みのる:日本だけでなく、世界中広く弔いの花の色には白がよく使われています。その理由は諸説あり、世界的に共通しているのが、白は「純粋」や「無垢」を表すからという説です。最近は遺影も笑顔の写真が選ばれることも多くなりました。ゆりの花も芳香を放っていてまるで天国の花園で微笑んでいるように思えたのでしょう。

えいいち:上五「真つ白な・・・」が印象的です。作者も亡くなられた方も真っ白な心持だなあと感じました。悔いも苦も悲しみも無く穏やかに天寿を全うされたのでしょう。作者も穏やかな気持ちで静かに送っているように感じます。

康子:香り溢れる百合の花いっぱいの祭殿。まるで故人がそれを喜んでくれているかのように穏やかな表情の遺影が飾られているのでしょう。作者は悲しいお気持ちで葬儀に臨みましたが、白い百合に囲まれている遺影を見て、自身を納得させているのかもしれません。素直な表現により余計に悲しみが伝わってきます。「真っ白な」の措辞に引き込まれました。

澄子:シンプルで直截な御句に故人を悼む気持ちがそのまま伝わってきます。供花は純白で大振りな百合の花 高潔な故人のお人柄が偲ばれるようです。ひんやりとした空気感 室内を満たす百合の香りまで感じました。

かえる:真つ白な百合。夏のご葬儀なのでしょうね。描写の冷静さから、突然の訃報ではなく、故人は病に伏されていた方ではないかと思いました。ごく親しい間柄で、闘病中の辛いお姿にも寄り添っていたのでは。遺影笑む、に故人が病の辛さから解放されたことにホッとする気持ちと、失った悲しみとが交錯しているように感じます。

むべ:大切な方のご葬儀に参列したのでしょう。祭壇に手を合わせたとき、微笑む故人の遺影の周りを飾る百合の花が目に入りました。供花だと言わなくても、シチュエーションが十二分に伝わり、お悔やみ花としての百合の存在感が際立つ御句です。百合の花の白さ、また香り高さとともに、作者の悲しみや哀悼の気持ちもよく伝わってきます。