頑張って吟行されている作品を拝見して
頼もしく思います。クリスマス、年の瀬、お正月と生活身辺からでも作りやすい
季語が沢山ありますから頑張ってください。(^_^)v
餌の刻をどよめき待つや鴨の群れ みすず
添削> 餌刻の近しと騒ぐ鴨の陣
鴨浮くやさざ波まかせ風まかせ 寅
添削> 鴨浮寝さざ波まかせ風まかせ
白鳥に無傷の空の広がりぬ 志乃
添削> 白鳥に無垢の青空広がりぬ
頼まれて感謝状書く夜長かな きみこ
淋しさに石投げてみる冬の川 初凪
晩秋や畑に伸びる農夫影 光晴
添削> 畑に伸ぶ農夫の影や秋日落つ
請求書速達で来る師走かな 初凪
ぶら下げて食ふ人もゐる葡萄かな 三十
添削> 手に下げてかぶりつくごと葡萄食ぶ
人気なき城址につもる落ち葉かな げんた
添削> 人気なき城址の深き落葉踏む
土くれのひとつひとつに冬日陰 志乃
道行きや銀杏拾ひに加われり ゆうこ
添削> 道行きや銀杏拾ひに加はりぬ
北国の雪を頂く列車が着く スダチ
添削> 北国の深雪頂き列車着く
雪吊に男結びを尽しけり 志乃
添削> 雪吊の男結びを尽しけり
まどろめば風花舞へる能登の夢 光晴
枯れてなほ香を放ちける小菊かな 一尾
添削> 枯れてなほ残香のありし小菊かな
線描のごとくに見ゆる冬木立 青々
所在なく鷺一羽佇つ冬田かな 初凪
踏ん張って家庭菜園大根抜く 一尾
添削> 畝跨ぐ足ふんまへて大根抜く
清浄の鐘響きけり御講凪 曽田哲
川を辞す白鳥守に声かけて 志乃
山茶花の前に仕立てり野点席 ゆうこ
添削> 山茶花を籬としたる野点席
鴨を見る鉄砲撃ちの目となりて 志乃
皺の手に抜けぬ指輪の凍てにける 縄文
添削> 皺の手に抜けぬ指輪の凍てにけり
雪吊の話題盛んに加賀料理 光晴
添削> 雪吊の話題尽きざる加賀料理
急磴に一息入るる紅葉茶屋 青々
風葬と言ふべし尾瀬の大枯野 志乃
添削> 風葬を想ひし尾瀬の大枯野
白波の如く麓の芒原 牡丹
文机に裸木の影とどきけり きみこ
木枯や売り出しビラの逆らわず 一尾
添削> 北風吹いて売り出しのビラ飛ばしけり
街頭の試食に手袋外しけり 彩女
口笛に枯野の犬の振り返る 志乃
一人来て木の葉時雨や渓の路 げんた
添削> 渓の路木の葉時雨を潜りゆく
朝日撒き散らすがごとく黄落す 牡丹
[今週の秀逸]
鴨浮寝さざ波まかせ風まかせ 寅
請求書速達で来る師走かな 初凪
鴨を見る鉄砲撃ちの目となりて 志乃
山茶花を籬としたる野点席 ゆうこ
街頭の試食に手袋外しけり 彩女
[選評]
寒くなって吟行の機会が減ったからでしょうか、今週はやや低調でした。
・鴨の句は平明ですが、浮き寝のさまをよく捉えていてよいと思いました。
・請求書の句は師走の季語がよく効いて、新しい感じの句になりました。流石です。
・鉄砲の句は作者の個性がよくあらわれた作品です。
見たままを写生するのではなく、感じるまで辛抱するとこんな句が授かるのです。
・山茶花の句は風情がありますね。散らばった落花の様子なども見えてきます。
・手袋の句は滑稽があってとてもよいと思います。
毎日のように添削稿を送ってこられる熱心さが実を結びつつあります。
餌の刻をどよめき待つや鴨の群れ みすず
添削> 餌刻の近しと騒ぐ鴨の陣
鴨浮くやさざ波まかせ風まかせ 寅
添削> 鴨浮寝さざ波まかせ風まかせ
白鳥に無傷の空の広がりぬ 志乃
添削> 白鳥に無垢の青空広がりぬ
頼まれて感謝状書く夜長かな きみこ
淋しさに石投げてみる冬の川 初凪
晩秋や畑に伸びる農夫影 光晴
添削> 畑に伸ぶ農夫の影や秋日落つ
請求書速達で来る師走かな 初凪
ぶら下げて食ふ人もゐる葡萄かな 三十
添削> 手に下げてかぶりつくごと葡萄食ぶ
人気なき城址につもる落ち葉かな げんた
添削> 人気なき城址の深き落葉踏む
土くれのひとつひとつに冬日陰 志乃
道行きや銀杏拾ひに加われり ゆうこ
添削> 道行きや銀杏拾ひに加はりぬ
北国の雪を頂く列車が着く スダチ
添削> 北国の深雪頂き列車着く
雪吊に男結びを尽しけり 志乃
添削> 雪吊の男結びを尽しけり
まどろめば風花舞へる能登の夢 光晴
枯れてなほ香を放ちける小菊かな 一尾
添削> 枯れてなほ残香のありし小菊かな
線描のごとくに見ゆる冬木立 青々
所在なく鷺一羽佇つ冬田かな 初凪
踏ん張って家庭菜園大根抜く 一尾
添削> 畝跨ぐ足ふんまへて大根抜く
清浄の鐘響きけり御講凪 曽田哲
川を辞す白鳥守に声かけて 志乃
山茶花の前に仕立てり野点席 ゆうこ
添削> 山茶花を籬としたる野点席
鴨を見る鉄砲撃ちの目となりて 志乃
皺の手に抜けぬ指輪の凍てにける 縄文
