みのる:石蕗日和は石蕗の咲くころの秋晴れの日和のこと。「小鳥来る」という季語もあり、ツグミやレンジャクなどの候鳥とムクドリ、ヒヨドリなどの漂鳥をひっくるめて、秋もかなり深まった頃に群れをなして飛んで来るのを指します。そんな小鳥たちが入れ代わり立ち代わりして水浴びしている様子が目に浮かびます。バードバスは洋風の庭にデザインされたものが多いのですが、揚句では石蕗、つくばいという組み合わせなので和風庭園の雰囲気が連想できます。

むべ:つくばいのそばに、石蕗の花が咲いています。初冬の太陽を集めたかのように鮮やかな明るい黄色です。そしてそのつくばいには小鳥がたくさん集まって、水飲みや水浴びをしている最中です。まるでバードバスのように…ちょっと離れたところから作者がうれしそうに眺めている姿を想像しました。私も、小鳥たちはいろいろな種類(カラ類など)が集まっているような気がしました。つくばいの水も日差しにきらきら輝いていて、うつくしい光景だと思いました。

かえる:明るい色味の少ない冬の苑に石蕗の黄色はまるで太陽のように鮮やか。石蕗日和と言う表現で、よく晴れた穏やかな青空と、そちこちに花ひらく石蕗の絵が浮かびます。小鳥たちは蹲を拝借してお水を飲んだり体を休めたりしているのでしょう。作者は茶室に入りたいけれど、躊躇して少し離れたところで鳥たちが去るのを待っているのかもしれません。光景はまだまだ寒いけれど、少し春の気配も感じる優しい句です。

えいいち:どうして「バードバス」なんだろう、バードバスって鳥のお風呂か?・・・と下五が気になりました。バードバスがよく分からないので、調べてみましたら、野鳥に水浴びをさせるための道具の名なのですね。それでやっとモヤモヤが晴れて「つくばいは今」と合わせると庭先に小鳥がやってきて水浴びを楽しんでいる光景がパッと浮かんできました。蹲に小鳥来て水浴び楽しそう・・なんて説明的な言葉は不要なのだという事がわかりました。おまけに上五の季語で小鳥が来た日のお天気までわかってしまいました。

澄子:黄色い石蕗の花が見頃の庭、その明るい初冬の庭に置かれた蹲にひっきりなしに鳥が訪れ水浴びをしている…………石蕗日和季語によって小春の麗らかさや黄色い花の可憐さ等 初冬の明るい庭の全景が見えてくるようです。蹲を囲むように石蕗が植えられているのかもしれません。下五水浴びで飛び散ったきらきらした飛沫の輝きにフォーカス。水浴びの音や鳥の鳴き声だけが聞こえてくるような真昼の静かな庭をイメージしました。鳥は結構いろんな種類の鳥がやって来ると思います。

康子:冬の晴れた日、石蕗の花が照らしている蹲に小鳥が水浴びに来ている。まさに今!蹲がバードバスと化している。蹲があるので庭園でしょうか、小鳥の声、水浴びの音やしぶきの光、蹲に流れる水の音を感じます。黄色に輝く石蕗の花が咲き乱れ、なんとも美しい光景です。「バードバス」の措辞により作者の温かいお気持ちも伝わります。「石蕗日和」の表現方法に感服し、冬の中の暖かさを感じる句でした。