澄子:かなり大きな温室をイメージしました。椰子は高いものだと30メートル位(10階建てビルと同じ)になるとか……………温室の植物の中では抜きん出て高く 天井に届かんばかりに育った椰子の木々を「天井支ふ」と表現。中七が総てを言い表してるようです。下から見上げると 同心円状に拡がった独特の扇状型の椰子の葉の重なりは異国的で美しく見えたことでしょう。

かえる:最初はてっきり椰子が季語なのだと思ったのですが、まさかのフレームの方なのですね。生育環境が最適に管理されたフレームのなかで、風雨に折られることもなく、外の寒さもなんのその。庭師の手厚いケアを受けて、天井につかんばかりにだだ真っ直ぐに育つ様を驚嘆して見上げ、支ふと表現されたのでしょう。人工的な成長に少し切なさも見出しておられるか。大きな葉もふさふさとしているので、力強さ増して感じられます。

康子:椰子の木は幹が太く背丈も高く、そして何本もの葉が放射線状に伸びているので温室の中でも存在感があるのでしょう。あまりの高さと存在感に、まるで「天井を支えているよう」と感じた。それにより天井の高い温室が浮かび、見上げている作者が浮かび、温室の先に青い空が見えるのかも…と想像が膨らみます。「フレーム」の季語により、寒い中での温室の暖かさを感じる句でした。

むべ:熱帯植物園のような場所をイメージしました。フレームの天井が高いのですが、まるでその天井を下から支えているかのように椰子の木が伸びているのです。フレームの室内は温度や湿度の管理がなされており、椰子の生育も良さそうです。下から上を眺めている作者の視界に、椰子の葉があおあおと茂っています。翻って、外はきっと冷たい風が吹いているのだろうなと思わせる、季語の力を感じます。