添削> 皺の手に抜けぬ指輪の凍てにけり
雪吊の話題盛んに加賀料理 光晴
添削> 雪吊の話題尽きざる加賀料理
急磴に一息入るる紅葉茶屋 青々
風葬と言ふべし尾瀬の大枯野 志乃
添削> 風葬を想ひし尾瀬の大枯野
白波の如く麓の芒原 牡丹
文机に裸木の影とどきけり きみこ
木枯や売り出しビラの逆らわず 一尾
添削> 北風吹いて売り出しのビラ飛ばしけり
街頭の試食に手袋外しけり 彩女
口笛に枯野の犬の振り返る 志乃
一人来て木の葉時雨や渓の路 げんた
添削> 渓の路木の葉時雨を潜りゆく
朝日撒き散らすがごとく黄落す 牡丹
[今週の秀逸]
鴨浮寝さざ波まかせ風まかせ 寅
請求書速達で来る師走かな 初凪
鴨を見る鉄砲撃ちの目となりて 志乃
山茶花を籬としたる野点席 ゆうこ
街頭の試食に手袋外しけり 彩女
[選評]
寒くなって吟行の機会が減ったからでしょうか、今週はやや低調でした。
・鴨の句は平明ですが、浮き寝のさまをよく捉えていてよいと思いました。
・請求書の句は師走の季語がよく効いて、新しい感じの句になりました。流石です。
・鉄砲の句は作者の個性がよくあらわれた作品です。
見たままを写生するのではなく、感じるまで辛抱するとこんな句が授かるのです。
・山茶花の句は風情がありますね。散らばった落花の様子なども見えてきます。
・手袋の句は滑稽があってとてもよいと思います。
毎日のように添削稿を送ってこられる熱心さが実を結びつつあります。
日の射して水底紅葉映えにけり 彩女
行商の籠に冬菜ののぞきゐる 秋乃
こんな物まで母よりの冬支度 初凪
ほとばしる気合ひに翁薪割れり みすず
添削> ほとばしる翁の気合ひ薪を割る
中洲よりこぼれし鴨の流れけり 志乃
銀杏黄葉おみくじ箱に降り止まず 三十
朝の馬場人馬の息の白きかな 彩女
添削> 馬場の朝人馬の白き息揃ふ
冬晴れや釜出しの瓶並びをり ゆうこ
添削> 冬晴れや釜出しの瓶並べられ
踵にもハンドクリーム冬隣 初凪
手水鉢触るれば伝ふ寒さかな 彩女
バス待ちの母子いずれも息白し きみこ
添削> バス待ちの母子の会話息白し
頂へ紅葉の道続きをり 三十
添削> 頂きへ近づくほどに紅葉濃し
裸木となり教会の塔覗く 皐月
添削> 裸木の森教会の塔見ゆる
落暉いま火種となりて銀杏燃ゆ 初凪
庭紅葉美術館展示圧倒す 光晴
添削> 大玻璃に庭紅葉燃ゆ美術館
木守柿残して梯子はずしけり きみこ
仁王門潜るや否や落葉急 青々
鵙高音空一点の雲無きを 縄文
添削> 一点の雲無き空や鵙高音
寒林へ入って行くよ赤い服 志乃
長旅の足投げ出せる干菜風呂 やす子
山茶花に夕星ひとつ加はりぬ 東吾
池の面の落暉歪ませ鴨潜く 初凪
二人乗りバイク枯れ野を欲しきまま 一尾
添削> 二人乗りバイク枯れ野を狼藉す
砂場の子見守る母や園小春 彩女
落ち葉掃く給食にほふ校舎裏 彩女
風呂吹に漆の箸の透きとほる 志乃
役者絵に華やぐ暦売られけり みすず
添削> 役者絵の華やぐ暦よく売るる
甌穴に取り残されしこごり鮒 志乃
茶の花や大本堂を開け放し 志乃
千社札地蔵に紅き冬帽子 初凪
連ね干す大根の白まぶしめり みすず
添削> 連ね干す大根の白まぶしかり
銀杏散る「とほりやんせ」てふ唄の道 みすず
風邪の日の夢は妖しきことばかり 縄文
添削> 風邪に臥し夢は妖しきことばかり
落ち葉掃く音に始まる寺の朝 彩女
[今週の秀逸]
踵にもハンドクリーム冬隣 初凪
冬晴れや釜出しの瓶並べられ ゆうこ
木守柿残して梯子はずしけり きみこ
寒林へ入って行くよ赤い服 志乃
長旅の足投げ出せる干菜風呂 やす子
役者絵の華やぐ暦よく売るる みすず
風邪に臥し夢は妖しきことばかり 縄文
二人乗りバイク枯れ野を狼藉す 一尾
落ち葉掃く音に始まる寺の朝 彩女
[選評]
野球でよく例えられる個性としてホームランバッターとアベレージヒッター
の違いというのがありますね。
どちらも兼ね備えた選手はそれこそ大選手ですが、一般的にはどちらかの傾
向がはっきりしていて、その長所を個性として活躍します。
じつは、俳句の個性にもこれと共通した点は多いのです。
勘のよいかたは、うなづいておられると思います。(^^
俳句も経験を積むと80点くらいの作品をコンスタントに作ることはさほど
苦痛でなくなってきます。でもそれに甘んじていたり、句会の成績を気にし
て、三振することを恐れているとホームランの打てない作風になるのです。
俳句を始めたばかりの人がとてもいい句を作られることは稀ではありません。
これは、初めは謙虚で三振を恐れることも、また変に力むこともないのでま
ぐれでホームラ