みのる:手術の部位にも寄りますが、術後麻酔が覚めてしばらくはしくしくと痛みが残ります。ようやくそれも気にならなくなり、ぐっすりと眠れてすっきりとした目覚めの朝を迎えることが出来たのです。 守られ生かされているのだという実感を感じているのです。

康子:入院中の夜は長く、術後の夜となれば尚更朝が待ち遠しいことでしょう。夏の夜作者は痛みに耐えながら夜明けを迎え、明けの早さに安堵感を感じた。まだ痛みはあるのでしょうに、その朝日を見て回復に向かう兆しを感じた。作者の前向きなお気持ちが伝わってきます。「明易し」の季語の効果を感じました。

澄子:術後程ない日の明け方をお詠みになられた御句と拝察。術後痛みを伴っており昨夜は痛みを感じながら眠りに落ちたが つと目覚めれば、もう明けの気配 4時も過ぎれば十分明るい……そういえば眠る前より格段と痛みも和らいでいるではないか……そんな病室ベッドでの覚醒の一瞬を捉えたのだと想いました。季語「明易し」に今後回復への明るい兆し、作者の良くなるぞというような前向きなお気持ちを感じました。

かえる:おそらく作者自身が手術を受けられて、療養過程の様子を詠んでおられるのでしょう。術後の痛みが強く、熟睡出来ずじれじれとしている。夏の夜明けは早く、よく眠れぬまま空が明るんでしまったけれど、痛み止めのせいか、気がついたら少し痛みが遠のいているような気がする。確かな回復の兆しを感じて作者の気持ちも明るさを取り戻しているように感じました。

むべ:作者自身の体験として、術後翌日あるいは数日以内に詠まれた御句と推察いたします。手術のため入院中で、窓際のベッドにいるのかもしれません。病室のカーテンは遮光性は高くなく、夜が明けると目が覚めやすいです。一昨日よりは昨日、昨日よりは今日と、創部の痛みが少しずつ和らいでいることに気づいたある朝、長い夜が明けてゆくように、長年抱えていた病も癒やしに向かっていることを実感したのです。いわゆる病床句ですが、一貫しているのは希望だと感じました。